サーバーバックアップ導入事例 - HDL-GTR 【株式会社シーガル 様】

サーバーバックアップ導入事例 - HDL-GTR 【株式会社シーガル 様】

「一発で(Active Directory情報を)引っ張ってこれて楽でしたね。それに非常にサイズが小さく、ちょうどいいです」

取材日:2009年9月24日

社内イントラネットにおいて、「VMware ESXi」と「Hyper-V」による仮想化&シンクライアント環境を運用する株式会社シーガル。データ保全に高い信頼性が要求される仮想マシン環境を支えるのが、RAID5対応でコストパフォーマンスに優れたアイ・オーのNAS「HDL-GTRシリーズ」だ。同製品の導入に至ったいきさつと実際の使用感を、同社技術部の菱沼健太郎氏に聞いた。

「VMware ESXi」と「Hyper-V」による仮想化&シンクライアント環境を構築

HDL-GTR設置風景

HDL-GTR使用風景


東京都八王子市に本社を構える株式会社シーガルは、全国の中小企業を対象にITの導入支援を行うシステムインテグレータである。その業務内容は、クライアント企業へのハード・ソフトの導入支援、メンテナンス、Web作成のほか、IT系セミナーの開催まで幅広い。

同社の本社オフィスでは、2台のサーバによる仮想化環境が構築されている。一方のサーバではヴイエムウェア社の「VMware ESXi」による仮想マシン環境が構築され、各シンクライアント端末でWindows XPが利用できる状態になっている。もう一方のサーバではマイクロソフト社のサーバ仮想化ソフト「Hyper-V」上でWindowsServer 2003 R2が動作しており、業務データはこのサーバに保管される形になっている。

ハード・ソフト資産を共用できるためコスト削減効果が高いとされる仮想化&シンクライアント環境だが、各種データの保存先が一元化されることで、いったんハードウェア障害が発生すると大規模なシステムの停止につながる危険性もある。仮想マシンの継続運用という点では物理サーバそのものを二重化するのが基本だが、各端末のデータをまとめて保存し、さらにバックアップを行うとなると、ディスク容量が足りないといった問題も起こりがちだ。

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仮想マシンのデータをまとめて「HDL-GTRシリーズ」に保存

今回このイントラネット環境に導入されたのが、アイ・オーのNAS「HDL-GTR」だ。RAID5に対応し、カートリッジによるホットスワップが行えるLAN接続ハードディスクである。

導入の目的は、前述の仮想マシン環境における業務データのバックアップだ。仮想マシン環境ではOSのイメージごとバックアップが行われるケースもあるが、同社では各マシンが利用する業務データのみのバックアップが主流だという。「うちはシステム会社なので、データさえあればなんとかなってしまいます。日頃からOSを入れ直すことも多いため、リカバリーの手間はそれほど問題になりません」と語るのは、同社技術部の菱沼健太郎氏だ。

業務データのバックアップは、Hyper-V上WindowsServer 2003 R2にインストールされたIBM社製のバックアップソフト「FastBack」によって行われる。各仮想マシンの業務データをまとめて「HDL-GTR」に書き出すという使い方だ。

「Windows Storage Serverも利用していますが、高価なこともあり、おいそれと台数を追加するわけにいきません。その点、今回のHDL-GTRは安価に導入でき、非常に助かっています(菱沼氏)」

HDL-GTR2.0構成図



容量面でのメリットも大きい。今回導入されたHDL-GTRはディスク容量が2TBであり、RAID5構成でも1.5TBものディスクスペースが確保されている。これは、今後さらに増えていくであろう業務データをまとめて保存するにも十分な容量だ。「評価に用いるデータの保存には多くの容量を必要とするため、これまでディスクの容量不足に苦しんでいました。これだけあればしばらく困らないでしょう(菱沼氏)」。

また菱沼氏は、WindowsネットワークにおけるActive Directoryとの親和性をポイントのひとつに挙げる。「他社のNAS製品ではアクティブディレクトリのユーザ情報を中途半端にしか拾ってこない場合がありますが、HDL-GTRでは一発で引っ張ってくることができたので楽でしたね」と、菱沼氏はActive Directryとの連携性を高く評価する。

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パフォーマンスはもちろん、ホットスワップ対応と省スペース性も高評価

HDL-GTR使用風景


「仮想マシン環境ではすべての端末のデータが集約されることから、バックアップ対象のサイズも大きくなり、転送速度についても重要な評価ポイントとなるが、菱沼氏はHDL-GTRについて「パフォーマンスも問題ありませんでした」と語る。菱沼氏が所属する技術部では現在もさまざまな仮想環境のテストを並行して実施しており、これらのデータの退避先としても活用されているとのことだ。

また菱沼氏は、障害発生時に運用しながらドライブの交換が行えるホットスワップ対応の重要性を説く。「かつてNAS製品のディスク交換のためにクライアント企業に赴いた際、ホットスワップに対応していない製品だったために、一回電源を落として分解し、ケーブルをとってディスクを付け替えて…という作業を行わなくてはならず、その煩雑さに閉口した記憶があります。この製品であればカートリッジを用いて容易に交換が行えるので、万一の場合にも安心感がありますね」。現在はまだドライブ交換に至る障害は発生していないとのことだが、ホットスワップに対応することで、業務を止めずに障害からの復旧できる同製品への期待は大きい。

さらに菱沼氏がメリットとして挙げたのは、HDL-GTRの省スペース性だ。「これまで価格的な要因でWindows Storage Server製品の導入が難しいというお客様にはバッファローのTeraStationをおすすめしていたのですが、本体のサイズがちょっと大きいイメージがありました。HDL-GTRは非常にサイズが小さくちょうどいいですね」。

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バックアップソフト「FastBack」と組み合わせて顧客への導入も視野に

このほか、HDL-GTRとあわせて導入されたIBM社製のバックアップソフト「FastBack」にかかる期待も大きい。同社では業務の性格上、Webサイト用の画像やソースコード、昔の開発環境の構造などファイルサイズが比較的小さなデータを大量に保管しており、1回のバックアップに多大な時間を費やしていた。「金曜に始めたバックアップが、翌週の火曜になってようやく完了するほど(菱沼氏)」の日数がかかっていたことで、業務への影響も少なくなかった。ファイルやフォルダ単位ではなくブロック単位での増分バックアップに対応した「FastBack」であれば、小容量のファイルが多数存在する環境であっても、バックアップ速度の改善が期待できるというわけだ。

FastBackの画面イメージ

バックアップソフト「FastBack」の正式名称は「IBM Tivoli Storage Manager FastBack」。ブロック単位での高速バックアップのほか、1時間に1回程度の短い間隔でスナップショットを撮ってリカバリーポイントを作成する機能や、ハードディスクをリアルタイムで監視してバックアップを行うCDP(Continuous Data Protection)に対応。また、災害時に遠隔地へのバックアップを可能にするDtoDtoDに標準モジュールで対応していることも特徴だ。

同社ではこの「HDL-GTRシリーズ + Fastback」というシステムに関し、クライアント企業への販売も視野に入れる。自社イントラネットへの導入により信頼性があると判断されたシステムを、アイオーが展開する保守点検サービス「アイオー・セーフティ・サービス」と組み合わせ、クライアント企業へ展開するという流れだ。自社イントラネットを支えるシステムの一部として、またクライアント企業の満足度を向上させるツールとしても、HDL-GTRシリーズにかかる期待は大きい。

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導入企業概要

株式会社シーガル | 外観トップ 株式会社シーガル | 外観1

1979年に創業された同社では、全国の中小企業を対象に、ITを活用した経営革新のコンサルティングサービスを提供する「オープンコンサルティングプロジェクト(OCP)」を展開している。現在の業務内容は同プロジェクトにおけるビジネスプロデューサ育成のほか、クライアント企業へのハード・ソフトの導入支援、メンテナンス、Web作成、さらにIT系セミナーの開催まで多岐に渡っている。
[商号] 株式会社シーガル
[創立] 1979年11月
[代表取締役] 桑山 義明
[社員数] 18名(2009年9月現在)
http://www.seagull.co.jp/

(株)シーガル 技術部 菱沼 健太郎氏

(株)シーガル
技術部 菱沼 健太郎氏

「Windows Storage Serverを利用した製品と比べて、設定も簡単で、メニューも分かりやすいですね。USBメモリをキーにして暗号化を行うUSBロックキー機能も、今後使ってみたいと考えています」

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