LAN接続型ハードディスク「HDL-GTRシリーズ」導入事例 【大同工業 様】

LAN接続型ハードディスク「HDL-GTRシリーズ」導入事例 【大同工業 様】

「ミラーリングに対応しているうえ、外付けハードディスクを買えばバックアップも取れ、UPSも接続できる。 価格もサーバに比べると手頃でしたので導入を決定しました」

取材日:2009年11月12日

本社および工場、全国の拠点において、アイ・オーのLAN接続ハードディスク「HDL-GTR」を業務データの保存用として導入しているのが、二輪車用チェーンでは国内・海外において幅広いシェアを誇る大同工業株式会社だ。数あるLAN接続ハードディスクの中で、アイ・オー製品を選んだ決め手とはいったい何か。システムの構築と保守運用を管理している情報企画グループ 課長の端田氏に話を聞いた。

HDL-GTRに業務データを保存。外付ドライブに1日1回バックアップ

会社紹介


大同工業株式会社は、二輪車用チェーンでは国内・海外において幅広いシェアを誇るメーカーである。二輪車/四輪車のチェーンをはじめ、産業機械チェーン、コンベアシステム、さらには福祉機器に至るまで、その技術力と品質の高さは世界的にも高い知名度を誇っている。

全国各地に工場および支社、営業所をもつ同社では、それぞれの拠点をVPN接続でむすび、Active Directryによるユーザ管理を行っている。Active Directryで管理しているユーザ数は述べ500~600名にも及ぶとのことだ。またセキュリティ面の強化に注力しており、データの持ち出しにつながるノートPCを減らしてデスクトップマシンを中心とした構成への移行をすすめつつあるほか、最近ではセキュリティ対応のUSBメモリを一括導入して情報漏えい対策を強化するなど、データを安心・安全に運用できる環境の構築に全社を挙げて積極的に取り組んでいる。

同社の各拠点において、業務データの保存先として活用されているのが、アイ・オーのRAID5対応LAN接続ハードディスク「HDL-GTR」シリーズだ。同社では、このHDL-GTR内に各ユーザごとのフォルダを設け、業務データはすべてそれらの中に保存するルールを設けている。対象となる業務データは、一般的なオフィス文書のほか、CADのデータや写真画像など、部署によってさまざまだ。

HDL-GTRに保存されたデータは1日1回、背面に接続されたeSATAハードディスク「RHD4シリーズ」にバックアップされる。RAID5構成によってディスク障害から保護されているだけでなく、外付ハードディスクへの日次バックアップも行われるため、ユーザ自身が誤ってデータを消去してしまった場合でも、必ず前日の状態までには回復できるという仕組みだ。

同社ではこの「HDL-GTR」と「RHD4」、そして無停電電源装置(UPS)のセットを、本社のほか各工場、各営業所、子会社など、のべ三十数箇所に導入している。「ひとつの部署ごとに入れると相当の台数が必要になりますので、いまは容量面も考慮しながら原則フロアごとに1台の割合で導入しています。工場であればそれぞれの事務所に1台、営業所もそれぞれに1台ずつの割合です」と導入状況を語るのは、システムの構築から保守運用までを管理している端田氏である。

ネットワーク図
各拠点での情報共有と一括管理を実現



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データ冗長化のツールとして、いち早くLAN接続ハードディスクに注目

RAID5による冗長化+外付ドライブへの日次バックアップという形で二重に保護されている同社の業務データだが、現在のスタイルに落ち着くまで、さまざま試行錯誤を重ねてきたという。

端田氏はかつての運用状況をこう語る。「10年ほど前はすべてのデータをパソコンの中に保存していましたが、もしパソコンが壊れた場合、ハードディスクの中のデータも消えてしまいます。保守サービスに入っているのでパソコンは修理できますが、データはそうはいきません。なんとかしてと言われてもどうしようもない。サーバの導入も検討したのですが、高額ですからね。1台入れるだけで相当の値段になってしまう」。

そんな端田氏が、LAN接続ハードディスクに着目したのは今から7~8年前のことだ。「いちばん最初に触ったのは、LAN接続のモデルが出てきてすぐの頃です。ただしその時は、シングルドライブでバックアップ手段も用意されておらず、また容量にも制限があったためすぐには導入しませんでした」。

転機が訪れたのは数年前だ。「たまたまアイオーのホームページを見ていて、ミラーリングタイプのモデル(注:HDLM-Uシリーズ)が発売されたことを知りました。ミラーリングに対応しているうえ、外付ハードディスクを買えばバックアップが取れるし、UPSも接続できる。価格もサーバに比べると手頃でした。試しに本社のみ導入したところ、かなり使えることが分かったので、全社への導入を決定しました」(端田氏)。

セットアップ中
大同工業に当初導入されたHDLM-Uシリーズ。
カートリッジを採用したミラーリング対応のNASだ



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フルバックアップを数日分保存しておけば、状況に応じたすばやい復旧が可能

現場での有用性が認められ、同社に導入されることになったLAN接続ハードディスク。全社的な導入が進むうちに機種も変遷を重ね、現在はRAID5対応のHDL-GTRシリーズにほぼ統一されている。

HDL-GTRシリーズについて端田氏はこう語る。「HDLM-Uの次の製品ということで、似た機能の製品を探していた際、ちょうどこのHDL-GTRが新しく出てきたのです。容量も大きいしRAID5にも対応するということで、他社も含めていろいろな機種を検討した結果、これがいいと判断して導入しました」(端田氏)。

もっとも、HDLM-UシリーズからHDL-GTRシリーズへの移行はすんなりと決まったわけではなく、他社の同等製品もいくつか候補に挙がっていたのだという。最終的にHDL-GTRシリーズに決まった理由は何だったのだろうか。

「他社のRAID5対応のNASも、実際にいくつか導入してみたのですが、バックアップが数日分取れる機能がなかったため、結果的にHDL-GTRに落ち着きました。他社のはフルバックアップを一つだけか、もしくは差分バックアップを組み合わせるしかない。これだと、目的のデータを簡単に取り出せるかというと、ちょっと難しい場合があります。我々がいちばん要求されるのは復旧までのスピードですので」(端田氏)。

フルバックアップを数日分取っておく理由を、端田氏はこう語る。「1日分のバックアップだけであれば、データが翌々日にはなくなってしまいます。翌日であればまだ復旧の見込みはありますが、金曜になくしたデータを月曜に直すことはできないわけです」。月曜から金曜まで最大1週間分のフルバックアップを残しておけば、差分バックアップのようにあちこちのフォルダから該当のデータを探す手間が省け、状況に応じたすばやい復旧が可能になるというわけだ。

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拠点に出向くことなく、本社にいながらにしてメンテナンスが行える

HDL-GTRドライブ交換
ディスクに障害が発生しても、交換カートリッジの差し換えで対応可能

HDL-GTRは、いまもなお同社において導入数を増やしつつある。新規に導入する際の具体的な手順と、日々の運用のポイントについて聞いてみた。

「こちらで初期設定を行ってから、拠点に送るという形で対応しています」と語る端田氏。拠点ごとに管理者を置くのは難しいこともあり、運用については担当者が本社からリモートで行っているという。万一の故障発生時の対処方法が気になるところだが、端田氏はこの点について「問題ない」と語る。

「各拠点には、(障害発生を示す)赤いランプがついたら知らせるように、という指示を出しています。先日ある営業所で赤ランプがついているというので、カートリッジを1個送って営業所のスタッフに交換させましたが、問題なく対応できたようです」。

さらに同社では、HDL-GTRが持つログメール機能も活用し、赤ランプの点灯を万一見逃した際でも、本社側でハードウェアの異常を察知できる体制を整えている。「HDL-GTRから定期的にログメールが飛んでくる設定にしてありますので、それを見てこれはちょっとおかしいぞという点があれば、拠点に電話して調べさせるようにしています」。

わざわざ現場まで足を運ばなくともステータスランプやログメールで異常を把握できるわかりやすさ、ハードに詳しくないスタッフでも復旧作業が行えるメンテナンス性の高さ、さらに運用を保ったままRAIDの再構築が行える業務優先の設計思想は、専任の管理者を置けない拠点を持つ同社のような企業にとっては朗報だろう。

利用方法を徹底させることも、端田氏にとっては重要な使命だ。「利用にあたっても、とりあえずここに重要なデータを保存しなさい。そうしないとデータが消えた時に助からないですよ。と説明しています。もしデータをローカルに置いているとパソコンの故障時に自分が泣くことになりますから、一度こうした失敗をすると、次からは必ず保存場所に気をつけるようになります」。

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社内のデータ共有にも効果を発揮。ディスク領域のさらなる活用も検討中

データの冗長化において大きな役割を果たすHDL-GTRだが、同社内ではデータの共有化においても効果をもたらしているという。

「もともとLAN接続ハードディスクを導入したのは、バックアップ以外に、社内のデータの共有化をすすめる意味もありました。それまではフロッピーディスクとかMOを持って行って相手に渡す、もしくはパソコン自身に共有を設定するということをしていました」。いまではこれらがHDL-GTRによってスムーズに行えるようになったとのことだ。手間が削減できるのはもちろんのこと、情報漏えいの防止にも効果があることは言うまでもない。

このほか、HDL-GTRとセットで導入されている無停電電源装置(UPS)による電源保護も有効に機能している。「UPSはもともと瞬停対策のために導入したのですが、UPS連動のシャットダウン機能は、休電日などは助かっています。給電が止まったら自動的にシャットダウンしてくれるので、休電の前日にいちいち終了させて回る必要がない。朝来たらボタンを押してもらうだけです」(端田氏)。

設置台数を増やしつつ、同社のデータ保全を支え続けるHDL-GTR。今後については「まだドライブの容量的にも余裕があるので、バックアップする領域としない領域に分け、バックアップしない領域はみんなに使ってもらうことを計画しています」と端田氏は語る。今後ますます業界内で存在感を発揮するであろう同社において、HDL-GTRは業務を縁の下から支える存在であり続けるだろう。

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導入企業概要

大同工業株式会社 | 外観

二輪車用チェーンでは国内・海外において幅広いシェアを誇るメーカーが、石川県加賀市に本社を置く大同工業株式会社だ。二輪車/四輪車のチェーンを筆頭に、産業機械チェーン、コンベアシステム、さらにそれらのノウハウを応用した福祉機器など、その技術力と品質の高さには定評があり、同社のDIDブランドは海外でも広く名を知られる存在である。
[企業名] 大同工業株式会社
[創立] 1933年5月25日
[代表取締役社長] 新家 康三
[社員数] 795名

(2009年3月31日現在)

http://www.did-daido.co.jp/

生産システム部 情報企画グループ 課長 端田 秀之 様

生産システム部 情報企画グループ 課長


端田 秀之 様

「拠点からは、間違って業務データを消してしまったのでどうにかしてほしいという電話がたびたびあります。その時点でバックアップが1日分しかないと、要望に応えられないことがあります。そのため、フルバックアップを5日分取れる製品を探していました」

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