LAN接続ハードディスク「HDL-Z」導入事例 【東急建設様】

LAN接続ハードディスク「HDL-Z」導入事例 【東急建設様】

ロック機能搭載の外付ハードディスクへのバックアップとRAIDの組み合わせで、建設現場の作業所におけるデータの冗長性を確保

取材日:2011年06月17日

全国各地の建設現場には、建設作業を監督するための作業所があり、スタッフが常駐している。各作業所にはPCをはじめとするシステムが導入されているが、常駐するスタッフが監督業務に集中するためにも、 メンテナンスフリーでの運用は必須であり、また施工記録の写真など冗長性が求められるデータも多い。東急電鉄グループのゼネコンである東急建設では、アイ・オーのNASおよびバックアップハードディスクを中核としたシステムを導入し、これら現場からの要求に応えている。

作業所におけるデータ保管用に、10年前からNASを活用

吉村 典之氏
HDL-Z

東京都渋谷区に本社を構える東急建設は、東急電鉄グループのゼネコンとして、建築を中心に土木、東急沿線の鉄道事業などを手掛ける総合建設会社だ。全国10箇所の支店と約50箇所の営業所を持ち、鉄道や道路などの生活基盤のほか、公共・商業施設などの建築、さらにはBtoCモデルの注文住宅に至るまで、多彩な実績を積み重ねている。

全国約350箇所に建設現場をもつ同社だが、およそ10年前から、それぞれの建設現場を監督する作業所に、NASを中心としたファイルサーバ一式を導入して運用している。主な用途は、建設現場の様子を撮影した写真データのストックだ。

「我々ゼネコンには、施工中のすべての写真を竣工時に提出する義務があります。建物が完成したあとで本当に鉄筋が設計図通りに入っているかは分かりませんから、その途中経過として証拠写真を撮っておくわけです。これらデータを保存するために、2001年からNASを導入して活用しています。」と語るのは、システムを統括する同社管理本部情報システム部システムセンターの吉村典之センター長だ。

作業所に導入される機材はNASのほか、そのバックアップドライブ、さらに無停電電源装置(UPS)を組み合わせたキットだ。施工開始時にこれら一式を作業所に導入し、平均して1年半、長くても3年ほどのち、竣工に合わせて作業所ともども引き揚げられるというサイクルになる。いわば社内レンタルのような形で、機材一式を回しているというわけだ。

全国約350箇所もの作業所に導入されているこのシステムは、現場監督にあたる作業を行っているスタッフにとってまさに日常業務の要となるものだが、今春からはこのシステムが、同社にとって3世代目にあたる新しい機器構成へと刷新された。新しいシステムの中核となるのが、アイ・オーのWindows Storage Server 2008 R2搭載のNAS「HDL-Z4WSAシリーズ」だ。

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RAIDに加え、外付ドライブへの定期バックアップで冗長性を確保

建設現場の作業所に常駐する同社スタッフは、ひとつの作業所につきおよそ3名ほど。少人数であることに加え、各スタッフは決してIT機器に詳しいわけではない。したがって導入する機器には、冗長性の高さはもちろん、メンテナンスフリーでの運用が必須条件となる。こうした条件下で約10年、3世代にわたって運用されてきた同社のシステムには、現場における長年の経験がふんだんに生かされたものになっている。

まずは冗長性の確保。建設現場で記録される写真データは、作業の進捗を日々記録したものであり、万が一失われたからといって後日撮り直すことは不可能だ。冗長性の確保する観点からもRAIDは必須。従来までのシステムはRAID1、今回のシステムではRAID5で運用されている。

万一の障害発生時には、NASに搭載されたメール通知機能により、同社のサポートセンターに警告メールが送られ、現場に対して状況に応じた対処方法が指示される。ドライブの物理的な障害の場合には、たとえば「予備のカートリッジを送るので、4本あるドライブの3番目のカートリッジと交換するように」といった具合だ。現場のスタッフは日々システムの稼働状況を意識することなく、的確なサポートが受けられるというわけだ。

冗長性の確保は、RAIDだけにとどまらない。データ保護をさらに確実なものにするため、NASに接続されたUSBハードディスクに対し、1日1回の割合でデータのバックアップを行なっている。仮にRAIDが復旧不可能な状態に陥っても、このUSBハードディスクをPCにつなぎ替えることで、少なくとも前日までのデータは取り出せるというわけだ。

じつはこれらのシステム構成には、同社の過去の経験が活かされている。NASを導入した初期の頃、当時のRAID1だけに頼ったデータ保全をしていたところ、データが消失する事故が発生したことがあるという。

「当時の製品はアラートの機能が充実していなかったことから、一基目のドライブが停止しても気がつかず、二基目が停止してはじめて分かるといった有様でした(吉村氏)。」 それ以来、メールによるアラート機能を活用するのはもちろん、外付のストレージに対するバックアップも欠かさないのだという。

また、従来のシステムでは、バックアップ先のストレージとしてリムーバブルメディアを採用していたため、毎回メディアを差し替える必要があった。導入当時は画期的な仕組みだったものの、メディアの差替は手動であったことから、作業を失念することも多かったという。

「従来のシステムでは、リムーバブルメディアを挿入するとバックアップが自動的に始まり、終わると自動的に排出される仕組みだったのですが、現場のスタッフにはメディアの交換作業すらわずらわしかったようで、バックアップの漏れがたびたび発生していました。そのため今回のシステムは、接続さえしていれば毎日自動的にバックアップされることを必須の条件とし、機器を選定しました(吉村氏)。」 USBハードディスクをバックアップ先とする今回のシステムではメディア交換の手間が不要なことから、メンテナンスフリーな環境が実現できているという。

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外付ドライブのロック機能で、盗難などによる情報漏えいを防止




バックアップに関する同社のもう一つのこだわりは、バックアップ先のドライブのセキュリティだ。昨今の建設業界では、1社ではなく複数の建設会社が組むジョイントベンチャーという形態で施工にあたることが多く、不特定多数の人が作業所内に出入りすることも少なくない。

「ジョイントベンチャーだと2社以上、多ければ10社近くがジョイントベンチャーを組むこともあるため、見知らぬ人が事務所に出入りしていても分かりづらい状況にあります。NAS本体はきちんとアクセス制限がかかっていますが、バックアップ先の外付ハードディスクを持ち出すなどして、PCにつなぐとデータが見えてしまうというのでは困ってしまいます。そのため、バックアップ先ドライブのセキュリティをどう確保するかというのが、今回のシステムを選定する際の大きな課題でした(吉村氏)。」

NASに保存されているデータは独自のノウハウが詰まった社外秘のデータも多く、物理的な盗難はもとより、部外者によるデータへのアクセスを遮断する必要がある。とくに同社の方式の場合、NAS本体が盗難に遭わなくとも、外付ドライブだけを外して持ち出せば、データがまるまる漏洩することにつながりかねない。

そこで今回のシステムでは、外付ハードディスクをNAS本体から抜くと、自動的にロックがかかる仕組みが導入された。PCにつなぎ替えて電源を入れても、専用ユーティリティとパスワードがなければ、読み取りは不可能というわけだ。再度NASに接続するとロックは自動的に解除され、ふたたびバックアップドライブとして認識されるという仕組みである。

システムの選定に当たった管理本部 情報システム部 システムセンターの村田英樹氏は、導入決定に至るまでの経緯をこう語る。「USBハードディスクは容量面はもちろん読み書きのスピードも速いため、毎日バックアップを取りたいというニーズに合致しています。ただ汎用性が高いだけに、第三者の持ち出しに備え、セキュリティは必ず組み合わせる必要があると考えていました。そうした点から、ロック機能を備えたアイオーのハードディスク「HDJ-HSU」への移行を決めました。」

実はこの「HDJ-HSU」使用時にロック機能を実現するユーティリティソフト「SHGate Service」は、開発にあたって同社からのリクエストが取り入れられたという経緯がある。USBハードディスク単体のロック機能はこれまでも存在していたが、NASのバックアップドライブとして使用した際のロック機能は、同製品が初だ。他社の同等製品では本体が盗難されればデータを直接抜き取られる危険があるが、本製品においてはそうした心配は無用というわけだ。パスワードを保存すれば、電源を入れた際に自動的にロック解除となる仕組みについても同社の意見が反映されており、セキュリティはもちろん利便性についても抜かりはない。

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結果的に故障率の低減へとつながる「低騒音製品」へのこだわり




もうひとつ、同社がNAS製品の選定にあたって重要視したのは、騒音と発熱だ。いわゆるボックス型のNASは、製品によってはかなりの駆動音を発する。そのためオフィス内に設置した場合、机上などに置くと耳障りであることから、自然と机の下に追いやられることが少なくない。場合によっては、床の上に直置きされるケースも出てくる。

建設現場の作業所への導入にあたっては、この点は大きなネックになりうる。床の上に直置きするとホコリが溜まりやすいだけでなく、排熱が十分に行えず、本体の温度が上昇しやすい。そうなるとディスクや基盤の故障につながりやすくなってしまう。そのためなるべく騒音が少ないモデルであることが、放熱性の高い机上などへの設置を容易にし、ひいては故障率の低減につながるというわけだ。

「初代のNASは非常にうるさかったため、作業所内でも端のほうに追いやられることが多々ありました。床に直接置かれていることも少なくなく、埃まみれになって熱暴走を招くこともしばしばでした。最近は現場の作業所は土足禁止になっていますが、それでも埃を吸うことに変わりはありません。なので机の上に置いても気にならない、静かな製品が望ましいわけです(吉村氏)。」

今回の「HDL-Z4WSAシリーズ」の導入にあたっては、複数メーカー製品の駆動音を比較した結果が反映されており、従来製品と比べた場合の低騒音の低さは驚くほどだという。「従来は夏場になると、サポートセンター宛に一日10件以上もCPU温度異常のアラートメールが送られてくるほどでした。中でもウィルススキャンの実施の際は熱上昇が顕著で、ウィルススキャンを始めると決まって警告メールが飛んできていました。」と吉村氏は述懐するが、新しいシステムへと移行してからは、こうした症状はみられないという。

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WindowsベースのNASならではの問題点に備える管理ソフト「ZWSマネージャ」




同社では利用方法の分かりやすさなどの理由から、NASは従来からWindowsベースの製品を採用している。今回導入されたNAS「HDL-Z4WSAシリーズ」はWindows Storage Server 2008 R2を搭載しており、Active Directoryとの親和性も高い。また前述のウィルススキャンソフトなど、Windows向けの数多くのソフトをインストールして利用できることが特徴だ。

NASにインストールして利用する各種ツールの中で、システムの運用に当たる村田氏がその使い勝手を評価するのは、NAS添付の管理ソフト「ZWSマネージャ」だ。このソフトは従来のシステムが抱えていた、障害発生時のある問題をクリアするのに貢献しているという。

「WindowsベースのNASでは、あるドライブにセクタ異常が発生したという通知があっても、再起動後にどのドライブだったか分からなくなることがあります。万一間違って抜いてしまうと、RAIDが崩壊する事態になりかねません。ZWSマネージャであれば、何番のドライブが異常かというのがきっちり分かりますので、管理する側としては大きなメリットですね(村田氏)。」

ZWSマネージャでは表示される順序とドライブの物理的な順番が一致しているため、うっかり正常なドライブを取り外すといった事故も防げる。WindowsベースのNASで、RAID5を採用している同社のシステムにとって、万一の障害発生時に備えた心強い管理ソフトというわけだ。

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現場のスタッフが、本業に徹することができるシステムを




同社では、同梱物の確認や接続方法に始まるマニュアルを自社で作成し、自社のドメイン環境に合わせてキッティングした機材に添付して各作業所に送付している。「基本的にユーザはコンソールに触ることはありません。ユーザはマニュアルさえ見れば、開封から設置、電源の投入までを行い、使い始められるようになっています(村田氏)。」

そんな中、同社のこだわりは、NASとセットで導入される無停電電源装置(UPS)にも及んでいる。現在導入されているオムロンの「BY50S」は、正弦波出力に対応したUPSとしては軽量かつ小型で、NASとセットにしての工事現場への導入においての取り回しのよさが決め手となって採用に至った。他社同等製品と比較した場合の価格の安さや、セッティング時に必要なアプリケーション数の少なさも、アドバンテージになったという。

初代から数えて3世代目にあたるこれら機材は、従来のシステムとランニングチェンジで導入が進められ、すでにおよそ80セットが全国の工事現場にて稼動しつつある。最終的には150セットほどが導入される予定だ。現場と本社との間を仲介する立場にある、管理本部 情報システム部 システムセンターの若林武課長は、現場からの評価についてこう語る。

「送られたものを手順通りに組み立てるだけでネットワークに接続できて使えるようになり、ファイルの保存までを迷わずに行える。セキュリティもカバーされているし、バックアップもされている。これで現場としては本業に徹することができ、非常に感謝されています。作業所のスタッフは次の現場に異動になる事もありますので、最初から最後まで同じ担当者が面倒を見られるとは限らないのですが、その場合でもこのシステムであれば問題なくカバーでき、スムーズな運用が行えるというわけです。」

今後は現場における図面の閲覧など利便性を向上することを目的に、iPadなどのタブレットやスマートフォンなどの導入も検討していきたいとする同社。現場スタッフが本来の業務に集中するべく支援を行う同社情報システム部の取り組みは、これからもさまざまな形で続いていきそうだ。

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導入企業概要

東京都渋谷区に本社を構える東急建設は、東急電鉄グループのゼネコンとして、建築を中心に土木、鉄道事業などを手掛ける東証一部上場の総合建設会社だ。全国10箇所の支店と約50箇所の営業所を持ち、鉄道や道路などの生活基盤のほか、公共・商業施設などの建築、さらにはBtoCモデルの注文住宅に至るまで、多彩な実績を積み重ねている。
[企業名] 東急建設株式会社
[創業] 昭和21年3月12日
[設立] 平成15年4月10日
[取締役社長] 飯塚 恒生
[従業員数] 2,460名(平成23年3月31日現在)
[事業内容] 総合建設業
http://const.tokyu.com/

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管理本部 情報システム部
システムセンター センター長
吉村 典之 様

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管理本部 情報システム部
システムセンター(インフラ担当)
村田 英樹 様

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管理本部 情報システム部
(土木システム担当) 課長
若林 武 様

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