取材日:2018年1月11日
青森市立泉川小学校は、全28クラス、児童数は746名(平成29年4月時点)という、青森県内で最大規模を誇る小学校です。同校において、国語、算数、社会、外国語と、幅広い授業で「てれたっち」を活用されている山崎智洋先生(5年生担任)に、その活用方法や効果、将来のビジョンなどお話を伺いました。
山崎先生今回、本校では初めての導入です。現在、1台の「てれたっち」設置済み大型ディスプレイを3クラスで共有しています。私は、国語、算数、社会、外国語の授業で活用していますが、いずれの授業でもただ漫然と使うのではなく、ポイントを絞って、メリハリが効くよう心がけて使っています。書画カメラと「てれたっち」を連携させて、取り込んだ画像を拡大したり、タッチペンでポイントを指し示したり、書き込みしたりといった使い方が多いですね。大事なところが一目瞭然になりますから、資料を多用する社会科などは特に説明しやすくなりました。以前は資料集のページを開いて、「ポイントはここ」と指し示しながら、時間をかけて教室を歩き回るといった非効率なこともしていました。
山崎先生算数では図形の学習によく利用します。「てれたっち」は面積の公式を教えるのには最適ですね。図形を分割して、補助線を引いてといったことが、画面上ですぐに行えます。また、解答を導くまでにどのような考え方をしたかを、児童たちが共有しあうのにも役立っています。設問の図形のデータを画面に表示しておいて、タッチペンで児童それぞれの考え方を書き込ませたり、説明させたり。もちろんデジタルのツールですから、書いて、消して、保存してといったことが一瞬でできて便利です。画面を拡大すればとても見やすいうえに、授業のテンポという面でも非常によくなったと思っています。
山崎先生以前から外国語の補助教材として電子教科書の「Hi, friends!」を使ってきましたが、悩みもありました。それまでの環境は入力デバイスがマウスしかなかったので、教員は操作のたびにパソコンの画面に向かって、マウスでクリックする必要があったのです。児童から見たら、授業中に急に先生がかがみこんで、ディスプレイ下に設置されたパソコンをカチャカチャと操作し始めるということです。これでは授業のリズムが乱れてしまいますよね。しかし「てれたっち」なら、ディスプレイ上でタッチペンを使って操作できます。児童と対面したまま、同じ画面を見て授業を進めることができるようになり、テンポもまったく削がれません。同じソフトウェアなのに、「てれたっち」があるだけでこんなにも違うのかと驚きました。これまで使いあぐねていた面もある電子教科書ですが、「てれたっち」の導入でうまく活用できるようになったと感じています。
山崎先生特に私が心がけていることは、皆の集中力を切らさないように、リズム感を大事にすることです。国語では「てれたっち」の白板ソフトの「隠す」機能を使い、クイズ形式で漢字の問題を出したりしていますが、非常に盛り上がりますね。画面上に次々と問題を出していくのですが、児童の目が輝きます。「てれたっち」でポンと問題を表示した時と、同じ内容のプリントを配った時と比較しても、注目度がまるで違うのを実感しています。消極的で自信が持てないという児童も中にはいますが、そうした子どもたちが「てれたっち」だったら「やってみたい」と手を挙げるのも驚きでした。本校の教育方針は、「見たい、知りたい、やってみたい」という、積極的な学びを推進するものなのですが、「てれたっち」はまさにそれを後押しするツールだと感じています。低学年の児童には特に響くものがあるようです。
山崎先生ゲーム性、テンポのよさ、目新しさといった様々な要因が、取っつきやすさにつながっていると考えています。私も児童がいかに楽しく取り組めるかという観点で使い方を考えていますが、とにかく「てれたっち」は子どもの学びに対する敷居を下げてくれます。逆に私たち大人の世代の教員たちのほうが「ICTは敷居が高い」と思い込みがちで、苦手意識を持っている場合も多いですね。しかしこれは非常によいツールですから、私も積極的に使おうと思っていますし、折に触れてそのよさをほかの先生方に説明して、活用をお勧めしています。
山崎先生黒板はやはり授業の中心となる重要なツールだととらえています。「てれたっち」はそれと併用して、サブの教材を表示したり、注目させたいポイントを表示したり、また、児童の考えの違いを比較したりといった使い方に優れていますね。また、これは電子化全般に通じることですが、データの再利用、共有が容易にできる点もメリットだと思っています。データやノウハウを蓄積して教員どうしで共有できれば、授業の改善にもつながりますよね。まだ「てれたっち」も大型ディスプレイも台数が足りず、すべての先生が活用できている状況ではありませんが、活用2年目となる来年度は、学内のほかの先生にもぜひ広めたいと思っています。すべて子どもたちのためになることですから、今後も積極的に活用していく予定です。