取材日:2017年12月6日
施設栽培や工場内の環境観測データを管理するIoTクラウドシステム「FieldChecker」を共同開発した三井共同建設コンサルタント(株)様と(株)旭様。このたび、クラウドへデータ通信するシステムにアイ・オー・データ機器のLTEルーター「UD-LT1」を導入されました。都心企業と地方企業のコラボレーションのもと、IoTによる地域活性化を見据え、農業から工業まで幅広く採り入れやすいシステムの構築に貢献しています。その導入の経緯と使用感について、三井共同建設コンサルタント(株)の岩崎貴志様と弘中真央様、(株)旭の増澤久臣様にお話を伺いました。
岩崎様道路や橋梁、河川・港湾設備の設計を主に行う会社ですが、情報通信インフラ事業部では、河川の増水や土砂災害といった防災システムに以前から取り組んでいました。その中で水位計や雨量計だけでなく、さまざまな観測データを手軽に集める仕組みとしてIoTに着目しました。
弘中様その既存分野とは別に、私の所属するMCC研究所では、農業や工業などの新規事業分野でIoTを活用する取り組みをしています。そんな中、ある大学の集まりで長野県諏訪市の旭さんと知り合い、環境観測データをクラウド管理できる「Field Checker」というシステムを共同開発し、工場や農家の施設栽培などに展開しています。
増澤様時代とともに会社も変わろうと、植物工場をシステム一式で販売する事業を始めたのがきっかけです。植物工場は自動制御ですが、きちんと動いているかをスマホで確認できるIoTを付加価値として提供したいと考えました。もちろん弊社のような金型工場でも、経験と勘に頼ってばかりでなく、環境と生産効率の見える化をしていきたい。情報としては温度や湿度といった環境観測のセンサーデータ、そして画像です。それらを当初自前で揃えていたのですが、日々進化する技術と価格への対応が難しく、三井さんと連携することで対応が可能となりました。
弘中様植物工場では、主に葉物、ハーブ、エディブルフラワーを栽培しています。観測機を設置し、適温が維持されているか、画像や湿度から水漏れなどの異常がないかなどを確認することにIoTを利用しています。
増澤様弊社の関連会社では、信州でお蕎麦に添えるルビースプラウトという植物を作っています。暗い設備の中で育てていって、あるとき光をポンと当てることで真っ赤になる。暗室で育てなければならないので中の様子が見えなかったんですね。そこをIoTで、赤外線カメラを使ってタイミングよく光を入れる。そんなことが可能になりました。
弘中様弊社ではセキュリティの面からお客様のネットワークにはつなげない方針で、3G/LTEの別回線を用意しています。また、IoTを安価で身近に導入いただくため、最初は民生品のポケットWiFiやUSBドングルを使っていました。しかし工場内※の温度が50℃にもなってバッテリーが膨張したり、ポケットWi-Fiが熱さで停止したりしたんです。
※ダイカスト成形工場内の温度
増澤様金型を扱う工場では、アルミを溶かすと700℃にもなり、夏は工場内が高温になるのです。最初にこの事象が出たのは、諏訪から1時間ほどかかるお客様の工場でした。24時間稼働しているので、夜中でも駆けつけなければいけませんでした。
弘中様通信会社のソラコムさん主催のイベントです。自分たちが困っていることを、さまざまな業者さんに説明して回ったら、アイ・オー・データ機器さんのブースで「それならUD-LT1がピッタリですよ」とご紹介いただきました。
岩崎様展示会って重要ですよね。検索サイトでもこんな相談に答えは出ませんから(笑)。
弘中様選んだ理由としましてはバッテリーが載っていないこと、ルーター自体の死活監視ができること、マルチバンド対応であること、VPNが可能でセキュリティが確かなこと、それでいて無駄な機能がなく安価であることです。農業から工業までIoTを多くの方々に導入していただきたい、そんな「Field Checker」という我々のシステムにうってつけの商品でした。
増澤様おかげさまで導入後の現状でも問題なく動作しています。
弘中様アイ・オー・データ機器さんのネットワークカメラ「TS-WRLP」も購入しました。 カメラ機能以外にも気温、湿度センサーなども搭載されているのが魅力的で、我々のシステムに組み込めるようトライアルしています。
増澤様道路や橋梁、河川・港湾設備の設計を主に行う会社ですが、情報通信インフラ事業部では、河川の増水や土砂災害といった防災システムに以前から取り組んでいました。その中で水位計や雨量計だけでなく、さまざまな観測データを手軽に集める仕組みとしてIoTに着目しました。
岩崎様なぜ建設コンサルタントの会社が IoT をやるのか。それは地域や社会貢献のキーとなる技術だと思うからです。旭さんとの共同事業も、まずは諏訪エリアで IoT をキーワードに、地域の活性化や経済発展に結びつけたいというのが一番大きいです。
岩崎様IoTは、生活の中にあることがあたりまえの社会インフラになっていくと思います。IoTをうまく活用して、地域で抱える課題を解決していけるコンサルティングをしていきたいと考えています。
弘中様まずは諏訪で活動を進めていき、諏訪から全国のモデルになることを目指していきます。