究極の音へ──“信頼”という名のブランド

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HFAS1 Developer Interview

HFAS1 開発者インタビュー Vol.1

[fidata周辺機器へのこだわり]

インタビューアーとして、オーディオ評論家の逆木一さんをお迎えいたしました。 評論家ならではの疑問や質問に、開発者が答えます。

オーディオ評論家 逆木一氏

●インタビューアー

オーディオ評論家

逆木 一 氏

オーディオ専門誌やWEBサイトをはじめ、視聴展示会など、
さまざまなオーディオ機器のコメンテーターとして活躍。
fidataも数々の展示会で試聴プレゼンテーションをいただいており、
今回は当社fidata開発陣に対してインタビューアーとしてご協力いただきました。

企画担当 北村 泰紀

ハードウェア設計担当 宮本 明也

ソフトウェア設計担当 源川 裕二

fidata Music App設計担当 谷川 龍介

fidataブランドはサーバー(fidata HFAS1)から始まりました。そこから周辺商品を展開しようと考えた理由を
教えてください。

企画担当 北村泰紀

北村:

fidataはデジタルにこだわったオーディオブランドであり、
「Hi-Res.grade Network Audio Components」と表現しているように、
当初からサーバーに限定せず色々な製品を展開していくつもりはありました。
最初にアイ・オー・データの得意分野であるサーバーを手掛けたこともあり、
そこからネットワークプレーヤーやUSB DACと「繋がる部分」にも
fidataのこだわりを導入できると考えました。

fidata Audio LAN cable HFLC

fidataの周辺商品として、最初にLANケーブルが登場した
理由を教えてください。

北村:

サーバーの発売後、販売店様をまわるなかで「LANケーブルで音が変わる」と
いう話がたびたびあり、またサーバーを使ううえで必然的に必要になることから、
まずはLANケーブルの開発に着手しました。

fidata Audio LAN cable HFLC

企画担当 北村泰紀/fidata Audio LAN cable HFLC

企画担当 北村泰紀

既に市場には様々な「オーディオ用LANケーブル」が
存在しますが、HFLCはその中でも価格的に高いグレードに
あります。HFLCを企画するにあたって、
価格的な狙いはあったのでしょうか?

北村:

価格想定ありきではなく、自分たちが納得できる品質を追求していった結果、
部材コストの関係でこの価格に落ち着いたという事情があります。

HFLCを開発するにあたり、こだわった点を教えてください。

宮本:

個々の部品を吟味するのはもちろん、それらを製品としてまとめ上げる
部分にこだわりました。例えば、HFLCに採用したケーブル自体はCat7
のシールドケーブルですが、コネクターの片方はシールドを切ってあり、
接続機器同士のグラウンドが繋がらないようにしています。
シールドを切るか否かは音質に大きく影響するため、fidataのサーバー
との組み合わせを前提に切る向きを決定しています。
「ケーブルを伝わるノイズをいかにコントロールするか」は開発における
重大な課題であり、実際の試聴を含めて入念な検討を行いました。
線材に関して、HFLCでは銀メッキOFC導線を使っていますが、これは
「銀メッキの音がほしい」といった意図からではなく、試聴を重ねた結果
採用しました。ケーブルは音質と構造にくわえ、コネクターに余計な負
荷をかけないために、柔らかさも重視しています。

ハードウェア設計担当 宮本明也

シールドカットによるノイズ低減のしくみ

HFLCの外観上いちばん目立つ部分はテレガートナー社製の金メッキコネクターだと思われます。
これを採用した理由を教えてください。

ハードウェア設計担当 宮本明也/テレガートナー社製金メッキコネクター

宮本:

テレガートナー社製のコネクターは最初から候補ではありましたが、同社製品や他社製品、金メッキコネクターや通常仕様のコネクターを含めて
聴き比べて検討を行いました。その結果、テレガートナー社製の金メッキコネクターでの再生が聴感上、最も「fidataらしい」と判断し、
採用に到りました。また、テレガートナー社製のコネクターは構造的に信号線との安定した接触が可能であり、さらに採用したケーブルの信号線の
配置とも相性が良いという利点もありました。

「こんな場合にHFLCを使ってほしい!」というメッセージはありますか?

企画担当 北村泰紀

北村:

fidataのサーバーとネットワークプレーヤーを接続する際に、HFLCは自信をもって
おすすめできるLANケーブルです。
前述の通りサーバーと繋いだ際のノイズ制御を徹底して設計していますので、最適な
組み合わせだと言えます。
基本はサーバーとネットワークプレーヤーを繋ぐ部分に使うことを想定していますが、
サーバーとネットワーク(ハブ)との接続に使うことも可能です。

○逆木氏より

筆者のオーディオシステムでは、fidataのサーバー「HFAS1-XS20」とSFORZATOの
ネットワークプレーヤー「DSP-Dorado」との接続でHFLC-1.5Mを使用しており、
サーバーとネットワークプレーヤーを最短距離で直結する形になっている。
HFLCはfidataの組み合わせを念頭に開発されただけあって、この状態でS/Nの向上や
情報量の増大といった効果が最も大きく感じられる。
なお、サーバーによってはfidataのサーバーのように2つのLANポートを持たず、
サーバーとネットワークプレーヤーを直結できない場合もある。
その場合は、ハブとネットワークプレーヤーの接続にHFLCを使うことで、大きな効果
が期待できる。

オーディオ評論家 逆木一氏

fidata Audio USB cable HFU2

HFU2を開発するにあたり、こだわった点を教えてください。

企画担当 北村泰紀

fidata Audio USB cable HFU2

北村:

基本はLANケーブルと同様、「いかにノイズを制御するか」を大切に
しています。汎用的なUSBケーブルのコネクターは樹脂モールドの
ものが多く、理想を追求するためにアルミ削り出しのコネクターを自
作することになりました。コネクターに自重を持たせることで振動対
策とし、同時に接触の安定も図っています。また、ノイズループを防
ぐためにコネクターにスリットを入れています。

HFU2はHFLCの後にリリースされましたが、開発にあたってLANケーブルとUSBケーブルで
どのような違いがありましたか?

宮本:

まず、USBは規格上シールドを切ることができず、そのうえで様々な
工夫をしています。
コネクターのスリットもその一環で、内部の接続や、キャップとの接
着にもこだわっています。
ケーブルの構造や線材については、HFLCと同様にカット&トライの
繰り返しで開発を進めていきました。

ハードウェア設計担当 宮本明也

コネクタースリットによるノイズ低減のしくみ

fidataはまずネットワークプレーヤーと組み合わせるサーバーとして始まり、その後アップデートでUSB DACと
組み合わせることも可能になりました。そのため、fidataブランドでLANケーブルとUSBケーブルの両方を用意し、
どちらの接続でもユーザーに「fidataのエッセンスを届ける」ことを目指した、ということですね。

fidataのソフトウェア

fidataのソフトウェアで注力した部分を教えてください。

源川:

開発の際にまず気を付けたのは「起動時間」です。NASは基本的に電源を
「入れっぱなし」ですが、オーディオ機器は「音楽を聴く時に電源を入れ、
聴き終われば電源を消す」ということだったので、そうした使い方に対応
できるように心がけました。

fidata設定画面

ソフトウェア設計担当 源川裕二

当社通常NASとfidataの起動時間

fidataは基本的に「繋げばすぐ使える」ことを目指していますが、設定
画面についても説明書を見ずとも理解できるように「簡単に、わかりや
すく」を追求しました。
PC/スマホ/タブレットで同ユーザビリティが得られるようにしたほか、
アプリ(fidata Music App)にも設定ガイドを用意しています。

fidataはサーバーソフトとして独自にカスタマイズしたTwonky Serverを採用しています。
Twonky Serverを採用した理由は何でしょうか。

源川:

fidataの開発中の時点で、ネットワークオーディオに用いるサーバーソフトとしてはTwonky Serverがデファクトスタンダードとなっていました。
他のサーバーソフトを採用する選択肢もありましたが、fidataの世界展開を考えると、Twonky Serverを採用する判断となりました。
Twonky Serverのナビゲーションツリー(曲を選ぶ際の項目)の並び順については、販売店から意見を伺うとともに、企画担当と話し合ったうえで
カスタマイズしています。

Twonkey画面

ソフトウェア設計担当 源川裕二

fidataは発売後のアップデートにより、サーバーとしてだけではなくUSB DACと組み合わせるネットワーク
トランスポートとしても使用可能になりました。
fidataにこの機能を持たせるうえで、こだわった点を教えてください。

ソフトウェア設計担当 源川裕二

源川:

まずは、ギャップレス再生など、再生機器として当然求められる機能は
最重要視しました。fidataの再生機能はOpenHomeに対応しており、
これはユーザビリティの点から評価をいただいています。
ただ、OpenHomeと一言で言っても仕様には微妙な差異があり、それを
fidataで吸収できるようにするといった開発上の苦労もありました。
また、サーバーとして機能しつつ、音源の再生も行う必要があるため、
処理能力のリソース分配が大きな課題でした。この部分については最適化
を進めることで、現在では高いレートのDSD音源の再生も可能となりま
した。
このように細部までこだわってソフトウェアを作っているほか、組み合わ
せるUSB DACとの接続検証をチームで行うなど、改善・改良のために継
続した取り組みを行っています。

OpenHome対応や高いスペックの音源の再生に対応するなど、fidataはネットワークトランスポートとして見ても
優秀で、さらに先日Direttaにも対応(※fidataと同時にSoundgenicも対応)したことでさらに魅力を増しました。
Direttaを実装するうえで、苦労したことなどはありますか?

源川:

Direttaの仕組みそのものは以前から完成されていましたが、それをLinuxベースの
NASに組み込むのは業界でも初の試みであり、例えばfidataのサーバーの「LANポ
ートが2つある」ということは最初Direttaでは想定していなかった仕様でした。
Direttaの開発元と綿密なやり取りをしながら開発に取り組み、ひとつひとつ問題を
クリアしてDiretta対応を実現しました。

fidata-Diretta

ソフトウェア設計担当 源川裕二

fidata Music App

fidataは純正コントロールアプリ「fidata Music App」を
用意してあり、サーバー・プレーヤー・コントロールの
すべてを提供するブランドとなっています。
実際のユーザビリティにとって非常に重要な要素である
コントロールアプリを開発するにあたり、こだわった点を
教えてください。

fidata Music App画面

谷川:

従来のネットワークオーディオのコントロールアプリには使いづらさを
感じることも多かったので、それらの「良い点」を抽出し、インターフ
ェースやユーザー・エクスペリエンスに注力しています。
また、ユーザビリティの追求やアプリの開発体制を整えるうえで、
周辺機器メーカーとしての知見も取り入れています。

fidata Music Appはfidata/Soundgenicの純正組み合わせ
だけではなく、他社製ネットワークプレーヤーと組み合わせて
使うことも可能です。そのことも含めて、開発で苦労した点は
ありますか?

fidata Music App設計担当 谷川龍介

fidata Music App設計担当 谷川龍介

谷川:

開発で苦労した点は、ずばりDMR(DLNAにおけるプレーヤー)対応です。
DLNAは最低限の相互接続を可能とするためのガイドラインはありますが、
細かい動作には明確な仕様がなく、他メーカーのネットワークプレーヤーと
組み合わせた時にきちんと動作させるためには多くの調整作業といった労力
が必要となります。
fidata Music Appは基本的に純正アプリであり、本来であれば他社製品との
組み合わせに注力する必要はないと言えばそうなのですが、fidataのブラン
ドを通してネットワークオーディオ全体の体験のレベルを上げていきたいと
の思いから、積極的に取り組んでいます。その意味では、例えば他社製品と
組み合わせた際に具体的な情報を頂ければ、アプリの改良にもつながります。
最終的には、アプリを使ったユーザーにfidataのファンになってもらえれば
幸いです。

オーディオ評論家 逆木一氏

fidata Music Appは数あるネットワークオーディオのコントロール
アプリのなかでも出色の出来映えだと私は感じている。
それをfidata/Soundgenicだけでなく、他社製品でも使えるように
したことは、ネットワークオーディオの発展を願う者の一人として
たいへん心強く思う。

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