ディー・リンク株式会社は、デジタルハリウッド出身のUターン創業者、荒井芳仁社長が率いるマルチメディアコンテンツメーカー。CD-ROM制作やWebサイトの構築及び、CGアニメーションなどの制作が主な仕事である。さらに今年2月、地元の印刷会社と協同で日本の伝統工芸をデジタル技術で捉えた“和”の素材集「D-TRAD」を発売した。第一段は地元金沢の伝統工芸「加賀友禅」で、絵柄をデジタルデータに変え、パーツ毎に再加工しやすい形式にまとめているのが特徴だ。
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同社では荒井社長以下プログラマーやデザイナーなど10名の社員が社内LANでグループウェアを活用して、データを共有しながら作業を進めているが、協力関係にある市内のデザイン事務所との間では、扱うデータのサイズが大きいこともあり、リムーバブルメディアなどで手渡していた。 しかし、遠隔地の企業との取引が始まると、手渡しでのデータのやりとりは出来ない。当初はメーリングリストや作業用のWebページを作成することで凌いでいた。 |
それでも、遠隔地の企業との取引が増え、営業拠点となる東京事務所の開設を予定していることや、マルチメディア部門を率いる統括マネージャー村本睦子さんが出産を控えていることなどもあり、社内のグループウェアを自宅や外出先から自由にアクセスできる環境が欲しいと考えていた。
リモートアクセス環境を構築するのは難しい話ではない。LAN環境とIPルータ、リモートアクセスサーバーがあればいい。
しかし、市販されている多くのルータはISDN対応製品としてTAと一体化されているため、ISDN回線以外では使えない。
同社でも荒井社長の自宅はISDN回線だが、村本さんの自宅はアナログ回線のためISDN化する必要がある。
幸い金沢市はISDN網が整備されているのでISDN化することは簡単だが、交換局からの距離によってはISDN化できない場所もあるというから、事業規模の拡大に備え、通信手段は考える必要がある。
通信手段の選択に悩んでいたところ、アイ・オー・データ機器のマルチIPルータ「ET-MPS」なら回線の種類に縛られることなく、自由なリモートアクセス環境を構築できるという情報を得て、早速導入することになった。
「ET-MPS」を一言で表すと「ISDN用IPルータ」からTAの機能を外したもの。手持ちのTAをつなぐことで、高価なISDN用ルータを購入するコストを押さえられるというだけでなく、アナログモデムをつなぐこともできるので、無理にISDN回線にする必要がない。
全国展開が進むに連れ、出張先のホテルからのアクセスの機会も増えていることや、今までグループウェアを活用してきた同社としては、回線環境による制限を受けないIPルータは最適だ。データポートも2個装備されているので、本社側はTAとアナログモデムを併設しておけば使い分けが容易だというので、導入に踏み切ることにしたという。
会社では、設置した「ET-MPS」に接続したTAのアナログポートにもモデムを繋ぎ、アナログ回線からのアクセスに備えることにし、荒井社長も、自宅から複数の相手先にアクセスする環境として活用する。村本さんは会社へのアクセスだけなので、アナログモデムだけで対応することにしたので最小限のコストで済ませることができた。
また、近いうちに本社も2フロアにする予定があるが、「ET-MPS」に無線モデムを付けることで、壁に穴を開けずにLANを拡張することができそうだ。
将来は機動性に富んだ移動オフィスを持ちたいと考えている荒井社長は、携帯電話やPHSなどもつないでみたいと考えているという。
ディー・リンク株式会社
代表取締役
荒井芳仁 |
E-Mailだけしか使わないのならルータまでは必要ありません。しかし、グループウェアを使っていたので、サーバーにアクセスする必要あり、導入を決意したんです。出張中でも自宅でも仕事の進捗状況などを把握できるので、安心できますね。いずれ移動オフィスを作りたいと考えているので、携帯電話アクセスなども考えてみたいですね。 |
ディー・リンク株式会社
マルチメディア
統括マネージャー
村本睦子 |
従来からグループウェアまではやっていたのですが、「D-TRAD」のような地域の伝統産業を扱うようになると出張も増えてきたし、営業担当も入社することになってきたことから、外部からのアクセスしたいという声が高まってきたんです。また、私自身も出産を控え、在宅勤務の必要性が出てきたことも、IPルータ導入のきっかけになりました。価格的な面も魅力的でしたが、実際に使ってみて、アナログ回線でも使えるのは嬉しいですね。 |
導入した製品
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