信州白樺高原女神湖畔にある「アンの家 ホテル
グリーンゲーブルス」は50種類の紅茶と100種類の世界のビールが自慢のペンションだ。カントリー調の建物は、名前の由来である映画「赤毛のアン」に出てくる建物を思い起こさせる。 こんなハイテクペンションのオーナー石井尚氏は、富士通の元ソフトウェア技術者という経歴を持つ。汎用機の技術計算系ソフトウェアの開発に従事していた石井氏が、ペンション経営に転進したのは13年前。健康上の理由から東京を離れ、現在の地で中古物件を借りてスタートした。その後、90年には建物を新築し、名実共にオーナーとなったという。 一方、パソコンとの関わりはそれほど古くない。パソコンに食指を動かさなかったのは、ソフトウェア開発の仕事で身体を壊したこともあるが、それ以上にこだわったのはコストパフォーマンスだ。汎用機に親しんでいた石井氏にとって、当時のパソコンは高価な割に機能が低いと考えていた。それならワープロ専用機で十分だということで最初に選んだのは、富士通時代から馴染みのあるワープロ専用機オアシスであった。
パソコンに手を出したのは96年の秋で、まずMacintoshを購入した。DOS/Vを選ばなかったのは互換性を重視したため。観光地でのペンション経営は、地域の相互協力なしでは立ちゆかない。周辺の地域共同体では、すでにMacintoshが普及していたため、データの受け渡しを考えると、周りと機種を統一しておく方が好都合だったのだ。 しかし、データの受け渡しを行う相手は地域共同体ばかりではなかった。県内の商工会青年部で、インターネットを活用しようという話が持ち上がった時、再び互換性に悩むことになる。商工会にはWindowsパソコンの方が普及していたのだ。結果として、WindowsとMacintoshの両方を持つことになってしまった。 それから、WindowsとMacintoshのファイルの共有について考え始めることになる。ネットワークを張り、サーバーに蓄積する方法もあるが、保守も面倒だし、コストも掛かる。データ互換性だけなら両機種に共通のアプリケーションを用意してフロッピーディスクで受け渡しをするだけでも十分だということで、しばらくはこれで済ませていた。
これで、ファイルの共有や周辺機器の共有が可能になり、インターネットへのアクセスがスムーズになるなど、快適なネットワーク活用を続けている。
今後の希望としては、現在敷設している電話回線(アナログ4回線)をINS64(1回線)にまとめたいのだという。 これまで4回線引いていたのは客室からの電話発信用という意味合いが強かったが、携帯電話の普及で、外線の必要性が薄れてきたことから、今は、客室の回線はインターホン化している。 今回、「EP-MPS」で複数のPCからインターネットに接続できる環境ができたことで、1回線化が可能になり、電話代の固定費が大幅に削減できるほか、さらに発展させて、客室からインターネットを楽しめる設備にしていきたいと考えているという。
導入した製品
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