LAN接続型ハードディスク「HDL-Z2WSシリーズ」導入事例 【コタ株式会社 様】

LAN接続型ハードディスク「HDL-Z2WSシリーズ」導入事例 【コタ株式会社 様】

従来のNASでは専門業者に復旧を依頼せざるを得ないこともありましたが、今では不安がる社員に、"大丈夫です!"と自信を持って答えています

取材日:2011年04月27日

データ共有を目的に、従来からLinuxベースのシングルドライブNASを全社的に導入していたコタ株式会社。今回それらの環境から新たにWindows Storage Server 2008を搭載したNASへのリプレースを行った背景には、耐障害性の向上はもちろんのこと、WindowsベースのOSならではのメリットを享受するという明確な理由があった。

月1回の"IT委員会"で全社のIT化を促進

優待イメージ

京都府久世郡久御山町に本社を構えるコタ株式会社は、シャンプーやトリートメントなど、おもに美容室向けの頭髪化粧品および医薬部外品の製造販売を行う大証二部上場の総合美容メーカーである。製品の開発から生産、販売までを一貫して自社で行っており、プロユース向けの製品として美容室からの評価は高い。また同社独自の美容室経営分析ツール「旬報店システム」を柱とした美容室への経営コンサルティングにも注力しており、同システムを導入している全国の取引美容室である旬報店と強いパートナーシップを持つ。

研究開発から生産、そして営業に至るまでさまざまな部門を持つ同社では、社長をはじめ3名の取締役及び組織横断により各部署の代表者で構成されている"IT委員会"を月に1回のペースで開催し、各部門の意見を全社のIT系システムにスムーズに反映させる仕組みを整えている。この取り組みは、開始以来すでに十年にもわたって続けられているという。

「社内の各部署からそれぞれ代表者が出席し、月1回の定例会で社内のIT関連での問題点や、基幹システムでの改善点、また新たな意見、提案について報告しています。社長が委員長を兼任しておりますので意思決定が早く、課題解決や問題解決を急ぐケースでも決まったことはすぐ実行できる場合が多い。」と語ってくれたのは、同社IT管理室の渡邊達也室長だ。

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シングルドライブのNASを導入するものの、耐障害性の低さが顕在化

そのIT委員会に出された意見をもとに、数年前に全社的に導入されたのがNASである。これらはおもに基幹システムのデータとは別の業務データの共有を目的に、ファイルサーバとして各部門に導入された。

「8~9年ほど前からPCが急激に社内でも浸透し始め、当初はデータを各自のマイドキュメントなどに保存していたのですが、各々のデータを共有化したいという要望が増え、ネットワーク上にデータを簡単に置けるハードディスクがないかということで、NASを導入するに至りました。(渡邊氏)」

さまざまな部門を持つ同社だけに、扱う業務データの種類も多彩だ。「研究部門であれば頭髪化粧品や医薬部外品の具体的な成分データがあります。また、生産部門であれば製造工程や製造タンクの温度管理などの細かなデータやノウハウがあります。他部門には必要のない企業機密データも含まれていますので、NASは原則として各部門ごとに設置しています。部門ごと、ユーザーごとにアクセス制限を施し、アクセス権限がない者はデータにアクセスできないようにしています。また、製品デザインや社内外の販促物等のデザインを担う企画部門の場合、画像データが多くディスク容量も必要とされますので、大容量のNASを選ぶなど、柔軟に対応しています。(渡邊氏)」

このように各部門ごとの事情に即した運用方法を行っていたNASだが、導入後しばらくして、NASそのものの耐障害性の低さが明らかになってきた。当時のNASはシングルドライブでRAID構成ではなかった上、Linuxベースであるためクラッシュ時のデータ復旧が難しく、外部業者のデータ復旧サービスを利用してデータを復元せざるを得なかったこともあったという。

「導入して1~2年経った頃から度々ドライブや基板が壊れるようになり、さすがにこれは安定性に欠けると思いはじめました。その直後、実際にある部門でデータが消えてしまい、復旧サービスに数十万円を支払ってようやくデータを戻したという苦い経験もあります。月1回のIT委員会でもNASストレージの問題が度々取り上げられるようになったため、早期に高信頼性かつ高品位なNASを全社的にリプレースする必要があると感じていました。(渡邊氏)」

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WindowsベースのNASへのリプレースで、きめ細かな運用を実現

本社サーバルーム

取材中

そんな同社が今回新たに導入したのが、アイ・オーのNAS「HDL-Zシリーズ」だ。OSにWindows Storage Server 2008を搭載し、さらにCPUにはIntel Atom デュアルコアプロセッサを採用した、ハイパフォーマンスのNAS製品である。本社には各部門ごとに7台、全国の各営業拠点(仙台、東京、横浜、千葉、名古屋、金沢、京都、大阪、岡山、熊本、鹿児島)に11台と、全社で合計18台が導入された。

HDL-Zシリーズをチョイスした理由について渡邊氏は「従来の製品がトラブル続きだったので、別メーカーの製品にしたかったという理由もあります。」との本音も笑って話してくれたが、現場での設置にあたったIT管理室の細谷充秀氏は「OSがWindowsベースであることも大きな要因の一つです。」と、機種選定のプロセスを振り返る。

「従来使用していたNASはLinuxベースということで、障害からの復旧に手間取ることが頻繁にありました。そもそも基盤が壊れて起動しなくなることもあり、その場合は取り出したドライブをLinuxにマウントして読み出していたのですが、やはりどうしてもうまくいかないこともあり、専門業者に依頼せざるを得ないことも度々ありました。(細谷氏)」

Linuxにドライブをマウントしてデータを取り出す作業は、システム管理者にとっては容易であっても、知識のない各拠点の担当者にとっては荷が重い。Windowsから読み出せるソフトウェアを使ったとしても、標準のエクスプローラとは操作性の面で異なることから、煩雑に感じることもしばしばだ。その点、WindowsベースのNASであれば、基盤がクラッシュした場合もドライブを取り出してUSBでつなげば、USBハードディスクとなんら変わらぬ使い勝手で、ドライブ中のデータを取り出すことができる。

もうひとつ、機器のセットアップをすべて自前で行う必要があったことも、WindowsベースのNASの選択を後押しした。「当初はドライブを自分で組み込むタイプの海外製品も視野に入れていたのですが、RAID構築から行うと手間もかかります。今回のように、本社が7台、各拠点11拠点という台数を一気に設定しようとするとかなりの時間がかかりますので、電源を入れるだけですぐ使い始められる本製品を選んだのは正解だったと思っています。(細谷氏)」

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敢えて2ドライブモデルを選択してパフォーマンスを強化

営業所例1

渡辺氏

アイ・オーのハイパフォーマンスNAS「HDL-Zシリーズ」には2ドライブと4ドライブのモデルがあるが、今回同社に導入されたのは2ドライブ版の「HDL-Z2WSシリーズ」だ。運用はRAID1で行う形になる。

合計で18台もの数が導入されているだけに、容量の大きい4ドライブにまとめたほうが効率的に思えるが、2ドライブにして台数を多く取っておけば、1台あたりの利用ユーザ数が少なくて済み、同時読み書き時のパフォーマンスも向上する。各部署および各営業拠点の人数は「少ないところでは8名」とのことだが、今後想定される人員の拡充も視野に入れつつ、パフォーマンス優先の導入を行なっている。本製品は推奨最大同時接続台数が30台までとされており、キャパシティ的には十分ではあるが、同時読み書きを想定してハードウェアを分けるというのは合理的な考え方だ。

また、NASそのものの省スペース性も考慮したという。「本社であればある程度の設置スペースを確保できるのですが、各営業拠点はルーター等のネットワーク機器や電話交換機が入っている小型の19インチラックの中に入れたいという狙いがあったため、コンパクトに置けることも選定条件の一つでした。(渡邊氏)」

このような経緯を経て、全社的に導入されたHDL-Zシリーズ。「これまでディスクの障害で痛い目にあった営業拠点からは、今度は大丈夫なの?といった問い合わせもありますが、今では"大丈夫です"と自信を持って答えています。」と渡邊氏は語る。パフォーマンスを優先した構成も功を奏し、速度についても「現在はストレスを全く感じていない。(渡邊氏)」とのことだ。

ちなみに同社では近々Active Directory環境への移行を目前に控えており、その際の相性についても視野に入れていたという。「Active Directoryが目前に見えていましたので、親和性の高さも判断材料でした。(IT管理室 中野智憲氏)」。また、社内で利用しているOSについては、「現在は約90%がWindows XPで、Windows Vista、一部でWindows 7も試しつつある段階。(渡邊氏)」とのことだが、Windows 7であればファイル共有プロトコルである「SMB2.0」を利用できることから、NASとの間でさらに高速なデータ転送が行えることが見込めるなど、メリットは数多い。

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今後はiPadを用いた美容室支援システムの構築構想も視野に

取材中


従来のLinuxベースのNASからWindowsベースのNASへと、無事リプレースに成功した同社。細谷氏は「まだすべての機能を使いこなせているわけではありませんが、現在の運用方法で問題はないので、それ以上使う必要がないというのが正直なところです」と語るが、この先の具体的な取り組みとして、バックアップ体制の構築があるという。

同社の現在のバックアップは、従来使用していたLinuxベースのNASをバックアップ先として設定し、日に1回コピーを取ることで、一日前の状態にまで戻れる仕組みを整えている。「バックアップ先のNAS内に7つのフォルダを作り、本社にある7つのNASのデータをバックアップしています。なるべくコストをかけたくないため、Windowsのタスクでコピーツールを動かしている状態ですが、Active Directoryの導入後は明確な運用ポリシーを定め、本社で検証したのち、各拠点にも導入していきたいと思っています。」と細谷氏は構想を語る。

さらにIT管理室ではActive Directory環境の導入後に、iPadを用いた売上データの分析・閲覧システム、販売促進システム、旬報店システムと連携した美容室の営業支援システムの導入も視野に入れている。

「弊社では、美容室ごとに売上高、来店客数、パーマ客数、来店者の年齢層、などといった詳細な営業データをウェブ上で入力してもらい、それらの分析データをもとに営業マンがコンサルティングを行う独自の『旬報店システム』を展開しております。現在はノートPCを用いて分析に基づいた提案を行っていますが、iPadであれば電源を入れてすぐに立ち上がるなど機動力の点で利点があります。この利点やiPadならではの機能を活かしながら、当社らしい新しい仕組みを具現化したいと思っております。(渡邊氏)」

さらにその先には、同社の顧客にあたる美容室自身でデータを閲覧できる仕組みや、美容室の様々な場面で活用できるツールの構築構想もあるという。まさに急ピッチで前に進み始めた同社のIT改革。「HDL-Zシリーズ」は、これからも同社のIT系システムを支え続ける柱となっていくことだろう。

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導入企業概要

コタ株式会社 製品イメージ

京都府久世郡久御山町に本社を構えるコタ株式会社は、美容室向けの頭髪化粧品および医薬部外品の開発から生産、販売までを行う大証二部上場の総合美容メーカーである。同社独自の美容室経営分析ツール「旬報店(じゅんぽうてん)システム」を柱とした美容室へのコンサルティング・セールスをビジネスの特徴としているほか、美容室におけるシャンプー、トリートメントなどのヘアケア剤、スタイリング剤の販売にも強みを持つ。
[企業名] コタ株式会社
[設立] 昭和54年9月27日
[代表
取締役社長]
小田博英
[従業員] 239名
[事業内容] 美容室向け頭髪用化粧品、医薬部外品の製造・販売
http://www.cota.co.jp/

IT管理室室長 渡邊 達也 様
IT管理室 室長
渡邊達也 様

IT管理室 細谷 充秀 様
IT管理室
細谷充秀 様

IT管理室 中野 智憲 様
IT管理室
中野智憲 様

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