取材日:2018年1月12日
諏訪市立中洲小学校は、理科振興やものづくり教育の実践を掲げる長野県諏訪市における最大規模の小学校です。理科教育に注力する同校では、「てれたっち」を効果的に活用して授業を行っています。率先してICT活用に取り組まれている海沼峰華先生(6年生担任)、山本一樹先生(理科)と小松幹教頭先生にお話を伺いました。
山本先生それまではプロジェクター一体型の電子黒板が1台導入されていましたが、ほぼ活用されていない状況でした。これは利用する前に黒板にスクリーンを貼るタイプの電子黒板で、手間がかかるため使うのを躊躇していました。また、窓の向きによっては午後になるとスクリーンに西日が反射してしまい、まったく利用できない教室もありました。
海沼先生既存の電子黒板は実物投影機と連携させて画像を写すという用途で使っていましたが、1度に1つの画像しか表示できないのが不満でした。また、キャリブレーションに時間がかかり、いったんセットしてもずれてしまうという問題もありました。そんな時に「てれたっち」の導入計画を知り、ぜひ中心になって活用したいと自分から手をあげました。
海沼先生授業ではよくグループワークを行いますが、たとえば算数ならば、まずは冒頭で私が「てれたっち」を使い、その日の学習課題や問題をまとめて児童に説明します。その後はグループごとに考えを練ります。最後のまとめの段階では、児童が「てれたっち」を使って、「どう考えたか」を発表しあって共有します。発表では、実物投影機を使って児童のノートをディスプレイに写しだします。もちろん児童にタッチペンを渡して、どんどん画面に書き込みをさせています。次回の授業で振り返りとして使うために、書き込んだ画面を保存するということもしています。
海沼先生そこが大事なポイントです。以前は小型のホワイトボードを各グループに配布してグループワークの結果を共有していましたが、盤面が小さいので非常に見にくかったですね。しかもホワイトボードや黒板に書いたものはすぐに消えてなくなってしまいます。できることなら限られた授業時間は、自分のノートをしっかり書くために使わせたいと思っていましたが、細部まで鮮明に拡大できる「てれたっち」がその課題に応えてくれました。「てれたっち」なら、児童のノートを写してそのまま発表・共有できます。柔軟に画像を取り込めるので、複数の画像を並べて比較することも可能です。
海沼先生ほかの児童のノートを見ることにより、友達の考え方を受け入れ、自分との違いに気付けるようになりましたね。また、「てれたっち」を使い始めてから、友達にわかりやすく説明することを目的に、考えを整理しながらノートをまとめるようになりました。自分のノートをほかの児童に隅々まで見てもらえることが意欲につながっています。また、特に「タッチペンを使ってマークすること」に意義があることがわかりました。自分が大切だと思うポイントを皆にはっきりと伝えることができるので、積極的に発表したくなるようです。タッチペンの表現にも多彩なバリエーションがあり、様々な色、線の太さ、またマーカーなどが選べます。すると、どの児童もこだわって選び、自分たちで工夫して使い始めます。普段は自分の言葉で説明するのが苦手な児童も、「てれたっち」があると積極的に発表するようになります。
海沼先生「理解する」という観点でも、「てれたっち」は従来とは格段に違います。ディスプレイ上に必要なことをはっきりと提示することで、「自分は何を学んでいるのか」「何をするべきなのか」といったことが明確になります。つまり、その授業内での活動の見通しが立つということです。口頭で説明されるだけでは頭に入っていかないという児童でも、「てれたっち」を使ってあげることで、「言葉で説明して、視覚で確認して、記憶にとどめる」という流れにスムーズに乗ることができ、学習効果につながります。