取材日:2018年4月13日
北海道旭川市で、0歳児〜5歳児まで130名以上の子どもたちの保育に携わる認定こども園 慈光園保育所様。このたび、ITを活用した業務の効率化を目指して「てれたっち」と「デジタルサイネージ向け小型パソコンCLIP PC」を導入されました。保育士の方々の作業負担を軽減することで、子どもたちとの時間の充実や、保護者の方々とのコミュニケーションの拡充についてどのような効果があるかなど、認定こども園 慈光園保育所の園長・三谷満様と保育士の吉川公明様にお話を伺いました。
三谷様ある展示会に伺った際、アイ・オー・データ機器さんのブースで紹介されたのがきっかけです。「課外活動してきた写真を画面に貼りつけて、手書きで文字を加えたり、飾りつけしたり。デジタルとアナログを融合したような表現ができますよ」とデモで説明があり、その場で購入を決めました。
三谷様ずっとITを使った改革を考えていたんです。デジタル的なものを採り入れることで園の運営を円滑にしていきたいという思いがありました。ちょうど、当園が保育園からこども園になって、ICT化の助成金が国から出たこともあります。
吉川様園のデータ管理をしっかり行う一環で、今まで紙媒体だったものもデジタルでリンクできれば、保育現場の仕事の効率も良くなるのにという園長の考えはよく聞かされていました。
三谷様私たちの仕事は、子どもたちにのびのび遊ばせてあげるのが大前提だと思うのです。そのためには、働いている保育士にも楽しくにこやかに過ごしてもらうことが大切です。当園はそうでもないですが、この業界はサービス残業的なケースも増えていて、夜に残っている時間を削減したい。保育士の仕事量が減れば子どもたちに携わる時間が増えます。
三谷様はい。いいデジタル機器があれば採り入れて、仕事の効率化を図りたい。アナログのいいところ、デジタルのいいところをうまく織り交ぜて、子どもも保護者も職員も喜ぶような園になれば理想かなと思います。そういうわけで2017年の11月に「てれたっち」を購入し、新しい園舎の完成した3月から本格運用しています。
三谷様園のエントランスに大画面ディスプレイと「てれたっち」を設置しています。いわゆるサイネージのかたちですね。その日に撮った写真を、3時半からお迎えに来る保護者の方々にご覧いただいています。
三谷様ええ。話すだけでは伝わらないじゃないですか。例えば、吉川が運動保育士として、さまざまな運動遊びを担当していますが、運動って言葉ではイメージしづらい。実際にやっている姿を写真でお見せするのが一番です。保護者の方も、わが子が毎日遊んでいる姿を写真で見ることができると喜ばれます。まだ小さいお子さんなので、園であったことを上手く話せないですし。
吉川様子どもたちがお昼寝している間、保育士で手分けしてボードに貼っていました。当園は年齢別に6クラスあり、同じ行事で一括して撮影できればいいのですが、各クラスの部屋をまわって撮るような日は大変です。各クラス分の写真を選んで、印刷して大きな模造紙に貼ってタイトルをつけて…となるので、保育士2〜3人が集まって製作していても、休憩時間に差しかかる時もありました。
三谷様もともと園の活動を記録した写真って、何年分もハードディスクに保存しています。せっかくデータで保存しているのに、アナログな作業をしていたわけです。
吉川様写真を取り込んで、画面上で「てれたっち」を使ってトリミングして、レイアウトするだけでいい。何より写真を印刷する手間を大幅に削減でき、雑務に時間を取られることが減りました。
三谷様サイネージになったことで、保護者の方も立ち止まってご覧になるシーンがすごく増えました。デジタルなので写真もきれいですし。
吉川様現場としては、当番などで保育士の入れ替わりもある中で、保護者との距離を近づけるのに写真1枚あるだけで全然違うんです。話すきっかけにもなるんですね。会話の技量は保育士それぞれありますが、写真があると誰でも伝わります。
三谷様あと、園の受付に置いているクラス毎の保育士からのその日のお便りを記載しているホワイトボード。行事のスケジュールを掲示していますが、それも画面に表示したいと考えています。
吉川様次のステップでは、それがしたかったんです。白板ソフトのペンツールで文字の色も太さも変えられますし、パソコンが苦手な保育士でも手書きなら使いこなせますしね。デジタルツールなんだけど、手書きのよさも活かせるのはいいですよね。
三谷様通常のホワイトボードだと、書いても次の日には消しておしまいでした。「てれたっち」で書いてJPEGで保存していけるので、後で振り返ることもできるし、想い出として残すこともできますよね。
吉川様お別れ会などで、動画のように振り返るのもいいですね。
三谷様普通にお絵かきもできるので、一度描いたイラストの使い回しもできそうです。
吉川様サイネージで、園から駐車場までの経路を地図表示しているのですが、白板ソフトの録画機能を使って、経路を線でなぞれば、簡単に道順を案内することもできます。書いた順に動くので、わかりやすくなります。
吉川様折り紙の手順を映し出して見せたり、大きい紙芝居もつくれそうです。パワーポイントでコンテンツをつくって、紙芝居風にめくっていけるような。
三谷様リンゴの絵やバナナの絵を描いて、いくつあるかな?といった数字遊びとか、問いかけをするのにもいいんじゃないかと思います。
吉川様例えば、今日のおやつはリンゴが9つあります。テーブルに3人います。どうやって分ける?といった数字遊びなら、5歳くらいから経験として、遊びに導入してもよいと思います。
吉川様園として、そこまで決まったものはないのですが、個々の保育士が手作りで教材をつくってやることはありました。保育士自身の時間がない中で、描く、切る、貼る等は準備時間と労力が必要です。
三谷様「てれたっち」なら、一度つくれば共有できるメリットがあります。
吉川様そうですね。園にNASがあるので、保存しておけます。1年間使ったものを次年度も、同じ年齢のクラスでベースとして使えますね。
三谷様園の入り口の壁に埋め込むかたちで、もう1台、もっと大画面のディスプレイと「てれたっち」を置きたい。保護者の方や来園された方への掲示板として、広い役割で活用できそうです。
吉川様同時に、小さいモニターで同じように使えるものがあればいい。各部屋の前に置いて、手書きで「今日はこんなことをしました」と保護者に紹介できるのかなと思います。
三谷様近いうちに、プライベートでも親しくしていただいている園長の方々に、当園の「てれたっち」をお見せしようと思っています。この業界は、他の園の先生方と勉強会を開いたり、横のつながりがあります。今後もITの活用について情報交換していきたいと思っています。
三谷様そうですね。当園は児童に対して保育士の人数が多いほうなのですが、たまたま採用できているだけで。どの園でも保育士不足で、入れたいけど入れられないのが現状です。特に認定こども園は保育士を多くしなくてはいけない基準があります。今後もITを活用して作業効率をアップし、子どもたちに細やかに目を配り、保護者の方々とのコミュニケーションも増やしていきたいと考えています。