ハイエンドオーディオサーバー「fidata(フィダータ)」。上位モデルHFAS1-Xシリーズ誕生。

fidata上位モデル「HFAS1-X」

(写真)上段:fidata上位モデル「HFAS1-X」 ※下段はHFAS1-S10

アンプやスピーカーに何百万、時には何千万円もの費用が必要なハイエンドオーディオの世界は縁遠く感じます。ただ、その音を一度聴けば、こんな音の世界があったのかと感動するのも事実です。

そのハイエンドオーディオの世界で発売以来、瞬く間に話題になり大きな注目を集めたのがI-O DATAのハイエンドシステムオーディオサーバー「fidata(フィダータ)」です。

2015年10月の誕生以来、2016年3月には待望のUSB-DAC対応、DSD11.2MHz再生も可能にするなどバージョンアップをし、5月には、ドイツで行われた「HIGH END 2016」にも出展。8月には香港・シンガポールで販売が開始されるなど日本のみならず海外でも注目が高まっています。

そのfidataが誕生1年の2016年10月、上位モデル「HFAS1-X」シリーズ(2.0TB SSD)を発表。HFAS1-Xは、スタンダードモデルのHFAS1の基本設計をベースに、2TBの大容量化とオーディオ機器に求められる品質を両立するオーディオ専用設計のSSDユニット「X-Cluster SSD」を搭載し、シャーシ剛性を大幅に向上することでさらなる飛躍を遂げました。

実は、私もこのfidataの音に惚れ込み、昨年、スタンダードモデルのHFAS1-S10(SSDモデル1TB)を発表とともに購入した一人です。購入後も、その奏でる音に感動し、自宅に多くの知人を呼び、鑑賞会を開くほど満足しています。

今回の上位モデル「HFAS1-X」の発表を耳にしたとき、「これ以上(昨年発売されたHFAS1-S10)の音があるのか」と正直、驚きました。同時にいても立ってもいられず、「音のサロン&カンファレンス」で試聴の機会を得たので足を運んできました。

音のサロン&カンファレンス

(写真)2016年10月29日・30日に開催された「音のサロン&カンファレンス」

I-O DATA 「fidata」のブース

(写真)I-O DATA 「fidata」のブース

今回、準備されたのは、1972年の創業、ハイエンド・オーディオの先駆者でもあるMark Levinson社のインテグレートアンプ「No585」(標準価格130万円!)と1966年創業、隅々までディティールが再現されるパフォーマンスに定評があるB&W社のスピーカー「804D3」(希望小売価格152万円!)。fidata上位モデルの魅力を引きだす期待が高まる試聴環境です。

Mark Levinson社のアンプ「 No.585」とB&W社のスピーカー「804D3」

(写真)中央:Mark Levinson社のアンプ「No585」  左右:B&W社のスピーカー「804D3」

fidata上位モデル「HFAS1-X」とHFAS1-S10

(写真)上段:fidata上位モデル「HFAS1-X」 ※下段はHFAS1-S10

fidataのロゴ

(写真)fidataのロゴ

今回は、ネットオーディオ誌などで活躍するオーディオ評論家 土方久明氏がゲスト。簡単な説明の後、試聴が始まりました。

1曲目は、中島美嘉さんの「雪の華」(ハイレゾFlac 96kHz/24bit)。雪の華は、昨年のスタンダードモデル発表時にも試聴した曲です。私も自宅で現モデルのfidataを通して、何度も聴いていますし、特に音の違いがわかりやすい楽曲です。

早速、今回の上位モデルfidata(HFAS1-XS20/K)で試聴。雪の華は、冒頭のオルゴール音から、弦奏楽とピアノが流れ、歌が始まります。ピアノの打鍵音の印象が良く、輪郭がはっきりしていて、音の強弱、演奏者の表現が伝わってくるようです。

歌が入ってからも、弦奏楽など和音の強弱のコントラストも明瞭で、一つひとつの音の精度も高い。中低音域もにじまず、綺麗に重なり、それが響きの良さとなって、耳にまっすぐ跳んでくる印象を持ちました。

次にスタンダードモデルで同曲を試聴。S/N比の良さ、低ノイズ設計による透明感、全音域を余分なくせがなく表現できる音の良さは流石です。ただパンチ力は明らかに上位モデルの方があります。

比較の感想をまとめると、上位モデルHFAS1-Xシリーズでは、現モデルの良さを引き継ぎながら、低音域のパンチ、倍音の深みと弱音の再現性が増したことで、音質向上を果たし、その結果、さらに空間表現が豊かになっているように感じました。

ロッシーニの「泥棒かささぎ」(ハイレゾFlac 96kHz/24bit)の試聴比較でも低音域のパワーが大きく向上したことを感じました。ティンパニーの響きやバスドラムの迫力も増し、広がりが感じられます。そして低音域のみならず、高音域もより明瞭に。ピッコロの指使い、表現が豊かに聴こえ、シンバルの音の響きが明らかに違います。

オリジナルラブ「こどものなみだ」(ハイレゾFlac 96kHz/24bit)の試聴でも、その違いは、はっきりわかりました。シンバルの「シャーン」という高音域の響きと余韻が心地良く、また、バスドラムも胴全体から鳴っていることが良く分かります。ベースの音の輪郭と響きの広がりも素晴らしく、曲全体のうねりが感じられます。

上位モデルとRock系・バンド系の音は相性が良いと思いました。当日は試聴できなかったのですが、個人的にはQueenを聴いてみたい。ベースのジョン・ディーコンとドラムのロジャー・テーラーが重なるリズムと音の重厚感、ブライアン・メイのあの独特なギター音、フレディの力強くかつ繊細なピアノ、パワフルで柔らかい唄声をこのfidata上位モデルで聴いたらどうなるのか。考えるだけでも、心が踊ります。

試聴会場は、希望者の後が立たず、大変、盛況でした。その中にJazzを試聴している方がいらっしゃいました。私は、試聴後も少し離れたところで話をしていたのですが、ウッドベースの動き、疾走感が素晴らしい曲が流れていました。切れ味が抜群で、演奏者の細かい指づかいがわかる。一方、ドラムのブラシ奏法など細かで柔らかな音も再現できています。強弱、高低のバランスが絶妙だと感じました。

低音部の疾走感と力強さという意味では、アンドリス・ネルソンス指揮、ボストン交響楽団ショスタコーヴィッチのUnder Stalin's Shadow-Symphony No.10のLive(flack 96kHz/24bit)第2章Allegroは圧巻。弦楽、木管、金管、打楽器の疾走感と重厚感が共に感じられるのは、位相が揃い、一つひとつの音がうまく収束しているからこそであり、まさにfidata上位モデルの良さを象徴していると感じました。

総じて、fidata上位モデルは、現モデルの良さを引き継ぎながら、S/N比と上下(高低音)のダイナミックレンジの向上、豊富な情報量、特に低音域の疾走感とパンチ(力強さ)の向上を実感することができました。

なぜ、上位モデルとスタンダードモデルで違いを感じることができたのか。ここで全てを語り尽くすことはできませんが、まとめていきたいと思います。

大容量化とオーディオ専用設計のSSDユニット

リニア電源回路を搭載した<X-Cluster SSD>
現モデルは1.0TBで、上位モデルは2.0TB。天板を開けると、SSD周りの違いが明らかです。

fidata上位モデル「HFAS1-X」

(写真)fidata上位モデル「HFAS1-X」

fidata現モデル「HFAS1」

(写真)fidata現モデル「HFAS1」

大容量化は単にSSDを積み替えただけではなく、多くの試行錯誤を経て、実現しています。どのブランド(メーカー)のSSDを採用するのか。同じブランドでも、型番や容量でも全て音が違う。単なる大容量化では、現モデルを超える音は実現できないことを理解。そこで、一から新たに専用SSDユニットを開発することを決意します。そして、誕生したのがオーディオ専用設計のSSDユニット<X-Cluster SSD>です。

<X-Cluster SSD>は、SSD(500GB×2台)を2ユニット搭載。4台のSSDをクラスタリングし、データを均等に分散。全てのSSDに均等にデータアクセスするため、電源変動、負荷の偏りを抑え平準化しています。

X-Cluster SSD

(写真)X-Cluster SSD

スイッチング電源由来のノイズを抑制

さらには、クリーンな電力供給を実現する専用リニア電源回路「リニアパワーコンディショナー」を搭載。現モデルHFAS1に搭載されたオーディオ特化の電源回路に加え、リニア電源回路を追加。スイッチングノイズを極限まで抑えた電力をSSDに供給し、駆動させています。

リニアパワーコンディショナーを搭載

(写真)リニアパワーコンディショナーを搭載

ノイズ抑制は基板内だけではなく、電源プラグにも施されるなど、細かな配慮もなされています。

電源プラグにもノイズ抑制

(写真)電源プラグにもノイズ抑制

3.2mm鋼板採用により剛性を大幅に向上

また、シャーシも大きく変更されています。ベース鋼板の筐体剛性を高めるために、現モデルより1.4倍の厚さである3.2mmとし、素材・表面処理も見直され、熱間圧延鋼板に黒メート処理が施されています。重量は現モデル約6kgに対し、上位モデルは約7.3kgと、1.3kg増えています。

3.2mmのベース鋼板

(写真)3.2mmのベース鋼板

試聴の際に、S/N比と上下(高低音)のダイナミックレンジの向上、豊富な情報量、特に低音域の疾走感とパンチ(力強さ)の向上を実感することができたのは、電源の安定化、ノイズの低減を両立するオーディオストレージの技術(X-Cluster Storage Technology fidata独自技術)を1年かけてさらに極めた結果だと感じました。もちろん、音楽そのものの躍動感を高めているのは、それらの技術だけではなく、fidataに関わる全ての英知の結集であると言えます。

今回の試聴で、HFAS-Xシリーズはfidataの上位モデルの名に相応しい、違う次元の音を楽しむことができるオーディオサーバーなのだと理解できましたし、その一方で、現モデルのHFAS-1シリーズのコストパフォーマンスの良さも実感できました。

加えて朗報です。12月には、fidataスタンダードモデル、上位モデル共通対応のソフトウェアアップデート(予定)でCDリッピングとCDトランスポートが可能となります。アップデートでfidataを通じたデジタル音楽体験がますます魅力的なものになります。今後の進化にますます目が離せませんね。楽しみです。

12月予定のアップデート

(写真)12月予定のアップデート

◎関連リンク
fidata特設サイト

追記

fidata上位モデルを使って、ハイエンドオーディオファンからも人気を集めているCHORD 社のUSB-DAC「DAVE」(150万円)とつなぎ試聴しました。もともと、fidataとDAVEとの相性が良いことは聞いていましたが、実際、耳にして素晴らしいと思いました。S/Nの良さ、太い音、音の広がりなどDAVEの良さが際立つ感じでした。DAVEに限らず、好みのUSB-DACにfidata上位モデルをネットワークトランスポート機能として使うのも、また違った次元の音が楽しめると思います。

CHORD社のUSB-DAC「DAVE」

(写真)CHORD社のUSB-DAC「DAVE」

fidata上位モデルHFAS1-20X、fidataスタンダードモデルHFAS1-S10、CHORD社のUSB-DAC「DAVE」

(写真上から)fidata上位モデルHFAS1-20X、fidataスタンダードモデルHFAS1-S10、CHORD社のUSB-DAC「DAVE」

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