取材日:2016年7月7日
長年にわたりソフトウェア開発などを請け負ってきたジェイエスピー様。2012年に自社製品開発チームを発足し、自社製品の開発にも取り組んできました。その中で現在最も販売に力を入れているのが、動物病院向け見守りシステム「monipet(モニペット)※」です。夜間や休日など、獣医師様が不在となる時間に、映像とレーダーを用いて動物の状態を監視するシステムです。同システムの開発において重要な役割を担ったのが、アイ・オー・データ機器のネットワークカメラ「Qwatch(クウォッチ)シリーズ」でした。Qwatchシリーズ導入に至った背景と理由、メリットについて、ご担当者にお話を伺いました。また、実際にmonipetを利用している動物病院の獣医師様にもお話を伺うことができました。
山本氏当社はこれまで、ソフトウェア開発などを請け負う仕事を中心にビジネスを展開してきましたが、他社と共同で製品を開発することも行っていました。その一つが、介護施設向けの見守りシステムです。このシステムを応用し、動物病院向けにmonipetの開発が始まりました。
山本氏動物用のセンサーを検討する中でいくつか条件がありました。1つは、動物に負担がかからないこと。もう一つは、様々なサイズのICUやケージに設置しやすいことです。採用したマイクロ波レーダーは、この2つの条件を満たしていました。完全に非接触で動物の体動を感知できるため、動物への負担が全くありません。また、動物用のICUやケージは金属でできているため、レーダーを天井に設置するだけで電波が壁や床、天井で反射して、動物がICUやケージ内のどこにいても感知できます。
山本氏そうでもないのです。monipetを利用する動物病院の獣医師様から「動物の映像も監視できるようにしてほしい」という要望が多くあったのです。レーダーによる体動の波形だけではわかりにくい、動物の状態の変化を知るためです。そこで、monipetにネットワークカメラを追加するカメラオプションを用意することにしました。現状では、monipetを導入いただく場合のほとんどにおいて、カメラオプションが選択されています。
山本氏ネットワークカメラを採用するに当たり、4社の製品を比較検討しました。その結果、われわれのニーズに最も適した製品が、Qwatchシリーズだったのです。具体的には、画質が良いこと。Qwatchシリーズは、100万画素の高画質で、しかも広角撮影も可能なため、獣医師様からは「映像がキレイに見える」「広い範囲の映像が見られる」と非常に高い評価をいただいています。また、赤外線撮影機能を備え、暗所でもペットの様子を確認できる点も採用ポイントの一つでした。monipetが利用されるシーンは、基本的に獣医師様が不在となる夜間が多く、暗所で撮影できないカメラでは役に立たないのです。
八幡氏それだけではありません。無線LANに対応しているため、設置が簡単という利点もあります。院内にLANケーブルを引き回す必要がなく、電波が届く範囲であればどこにでも設置できるため、利便性が高いと言えます。また、単体で通信が可能な「moniサーバ」を同梱しているので、Qwatchの通信が既存の院内ネットワークに影響が出ない点も、獣医師様から喜ばれています。
山本氏monipetのカメラとして、Qwatchシリーズの「TS-WLC2」と「TS-WPTCAM」を採用しています。TS-WLC2は遠隔地からスマートフォンを使って、動物に声を掛けられる機能を備えており、TS-WPTCAMはカメラを上下左右に動かせる首振り機能を備えています。どちらも、獣医師様から「とても便利な機能だ」と好評を得ています。こうした機能を備えながら、手ごろな価格でコストパフォーマンスが高いことも導入の決め手になりました。
岩橋氏monipetでは、パソコンはもちろん、タブレットやスマートフォンでも映像とレーダー波形を確認することができます。Qwatchシリーズは多くの利用者がいるため、Web上に様々な利用事例が紹介されており、映像とレーダー波形を一つのユーザーインターフェースで確認できる方法を研究できたことも大きなメリットの一つですね。
八幡氏2年ほど前に、アイ・オー・データ機器のルーターに搭載するソフトウェア開発を当社が支援させていただいたのが、そもそものお付き合いのスタートです。当時から、新しい技術を積極的に採用する会社だという印象を受けていました。これからも良いパートナーとしてともに成長していきたいですね。
櫻井氏開業する以前、大きな動物病院で勤務医として働いていました。その当時からmonipetの試作機を利用しており、これは便利だと感じていました。そして、2015年1月の開業とともに、当院でもmonipetを採用することにしました。私が寝ている間や外出時にお預かりしているペットに何かトラブルが生じたら、スマートフォンへ通知されるため、いち早く駆けつけられるようになるからです。現在はモニター2台とカメラを4台設置しています。
櫻井氏以前、ジェイエスピー以外の企業から同様のシステムを提案されたことがありましたが、性能に問題があり、採用するには至りませんでした。monipetはレーダーによる体動の波形だけでなく、カメラによる映像でもペットの様子を確認できるため、より精度の高い判断ができます。カメラに関しては、画質が悪いとペットが動いているのかいないのかがよくわからないのですが、monipetのカメラは画質が良く、その点はまったく問題ありません。しかも暗所の撮影もできるため、夜間でも様子を見られます。
櫻井氏飼い主様の安心感につながっていることです。私が病院にいないときに、誰もペットを見ていないというのは、飼い主様にとって非常に不安なことだと思います。例えば、朝、病院に来てみるとペットが亡くなっていたということもあります。これは飼い主様にとってとても悲しいことです。monipetがあれば、ペットの状態が悪くなったときに飼い主様に連絡することができますし、私も治療ができますので、臨機応変な対応が取れるのです。
櫻井氏高度医療が行える病院にしていきたいですね。大学病院レベルの医療を提供できればと考えています。それにあわせて機器をそろえなければなりませんが、評判の良いmonipetは進化のスピードも早いと思いますので、大いに期待しています。