取材日:2017年3月24日
新明和工業様では、ボーイング社の大型旅客機777向け翼胴フェアリング(翼と胴の接合部の覆い)や、新鋭機ボーイング787の主翼スパー(翼内部の支えとなる桁)の開発製造を担っています。これら製品の設計図面などを大型モニターで閲覧するため、当社の「てれたっち」を導入されました。“巨大な精密機器”とも称される航空機の機体、その主要部品の製造にどのような成果を上げているのか。ご担当者様からお話を伺いました。
高田様主な目的は設計図面の閲覧です。実は、ボーイング777と787では設計図面の形態がまったく異なっています。777はロングセラーの旅客機で、設計年次が古いため、大きな紙に2次元の図面が描かれています。それをデータ化してタブレットで見ているのですが、モニターが小さくて見づらいんですね。そこで、大画面モニターで閲覧するシステムを構築し、それを動かすのに「てれたっち」を導入しました。
鴫畑様新鋭機の787の方は、もともとが3Dデータの図面。これも大画面モニターで、3Dのグラフィックを回転させてさまざまな角度から閲覧しているのですが、大画面モニターをマウスで操作しづらいんです。タッチ操作ができないのか、と検討していたところ、「てれたっち」をweb上で見つけたわけです。
高田様決め手はやはりコストパフォーマンスですね。従来からある液晶テレビを活かして、タッチパネル化が実現できるのが素晴らしいですね。当初は80インチくらいの大画面タッチパネルの導入も考えました。しかしやはり価格が高い。大画面モニターがすでにいくつか工場にあったので、後付けできる「てれたっち」なら理想的ではないかと考え、すぐに取り寄せた次第です。
鴫畑様こんな商品に出会えて感激。というより、初めて見た時は驚きでした。ただのモニターだったはずなのに、なぜこれがタッチパネルになるんだろう?と。導入後すぐ、スタッフみんなに見せて自慢しました(笑)。使い方を教えるのにも、興味を持って見てくれるので伝わりやすいですし。取り付けは載せるだけで簡単。タッチペンの操作もすぐに慣れましたね。
高田様777の製造が始まった20年前は大きな紙の図面を広げて、みんなでそれを囲んで注意事項などを話し合ってから、生産に取り掛かっていました。787は3Dなので、パソコンの中だけの世界。大勢で見るには、図面をA3用紙で何百枚とプリントアウトし、途切れ途切れの図面をつないでいました。そんな手間をかけて閲覧しても、機密保持のために1日で破棄しなければなりません。日々その繰り返しで、運用面においても非常に大変でした。大画面モニターに「てれたっち」を取り付けてからは、画面上で簡単に拡大縮小もでき、格段に便利になりました。
鴫畑様図面を拡大して見たい!というニーズがあるんです。注記がとても多く、細かな決まりごとを守らなければならないため、特に新機種の製造が始まる際には、みんなで図面を見る機会がすごく増えます。作業を指示する注記の細かな文字と図面とをにらめっこしながらの作業になるということ。そんな時、図面の拡大や回転はもちろん、「ここ注意!」といった書き込みをしたり、アンダーラインを入れたりできるのが助かりますね。
高田様新入社員の教育にも活用しています。毎年数名が新しく配属されてくるのですが、全員がすぐに図面を理解できるわけではないので、大画面モニターと「てれたっち」で分かりやすく説明できます。新人であろうがベテランであろうが同じ作業ができることが重要なのです。
鴫畑様検査係が図面を確認するモニターにも使っています。ものすごく多くの人の命がかかっているパーツを組み立てるという、責任感を背負った作業現場です。万が一のことがあれば、原因究明は当然この生産現場までさかのぼってきます。どのパーツを何月何日に誰が組み立てたか、細かく記録していますから。その点からも、設計図面をしっかり確認できる「てれたっち」はありがたいですね。
鴫畑様工場の掲示板代わりに使っている大型モニターにも「てれたっち」を取り付けています。これまでは掲示板にさまざまな掲示物をずらっと貼っていたのですが、非常に場所をとっていました。しかも掲示物を更新する必要があってとても面倒でした。それらもパソコンに取り込んで大画面につなげて見るようにしました。タッチパネルで操作できて見やすいですし、何よりも工場内が美しくすっきりしました。
高田様工場にはボーイング社の方々をはじめ、多くの方々が見学に来られます。その際に「てれたっち」によるタッチパネル化でスマートな説明ができます。社員のほうも「よりわかりやすい説明を」と、確実にモチベーションがアップしています。
高田様2017年末から最新鋭となるボーイング777Xの製造が始まります。そちらは設計図面も進化し、2次元と3次元のハイブリッドになる見込み。大画面モニターで2次元と3次元を切り替えて見るケースも多くなりそうです。そもそも777Xの製造開始に備えての「てれたっち」導入だったので、いよいよ本格的に活用していくことになります。
鴫畑様CADの画像もタッチパネルで見ることができて感動しました。現場の社員たちが自然に寄ってきて、意見が飛び交う効果もありました。イメージしていたことはすべて実現できたし、期待以上のパフォーマンスです。あとは、指サックで操作できるようになれば、使いみち、使い方が広がるように思います。
高田様当工場では、「GPU」プロジェクトと名づけて、現場のパワーをアップしようという取り組みを行っています。平均年齢32歳の若いエネルギーのある工場ですから、新しいことに積極的に取り組んでいく風潮もあります。「てれたっち」の導入もその一環です。今後は図面チェック以外でも、プレゼンテーションなどで使っていきたい。普通にパワーポイントで見せるだけよりも、ずっと分かりやすいプレゼンができるのではないかと思います。今後もさまざまな用途で活用していきたいです。