取材日:2018年1月13日
「表現力の育成」を学校全体の課題に、課外活動などにも積極的に取り組まれている青森市立金沢小学校。同校でクラス担任のほか、研修部の現職教育や教育の情報化を担当されている石田尚徳先生に、「てれたっち」導入前後の変化や効果についてお話を伺いました。石田先生は、青森県総合学校教育センターにおける研究員としての2年のキャリアを経て同校に赴任した、いわば情報教育の専門家。「てれたっち」を実際に使った感想を語っていただきます。
石田先生いろいろな使い方がありますが、まず、注目してほしい箇所がある時に、目移りしないようディスプレイに表示するというのがありまね。教科書や資料集を開けばたくさんの情報が目に入りますが、これで児童はどこを見たらよいかがすぐにわかり、より授業に集中できます。また、先生や周りの児童が自分と同じ教科書を見ているという安心感もあるようです。言葉のみによる説明だと聞き逃しや勘違いが心配ですが、それもなくなり、指示も1回で済むようになりました。
石田先生以前はデジタルカメラでノートを画面表示して、児童に発表してもらっていました。今は「てれたっち」で発表していますが、児童の意欲が目に見えて高まりました。従来のディスプレイとデジタルカメラのみの環境だと、児童の目線は手元にある自分のノートにあって、それを指などで指し示しながら発表することになります。これに対して「てれたっち」では、画面に直接タッチペンで書き込みできますから、発表者も聞き手も、みな同じ画面を見て、目を合わせて対話できます。一体感のあるコミュニケーションができますし、授業のテンポも良くなりました。
石田先生進んでタッチペンを手にして、意欲的に書き込んだり、絵を描いたりといったことをしています。休み時間などに電源を入れて、共有スペースに開放しておけば、「てれたっち」付属の白板ソフトに搭載された様々な機能を使って、自分たちで絵を描いたり、クイズを作ったりと楽しんでいます。本当に子どもたちが吸収する速さには驚きます。発表の時は「てれたっち」を使いたくて、積極的に手を挙げるんですよ。普段は消極的な児童でも、「皆の前に出て、発表したい!」となるのですから驚きです。目新しさから使ってみたいという気持ちと、間違えて書いてしまってもデジタルだからやり直しがきくという、心理的なハードルの低さがやる気につながるのかと推測しています。また、「てれたっち」は書き込んだものを保存できますから、次の時間に振り返りとして見せることもできます。
石田先生本校では今年度から「表現力の育成」を学校全体の課題として掲げています。このような、皆の視線を集めて1人で発表する場というのは、表現力を伸ばすことにつながります。友達の発表を聞いて、ノートを見せてもらい、さらにはディスプレイ画面上に書き込まれる内容を目の当たりにすることで、「自分はこうだ」「こうしたほうがわかりやすい」という、「思い」が出てくるものです。そこに気軽に書き込みできる「てれたっち」があれば、ちょっとしたことでも付け加えたりしたくなるようです。自分の「思い」を表現するために、物怖じせずに参加できるようになるのです。電子黒板を使った発表はプレゼン能力の向上にもつながります。これからの社会を生きる子どもたちには必須のものですから、ぜひ力をつけてほしいです。
石田先生私はパワーポイントを使って資料やテストを作成し、それを表示させて使っています。従来は黒板に掲示する資料などはコピーを駆使して作っていました。A3でプリントした複数枚のモノクロ資料をつなげて1つにする作業に、放課後ずいぶん時間をとられていました。ティーム・ティーチングなどでほかの教員にサポートしてもらえる時には毎時間このような準備ができるのですが、しかし1人の場合はそうはいきません。どうしても手が足りず、必要なものに絞ることも多々あります。しかし、「てれたっち」を使うことで、この資料作りの作業を電子化することができ、大幅に効率化できました。また、資料を用意しなくとも、その場で資料集などの中から見せたいものを選び、パッと画面に映して、書き込みしながら説明することもできます。体感ですが、1授業につき概ね30分かかっていた準備時間が、5分程度に短縮されたと感じています。
石田先生「てれたっち」のおかげでコピーの量は激減しました。以前は印刷コストを考え、本来なら見せてあげたいものを躊躇するという場面もありました。カラーコピーも割高となるため、なるべく白黒で印刷していましたが、「てれたっち」ならもちろんカラーで表示できる点も有難く感じています。