RAIDとは?目的別の組み方とデメリットを補う代替方法も解説

(記事公開日:2024年4月1日)

RAIDとは?目的別の組み方とデメリットを補う代替方法も解説

#RAID 机の上に並んださまざまなHDD

安全かつスムーズにデータを利用するには、データを保存する媒体の選択や活用方法が重要です。データの保存媒体はHDDが有名ですが、故障のリスクや処理速度の問題があるため、導入する機器や運用の仕方を考えなければなりません。

そこで知っておきたいのが、データの復旧やアクセスが容易になるRAIDの考え方です。すでに一般的に広まっている技術ですが、仕組みや特徴をよく知らない方もいるのではないでしょうか。

本記事では、RAIDの基本的な知識に加えて、導入のメリットや特徴、注意点を詳しく解説します。ぜひ導入の参考にしてみてください。

RAIDとは?導入するメリットは?

トレイ内にある数多くのHDD

RAIDとは、複数のHDDを単一のドライブのように扱う技術で、データの保全やアクセス速度の改善に役立ちます。まずはRAIDの概要に加えて、単一のHDDと比べてどのようなメリットがあるか、確認しましょう。

複数のHDDを1台のドライブとして利用する技術

RAIDは「Redundant Array of Inexpensive Disks」の略で、直訳すると「冗長性を有する安価なディスクの配列」を意味します。重複部分を持つデータを分散して格納し、複数のストレージを単一のドライブのように扱う技術です。

HDDは、回転する内部のディスク(プラッタ)に磁気ヘッドを近づけてデータの記録・呼び出しをします。保存できるデータ量は大きいものの、プラッタに磁気ヘッドが接触して故障するリスクに注意しなければなりません。

予期せぬ衝撃で重要なデータを失うおそれがあるため、RAIDを搭載したHDDでリスクヘッジをするのがおすすめです。

リード・ライト速度を高速化できる

データを分散して複数のドライブに書き込むことで、処理速度が高まるのがRAIDの大きなメリットです。多くの場合、単一のストレージにデータを書き込むより処理が高速化し、必要なデータを素早く読み込めるようになります。

ただし、複数のストレージに書き込む性質上、RAIDの構成によってはいずれかの機器にアクセスできない場合、データを失うおそれがあるため注意が必要です。

ストレージの耐障害性を向上できる

複数のストレージにデータを複製して書き込むことで、耐障害性が向上するのもRAIDの特徴です。障害時もシステムを安定稼働できるように、複数のHDDによりシステムの二重化(冗長化)を実現できます。

安定性をどの程度担保できるかはRAIDの種類によりますが、多くの場合、単一のHDDより安定したデータ運用が可能です。冗長化を徹底すれば、運用できる容量は減るものの、データを失うリスクを軽減できます。

ただし、RAIDの構成によっては耐障害性が低下するため、RAIDの種類と特徴を理解することが重要です。

RAIDの種類とそれぞれの特徴

RAIDを組むHDDを格納したラック

RAIDは種類によってHDDへのデータの割り当て方や冗長化の方法が異なるため、耐障害性や利用できるデータ容量が変化します。

複数のHDDをRAIDによって運用しても、必ずしもデータの安全性が高まるとは限らないため注意が必要です。ここでは、RAIDの種類とそれぞれの特徴を押さえましょう。

RAID 0:書き込み速度を高められる

RAID 0(ストライピング)はデータを分割し、同じタイミングで複数のHDDに書き込みをして処理速度を高める技術です。複数のHDDを単一のストレージのように扱うのが特徴で、分散による書き込みで処理の高速化を実現します。

ただし、HDDのいずれかが故障すると、すべてのデータがロストするため注意しなければなりません。単体でHDDを運用するより耐障害性が低くなることを覚えておきましょう。データの安全性以上にデータ処理の高速化を重視した構成です。

RAID 1:耐障害性を高められる

RAID 1(ミラーリング)は、2台のHDDに同じデータを書き込む方法です。全く同じデータを複数のストレージに保存するため、一方に故障や障害が発生してもデータが残り、すぐに復旧できます。

ただし、どちらのHDDにも全データを書き込む必要があり、保存できるデータ容量はHDD1台分に限られるのがデメリットです。2台に同じデータを保存する分、分散して書き込む場合に比べて処理速度も遅くなります。

RAID 5:容量効率が良い

RAID 5(パリティ分散)はデータ復元用のパリティを生成し、複数のHDDに分散して転送する方法です。パリティとは障害発生時にデータを復元するための符号で、特定の容量データをパリティとして生成し、他のHDDに分散して書き込みます。

各HDDには別のストレージのパリティを保存するため、特定のHDDが破損しても他に保存したデータとパリティで復元できる仕組みです。3台以上のHDDが必要で、導入コストは高めですが、ストレージの信頼性と運用効率が高まります。

RAID 6:2台のストレージが故障してもロストしない

RAID 6(複数パリティ分散)はRAID 5の特徴を強化したもので、パリティを2つ生成することにより耐障害性を高める方法です。

RAID 5は2台のHDDが故障すると、データの復旧が困難になります。一方、RAID 6はパリティを二重に生成し、それぞれのストレージに保存する仕組みです。HDDが3台以上故障しなければ、データを復旧できる可能性があります。

生成するパリティが多いため、保存できるデータ容量はRAID 5より少なくなりますが、より安全なデータ運用が可能です。

RAID 10:高速化と安全性を両立できる

RAID 10(RAID 1+0)はRAID 0とRAID 1を組み合わせ、複数セットにする方法です。

2台のHDDに同じデータを格納し(RAID 1)、さらにブロック単位に分けたデータをHDDに分散して書き込みます(RAID 0)。複数のHDDに格納したデータセットが2つ存在する構成です。

同時に複数のストレージにデータを並列に書き込むため、スムーズな処理が可能で、データの修復も短時間で済みます。RAID 0の書き込み速度を維持しつつ、RAID 1の耐障害性の高さを実現できるのが魅力です。

RAID 50:複数のRAID 5をセットにして扱う

RAID 50(RAID 5+0)はRAID 5とRAID 0を組み合わせて、複数セットにする方法です。RAID 5のグループを複数用意し、ストライピングでデータを複数のHDDに分散して保存します。

RAID 0によりRAID 5の処理を高速化し、耐障害性を高めた構成で、グループ内のHDDが故障してもスムーズな復旧が可能です。ただし、同じRAID 5のグループ内で2台以上のHDDが故障すると、データの修復が困難になります。

最低でも6台以上のHDDが必要となるため、導入コストが高めで、データの入れ替え(リビルド)に時間がかかる点にも注意が必要です。

RAID 60:複数のRAID 6をセットにして扱う

RAID 60(RAID 6+0)は、RAID 6とRAID 0を組み合わせて、複数セットにしたものです。RAID 50と同じ考え方ですが、RAID 6のようにパリティを2つ生成し、より耐障害性を高めています。

同じRAID 6のグループで2台HDDが故障しても、他のHDDのデータとパリティを使ってスムーズな復旧が可能です。一方、最低でも8台のHDDが必要で、データをリビルドする際に時間がかかります。

RAIDを組むときの注意点

アイ・オー・データのNASにRAIDを組む人の手

RAIDを組んでデータ運用をする際は、データの転送速度やハードウェアの対応に関して正しく認識する必要があります。また、冗長性を高めてもデータを失うリスクはゼロではない点も理解しましょう。

ここでは、RAIDを組む際に注意したいポイントを紹介します。

速度向上の恩恵は受けにくい

RAIDにより処理速度の向上を狙う場合、実用性の面では恩恵を受けにくいおそれがあるため注意が必要です。ストライピングで転送速度は向上するものの、処理速度に定評のあるSSDでRAID 0を組んでも、想定どおりの速度を実現できない場合があります。

RAIDを組むには複数のHDDやSSDが必要で、高性能のストレージを単体で導入するほうがコストの面でも適している場合が少なくありません。たとえば、PCI-e Gen4に対応するストレージといった単体でも速度が速い商品の導入を検討しましょう。

ハードウェアがRAIDに対応していなければならない

HDDやSSDでRAIDを組む際は、マザーボードをはじめとしたハードウェアがRAIDに対応していなければなりません。

使用しているハードウェアが問題なく対応しているか、事前に確認してから導入を進めましょう。マザーボードが対応していない場合、RAIDカード(RAIDコントローラー)を導入し、RAID機能を付加する必要があります。

ただし、RAIDにはハードウェアRAIDとソフトウェアRAIDの2種類があり、後者は特別なハードウェアは不要です。ソフトウェアRAIDは、OSをはじめとしたソフトウェアが複数のストレージをまとめて管理するもので、性能は基本的にCPUに依存します。

RAID崩壊のリスクがある

RAID崩壊とは、RAIDを構成するドライブの故障やエラーにより、RAIDの機能が正常に動作しなくなる状態を指します。原因はさまざまですが、HDDの場合は経年劣化でドライブが故障し、崩壊が起こるケースが少なくありません。

RAIDで冗長性を高めても、崩壊により重要なデータをロストするリスクがあります。信頼性の高いRAIDを構築した場合でも、定期的にデータのバックアップを取りましょう。

RAIDのデメリットは拡張ボリュームで補える

RAIDは崩壊のリスクや容量の問題を考えなければなりません。アイ・オー・データの「拡張ボリューム」は故障リスクの低減が可能です。

RAID崩壊によるデータロストを防ぐ独自の技術で、リビルド時間の短縮により、HDD故障時のスムーズな復帰を実現します。HDD2台をペアで運用し、それぞれの稼働時間に差を生み出すことでディスクが同時に故障するリスクを低減する仕組みです。

HDDの故障により交換が必要なときも、使用領域のみをリビルドするため、作業時間を短縮できます。拡張性にも優れており、データを維持したまま実効容量を拡大できるのもメリットです。

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まとめ

RAIDを組むHDDのクラスター

RAIDは、複数のストレージを単一のドライブのように扱う技術で、データの転送速度や耐衝撃性が向上します。

RAID 0やRAID 5といったいくつかの方式の中から、システムの利用環境に合う構成を考えましょう。ただし、RAID崩壊のリスクがあるため、データを安全に運用できる体制づくりが必要です。

アイ・オー・データの拡張ボリュームや、それに対応したNASなら、安全なデータ運用インフラを構築できます。この機会にぜひ導入をご検討ください。長期間の保証付きで利用できます。

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