オンプレとは?クラウドとの違いと自社のシステムに合った運用方法

(記事公開日:2024年4月1日)

オンプレとは?クラウドとの違いと自社のシステムに合った運用方法

#クラウド #オンプレミス オンプレ環境を構築する情報管理者

クラウド上でデータの活用やシステムの運用をする企業が増えていますが、オンプレ環境を維持し続ける企業も珍しくありません。DXを進める上で、ある程度のクラウド化は避けられないものの、オンプレ環境にも多くのメリットがあります。

クラウドとオンプレの違いは認識していても、両者の特徴をよく知らない方もいるのではないでしょうか。本記事では、クラウドとオンプレの主な違いとともに、選択のポイントや運用方法を解説します。

オンプレとは?クラウドとは?

社内ネットワークをチェックする情報管理者

オンプレ(オンプレミス)は、ITツールやシステムの導入企業が社内でサーバーを構築して利用する形態です。一方、クラウドはインターネット上でサービスを利用する形態で、近年は業務システムをまとめてクラウドで運用する企業も増えています。

まずは、オンプレ・クラウドそれぞれの形態の概要とデータの管理方法を押さえておきましょう。

【オンプレ】ユーザーがハード・ソフト双方を運用する

オンプレは「オンプレミス(on-premises)」の略で、ユーザーがすべての運用環境を準備して、アプリケーションを利用する形態です。サーバーをはじめとしたハードウェアと各種ソフトウェアを社内に導入します。

物理的に設置したサーバーで必要なアプリケーションを利用するため、機能の拡張やカスタマイズをしやすいのが特徴です

クラウドサービスの利用が広まる以前は、オンプレでのシステム構築が一般的で、近年も同じ環境でシステムを運用する企業が多く存在します。

【クラウド】ベンダーのシステム・リソースを使用する

クラウドはサーバーやストレージ環境、各種ソフトウェアを、ネットワークを通じて利用する形態です。オンプレと対になる概念で、クラウドベンダーが保有するハードウェア環境やアプリケーションをインターネット経由で利用します。

ベンダーが提供するクラウドサービスには、サーバーをはじめとしたインフラ環境を利用できるタイプも少なくありません。しかし、多くのユーザーが利用しているのは、インターネット経由でアプリケーションを利用するSaaS型のサービスです。

オンプレ・クラウドのメリット・デメリット

オンプレとクラウド、それぞれのメリットとデメリットを整理しましょう。導入コストやユーザーの運用負荷、セキュリティの観点で比較します。

オンプレ クラウド
導入コスト サーバーをはじめハードウェアの導入コストがかかる サービスベンダーが構築した環境を利用するため、導入コストが安い
ユーザーの運用負荷 自社でシステムの保守・メンテナンスが必要 ベンダーが保守・メンテナンスをしてくれる
システムのアクセス性 原則、社内ネットワークの範囲でのみアクセスできる インターネット環境があれば、場所を問わずアクセスできる
カスタマイズ性 自由に機能やシステムをカスタマイズできる カスタマイズ可能な範囲は、基本的にベンダーとの契約による
データの保全性 定期的にデータのバックアップが必要 クラウドに自動でバックアップできる
セキュリティ性能 自社でセキュリティ環境を構築する ベンダーのセキュリティ体制に依存する

オンプレはクラウドに比べて初期投資の負担が大きく、メンテナンスも自社で担当する必要があります。一方、オンプレはカスタマイズの自由度が高く、自社で強固なセキュリティを構築できれば安全なシステムの運用が可能です。

オンプレが向いているケース

社内のサーバー環境を構築するエンジニア

オンプレとクラウドのどちらを選ぶか決める際は、企業の環境やシステムに対するニーズなど、さまざまな条件を考慮することが大事です。ここでは、オンプレが向いているケースを紹介します。自社の環境に該当するかチェックしましょう。

カスタマイズ性を重視する

システムのカスタマイズ性を重視するのであれば、適しているのはクラウドよりオンプレの環境です。オンプレはハードウェア・ソフトウェアの双方を用意する必要があるものの、運用環境を自由に構築できるため、ニーズに応じた柔軟なカスタマイズができます。

他社にはない独自のシステムを構築するのはもちろん、状況の変化に応じてアプリケーションの構成を変えるのも自由です。メンテナンスの日時も社内で決められるため、任意のタイミングで機能の追加やアップデートができます。

セキュリティを自社で管理したい

自社で強固なセキュリティを構築できる企業は、オンプレの環境が向いているケースが多くあります。ベンダーにセキュリティを依存しないため、外部要因によるシステムトラブルやネットワーク障害に遭うリスクが低いのがメリットです。

ただし、設計が不十分だとシステムの不具合や情報漏えいが発生するおそれがあります。自社でしっかりとセキュリティを構築し、安全に管理できるか慎重に判断しましょう。

自社内でしか使用しない

オンプレは社内ネットワークを使って運用するため、基本的に外部からのアクセスが不要で、社内でのみ利用するシステムを求める企業におすすめです。

社内にネットワークを設置すれば、既存のシステムと連携が取りやすく、強固なセキュリティ体制を構築できるでしょう。常時、外部からのアクセスを遮断することで、情報漏えいのリスクを大幅に軽減できます。

なお、シングルサインオンによるアクセス環境の構築やVPN・閉域ネットワーク(専用線)の利用により、安全性を担保しつつ外部からのアクセスも可能です。

クラウドが向いているケース

ノートPCからクラウドにアクセスする様子

次に、クラウド環境が向いているケースを紹介します。インターネット環境があれば場所を問わずアクセスできるため、社外のユーザーがシステムを利用する際に便利です。

また、PC以外のデバイスから積極的にアクセスしたいケースも、クラウド環境のほうが適しているでしょう。ここでは、それぞれのケースについて詳しく解説します。

社内・社外のユーザーが使用する

インターネット経由でアクセスできるクラウドサービスは、社内の人員だけでなく、外部のユーザーと情報を共有する際に便利です。社外のメンバーと共同で作業する場合、クラウド上なら同時に内容の確認や編集ができるため、効率的に業務をこなせます。

また、営業で外出する社員が多い企業やテレワーク・リモートワークに従事する社員がいる企業にもおすすめです。ファイルの共有はクラウドストレージを利用し、共同編集が可能なサービスを活用すれば、オフィスと同じように仕事を進められます。

PC以外のデバイスでも使用したい

さまざまなデバイスでシステムを利用したい企業は、クラウドサービスを導入するとよいでしょう。PCはもちろん、スマホやタブレットからもアクセスでき、クロスプラットホームに対応可能です。

複数のデバイスから同時に情報を確認できるため、営業担当者が出先で顧客の情報をチェックしたり、プレゼン資料をダウンロードしたりするのに役立ちます。

さらにクラウド型のチャットツールを導入すれば、情報をリアルタイムで共有できるだけでなく、ファイルの共有やビデオ通話も可能です。

オフィスではPC、外出時はスマホのような別のデバイスで情報を確認する体制にすることで、社員の作業効率が大幅に高まるでしょう。

可用性の高さを求めている

システムの可用性の高さを求める企業も、クラウドサービスがおすすめです。IT分野における可用性とは、システムを安定的かつ継続して使用できる能力を指します。

クラウドサービスは、ベンダーが自らサーバーをはじめとしたハードウェアを設置し、安全に運用できる環境を構築済みです。

自社で管理する場合に比べて可用性が高く、災害や事故でシステムが被害を受けるリスクは低いでしょう。データセンターは全国に存在し、地震や火災が発生しても安定してサービスの提供を受けられます。

予備システムの用意で冗長性も担保できるため、自社にシステムを管理するリソースがない場合、クラウドサービスを活用しましょう。

オンプレとクラウドを併用する「ハイブリッド運用」も

データをバックアップするイメージ

近年はオンプレとクラウドを併用する「ハイブリッド運用」も多くの企業が導入しています。自前のサーバーや複数のクラウドサービスを組み合わせて運用する手法で、オンプレとクラウドを連携するシステムも一般的です。

ハイブリッド運用のメリットは、オンプレ・クラウドの双方のメリットを享受できる点やBCPに寄与する点があります。

双方のメリットを享受できる

オンプレとクラウドのハイブリッド運用は、双方のメリットを組み合わせられるため、導入コストの最適化やリスクの分散に役立ちます。社員のニーズや業務プロセスに応じて、柔軟に運用体制を構築できるのが魅力です。

社内で安全に利用したいデータはオンプレで管理し、他のデータはクラウド環境で利用すれば、運用の手間とコストを削減できるでしょう。

ただし、オンプレとクラウドのどちらかに特化して運用するより、管理が複雑になるデメリットがあります。自社のリソースやIT人材の有無、導入コストを考慮しながら、どのように組み合わせるのがベストか検討しましょう。

BCPにも役立つ

ハイブリッド運用は、BCP対策としても有効です。BCPとは緊急事態が発生した際に、事業を継続するための計画や手順を指します。

想定外の事態でも業務が停止しないように、多くの企業はさまざまなリスクへの対策を立てており、ハイブリッド運用もその一環です。重要なシステムをクラウド化することで、緊急事態が発生しても業務を継続できる体制を構築できます。

社内で強固なセキュリティを築ける企業も適宜クラウドを利用すれば、BCP対策が可能です。オンプレでシステム運用をしている企業は、クラウド環境へのデータバックアップも考慮しましょう。

アイ・オー・データのNASでハイブリッド運用を実現!

アイ・オー・データでは、NASとクラウドを併用したハイブリッド運用の構築に役立つ商品を提供しています。

業務データをNASに集約し、そこからクラウドにアップロードすれば、差分データを効率的にバックアップできます。クラウド経由でNASにアクセスし、データを共有する使い方も可能です。

バックアップの設定もしやすく、社内ネットワークにかかる負荷も軽減できるため、この機会に導入をご検討ください。Webページでは、具体的な活用方法も紹介しています。

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まとめ

サーバーの前で顎に手を当てて考える情報管理者

業務データを適切に管理し、効率的に業務を進めるには、安全性が高くアクセスしやすいシステム環境が不可欠です。オンプレとクラウドはそれぞれメリット・デメリットがあるため、双方の特徴を理解した上で、どちらを導入するか判断しましょう。

近年はオンプレとクラウドのハイブリッド運用も広まっています。双方のメリットを生かしつつ、BCP対策にもなるのがおすすめできるポイントです。

アイ・オー・データのNASを使ったハイブリッド運用は、効率的なデータバックアップが可能で、社内ネットワークの負荷も軽減できます。社員の勤務形態に合わせた柔軟な運用体制を構築できるため、ぜひ導入をご検討ください。

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#クラウド #オンプレミス
この記事を書いた人

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