SSDとはどのようなもの?HDDとの違いや特徴を紹介

(記事公開日:2023年12月22日)

SSDとはどのようなもの?HDDとの違いや特徴を紹介

#ストレージ 色の異なる2種類のSSD

近年は、SSD(Solid State Drive)と呼ばれる記録媒体を搭載したPCが主流で、従来のHDDに取って代わるほどの人気を集めています。SSDは高速で衝撃に強く、HDDより省電力で稼働するため、SSD搭載のPCでなければ買わないという人も珍しくありません。

しかし、SSDにはPC内蔵タイプだけでなく、外付けタイプなど様々な種類があるため、何を導入すればよいか分からない人も多いのではないでしょうか。この記事では、SSDとHDDの違いや特徴を解説します。

SSD(Solid State Drive)とはどのようなもの?

SSDを両手に持った人の手元

SSD(Solid State Drive)は、フラッシュメモリーに情報を記録する媒体として、2000年代から一般に普及し始めました。SSDには外付けタイプや内蔵タイプがありますが、外付けタイプは外部ストレージとしてPCに接続することで、任意のタイミングでデータの書き込み・読み込みができます。

手軽にデータを持ち運べるUSBメモリーやSDカードと基本的な仕組みは変わりません。ただし、SSDはデータの高速な読み書きが可能で、PCに欠かせない記録媒体として数多くの商品が登場しています。

SSDとその他のストレージの違い

デスクに並べられたHDDとSSD

PCのデータを記録する媒体としては、SSDの他にHDDやeMMCが有名です。SSDが広まる前はHDDが一般的に普及しており、現在でもHDDを搭載した商品が数多くあります。

ここでは、SSDとHDD、eMMCの仕組みや特徴について主な違いを確認しましょう。

HDD

HDDは金属製の円盤(磁気ディスク)にデータを記録する媒体で、回転する円盤に磁気ヘッドを近づけてデータを読み書きする仕組みです。フラッシュメモリーにデータを書き込むSSDとは、仕組みが根本的に異なります。

HDDの多くは500GBから2TBくらいの容量です。円盤の容量が大きく回転速度が速ければ、データを素早く読み書きできるものの、一般的にはSSDのほうがスムーズにデータを転送できます。

eMMC

eMMCはSSDと同様、フラッシュメモリーを使用した記録媒体です。スマートフォンやタブレット端末、デジタルカメラが内部ストレージとして実装しています。

NAND型フラッシュメモリーを使用した記録媒体という点ではSSDと変わりませんが、eMMCは読み書き制御用のコントローラーとメモリーをセットで基板に搭載しているのが特徴です。

SSDに比べると、データの読み書き速度は遅いケースがほとんどですが、HDDより速い傾向があります。

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SSDの仕組み・特徴

分解したPC上に置かれたSSD

SSDは回転する円盤にデータを書き込むHDDとは違い、フラッシュメモリーにコントローラーを介してデータを記録・削除します。

また、ウェアレベリング機能により書き込むデータを分散し、DRAMキャッシュによって処理を高速化するのが特徴です。ここでは、SSDの代表的な特徴を紹介します。

電子を移動させることでデータを記録・削除する

SSDは内蔵するNAND型フラッシュメモリーに電子を出し入れすることで、データの読み書きをします。

フラッシュメモリー上でデータを記録する最小単位はセルです。セルにはフローティングゲートと呼ばれる電子を格納する場所があり、その上にコントロールゲートがあります。

コントロールゲートに電圧をかけることで、タンクのような役割を持つフローティングゲートで電子の蓄積・放出が起こる仕組みです。この電子の移動によって、データの書き込みや読み込みをします。

ウェアレベリング機能で安全性を高めている

ウェアレベリングとは、SSDのNAND型フラッシュメモリーのセルを均等に使用する機能で、データの破損を防いで安全性を高めるものです。

メモリー内のセルはデータの処理を繰り返すことにより、徐々に摩耗して寿命が短くなるおそれがあります。書き込み・読み込みをするセルを均等に分散することで、特定のセルの過度な使用を避け、劣化を防ぐ仕組みです。

ウェアレベリング機能により、SSDは特定のセルの劣化でデータが破損するのを防ぎつつ、負荷を分散して安定した稼働を実現します。

DRAMキャッシュを使用することで高速化している

内部にDRAMキャッシュメモリーを搭載する商品が多いのもSSDの特徴のひとつです。NAND型フラッシュメモリー自体は、さほど処理速度は速くありません。多くのSSDはDRAMに一時的にデータを保存することで、アクセス速度を高速化しています。

DRAM搭載のSSDは総合的なパフォーマンスが高いため、産業用やエンタープライズ向けのコンピューターで主に使用されています。

SSDのメリット

SSDと差し込み口

SSDを搭載したPCは未搭載の商品に比べてデータの読み書き速度が速いのが特徴です。消費電力が少ない点やHDDに比べて故障リスクが低い点も、ユーザーにとっては重要なメリットといえます。ここでは、SSDのメリットを掘り下げてみましょう。

データを読み書きする速度が速い

データを高速で読み書きできるのが、SSDの大きなメリットのひとつです。

HDDは回転する円盤にデータを物理的に配置するため、データを読み取る磁気ヘッドが保管場所まで移動しなければなりません。一方、SSDに機械的な部品はなく、フラッシュメモリーを使ってデータを保管します。

電気的にデータを処理するため、一般的にHDDより高速でデータの読み書きが可能です。特に大容量のデータを扱う際に大きな差が出るため、高度な処理を前提としてリリースされるPCの多くはSSDを搭載しています。

消費電力が小さい

SSDはHDDと比べて、消費電力が少ないのもメリットです。PCに内蔵するタイプと外付けで利用するタイプの2種類がありますが、いずれもSSDのほうが省電力の傾向があります。

負荷の大きなサーバーにSSDを搭載した場合、HDDと同等の消費電力になるケースも少なくありません。しかし、個人で利用するPCの場合、基本的にHDDよりも少ない消費電力で済みます。

可動部分が少なく故障リスクが低い

HDDのような機械的な構造がなく可動部分が少ないため、故障のリスクが低いのもSSDのメリットです。衝撃による故障のリスクはあるものの、起動時に円盤が回転するHDDに比べると、物理的な振動に対する耐性もあります。

また、HDDとは異なり磁力の影響を受けづらいため、磁石が原因の故障も基本的には発生しません。現状、適切な環境で使用しているかぎり、故障率はSSDのほうが低めです。

SSDのデメリット

PCをリペアする人の手元

SSDはデータの読み書きの速さや消費電力の少なさといった多くのメリットがある一方、以下のようなデメリットもあります。発熱による速度低下や価格など、注意点をよく理解した上で導入する商品を選ぶことが大事です。

容量当たりの価格が高い

HDDと比較して、容量当たりの価格が割高になるケースが多いのがデメリットです。特に大容量の商品は基本的に価格が高いため、HDDを含む複数の商品を比較検討して、環境やニーズに合ったものを選択しましょう。

ただし、近年はSSDの価格が低下傾向で、容量単価も徐々に下がっている状況です。事実、販売数も増加しているため、今後は価格を理由にSSDを購入する人が増える可能性があります。

発熱による速度低下が発生しやすい

発熱により速度が低下するリスクがあるのもSSDの注意点です。一部のSSDは、熱暴走を防ぐための安全装置としてサーマルスロットリングを備えています。SSDの温度が一定以上になった場合、処理速度を落とすことで発熱を防ぐ機能です。

熱暴走による故障を防ぐために必要な機能ですが、ユーザーもSSDの温度をコントロールすることも考えなければなりません。ヒートシンクを搭載したりエアフローを考慮したりして、SSDの発熱対策を検討しましょう。

SSDの主流インターフェイス

PCとSSDを接続する人の手元

SSDとPCを接続する主要なインターフェイスには、さまざまな規格があります。規格に対応したもの以外は接続できないため、代表的なインターフェイスを確認しましょう。近年利用が広まっているM.2をはじめ、SATAやUSBがあります。

【M.2 NVMe】読み書き速度が早い主流インターフェイス

M.2(エムドットツー)はマザーボードのスロットに取り付けるタイプの規格で、内蔵ストレージ用SSDの主要なインターフェイスとして有名です。

特に、高速なデータ通信ができるNVMeを採用したものは読み書き速度が速く、主にPCI-E(PCI-Express)を接続規格として採用しています。2023年10月時点で7,000MB/sを超えるものもあり、今後さらに多くの商品で導入されるでしょう。

【SATA】2.5インチSSDに使用されているインターフェイス

SATA(シリアルATA)もPCとストレージを接続する標準規格で、PC内蔵のHDDや光学ドライブの接続で多く使われています。2.5インチSSDとPCの接続に使用するユーザーもおり、上記のM.2 SSDにもSATA接続のものが少なくありません。

ただし、M.2が広まる前に普及していた規格で読み書き速度はM.2 NVMeより遅く、NVMeとの互換性もないため注意が必要です。SATA接続のM.2 SSDも、M.2 NVMeに比べてデータの転送速度が遅い傾向があります。

【USB】外部ストレージとして使うのに最適なインターフェイス

小型で使いやすい外付けストレージのニーズの高さを背景に、USB接続のSSDも登場しています。

USBは1990年代に広まり始め、さまざまなPC周辺機器の接続に利用できる規格です。一般的に普及しているPCのほとんどは、USBの接続ポートを搭載しています。

ここ数年でUSB接続タイプのスティック型SSDやポータブルSSDが続々登場しており、1TBや2TBといった大容量の商品も少なくありません。持ち運びを前提とした、さまざまなサイズやデザインのSSDが増えています。

これからSSDを購入するときの選び方

デスクの上に積み上がったSSD

SSDは通信速度や使い勝手を考慮して、自分の環境に合った商品を慎重に選ぶことが大切です。容量によって価格が大きく変わるため、まずは必要なスペックを明らかにし、複数の商品を比較検討しましょう。

基本的に内蔵ストレージはM.2 NVMe、外付けストレージとして使うのであれば、スティック型SSDがおすすめです。

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PCの内蔵ストレージとして使用するならM.2 NVMe

PCの内蔵ストレージとしてSSDを使うのであれば、配線が不要で、データの転送速度が速いM.2 NVMeの商品がよいでしょう。SATA接続のM.2 SSDもありますが、一般的に通信速度はNVMeのほうが高速です。

ただし、M.2 NVMeは新しい規格で、古いPCには接続できないケースもあるため注意しましょう。SATA接続のSSDに比べて消費電力が多く、発熱量が大きい傾向があるのもデメリットです。

外付けストレージとして使用するならスティック型SSD

取り回しのよい外付けストレージを探しているのであれば、直接PCに接続できるスティック型SSDを選ぶとよいでしょう。ポータブルタイプの外付けSSDもありますが、設置場所や接続ケーブルが必要です。

スティック型SSDは、従来のUSBフラッシュメモリーと同様の扱いが可能で、外出先での仕事やテレワークでも役立ちます。容量が250GBであれば5,000円程度から購入でき、1TBの商品でも1万円台で購入が可能です(2023年10月時点)。

アイ・オー・データでは外部ストレージ用のSSDを取り扱う

黒色のスティックSSD

USB 10Gbps対応 スティックSSD「SSPS-USシリーズ」

アイ・オー・データでは、手軽にSSDを導入したいユーザー向けに、ポータブルタイプやスティックタイプなどさまざまなSSDをリリースしています。

USBフラッシュメモリーの感覚で高速データ転送をしたい人や撮影した動画をPCですぐに編集・加工したい人は、導入を検討してみましょう。ここでは、特におすすめの商品を紹介します。

【SSPS-US】最大容量2TBのスティック型SSD

SSPS-USシリーズは、USB 10Gbps対応のスティック型SSDです。500GBから最大2TBの容量に対応し、手軽に持ち運びができます。

最大500MB/sと高速なデータ転送が魅力で、動画のような容量の大きいデータでもスピーディーな読み込みが可能です。スティック型SSDの導入を検討している人は、ぜひ詳しい特徴や仕様をチェックしてみましょう。

SSPS-USシリーズ

ケーブル不要でかさばらず、持ち運びしやすい!超小型&高速転送のスティックSSD「SSPS-USシリーズ」

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【SSPA-USC】読み書き速度が速いポータブルSSD

SSPA-USCシリーズは、USB 3.2 Gen 2に対応したポータブルSSDです。約1,000MB/sの高速データ転送が可能で、WindowsやMacはもちろん、iPhone・iPad・シネマカメラといった多くの機器に接続できます。

撮影した動画をPCで編集・加工するのに適しており、高画質の画像の大量保存にも対応可能です。コンパクトで軽量ながら衝撃に強いため、電車や飛行機で移動中でも利用できます。特に、読み書き速度を重視する人におすすめです。

SSPA-USCシリーズ

映像編集に最適なポータブルSSD シネマカメラやiPhone 15で使える!「SSPA-USCシリーズ」

商品情報を詳しく見る

まとめ

ポータブルSSDを接続したノートPCと操作する手元

SSDは、2000年代に入ってから急速に普及した記録媒体です。HDDに比べて高速でデータの読み書きが可能で、故障リスクが低いのもメリットです。

PCに内蔵するタイプや外付けタイプなど、さまざまな商品があるため、自分の作業環境や用途に合った商品を慎重に選びましょう。近年は取り回しがスムーズなスティック型SSDやポータブルSSDが人気で、出張先での仕事やテレワークでも使えます。

アイ・オー・データのSSPS-USシリーズは、USBフラッシュメモリーのように持ち運べて、最大500MB/sの高速データ転送が可能です。ぜひこの機会に導入を検討してみましょう。

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