取材日:2017年8月2日
播磨小学校では、以前から各教室のテレビとパソコンを使った授業を行っていました。電子黒板も設置されていましたが、設置台数も限られており全ての先生が必要な時にすぐ利用するには難しい環境でした。「てれたっち」の導入を機に、社会科の授業で自分が考えていた授業のスタイルを試み、教材づくりにも趣向を凝らして臨んだ先生の実践編をご紹介します。児童たちに考えることの大切さを理解してもらうために、「てれたっち」の機能を存分に活かした実例です。
※先生のご紹介、学校での設置状況などは取材当時のものです。
「てれたっち」を導入されていかがでしたか?
大社先生「てれたっち」は、液晶テレビに取り付けるだけで、見た目は電子黒板とあまり変わりません。私は、最初はどのように使ったら良いか戸惑いがありましたが、放課後の時間であれこれ試して使っていくうちに、単にパソコンとテレビを接続しただけではできなかったことが、自分の思うように使うことができると分かり、特に算数や理科の授業は使いやすいと直感的に思いました。しかし、播磨小では3年生になると社会科の授業で地元播磨町のことを学習するので、あえてオリジナルの社会科教材の作成に挑戦しました。今までとは違った教材づくりへの可能性を感じました。
私は、今回導入した「てれたっち」の設置にも立ち会いましたが、意外とスムーズに設置できたので、特段の違和感は感じませんでした。
実際の授業でどのように活用されていますか?
大社先生社会科の授業は、文字どおり人と社会とのつながりを児童に理解させる要素を多く含んでいます。そこで私が考えたのは、方位を4方位から8方位に広げる学習内容を組み合わせ、地図記号を当てはめながら播磨町の地図を完成させるものでした。また、56年振りに東京で開催されるオリンピックを、児童なりの視点でより身近に感じてもらうため、日本を訪れる外国人が理解しにくいとされる日本の地図記号の見直しにも踏み込んだ教材を作ろうと思いました。このような視点の教材は、児童の参加意識が高まるだけではなく、保護者の方も考える授業の展開が図れると思います。
大社先生播磨小学校を中心とした地図を映し出し、地図記号が入る部分を隠しておきます。紙ではその部分を白く抜いておくことしかできませんが、「てれたっち」では、地図上に何も手を加えず、用意しておいた地図記号を動かして入れることができます。このような仕掛けは、児童たちに何もないところから考えさせることができるので、大きなメリットです。算数や理科は、「切り取る」「拡大する」などの視覚効果で仕掛けやすいのに対し、社会の学習では「流れ」の理解もあれば「暗記」もあります。児童たちの興味を惹き反応は上々でした。
大社先生次に地図記号そのものの表現についてです。日本の地図記号には、外国人が首を傾げるものがいくつもあるようで、様々なデザイン変更が行われています。例えば温泉マークは、何かを焼いているように見えるということから変更されました。この経緯を児童たちに学んでもらうため、切り取り機能を使って「人が皆で入るお風呂」であることを表現してみました。
大社先生児童たちに考えてもらいたいというのが一番の趣旨です。そのための手立てを教えるために、「てれたっち」を活用しています。つまり、温泉マークのデザイン変更のように、少し変えただけで多くの人の理解が深まった事実を踏まえ、「どうすればより良くなるか」を考えることを、この社会科の授業で伝えたかったのです。
大社先生題して「外国人にも分かる地図記号を考えよう」の授業は、最初は物珍しさだけの反応だったものの、何かをその場で動かせることが分かると「何が起こるだろう」という反応に変化してきました。普段はおとなしい児童や勉強が苦手な児童も、発表意欲が出てきました。
今後の活用についてお話いただけますか?
大社先生遠足で蒲鉾製造会社の工場を見学します。事前に会社の売上グラフを見せるなど、工場を訪問した際に児童の気持ちが高まるようなことをしたいと思います。また、3学期になると社会の授業で播磨町の文化財について学習するので、「てれたっち」を使った児童たちによるプレゼンテーションを行ってみたいと思います。
大社先生私は、防災担当の職員でもあります。阪神淡路大震災を経験した兵庫県で教師をやっている以上、防災の授業は外せないと思います。避難訓練と同様、当たり前のことを繰り返すという意味で、防災授業の大切さを児童にも理解してもらいたいと思います。例えば、家族が寝ていて、部屋には箪笥が描かれた絵を示し、「地震発生時はどこが危ないか」を説明したり、防災袋の中身を紹介したりして、それが、全学年共通のコンテンツとして「てれたっち」で行うことができれば、防災意識も浸透しやすいと思います。