取材日:2017年7月21日
電子黒板化ユニット「てれたっち」の導入から約二ヶ月で、電子黒板アプリ「白板ソフト」も含めた多彩な使い方を実践し、学習スタイルの充実を図っている調布市立石原小学校。低・中・高学年それぞれの担任の先生が、日々、児童と向き合っている授業の実態をご紹介いただきました。
※先生のご紹介、学校での設置状況などは取材当時のものです。
東田先生我々小学校の教員は、授業用の様々な教材を作成します。例えば、教科書や参考資料の一部分を拡大して見せたい時など、大判のカラー出力紙を用意するとなると、場合によっては一枚数千円かかることもあります。その点、「てれたっち」を使えば、取り込んだ部分をエリア指定するだけで簡単に拡大表示できるので便利です。
片柳先生コスト面で言えば、モニターを使った学習では静電気で画面に付着する専用ラップを取り付け、モニター上にホワイトボードマーカーで書き込んでいる先生もいました。しかし、画面サイズに合う大きなラップは安くないですし、劣化が激しいので一ヶ月程度しかもちません。結局、交換コストが割高になってしまいます。
長澤先生私は、タブレット端末、プロジェクター、パソコン、スクリーンの4つのアイテムを準備して授業を行っていましたが、「てれたっち」では、テレビとパソコンだけで済むようになり、準備時間が短縮されてとても楽になりました。また、機材が少なくなれば配線も少なくて済み、特に私が受け持つ低学年の教室では安全性が高まりました。
片柳先生手軽に利用できて、移動も簡単な書画カメラを使う先生は多いですね。書画カメラの場合、その場で教科書や作品を表示させるために使われることが多いのですが、「てれたっち」なら、画面に表示させるだけでなく、自由に拡大させるといった視覚効果を簡単に加えることができるのが大変魅力的ですね。例えば数直線の目盛を拡大/縮小させ、その場で視覚効果を演出できます。「動きを取り入れた視覚効果」が、児童の興味を倍増させてくれるようです。
長澤先生見本となる児童のノートの一部を拡大表示して見せて、「ここがいいよね」というようなことは、書画カメラでもできました。「てれたっち」は、それに加えてパソコンと連動させ、その場で保存や加工も自由にできます。観察授業などでも、大きく見せる時には有効です。
東田先生視覚効果という点では、社会の資料でグラフの変化を理解させたい時に、途中の一部分を隠した状態にして「この後どうなると思う?」と、予想させる授業を行いました。そして、「その結果はこうでした」と瞬時に見せることで、結果に対する印象が強く、授業への興味関心が増すと思います。また、「てれたっち」と普通の黒板を併用して授業を進めることが多いのですが、その場合、モニターには資料を映し、黒板は児童に開放して書かせるようにすれば、時間を有効に使えると思います。
片柳先生パワーポイントで動きを取り入れた教材を作ることは可能ですが、教材作成に相当なエネルギーがかかりますし、柔軟性がありません。それを解決してくれたのが「白板ソフト」です。どの食材が、何の栄養素を持っているかという食育をテーマにした教材を作り、タッチペンで簡単にイラストを移動させて実演したところ、児童たちはたいへん興味を示してくれました。
長澤先生私は一年生の担任ですが、特に低学年は絵が動いたり、自分の教科書が大きくなって目の前に表示されたりすると、教材を身近に捉えてくれるようです。このような児童の反応は、そのまま集中力にも結び付きますし、動きだけではなく、色の理解や教科書の中のポイントを指示する際にも効果的です。私も「白板ソフト」を使いこなしていきたいと思います。
長澤先生今は、前の授業を振り返り、事前に準備した教材で新しい授業を行っていますが、以前の教材も含めて授業のまとめでも使えるようになれば、授業全体の理解をさらに深めることにもつながり、学習の幅が広がります。タブレットなど、様々な周辺機器とつなげて使えば復習のスタイルも変わり、一層便利になると思います。
東田先生「てれたっち」を使った授業を行っていて感じるのは、児童たちの方に体を向けることができ、皆の顔を見ながら授業を進められることです。つまり、児童の反応が判断しやすくなり、自分自身もその授業を振り返る際にメリットを感じます。また、将来的に子どもたち自身がこのような機器を使い、発表などを行うようになると思います。そのためには、教員である私たちもさらにスキルを身に付けていくべきでしょう。
片柳先生私は、チョーク一本で素晴らしい授業ができる先生ほど、ICTを使いこなせれば鬼に金棒だと思います。このことは、是非皆さんに知っていただきたいですね。新学習指導要領にもある「主体的、対話的で深い学び」というコンセプトにも、「てれたっち」は力強くサポートしてくれると思います。