「Raspberry Pi」を利用したデジタルサイネージ導入事例
【北九州高速鉄道株式会社】

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「Raspberry Pi」を利用したデジタルサイネージ導入事例【北九州高速鉄道株式会社様】

取材日:2018年03月01日

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発車時刻を改札上のデジタルサイネージで表示。
誰もが分かりやすい表示で、顧客満足の向上を実現。

業務部 電気課 信号通信係 総括主任 山内大毅様 / 最高経営責任者 代表戸締役会長 廣瀬丈矩様

福岡県北九州市で、小倉北区、南区民、約40万人の足として暮らしを支える北九州高速鉄道(株)様。このたび、列車の発車時刻を表示するデジタルサイネージを駅改札前に設置するため、アイ・オー・データ機器が取り扱う小型コンピューター「Raspberry Pi 3 Model B」および43型液晶ディスプレイ「LCD-M4K431XDB」を導入されました。正確さと迅速さが求められる駅という現場で、いかに顧客満足の向上を実現されているのか。その導入の経緯と使用感について、北九州高速鉄道(株)の山内大毅様とシステム開発をされた(株)Local24の廣瀬丈矩様にお話を伺いました。

お客様が一番知りたい発車時刻を、もっと見やすくするために。

デジタルサイネージ導入のきっかけについてお聞かせください。

デジタルサイネージ

山内様印刷ベースの時刻表は切符売り場と改札内に掲示してあるのですが、お客様の目に止まりにくいのが課題でした。社内のCS調査でも「時刻表をつけてほしい」というお客様の声が多数ありました。

山内様実際、「次の電車はいつですか」と駅員へ問い合わせされる場面が非常に多い。駅員は各駅に1人なので、トラブルが発生した場合など、きめ細やかな対応ができないことがありました。お急ぎのお客様が列車に乗り遅れまいと駆け込んだり。乗り遅れた際に苦情をいただいたり。

北九州高速鉄道株式会社 業務部 電気課 信号通信係 総括主任 山内 大毅 様
北九州高速鉄道株式会社
業務部 電気課 信号通信係 総括主任
山内 大毅 様

山内様当初は、既存の「運行管理システム」とリンクさせ、列車の現在位置が分かるランプ表示を改札に設置しようとしました。でも、それでは根本的な解決にならないという現場サイドの声がありまして。かといって時刻表示システムの自社開発は難しいと悩んでいたところ、弊社のホームの無料Wi-Fiシステムを構築してくださったLocal24様が、京都の叡山電鉄様で同様の実績をお持ちだと伺って。現場の視察をして、まさにこれだ!と依頼しました。

今回のシステムはどのような仕組みですか。

廣瀬様大きく分けて2つ。まず、本社にある指令室では、駅の発着時刻のデータを生成し、各駅のディスプレイを制御するサーバー。あとはそれを管理するためのパソコンですね。各駅に関しては、ラズベリーパイとディスプレイをIPパワーという電源装置で、指令室のサーバーからオンオフする仕組み。なので、駅員の方が始発前に電源を入れたり、終電後に切るといった作業はいっさい不要です。

管理するためのパソコン

廣瀬様発着時刻のデータは、サーバーに時刻のタネとなるデータを入れると自動で生成します。A駅からは何時に出発する、駅間は何分で走行する、B駅には何分停まるといった定義ファイルをベースに、駅ごとの発着時刻を割り出すわけです。ダイヤ改正の時にも同様にデータが生成される仕組みにしています。あとは運転見合わせの場合も、ほぼ全駅に対してタイムラグなしで表示できます。

山内様今回のサイネージシステムは運行管理システムとは切り離したもの。そこがミソなのです。運行管理システムと連携するのは非常に高価で、投資対効果を考えると見合わない。廣瀬さんは運行管理もよくご理解されているので、よりシンプルな今回のシステムが実現しました。

高い信頼性を追及した、確かな技術に支えられたシステム。

システムにラズベリーパイを使われる理由は?

株式会社Local24 最高経営責任者 代表取締役会長 廣瀬丈矩様
株式会社Local24 最高経営責任者
代表取締役会長 廣瀬丈矩様

廣瀬様弊社ではH29年度消防庁の『情報伝達手段等の高度化事業』の実証に参加し、OSの開発をしました。実証におけるデジタルサイネージにラズベリーパイを使って納品しました。人命がかかっているので、いざという時に絶対に落ちてはいけない。例えば冷凍庫に入れたり、破壊試験に近い状態でOSを稼働させたり。そうやって安定性を担保したOSを搭載しているので、これと同じプラットフォームにすればいいと考え、ラズベリーパイを使用しました。

廣瀬様ラズベリーパイ自体がハードウエアとして安定しているうえ、非常に安価なこともポイント。OSの開発費がかさんでも使っていただけるという考えもありました。もし故障しても家電量販店で購入すればいい。専用パソコンだと修理に数日~数ヶ月かかります。

センサーボードの採用は何のためですか。

センサーボードの採用

廣瀬様ディスプレイが破損した場合、センサーで検知して駆けつけるためです。もう一つは温湿度センサーですね。外からの風が入り込む駅の改札は外気温とほぼ同じになります。低温下では液晶ディスプレイの反応が遅くなってしまうので、ゆっくり表示させるよう反応速度をコントロールする機能が入っています。実装のみでまだ稼働はさせていませんが。

山内様鉄道を知り尽くした業者様ならではの配慮だと思っています。

365日途切れなく、「あって当たり前」のサービスとして提供を。

他社からもラズベリーパイが出ている中、なぜアイ・オー・データ機器を選ばれましたか。

株式会社Local24 最高経営責任者 代表締役会長 廣瀬丈矩様

廣瀬様アイ・オー・データ機器での取り扱いが始まると情報があり、大画面ディスプレイも出ると聞いていたので、それならセットがいいなと。もしトラブルがあっても窓口は一つで済みますから。問題が起きたら、弊社は現場の対応が最優先。なので価格より何より、電話1本ですべてケアしていただくことが重要なのです。アイ・オーさんには過去に何かと助けていただいているので、信頼と実績ですね。

廣瀬様あと、ラズベリーパイはディスプレイとの相性がけっこうあります。規格に沿っていても、キレイに縁まで出なかったり。「動く」と「商品」は違うんですよね。動くのはオープンソースを組み合わせれば誰でもできる。それを絶対安定、毎回300回、500回、ちゃんと同じように稼働するのが商品だと。ですから、いろいろな試験には相当時間をかけています。アイ・オーさんのセットにはクセがない。そこがいいんです。

今回液晶ディスプレイの保守パックをご採用いただきましたが、その理由は?

センサーボードの採用

山内様何か問題があれば、先出しで商品を送っていただけますから。止まっている時間を短くしたいのです。いま当たり前のように時刻表示しているものがなくなった時に、またお客様に不満が出てきてしまいます。

廣瀬様作業は夜間しかできないので、その手配もあるため、先出しが重要なのです。通常の保証でメーカーに送って数日後に修理品が送られてくるセンドバック方式だと間に合わないんですね。

お客様のためのサービスであり、駅員のためのサービスでもある。

設置後の効果はいかがですか。

設置後の改札口

山内様12月に導入してから3か月。駅員へのお問い合わせの2〜3割が発車時刻に関してだったのが、ほぼゼロになりました。たくさんのお客様から、時刻が見やすくなった、わかりやすいと、お褒めの言葉をいただいています。

山内様小倉競馬の開催時にだけ使う改札口があるのですが、そちらでも臨時列車の時刻確認ができます。将棋倒しなどの予防につながるかもと思うと、もうディスプレイがないとダメですね。

山内様もちろん駅業務の支援にもつながり、現場の駅員からも感謝されています。オンオフの操作もなく、すごく楽になったと。そのぶん、総合的にサービスが良くなったというお客様の声の多いことが、CS調査結果でも裏付けされています。

北九州高速鉄道 ラッピング車両

廣瀬様次に来る電車がラッピング車両かどうかや、その内容も表示できます。北九州高速鉄道様は銀河鉄道999のラッピングが全国的に知られていて、それに乗りたいというお客様が多いんです。
※表示はまだ未稼働

山内様「999号はいつ走るんですか」というお問い合わせもかなりありました。運行時刻は車両検査などがあるため毎日変わるので、駅員は聞かれたら小倉駅に確認するしかなかった。

廣瀬様駅員の方はどんな情報も知っている、と思い込んでおられるお客様が少なくない。対応が遅いと不満になる。その原因を1つでも減らすのが目的です。

山内様ラッピング列車の表示は、広告主にプレゼンする際に「合わせてこんなこともできますよ」と紹介できて、営業活動にもつながります。改札の上に表示されるので、インパクトは大きいですから。

今後の展望、展開をお聞かせください。

センサーボードの採用

廣瀬様システム面では、リアルタイムに列車の在線情報と連携したい。JR東日本様などは、WEBサイトでリアルタイムに電車がどこを走っているか見られるのですが、それには莫大な費用がかかるんです。それをもっと安価にできないかと取り組んでいます。

山内様サイネージの設置駅は現在10駅です。次年度には、お客様利用が多い平和通駅に、副指令室的な機能をもたせつつ設置する計画を検討しています。また、沿線の専門学校、北九州工業高等専門学校様と産学連携の締結式を結びました。そこでラズベリーパイを題材に、新しいシステムを共同研究できればと考えています。

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導入企業概要

北九州高速鉄道株式会社
企業名
北九州高速鉄道株式会社
http://www.kitakyushu-monorail.co.jp/
会社概要
通勤通学レジャーに、1日約3万人の利用者がある北九州市の重要な交通機関。開業以来約30年、安全性・正確性・快適性の確保に努めながら、都市圏の交通体系の一翼を担う。
所在地
福岡県北九州市小倉南区企救丘二丁目13番1号
設立
1976年7月
ご担当者名
業務部 電気課 信号通信係 総括主任 山内大毅様

協力企業概要

企業名
株式会社Local24
https://www.local24.co.jp/
会社概要
FreeWi-Fi設備の運用管理をはじめ、鉄道事業者様向け設備の更新やコンサルタントを手がける。消防庁H29年度「災害情報伝達手段等の高度化事業」の加古川市での実証事業に参加。デジタルサイネージの開発に関わる。
所在地
京都市中京区麩屋町通錦小路上る梅屋町492-505
設立
2012年9月
ご担当者名
最高経営責任者 代表取締役会長 廣瀬丈矩様
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