取材日:2019年07月16日
札幌市中心部から南へ10kmの丘の上、48万㎡の広大な敷地に最先端の教育・研究施設を備え、全国から学生が集まる学校法人 東海大学 札幌キャンパス様。このたび、学内の情報発信に用いる掲示板のうち3箇所をデジタルサイネージ化するため、「4K対応ワイド液晶ディスプレイ」と「小型パソコンCLIP PC」を導入されました。「すべては学生のために」の原則のもと、掲示板の電子化によっていかに情報の発信力・伝達力が向上したのか。東海大学教学部札幌教学課の平井直輝様にお話を伺いました。
平井様東海大学は全国各地にキャンパスを持っており、出張の際に神奈川の湘南キャンパスや東京の代々木キャンパスなどがサイネージを導入しているのを見てきました。他大学の様子も見学し、「大学生が情報を得るには動く媒体のほうが目を引く」と課内に提案し、導入することにしました。
平井様高校までと違って大学にはホームルームがありませんし、我々教職員も含めて「自己責任で行動を」と促しています。スマホからでも大学のポータルサイトで情報を得られるのですが、大学に来て自分の目で確かめることも必要であり、それにはサイネージが適していると考えました。
平井様掲示物のすべてをサイネージにアップしているわけではありません。奨学金の手続き、履修登録の締め切りなど、我々なりに優先順位をつけて最も見逃してはいけない情報を確実に伝えるために使っています。
平井様学内で展示会が開催された際に出会いました。さまざまなメーカーが来られる中で、最も容易に、かつ手頃に導入できる製品だったからです。 逆に他メーカーのものはできることが多すぎて操作が複雑だったり、月額制で課金されるものだったり。アイ・オー・データ機器の場合は完結型で購入後の管理費用などが発生しないのもポイントでした。
平井様また、ずっと私が操作するならともかく、いつ人事異動があるか分からないので、 パソコンのスキルが高くなくても使いやすいこと。そして、1番のポイントは、サイネージを1台だけ導入したのでは意味がなく複数台入れたいと考えていたので、予算に収まること。この機能とコストのバランスが取れていたのがアイ・オー・データ機器だけでした。
平井様マイクロソフトのワードやパワーポイントをPDFに変換するのが容易になったので、簡単な案内板であればすぐつくれます。放映スケジュールを組むのも、「時間割看板」ソフトを開いてデータをドラッグ・アンド・ドロップするだけ。ベースがパソコンなので、ふだんマイクロソフトを使っていれば慣れ親しんだ方法で扱えます。
平井様壁付けでなくキャスター付きのスタンドにしたのは、学内のどこでも移動できるから。普段は私のいる教学課という部署で学生に情報提供するのがメインの用途ですが、全学的な行事がある場合は担当部署に貸し出すことができます。例えば、オープンキャンパスで動画を流したり、入学試験の教室を案内したり。そうした場合も「PDFさえ用意すればアップできますから難しくないですよ」とこちらも言いやすいんですね。広く使えるというメリットも、アイ・オー・データ機器に決定した理由の1つです。
平井様年度明けから使うことが念頭にあったので2月〜3月にかけて導入しました。事前に時間的余裕をもたせたので、さまざまな掲示物のネタを準備することができました。
平井様従来は紙の掲示物を教学課用の掲示板に張り出していました。大判のプリンターを使う場合もあったのですが、それよりは準備が楽になりました。印刷コストも不要ですし、紙の掲示物を保管するスペースも必要ありません。
平井様学内のネットワークで配信することも考えましたが、状況が整っ
ていなかったのでスタンドアローンです。コンテンツは別のパソコンでつくり、
USBメモリーにデータを保存して、都度サイネージに出向いて更新しています。週1回更新するようにしています。
平井様3台それぞれ設置場所が異なるので、場所ごとに内容を変えることを意識して個々にコンテンツを入れています。例えばメイン玄関は対外的なお客様もご覧になる場所なので、クラブ活動の試合の情報や大学のPR動画などを表示させます。学生の掲示板コーナーに置いたものは、学生生活に「これは重要だよ」という内容をピックアップして載せています。教学課の窓口前に置いているものは、広く満遍なく網羅していますね。
平井様コンテンツ制作はパワーポイントで作成し、PDF化しています。その他、大学で公開講座も行っているので、そのポスターデータや広報などのチラシデータなどを流用することもあります。
平井様学期頭や年度当初は伝えたい情報がたくさんあるのですが、授業が落ち着いている時期はあまりない。そこで、学生会組織の学生たちもイベントを企画することがあるので、情報提供があればサイネージに掲載するよと声をかけています。実際、6月の建学祭と呼ばれる学園祭でも実行委員のつくったイベント告知を掲載しました。
平井様また、就活の案内に関しても、キャリア支援の担当からガイダンスの情報などを提供してもらい、随時アップしています。もともとキャリア支援の部署にもディスプレイがあって、パワーポイントを表示させているので、こちらにも情報提供があればいくらでも流すからと連携は取り合っています。
平井様多くの人が出入りするところに置いている2台については、朝礼が終わってから出しに行き、5時過ぎて片づけに行きます。キャスター付きなので、片付けも簡単です。映像の終了は「時間割看板」ソフトでスケジュールを組み、5時に電源が落ちる設定にしています。オンは毎回設置しに行ったときに電源を入れています。オフだけタイマーです。
平井様コンテンツは時間や曜日で変えることもできるのですが、通常は1週間同じタイマー設定の中でローテーションを回して、月曜日にその1週間の中で終わったものがあれば削除して、新しい情報を追加しています。
平井様学生は画面を見る世代だと思うので、紙だけの掲示板より注目してくれていると思いますね。コンテンツをつくるときの考え方そのものも、情報を「読む」から「見る」にシフトしました。紙の掲示物だと情報を盛りだくさんに書いてしまいがちですが、サイネージは読み物ではない。同じ情報でも必要最低限の文言だけを入れてつくろうと心がけているので、その意味でも学生が気づいてくれているのかなと。例えば注意事項など細かなことには触れずに、「締め切りは何日まで」だけを強調するので、記憶に残りやすいのもメリットだと思います。紙と違って写真も鮮明でアイキャッチ的に効果的に使えるのもいいですね。
平井様コンテンツの鮮度も大事です。マンネリ化してしまうと注目されなくなるので1週間ごとに更新しています。順番を変えるだけの場合もありますが、1枚でも内容を増やすように心がけています。
平井様本運用は4月からでしたが、3月の卒業式の日に1日だけ出したんですよ。
大学のエンブレムを表示する画面に「祝卒業」と入れたら、記念写真を撮る卒業生がいました。紙の掲示板に書いてあっても撮らないと思うので、それもサイネージ効果かもしれないですね。
平井様はい、台数を増やせられれば増やしたい。食堂に置けば、券売機の前やテーブルのゾーンなら滞留時間も長いので、もう少し学生に情報を周知できると思っています。
平井様あと、改善したいポイントは、USBメモリーで入れ替えて回るのが面倒なので、学内のネットワークを活用して運用したいですね。今のところは私が業務の一部で行っているのでいいですが、台数が増えても、離れた場所から一括で更新できるようになるといいですね。
平井様スマホアプリを使って、 スマホで撮った画像もアップできるとのこと。学内のWi-Fiに乗せるには学生が多いと負荷がかかるので、夏休みに入って落ち着けば試してみたいですね。
平井様今ラベンダーがすごくきれいなのですが、大学のSNSで担当者が今日のラベンダーの様子を上げているので、それをサイネージに反映させて和みのコーナーとしても活用できればとも考えています。他にもいろいろな部署でいろいろな企画や取り組みがあるので、簡易的な資料やチラシなどをつくったら「NASのこのホルダーにアップしてください」と決めて、簡単に更新できるようにしたい。今は私自身がさまざまな部署からネタをもらいに行っている状況なので、全学的な取り組みとして一元化できる体制を築きたいですね。
平井様やはり、いろいろな部署がもっと活用できるといい。どうしても、それを導入したらその部署のモノみたいになってしまうから。うちの部署が代表して導入できただけで、どこからでもどんどん情報を寄せられる仕組みにしたいですね。我々には「すべては学生のために」という基本原則があるので、学内全体で活用できることが私の一番の思いです。
平井様サイネージを設置する以前の話ですが例えば、東海大学の箱根駅伝優勝は非常に大きなニュースです。本部からデータが送られて来たのですがサイネージがなかったので、自前のプロジェクターを廊下にドンと置いて、白の壁に映しました。通る人がプロジェクターの光を浴びなくちゃいけなくて、これはダサいと。次も勝ってぜひサイネージで流したい。北海道でも盛り上がりますからね。
平井様画面下に天気予報をテロップで流したいとか、夢はまだまだあります。学生の満足度向上がセクション的な目標でもあるので。卒業する時のアンケート調査で「情報が常に得られてよかった」と言ってもらえるよう、全力で取り組んでいきたいですね。