取材日:2022年12月8日
工学部、情報フロンティア学部などの理系学部を擁し、その教育力で全国から注目を集める金沢工業大学。知識や技術の習得のみならず、社会で活躍できる人材育成を目的としたきめ細やかな指導体制は、民間による各種調査でランキング上位の常連校としても知られています。視聴覚教育の分野では、開学当初より動画教材の作成やアーカイブ保存に力を入れてきました。そんな同大学の教材制作の現場で、アイ・オー・データ機器のHDMI/アナログキャプチャー「GV-HDREC」が活躍しています。 同大学情報処理サービスセンターで、IT機器の導入、運用から、教材作成まで、視聴覚教育に関する多岐に渡る取り組みを担当するAV室室長の木谷(きだに)幸造様にお話を伺いました。
木谷様本学の前進は北陸電波学校といいまして、1957年の開校当初は放送局の技術員養成を主な教育目的としていました。そのため、様々な動画コンテンツを制作したり、それを保存することに注力してきたという歴史があります。GV-HDRECは、学園行事、授業、実験などの撮影データを保存するために利用しています。
木谷様このコロナ禍で、教材としてのコンテンツの力を実感しました。学生たちに学びの環境を提供し続けるためにも、オンライン教材の存在感は高まっています。通学困難な状況にあっても、通信さえ確保できれば学ぶことができますから。また、このような教材は非常時だけでなく、平時にも反転学習や復習に役立ちます。理系の当大学では、実習・実験が多く、学生たちも時間の有効活用、学びの効率化が必要ですから、大きな助けになっています。
木谷様撮影収録するための簡易スタジオがありまして、先生方が自ら動画を収録しています。GV-HDRECにSDカードをセットし、カメラと接続したら、後はボタンをポンと押すだけですので、非常に簡単です。私たちAV室の担当者だけでなく、授業では先生方、また、学生スタッフも利用します。専門知識を持つ人だけが扱うわけではありませんから、シンプルで操作が簡単な点は重要です。
木谷様先日は、対面/オンラインの両方を活用したハイブリッド型セミナーの様子を撮影・記録しました。GV-HDRECは、講師がディスプレイに表示するプレゼンテーション資料の画面を収録するために使いました。セミナー終了後に画像の再編集を行うのですが、講師のお話と同期をとりつつ資料の画面を挿入するなどしています。GV-HDRECはコンパクトで場所をとらないので、サブの録画機として使うのにもちょうどよい製品ですね。
木谷様当部署では様々な収録を行いますので、レコーダーも台数が必要です。業務用デジタル収録機ももちろん導入していますが、コストを考えると安易に数を増やすことは難しく、性能が良ければ一般ユーザー向けの製品も併用したいと考えています。GV-HDRECは1万円台と非常に安価な上、アイ・オー・データ製ということで、信頼性の面でも不安はありませんでした。
木谷様開校当時から保有している貴重な資産を将来に引き継がなければなりません。しかし古い記録媒体は劣化の問題もあり、また再生機も生産されなくなりますので、デジタル化などの作業が必要になっています。
木谷様古いものではテープですね。仕様も、2インチ、1インチ、3/4インチ、またVHS、ベータなど様々。8ミリでの記録撮影などもありました。数も膨大で、テープは数千本に上ります。そこで学生スタッフを採用し、メタデータを入れ込みつつハードディスクへ保存するという作業を始めました。長年取り組んでいるアーカイブ化の一大プロジェクトです。
木谷様はい、2012年頃からビデオキャプチャーのGV-SDREC(※)を使ってきました。これは、アナログ映像をMP4形式でキャプチャするための装置ですが、ビデオカメラやビデオデッキに直接接続し、SDカードにそのまま記録できるというもの。これまでPCやキャプチャ機器を複数台使って行っていた作業が、これ1つで簡単にできるとあって重宝しました。
※生産終了
木谷様そうですね。主に学生や手の空いた先生方が作業にあたっていましたから、あまり複雑な仕組みは好ましくありません。その点、GV-SDRECはGV-HDREC同様シンプルでわかりやすく、再生機とつないでボタンを押すだけでしたから、誰でもミスなく扱えました。また、安価でしたので複数台揃えることができたのも助かりました。多い時には、GV-SDRECを4、5台並べて、同時に作業を行っていました。
木谷様当大学では、ディスプレイやハードディスクをはじめ、様々なアイ・オー・データの製品を導入しています。GV-SDRECも長年使ってきましたが、その間、トラブルは一度もありませんでした。アーカイブ作業は確実性、また品質も重要ですが、信頼できる仕事をしてくれました。こうした実績がありましたから、GV-HDRECを知った時も即導入を決断しました。
木谷様アナログデータのアーカイブ化についてはだいぶ作業が進みまして、見通しがついてきたところです。デジタルアーカイブ化した過去の授業のなかには、貴重なコンテンツもたくさんあります。今後はこういった過去の資産を教材として再活用していきたいと思います。また、反転学習等に使用する教材コンテンツ作りに関しては、今後もGV-HDRECを活用しつつ、しっかりと取り組みを進めていく予定です。
木谷様当大学では授業のアーカイブ動画をクラウド上にアップロードし、学生がいつでも見返せるような仕組みを構築にしています。しかし、その動画の視聴維持率やよく見られているシーンなどのデータが取得できていないことが現状です。今後は、クラウドをさらに活用して、授業のデジタルアーカイブ化がどれだけ学生の理解度に影響しているのかを見える化していければと思っています。