取材日:2023年8月23日
北陸最大級を誇る三尺玉に圧巻のスターマイン──、七尾湾の夜空を彩る和倉温泉中日夏花火大会は、北陸を代表する夏の人気イベントです。2023年、同花火大会は「会場ナレーションのWeb配信」という新しい試みを行い、大成功を収めました。配信ツールとして選ばれたのは、アイ・オー・データのPlatCastです。
本花火大会を主催する北陸中日新聞・事業部の榊原浩介様、また協賛の和倉温泉観光協会・事務局課長の平野正樹様に、以前から抱えていたナレーションの課題、その解決策としてPlatCastを選んだ理由、効果について詳しくお話を伺いました。
平野様和倉温泉中日夏花火大会は、和倉港を会場に七尾湾全体から鑑賞できる、「海と港の花火大会」です。湾をぐるりと囲む陸地、その中心で上がる花火は風光明媚な和倉温泉の立地と相まって、優雅な雰囲気が人気を集めています。毎年1~2万人という大勢の観客が、本会場をはじめ、対岸、能登島大橋、さらには七尾湾に面した旅館の部屋など、思い思いの場所で花火を楽しんでいます。
平野様湾という地形の特性上、付近に平坦な土地が少なく、本会場のキャパシティが小さいのです。そのため近隣の公園などにもたくさんお集まりいただくのですが、そのような場所には、公式のナレーションが届きません。どこからでも楽しんでいただけるのは本花火大会のよいところでもあるのですが、ナレーションが届かない場所には少し工夫ができるのではないかと感じていました。
榊原様花火と花火の間には空白の時間帯ができますが、それを埋めるようにナレーターによるナレーションが入ります。ナレーションなしでは、いつ次の花火が上がるのか、それがどんな花火なのかといったことが伝わりません。終盤になると、この空白の時間に花火が終わったと勘違いして、帰宅してしまう人もいるようでした。
平野様旅館からの観覧にも同様の悩みがありました。七尾湾に佇む旅館の客室は雰囲気抜群ですが、ここにもナレーションは届きません。次がいよいよ盛り上がりだというタイミングで、うっかりお手洗いに立ってしまった……、などというアクシデントもあったようですね。
榊原様初めてPlatCastを知った時、「これはまさに私たちの課題を解決するサービスだ」と思いました。動画配信などほかのサービスも検討したことはあるのですが、どうもしっくりきません。観客は皆同じ空を見ているのですから、映像は不要です。音声だけがあればよく、手軽さが重要でした。
平野様PlatCastのよいところは、QRコードにアクセスし、再生ボタンを押すだけで、誰でも音声が聴けるという点。驚くほど手軽です。ほかの音声配信サービスは、スマホにアプリをダウンロードする必要があるなど、アクセス面で難がありました。アプリのダウンロードは利用者にとってハードルになりますよね。花火大会は様々な方が足を運ばれるイベントですから、シンプルで誰にとっても使いやすくあることが理想的です。
平野様もちろんですが、それだけではありません。音声品質も重要です。花火とナレーション、音楽は秒単位で計算してショーとして練り上げられており、遅延はもってのほか。少しでもタイムラグがあったら観客のストレスになってしまいます。ですから、事前にPlatCastのデモンストレーションを利用して、しっかり品質を確認しました。音声品質の面でもPlatCastは非常に魅力的でした。
平野様1日単位のレンタルで数万円という費用感は、イベントを運営する上では非常に利用しやすかったです。配信サービスだと月額契約が必要となるものも多く、1年に1回のイベントでは見合いません。機材レンタルも込みで日額というPlatCastは、様々な面で花火大会というイベント運営にぴったりのサービスだと感じました。
榊原様実際に作業を行ったのは協力会社のスタッフでしたが、事前の準備も含めてスムーズでした。今回、会場のスピーカーとPlatCastの両方に同じ音声を流しました。分岐設定などが必要だったため、専門のスタッフに作業を頼みましたが、シンプルな配信形態なら私でも設定できたと思います。特別な機材は使わず、通常のナレーション業務に使う放送設備に、PlatCastを搭載したスマート端末を接続するだけです。しかも、すべての機材を一式でレンタルできるから安心ですね。
榊原様紙面掲載も行いましたし、北陸中日新聞や花火大会などの各公式SNSを使って、音声配信という新しい試みがあることを広く事前告知できたと思います。
平野様紙のプログラムにはQRコードを印刷し、本会場の来場者に配布しています。また、各旅館にも事前に配布してご案内しました。
平野様旅館のお客様の反応は非常に良かったですね。一般の観客の声はSNSなどでチェックしていますが、こちらも上々です。「こんないいものがあるのか」という新鮮な驚きが届きました。
平野様従来、本会場のナレーションが届かない観客は、間隔をあけて上がる花火をただ眺めるしかありませんでしたが、今年はPlatCastでどこにいてもナレーションを聞くことができました。「いよいよ三尺玉が上がります」「次でフィナーレです」とお知らせすることで、確実に見どころを押さえられます。カメラを構えていた方は、シャッターチャンスがわかりやすかったのではないでしょうか。
榊原様今年はせっかくPlatCastがあるので、例年以上にナレーションに力を入れました。花火のタイミング、色や形の説明だけでなく、歴史や文化的な側面、さらには地震の復興祈願など、それぞれの花火に込められた「思い」にも触れています。こういった情報をお伝えすることで、知的欲求も満たされる内容になったのではないでしょうか。
平野様旅館から観覧されたお客様は、涼しく快適な部屋からの贅沢な景観、そして花火会場の臨場感が音声配信をお聞きいただくことで今まで以上に堪能いただけたと思います。和倉温泉の客室は本花火大会のプレミアムシートという位置付けですが、PlatCastによりその価値はさらに高まったと考えています。
平野様スマホ1つでも音声は聞けますが、例えばBluetoothスピーカーと連携することで、配線いらずの簡易的な放送設備ができ上りますよね。旅館のロビーなどで放送するのもよいと思います。また例年、メイン会場に入りきらなかった観客が、近隣の大きな公園などにも集まります。このような場所を第2会場、第3会場として、ナレーションを流すこともできるでしょう。公園の入り口、駐車場などにQRコードを掲示するだけで、告知効果はあると思いますし、どこにでもメイン会場の雰囲気が届けられますね。
榊原様ナレーションはイベントの盛り上げ役。これがあれば様々な場所がサブ会場として活かせるはず。例えば海の上で、クルーズ船による観覧企画はどうでしょうか。または旅館の屋上、大浴場から……、バラエティに富んだ「特等席」が実現しそうです。
平野様そのどこにいても、スマホさえあればナレーションをお届けします。皆さんにそれぞれ自分の特等席を見つけていただきたいですね。
榊原様今回PlatCastを使ってみた感想は、「もっと早く知りたかった」。それほど和倉温泉中日夏花火大会にマッチするサービスでした。ぜひ今後も活用を続けていきたいと考えています。
平野様PlatCastは、イベントの運営において「いいことずくめ」のサービスという印象です。花火大会を盛り上げてくれただけでなく、和倉温泉の魅力をより一層高めてくれました。来年ももちろん活用させていただきます。
観光情報の発信、イベント開催などを通して、旅館をはじめとする地元の観光産業を支援しています。和倉温泉を訪れる観光客に、ほかではできない体験を提供し、その魅力を広く紹介する使命を担います。
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