取材日:2023年9月29日
日本を代表する映像コミュニケーション企業グループであるIMAGICA GROUPにおいて、ポストプロダクション※事業に特化したサービスを提供するのがIMAGICA Lab.です。放送/配信媒体のためのコンテンツ制作を、専門的かつ先進的な技術で支えています。
SanDisk Professionalの4ベイRAIDストレージ「G-RAID SHUTTLE 4」(72TB)を16台ほか、デュアルドライブハードディスク「G-RAID 2」といった製品を一挙に導入された同社では、大手配信媒体のオリジナルシリーズ制作のために、これらの商品をフル活用されています。このプロジェクトにおける技術監修として現場を統括し、オンライン編集やVFX、最終仕上げまで幅広く工程を担当されたチーフエディターの小部昌史様、カラーグレーディングを担当されたカラリストの酒井有希様に詳しくお伺いしました。
※映像制作における、撮影後の仕上げ作業(主に映像編集や音編集)の総称。ポスプロと略されることもある。
小部様企画、制作を担当するプロダクション(映像制作会社)から届いたオリジナル撮影素材を編集・加工し、コンテンツとして仕上げるまでが当社の業務です。いわゆるポスプロと呼ばれる、撮影完了後のすべての作業ですね。撮影チームから素材を受け取り、まずはインジェスト※を行います。撮影メディアは次の収録ですぐに使われるため、急いでインジェストを完了し、返却する必要があります。当社で作業が遅れると、上流工程である撮影のスケジュールに影響が出てしまうので、トラブルなく効率的に作業することが重要です。
※収録メディアからデータを抜き出し、作業用ストレージにコピーする一連の作業。
小部様今回のシリーズはカメラの台数も多く、また撮影期間も長期に渡る非常に大型のコンテンツであり、撮影された素材の容量はトータルで優に200TBは超えていました。シリーズ化されている人気コンテンツをはじめ、4K/8K番組といった高精細のコンテンツを多数担当していますので、当社が扱うデータのボリュームは非常に大きく、しかもそれが近年激増しています。大容量データをいかに安全かつ安定した状態で保存するかという観点で、G-RAIDシリーズのようなストレージは業界にとって不可欠な存在です。
小部様オリジナルデータを保存するために7台のG-RAID SHUTTLE 4を使い、バックアップとなるミラーリング用のRAIDをもう1セット作成しました。導入したストレージはほぼフル活用しています。複数の部署で分散作業をしますので、“超”大容量のストレージを1台だけという形ではなく、72TBのものを複数台という導入形態が業務にフィットしました。また、容量の少ないデータについては、G-RAID 2も活用しています。こちらも安定して高速な読み書きが実現できたので助かりました。求める容量や転送速度、用途によってストレージを使い分けています。
酒井様10年ほど前までは、RAIDは一度セッティングしたら据え置きでそのまま使い続けていました。しかし今、業務で扱うデータの大容量化が著しく、またコンテンツの制作規模やワークフローも大きく変わっており、従来のような使い方では間に合わなくなってきました。そこで、データを複数のストレージに分散させて保存し、必要な作業を終えたら次の部署へデータを渡す…と、シームレスに繋いでいく使い方が求められています。その際、ストレージごと次の担当者へと手渡すことも少なくありません。
小部様そうなると、毎回ではありませんが、筐体を物理的に移動する必要が出るんですよね。時には同じ渋谷区内の別の自社スタジオまで、タクシーで届けたりしています。
酒井様以前は、大きくて重たいRAIDを1台ずつ抱えて、ヒヤヒヤしながら運んでいました。ですので、このG-RAID SHUTTLE 4のフォルムを見た時は革命的だと思いましたね。コンパクトなだけでなく、取っ手があって持ち運びやすい。角のないフォルムも扱いやすくていいですよね。安全に運べるということは、大事なデータをしっかり守るという観点で安心感が違います。一般的にストレージといえば速度や容量が重視されると思いますが、かなりタフに使用している当社の現場では、とてもうれしいポイントです。
小部様以前使用していたRAIDストレージは、冷却ファンの音がうるさいのが不満でした。1台だけでも気になるのに、それが数台ともなればかなり気が散ります。とくに酒井さんが担当しているカラーグレーディングの作業は、部屋の照明を落とし、モニターをじっくり見ながら世界観を創っていくという、極めてクリエイティブな仕事です。このような集中力が求められる場に、雑音が響いているようでは困ります。作業にも影響が出てしまいますよね。
酒井様たしかに、過去にいくつか音が気になるモデルはありましたね。ファンだけでなく、振動で筐体が共鳴したこともありました。ですが、G-RAID SHUTTLE 4に移行してからは、こうした悩みはすっかりなくなりました。今、最大7台をデスクに並べて同時に使っていますが、どれもとても静かで、意識することなく作業に集中できています。
小部様実に基本的なことで、まずデータを確実に保存できること。それに加えて、生産性という観点からは読み書きのスピードも重要ですね。G-RAID SHUTTLE 4は内蔵ディスク4台でRAID 5を構築していますが、非常に高速です。素材の保管という役割だけでなく、カラーグレーディング、レンダリング、納品用マスターファイルの保存など、さまざまな用途で使用しますが、いずれも高速に読み書きでき、まったくストレスがありません。
小部様 新しいRAIDを導入した際には必ず帯域測定を行っていますが、今回、ライト800MB/s、リード640MB/sという、ほぼ公証通りの数字が出たので驚きました。物理ドライブ4台だけで大型のRAIDストレージクラスの数値を叩き出したのは予想外でした。素晴らしいです。
酒井様スピードはもちろん大事ですが、いかに安定しているかということも重要です。不安定で何が起こるかわからないような環境では、作業のスケジュールを見積もることができません。ストレージが原因でお客様の業務に影響を与えるようなことは、絶対に避けたいところです。その点、G-RAID SHUTTLE 4は安定感が抜群で助かっています。
小部様実は当社では約10年前からG-RAIDシリーズを使用してきているのですが、これまで一度もトラブルが起きたことはなく、信頼性の観点からは別格の存在といえます。今回、G-RAID SHUTTLE 4を選んだのも、過去の実績によるものが大きいですね。また、保証期間が5年間と長い点でも安心感があります。過酷な環境で使用しているので、長期保証は有難いです。
小部様費用対効果などさまざまな面を含めて総合的に判断しても、今回、十分満足いく導入になったと思います。今後も大量の撮影素材が搬入されるような大型コンテンツを中心に、積極的に使っていければと考えています。
テレビ番組やCM、配信用コンテンツ、AR/VR音楽ライブ等のコンテンツ制作におけるポストプロダクションサービスを提供。先進的ワークフローや周辺サービスを含む総合的な技術提案力と品質の高さを強みに、業界のさまざまなニーズに応えています。