レントゲンやCT画像などの読影にも適した優れた外付け液晶ディスプレイが欲しい。でも本格的な医療画像参照用ディスプレイとなると10万円オーバーが当たり前。もう少しお手頃なものはないものか……。そんなお悩みを抱える医師の皆様に、救世主となる万能ディスプレイが日本のアイ・オー・データ機器から登場。デジタル機器に詳しい現役医師とともに、そのポテンシャルを検証してみました。
電子カルテの普及もあり、液晶ディスプレイの買い替えを検討中の先生、あるいは病院やクリニックは多いでしょう。院内の基準を満たしつつ、高額すぎず、レントゲンやCT、MRIなどの画像も一定基準を満たした鮮明さで見られる“万能ディスプレイ”が欲しいとお考えなら、アイ・オー・データ機器の新作27型ワイド液晶ディスプレイ「LCD-MCQ271EDB」は検討の価値ありです。一般的に医療画像参照に適したディスプレイは10万円~と高額ですが、こちらは必要なスペックを満たしつつ、驚くほどの良心価格を実現しているからです。
実際のドクターは「LCD-MCQ271EDB」をどのように評価するのか? 現役医師にしてデジタル機器にも造詣の深い白月遼先生に感想を伺いました。
白月遼先生(以下白月医師)輝度400cd/㎡と、このクラスの製品としてはトップクラスの輝度を実現しているせいか、綺麗に文字や画像を表示していますね。明るいスポットライト照明の環境下で見ても映り込みがなく、どの角度からも視認性良好。液晶パネルにありがちな輝度ムラも感じません。
白月医師いいですね。解像度はどのくらいですか? フルHD(1920×1080ドット)より明らかに高精細に感じますが。
画面を2分割して電子カルテと同時表示した状態がこちら。2画面でも情報量が多すぎず・少なすぎないちょうどいいバランスになっている。
白月医師27型ディスプレイなら、それがベストかもしれませんね。もっと上の4K解像度の場合、30型以上にしないと、情報量が詰まりすぎてかえって文字などが見にくくなってしまいます。
白月医師綺麗ですね…これはお世辞抜きでいいですよ。たとえばこちらはレントゲン画像ですが、安いディスプレイだと輪郭がぼけがち。なのに本機は白黒の濃淡が鮮明で、細かい階調までよく再現しています。おっ、拡大してもとても綺麗ですね。骨の中の細かい網目状の構造まで綺麗に見えて、骨梁も一目瞭然です。細かい血管の輪郭まで非常によくわかります。これは嬉しい。従来ここまではっきりした画像を見ようと思ったら、JESRA基準を満たした高額な読影用モニターに頼るしかありませんでしたが…。より実用面を重視して、DICOM画像表示の水準を満たしたのがこのモニターというわけですね。
膝のレントゲンフィルムを「DICOMガンマカーブ」モードで映し出した状態。DICOM Part14に定められたグレースケールに近い階調表現を行い、医療画像を適切なカーブで参照することができます。「白黒の階調の鮮明さは、読影だけに特化したディスプレイと比べても遜色ありません。放射線科の読影メインの先生でも実用に耐えるかもしれません。普通のPC作業にも使える汎用ディスプレイでこの性能は凄い」(白月医師)
白月医師確度の高い医療判断ができますし、診察室での患者様への検査結果の説明もより説得力を持たせることができるでしょう。もちろんこういういいディスプレイを使うと、普通のPC作業もぐっと捗ると思います。
白月医師まずこのサイズ感がいいです。27型とはいえ、フレームをギリギリまで切り詰め、厚さも非常にスリム。このコンパクトさならよくある23型の事務用ディスプレイとほぼ同じ感覚で使えます。デスクに2台置いて、マルチディスプレイ環境を構築してもいいかもしれませんね。
白月医師そこも魅力ですね。自分の好みの高さや角度を自在に調整できるため、作業や診察中のストレスを軽減できそうです。またグルリと90度回転させてディスプレイを縦にして使えるため、胸や脚など縦長の画像を見るときにも便利です。
見やすい位置に高さや角度を調節できる「フリースタンド」を採用。目の疲れやストレートネック対策としても効果的です。簡単に画面を縦に90度回転させることもできるので、縦方向に長い医療画像を見るときにもストレスがありません。「縦画面は文書を作成するときやWEBで調べ物をするときにも重宝しそうですね」(白月さん)
白月医師医療現場でよく使われるDVI-D端子をはじめ豊富な入力端子を搭載しているので、従来お使いのPCや周辺機器とも簡単に接続できそうですね。側面にUSB-Aタイプのハブが2ポート備えられているのもいい。海外の製品ではバッサリ切り捨ててしまう部分なのに、こういうユーザーへのきめ細やかな気配りは日本のメーカーらしいと感じます。
端子やポートが充実しているため、どんな職場環境にも合わせやすいのも本商品のウリ。「日本のメーカーならではの痒いところに手の届いた設計ですね。細かいところですが、電源やモード切り替え用のボタンをフロントや下にではなく、後ろ側に配置しているのも好感。たぶんこれはディスプレイの高さや角度を調整したときに不用意に触らないようにした配慮でしょう」(白月医師)
白月医師私たち医師がデイリーなディスプレイとして使うには勿体ないほどのハイポテンシャル。電子カルテや医療画像を見るときはもちろん、事務作業や調べものをするときもこのディスプレイがあれば快適になるし、仕事に対するモチベーションも上がりそうです。それに比して価格は抑えられていますから、大きな病院がまとめて揃える場合にもよいのではないでしょうか。私が勤める診療所にも今すぐ導入してもらいたいくらいです(笑)。またここまで綺麗に画像を再現できるなら、たとえばカメラがお好きな先生であれば、ご自身の作品を投影しても楽しいでしょう。個人的にも非常に食指が動く一台です。