取材日:2017年10月26日
高知県で、ゆず製品の生産販売を手がける北川村ゆず王国(株)様。このたび、食品加工の安全性を管理する「フードディフェンス」を実践するため、本社工場にネットワークカメラ「TS-WLC2」6台とネットワークHDD「HDL2-AA」2台を導入。スマートフォンやタブレットでの視聴とNASへの録画環境を構築されました。「海外輸出のためにも、求められる食の安全性をクリアしたい」「離れた場所から品質管理を徹底したい」。そんなニーズにいかに応えているか、北川村ゆず王国(株)取締役の加藤忍様とシステム管理ご担当の加藤亮様にお話を伺いました。
加藤忍様いま食品業界では、品質管理の徹底が求められています。中でも、食品に意図的に異物混入される問題が国内外で起こっていて、その防止策を「フードディフェンス」と呼んでいます。
加藤亮様もちろん従業員を疑うわけではありません。ただ、当社は海外輸出もしており、どのようにフードディフェンスを実践しているかが厳しく問われるのです。そこで、工場にカメラを設置し、映像を記録することで管理していこうと。また、厳密な管理体制の証明にもなると考えました。
加藤忍様私は、工場の衛生面や安全面の管理もフードディフェンスだと考えています。わずかな気の緩みが品質に関わるし、何よりも労働環境に影響します。ですからカメラの映像を、私や工場長などの責任者がスマホのアプリで確認できるようにしました。見られていると思うと、働く側の意識が違ってきますから。例えば、先日こんな出来事が起こりました。工場の映像を見ていると、従業員の一人の歩き方がおかしい。よく見たら、床がすごく滑りやすい状態でした。すぐにマイクで放送して「床を掃除しましょう」と伝えました。会話できるカメラ「Qwatch」のおかげで、ケガを未然に防ぐというディフェンスもできたと喜んでいます。
加藤忍様当社の四万十加工所は高知県内ながら往復8時間以上かかります。品質管理のチェックに毎回人員を派遣していたので、不備の発見が遅れてしまうことが課題でしたが、このシステムのおかげで、行かなくても状況確認ができるようになりました。
加藤亮様原料の状態が離れていても確認できます。カメラを通して工場からゆずを見せてもらい、使い方の判断はこちらでします。「その熟れ具合なら製造方法はこう変えよう」といった指示ができるので、品質管理でも製造効率の面でもプラスですね。
加藤忍様出張中でも指示がタイムリーにできます。先日は出張先のドイツからアプリでチェックしました。どこにいても、これからは相手に映像を見せながら話ができます。映像だけでなく、ゆずの匂いもカメラ越しに飛ばせたら最高なんですけどね(笑)
加藤亮様アイ・オー・データはネットワークカメラのバリエーションが多いからでした。ある程度自分で目星をつけたあと、アイ・オー・データ機器広島営業所にお願いし、テスト機を持参していただいた中から、天井に設置するためマニュアルフォーカスができる「TS-WLC2」を選びました。
加藤忍様導入コストも安くすみましたね。最初は四万十加工所にカメラ2台を取り付けたのですが、実際、夜の間に彼(加藤亮様)が取り付けて帰ってきました。こんな経費でできるならと、本社工場にも6台カメラを導入した次第です。こちらは配線を天井に埋め込む必要があったので専門業者に依頼しましたが、それでも費用対効果は高いですね。
加藤忍様アプリ(Qwatch View)も便利です。スマホやタブレットからマイクで音声が送れたり、録画したものもスマホから見られます。設定もパソコンに接続する必要がなく、端末に管理者権限を簡単に割り当てできました。
加藤亮様NASに関しても、同じメーカーのQwatchとの相性の良さもありますが、ブラウザーから見られる設定画面のアイコンが直感的に操作できるのもよかったです。私以外でも誰でもわかりやすく使えることは大切ですので。
実は、私が学生時代に初めて手に入れたPCサプライ品がアイ・オー・データ機器で、昔から使っている信頼度がありました。ジェットダイスケさんの的確なレビューで本機に注目していたのもあります。広島営業所の法人窓口に電話すると、とても真剣に話を聞いてくれて。「Qwatch6台で録画するなら、NASは2台ご用意されては?」と親身になってプランニングしていただき、昔からファンだった私の見る目は間違ってなかったなと(笑)。
加藤亮様順調に動作しています。いざ確認したい時に、録画容量を超えて消去されていては意味がないので、LANディスクからハードディスクにダウンロードして保存するシステムもつくりました。
加藤忍様食品の場合、賞味期限が1年だったりするので、製造して流通して在庫になって販売されるまで1か月くらい普通にかかります。ちょうど映像を確認したい件があり、作業はこれからですが、長期間保存できるようにしておいて良かったと思っています。
加藤忍様工場だけでなく、配送センターや事務にまで広げて、労務管理にも活用していろんな状況を把握できるようにしたいですね。
加藤亮様まだ工場の全部が見える化されていないので、手元が見えるようにしたい。その場合、首振りタイプのカメラがいいと、もう考え始めています。
加藤忍様今提携しているフランスの輸出先とカメラを使って出荷前のやりとりをしたり、各委託先にも設置させていただいて、いつでも映像で相談できるようしたいですね。
北川村ゆず王国では「ゆず」を全国へ、世界へ広めるべくがんばっています。日本で最初に、農薬に厳しいEU基準に適合。「KOCHI YUZU」でヨーロッパでの商標も取り、特に香りにこだわるフランスで売上が急増中です。星付きのレストランのシェフにご愛顧いただき、パティシエの世界チャンピオンは「ゆずの夜明け」というスイーツで栄冠に輝きました。日本国内でも多彩な商品を展開しているので、ぜひご賞味ください。