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取材日:2018年5月9日
北海道函館市で、0歳児〜5歳児まで定員85名の子どもたちの保育に携わる「認定 根崎こども園」様。このたび、より安心・安全な保育環境を目指してネットワークカメラ「Qwatch」と監視カメラ映像録画機 「アロバビューレコーダー」を導入されました。従来から設置されていたカメラに、180度の広範囲を映せる広角レンズ搭載カメラを加えたことによって、子どもたちの見守りにどのような効果があったのか、「認定 根崎こども園」の園長・柏倉義様にお話を伺いました。
柏倉様まず、この業界自体、IT機器の導入が遅れていると感じていました。私は実家を継ぐかたちで当園に入ったのですが、以前にいた食品会社では標準的だったIT機器が全く導入されていませんでした。子どもたちの安全管理と職員の働く環境を向上させたいと考えていたので、いいものは積極的に導入したい。そういった経緯の中でカメラの導入を考えるようになりました。
柏倉様約10年前です。当時、経理用にパソコンが1台あっただけで、職員は誰もが手書きで記録していました。この業界ではさまざまな作業を手書きで行うのが通例です。ここ5年ほどでIT化がかなり進んだ気がしますが、まだまだ改善の余地はあると思います。
柏倉様なんといってもケガの防止です。法律で決まっている保育士の配置基準は、年長の4-5歳児の場合、子ども30人に対して1人の割合。3歳児は20対1、1-2歳児は6対1、0歳児が3対1です。この中で、最もケガが多いのは1歳児なんです。立ち始めの頃や、歩き始めたばかりの子どもたち6人を保育士1人で見る場合、誰かのおむつを替えている間など、どんなに頑張っても目の行き届かない瞬間があります。どんな状況で転んでケガをしたのかを確認できていないこともあります。そうした状況を後で確認し、次のけがを防止する対応を行うためにも、やはり部屋全体をカメラで録画しておくべきと考えた次第です。
柏倉様第一に、何かあった時の原因を知り、対策に活かすことです。1歳児の場合、噛んだり引っかいたりというケースが頻繁にあります。ギャーという子どもの泣き声が聞こえて、噛まれている場面だけを保育士が見たとしましょう。噛むには原因があるはずですが、1歳児なので説明はできない。こういった場合は、録画した映像を見て「だからこの子は噛んだのだ」というところまで知らないと、その後の防止策にはつなげられないのです。いさかいがあって噛んだのか、生えかけの歯がむず痒くて噛んだのかでは対策が違うので。
柏倉様実はたまたま昨日、映像を見ていただいたケースがありました。4歳の子が突然、首が痛いと言い出したので、本人に理由を聞くと、「転んで机の角にぶつけた」と言うんです。でも、クラスの中に保育士が2人いてそんな状況は考えにくかった。そこで映像を確認したら、手を洗って自分の席に着くまでの間、ふざけて首を振りながら歩いていました。そして突然ウッと動きが止まった様子が映っていました。おそらく筋違いを起こしたのでしょう。お母さんには言葉で説明するより、映像を見て納得していただきました。実際、笑ってすむようなことであっても、私が説明する内容より4歳の息子の話を信じたくなるのが保護者の心情です。映像を見ていただくほうが圧倒的に説得力がありますね。
柏倉様ケガが起きた事例の動画を見て、「こういうことがあるよ」と気をつけるようにしています。例えば、肘内障。手を繋いでいて子どもが転びそうになった時に、とっさに手を引いたら肘が抜ける、という状態のことですが。これも「引く方向によっては、こんな程度で起こるんだよ」と映像を使えば理解度が大きく上がります。ノウハウを蓄積できますし、引き継いでいけるのがいい。新人研修でも使えます。
柏倉様カメラを導入した平成26年から園内でのケガは年々減っていき、去年で約1/3になりました。その間、職員の数が増えているため、もちろんすべてカメラのおかげとは断言できませんが、逆にいえば人の努力だけでここまで減らすのは難しかったのでは、と思っています。
柏倉様他の保育園や幼稚園さんでもカメラの導入をお考えのようですが、「保育士の方々から反対されないか?」と懸念される声も聞こえてきます。しかし当園の場合は、むしろ保育士のほうから「もっと付けてほしい」「死角を減らしてほしい」という要望が上がってきました。そのため初期はカメラ6台ほどだったのを、徐々に増やしていった経緯があります。
柏倉様はい。各部屋に1台ずつ入れていたのですが、子どもは部屋のすみが好きなんです。 そうした箇所までフルにカバーしたくてカメラ位置などを調整してみましたが上手くいかず…。そんな時ちょうど180度の広角レンズタイプが発売されたため、増設したわけです
柏倉様広角レンズになったことで見え方に少し歪みは出ますが、今のところ判別しにくいなと困ったことはないですね。これがもっと以前に発売されていたら、こんなにカメラを購入しなくてよかったかも(笑)。
柏倉様そうですね。以前に付けたものは撤去したのではなく、別の部屋に移したり、外側の廊下用に付け直しました。そうすることで、さらに死角がなくなりました。
柏倉様子どもの揉めごとの仲裁にも役立つと聞いています。年長さんになると、ケンカが起きた時に「○○ちゃんに叩かれた」と保育士に主張してくるようになりますが、映像を見ると一目瞭然。「きみが先にぶつかっているでしょ。だから、どっちもごめんなさいじゃないの?」といった対応ができるわけです。
柏倉様今までのカメラは録画した映像のファイル名に日付と時間が入るだけで、録画機にある大量のファイルの中から目的のものを探し出さないといけませんでした。アロバビューでは、映像を再生するソフトの画面上にカレンダーが表示されて、そこで日付を選択すればすぐに再生できるようになったので、確認しやすくなりましたね。
柏倉様今回、アロバビューになって、撮った映像をすぐ再生できるのは助かっています。ただ、子どもの動きや身体の大きさに合わせて画質をできるだけ高くして使用しているので、映像の読み込みに時間がかかることがあります。本当はもっと画質が上がって速くなればいいのですが、これらの機器を使う人の欲求は止めどなく上がっていくものでしょうし、欲をいえばキリがないですね。いずれにしろ大きなストレスではありません。
柏倉様実は、今回この取材を受けようと決めたのも、保育園や幼稚園、小学校くらいまでカメラの設置を広めたいと思っているからです。私が言うことでないかもしれないですが、カメラをつけることの必要性をもっと宣伝してほしい。全国的にカメラはあったほうがいい。他の園さんにぜひ勧めてほしいのです。
柏倉様そんな格好いいものではないです。いろいろな設備を入れているからといって、当園にケガがないかといえばありますし、事故が起きないかと言われればゼロではない。でも、実際に効果が表れていて、職員も保護者も子どもも助かるとなれば、付けるべきだろうと。このような安全管理対策は、「うちだけ良ければいいよね」というレベルのものではないと思うんです。事故の確率をコンマ1%でも下げられるなら、できるだけのことはしたい。それに尽きます。