LTEルーター「UD-LT1」導入事例
【株式会社 夢逢いファーム】

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LTEルーター「UD-LT1」導入事例

取材日:2018年10月12日

なぜ銀行が本気で農業を?!
宮崎をアボカドの一大産地へ! 夢の農業革命にIoTを活用。

夢逢いファーム様

地元宮崎の基幹産業である農業に主体的に取り組むため、全国でも珍しいアボカドのハウス栽培を始められた宮崎銀行グループ出資の(株)夢逢いファーム様。このたび、ハウス内の映像をデータ通信するシステムにアイ・オー・データ機器のLTEルーター「UD-LT1」を導入されました。銀行自らが農業のビジネスモデルとなって地方創生に貢献できるよう、IoTによる農業革命に挑戦されています。その導入の経緯とメリットについて(株)宮崎銀行の竹下浩二様、(株)夢逢いファームの梅﨑裕一様と緒方省吾様、(株)デンサンの白石陽香様にお話を伺いました。

宮崎の「ネクスト・マンゴー」を目指して、宮崎銀行グループ出資の農業法人を設立。

銀行が農業を手掛ける理由について教えてください。

株式会社宮崎銀行 地方創生部 アグリ・フードビジネス推進担当 調査役 竹下 浩二様
株式会社宮崎銀行 地方創生部
アグリ・フードビジネス推進担当
調査役 竹下 浩二様

竹下様これまで農家さんに一生懸命融資を行ったり、販路拡大などのソリューションを提供してきましたが、耕作放棄地の増加は止まらない、農家数の減少も止まらない。理由を端的に言うと、収益性が低いから。ならば我々が主体的に畑を耕して、農家のビジネスモデルをつくり、それを普及させていくことで地方創生につなげようと。そんな考えで、夢逢いファームを立ち上げました。

株式会社 夢逢いファーム 代表取締役 梅﨑 裕一様
株式会社 夢逢いファーム
代表取締役 梅﨑 裕一様

梅﨑様果樹農業は実がなるまでの2〜3年は収入にならないわけで、個人では簡単にできません。ならば銀行としてチャレンジしてみようと考えました。自ら汗を流してやろう。リスクも冒すし、経営資源も投入する。そうしないと説得力がありませんから。銀行自体も、農業とはこういうものかと頭でなく実践で理解できます。そうやってまた、農家の方々により良いお手伝いや融資ができるのではないか、そう考えています。

農作物の中でアボカドを選ばれたのはなぜですか?

竹下様国内消費量が伸びていることが大事。今や飽食の時代、消費者が食べないものを作っても収益につながらないから需要の強いものを選定しました。そして既存のお客様とバッティングしないもの。我々が後発で農業に参入するので、お客様と同じ品目でマーケットに出ていくと値崩れしてご迷惑をかけてしまうので、今までにない新しい品目をと考えました。

株式会社 夢逢いファーム 農場長 緒方 省吾様
株式会社 夢逢いファーム
農場長 緒方 省吾様

緒方様実際、他県にもアボカドを作っている農家がありますが、メキシコ産と同じ品種のようです。弊社は全く違う品種でサイズも大きく味も違うので、高級路線でいこうと考えています。いわば宮崎の「ネクスト・マンゴー」です。

梅﨑様弊社に技術を教えてくださった先生の農園にはもう実がなっていて、それはもう見事ですよ。一般のスーパーで売っているものに比べて5倍のサイズで、味も非常に美味しいです。昨年あたりから本格的に出荷されましたが、宮崎空港や百貨店で贈答品として人気です。

緒方様アボカドは99%輸入品で国産は1%くらい。いま国産にマーケットの目が向いており、超大手のバイヤーさんが見に来られます。「初めて見た。ハウスで作っているアボカドは世界にないはずだ」と絶賛されていました。だからここ一円をアボカドの一大産地にするのが夢ですね。

国内ではあまり実績のないアボカド栽培。ノウハウの蓄積と遠隔監視のためにIoTを導入。

アボカドの栽培にIoTを導入された経緯についてお聞かせください。

宮崎銀行様でのインタビュー風景

竹下様我々のような素人が農業を始めるのに、アボカドの栽培ノウハウはない。だから、温度や湿度、CO2濃度といった基本的な栽培データは残そうと。我々が集積したデータを将来農家さんが使ってくれるかもしれないと考えました。

白石様弊社デンサンはそのために協力企業様との共同で「アグリネット」という管理システムを導入しました。温度、湿度、炭酸ガス、照度、地温のセンサーをハウス内に設置していて、リアルタイムでスマートフォンやタブレットで確認できます。

株式会社 デンサン ビジネス営業部 営業課 白石 陽香様
株式会社 デンサン
ビジネス営業部 営業課 白石 陽香様

緒方様一番いいのは、このデータが蓄積されること。例えば2年前はどうだったか、今年は発育が悪いけど去年と比べてどうなのか?といったデータがチェックできるので。今はまだデータを確認するだけですが、2~3年後はさらに効果が出てくると思います。その日の写真や報告も蓄積されて、農業日誌にもなります。

そうしたIoTの一環として映像通信システムを導入されたのですね。

梅﨑様はい。私と緒方の2人の会社で、実際にハウスに1日いるのは緒方だけなので、管理負担を減らすためですね。

緒方様最初は監視されるのがイヤで拒んでいたのですが、夏が来て、私が倒れたら誰も助けに来ないよねと(苦笑)。やはり安心感がほしくて、白石さんに映像が見たいとお願いしたのが経緯です。

LTEルーターの映像システムにより、低コストで大きな成果を実現。

システムにLTEルーターを採用された理由をお聞かせください。

LTEルーターの映像システム

白石様周囲は田んぼなので、わざわざ光回線を引いて工事費をかけるのは得策ではない。SIMでできれば、設置コストもランニングコストも安いと考えました。見る時しかデータ通信は発生しないので、データ量は3GBのプランで足りています。

緒方様夜間に映像を見るための照明の遠隔電源もLTEルーターにつながっています。

夜間に映像を見るための照明の遠隔電源もLTEルーターにつながっています

白石様夜にライトを当てっぱなしにするのは育成に影響が出るのでNG。センサーライトも葉が風で揺れるだけで点灯するので使用できない。では見る時だけ電気を入れてもらおうと考え、遠隔電源制御装置をつけました。選定には慎重になりましたが。

実際に使用されてからはいかがですか?

アボカド農場でのインタビュー風景

緒方様映像システムを入れて初めて、わざわざ見回りの為に農場に行く手間が省けました。自動で水を撒くといえど、1日空けると不安なんです。自宅から映像で湿り気があると確認できるので、心配が全くなくなりましたね。

白石様夢逢いファームの梅﨑様、緒方様だけでなく、宮崎銀行の竹下様はじめ本部サイドの方々も閲覧できるようになっています。

梅﨑様導入して1ヶ月後、2週続けて台風が来て、非常に役に立ちました。今回の台風24号・25号は風が強かったでしょう。よく台風のさなかに田んぼを見に行って事故にあうケースがあるじゃないですか。農業を始めて気持ちが分かるんですが、大切に育てた作物は見に行きたくなるんです。それが事務所内で見られるのはいいですね。

竹下 浩二様 / 白石 陽香様 / 緒方 省吾様

緒方様事務所がハウスの2km先にあり、ずっと事務所で待機するのですが、不安じゃないですか。パソコンで映像確認できれば、何も揺れてないと分かる。翌朝も途中の道が冠水して通れなくなっていて、道が塞がって人が来れなくても作物の様子が見られるのは大きなメリットです。

竹下様私も心配になって自分の家から確認しました。

緒方様究極を言うと、見ても何もできません。ですが、仕方がないと諦めはつきますよね。私は台風前の準備をするしかできませんが、あとはみんなが見てくれている。一人だけでなく全員がこの状況を共有できているという、仕事として安心感があるのが非常にありがたいですね。

あとセキュリティー的な意味でも安心感がありますか?

ネットワークカメラ

緒方様はい。ですので、「防犯カメラ撮影中」という表示を扉につけています。それが抑止力になっていると思います。

梅﨑様万一の時はすぐ顔写真が撮れて、データの蓄積があるため特定もしやすいですし。

白石様社員の方の省力化、災害時の状況確認、そして防犯という3つが全部クリアできるシステムだと考えています。

「農業IoT」の時代へ、畜産や養鰻など多様な現場へ積極的に展開を。

今後の展開やご要望はありますか?

竹下 浩二様 / 白石 陽香様

竹下様今年の2月に、農業IoTセミナーというものを開きました。IoTで今こんなに素晴らしいソリューションがあることを紹介しました。興味のある方が多く反響も良かったのですが、まだ皆様自分で投資してやるにはリスクが高いという様子見の状況なので、我々が先行して積極的に啓発していきたいですね。

白石様映像システムは、牛舎からの引き合いもあります。種付けで牛がスタンバイ状態になった時に、受精師さんに連絡して駆けつけてもらうそうですが、片道40分かかってハズレの場合もあると。だから映像で判断したい。牛舎は山の上にあって回線が引けないから、LTEルーターの提案になりますね。

竹下様畜産や露地野菜生産をされているところにもご紹介できますし、それが銀行として地方創生になると思います。デンサンさんも、アイ・オー・データ機器さんも紹介できます。アボカドの栽培を通じて、そうした協力関係、人間関係を育てていると考えています。

取材後記

まったく農業経験のない銀行マンが地元のために自ら土を耕す。アボカド栽培という新しいチャレンジを率先し、宮崎に新たな農業ブランドを確立したい。今回お話を伺っている中で宮崎銀行様・夢逢いファーム様の熱い情熱を持ったお取り組みに対して設備を手がけたデンサン様、その協力会社の三保電機様の4社が一丸となって同じ夢に向かって協力されている姿に、感銘を受けました。地方創生に本気で取り組むこのチームワークから、「IoT農業」の理想形を教わった思いがします。初収穫は2019年秋の予定ということですので、非常に楽しみです。

導入企業概要

宮崎銀行本店
法人名
株式会社宮崎銀行
http://www.miyagin.co.jp/
会社概要
創立以来、一貫して郷土とともにある地方銀行として、地域社会に貢献し、健全経営に徹することを基本信条に活動。中期経営計画では『お客さま成長力No.1銀行』を掲げ、地域の未来創造に挑戦している。
所在地
宮崎県宮崎市橘通東4丁目3番5号
設立
1932年7月
ご担当者名
地方創生部 アグリ・フードビジネス推進担当 調査役 竹下 浩二様

導入企業概要

法人名
株式会社 夢逢いファーム
会社概要
地方創生の取り組みの一環として、株式会社宮崎銀行グループが設立。宮崎市富吉地区の農場にてアボカドの栽培を始め、宮崎の農業を元気に盛り上げ、地域経済の活性化に貢献すべく挑戦する。
所在地
宮崎県宮崎市大字富吉4141番地2
設立
2017年8月
ご担当者名
代表取締役 梅﨑 裕一様 / 農場長 緒方 省吾様

協力法人概要

法人名
株式会社 デンサン
http://www.densan-soft.co.jp/
会社概要
クラウド環境でのシステムサービス、レガシーシステムのオープン化・ダウンサイジング化など、お客様のニーズに合わせ、最適のソリューションを提案する。
所在地
宮崎県宮崎市大字赤江字飛江田224番地
設立
1966年12月
ご担当者名
ビジネス営業部 営業課 白石 陽香様
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