取材日:2019年11月26日
宮崎県児湯郡都農町で「介護付有料老人ホーム ぶどうのみ」「デイサービスセンター すずのね」を運営する有限会社ライフサポート宙(そら)様。業務上重要なデータを確実に保存するため、宮崎電子機器株式会社様の提供する「MDクラウド」を導入されました。同システムはアイ・オー・データ機器のNASを使用し、NASに保存されたデータをクラウドへ自動複製するもの。台風の多い地域柄、停電にもインターネットの遮断にも備えた二重のバックアップ体制を実現しました。導入の経緯と効果、今後の展望について、ライフサポート宙代表取締役の成合知宙様、宮崎電子機器の駒山貴志様と川野祐輔様にお話を伺いました。
成合様「介護付有料老人ホーム ぶどうのみ」では、介護度のついた利用者様をお預かりして、日々の生活の場としてお部屋を提供し、衣食住のお世話をしています。また、隣接してデイサービスセンター「すずのね」も運営し、入浴や食事などの介助サービスを行っています。高齢者ケアの仕事を手がけて14年目になります。
成合様こうした業務の中で、取り扱うデータも多岐にわたります。まず、最初にいただく個人情報。そして日々の介護や看護、外出、食事などについても、お一人おひとりの個別の記録と、ホーム全体の記録があり、それら全てをデータで管理してきました。
成合様職員の平均年齢が高く、パソコンに疎い、キーボードでローマ字入力ができないという世代がいます。入社して業務を覚えてもらうのと同時に、パソコンの操作も覚えてもらうケースがあります。
成合様なぜデータで管理するかといえば、自治体の監査が入る際に手書きの書類はNGだからです。創業時からその流れにあったので、弊社では初期からオフィスソフトで作製しており、全てが手書きの書類はありません。ですからNASも以前から導入していました。
成合様高齢者施設はこの町内には少ないですが、近隣の日向市や延岡市には把握しきれないほどあります。積極的に新技術を取り入れているところもありますから、この地域でも新しいものをどこかが始めなければどんどん遅れていくので、自分が若いぶん、早め早めに導入することを心がけています。
成合様新しい設備のご紹介もしていきたいですね。実際、先月も新しい介護ロボットの見学の場として当施設を提供しました。この先も、そういう点で一歩先駆けていきたい。業務の効率化が図れますし、スタッフも集まりやすいですから。
駒山様以前のNASは他社製品を使用されていたのですが、台風の停電によって一部のデータが壊れてしまったのです。
成合様なんとそれが監査の前日で、12時間もの停電でした。電気が復旧して起動していくにつれて、「あれ、何か少なくないか?」と。もしかしてという不安で、すぐに宮崎電子機器さんに連絡したのですが…データ保存の重要性を改めて実感しました。
駒山様それで、アイ・オー・データ機器と当社のMDクラウドの連携スタートがちょうど時期的に重なったこともあって、「大切なデータはクラウドにあげておきましょう」とご提案しました。
成合様クラウドに関しては以前から展示会にご招待いただいており、「いつから始まるんですか?」とお聞きしていたんです。宮崎電子機器さんとの信頼関係があり、コストも安心の対価と考えれば全く問題なく、二つ返事で導入しました。
駒山様はい。当初クラウドのみの提案も考慮しましたが、例えば監査の日に、回線に問題があってインターネットに接続できないことも考えられるので、まずはNASで記録しクラウドでバックアップを取ることが基本だと考えました。
成合様書類は監査の前日に全て出力していたので、スキャンで読み取って再入力できました。ただ、写真や動画のデータが消失してしまいました。もう少し早く導入しておけばと最も後悔している点はそこですね。
成合様ええ。うちはドライブやバーベキューなどの行事が多く、利用者様を撮った写真や動画が毎月毎月かなりあります。それら全て、NASにアップしていたものが消失してしまったのです。
成合様写真や動画は、ご家族に定期的にお渡しています。また、当施設を出られる際にアルバムを作って進呈しています。ここでの生活ぶりを、ご家族はいつもご覧になっているわけではない。訪問されるタイミングが悪い場合、ご利用者様が寝ている時しか会えないケースさえあります。ここでの笑顔が見られないご家族の方々からは特に、写真や動画は喜ばれています。
成合様はい。写真をNASにアップするのは私がやっていますが、撮影は行事ごとに2名のカメラ担当を指名しています。そうしたスタッフも写真を見直すことがあります。2年分なくなったデータの中では写真のほうが重い存在ですね。
成合様安心感は一番あります。導入してそんなに日が経っておらず、みんなが特に今までと遜色なく使っているので実感はないのですが。その後も停電は何度かありましたが、問題なく動作しています。
成合様セキュリティに関しての心配もありません。アクセスの権限は個別に設定しています。例えば栄養士さんは食事関係のフォルダ、一般の介護スタッフは介護のフォルダしか開けません。どれも非常に重要な個人情報ですが、NASとクラウドサービスで守られていると思うので、現状特に不安な点はないですね。
川野様MDクラウドの信頼性の裏付けですが、AmazonS3完全準拠のため汎用性が高く、冗長化やレプリケーションなど多彩な機能を活用できます。UTMの設置でセキュリティ面も頑強です。データセンターに入室の際は指紋登録とICカードが必要であり、信頼性も担保されています。
駒山様あと、容量はもともと導入されていたNASと同じく4TBで、ミラーリングによって2TB使える仕様です。台風などの非日常ではなく、日常という意味で容量的にも問題なくお使いいただいていると思います。
駒山様NAS遠隔監視システムNarSuSの機能によって、当社で機器の状況を確認できます。設定変更が必要な場合などもリアルタイムに分かるので重宝しています。また、機器本体不良の時も自前で保守が出来る自営保守を行っていますので、何かあった時にすぐに確認・駆けつけて保守ができるというのが一番のメリットと考えています。
川野様それに加えて、MDクラウドとの連携ですね。セッティングが比較的容易で、データの同期も早い。クラウドとの親和性に定評がありますから、この分野でアイ・オー・データ機器のNASは信頼性が高いです。
駒山様データ移行に関しては、最も業務の邪魔にならない夕方に始めて、翌朝にちゃんと移行できたかどうかを確認。何も問題なく一晩で完了しました。
成合様データ保全が第一ですね。データが消失した2年の間に入居されて亡くなる方もいらっしゃいました。途中でご家族にお渡しできた写真はいいですが、もし何も残らなかったら、ここにいた記憶や記録がゼロになります。思い出は二度と撮れないので、これからも厳重なバックアップ体制を築きたいですね。
成合様このほかでは、毎年、福祉機器展には必ず行くようにしています。今後導入したいのは排尿センサーで、寝ている利用者様を起こすことなく、おむつを的確なタイミングで交換できます。あとはキーボードが打てないスタッフのために、音声入力ソフトの精度が上がってほしい。タブレットの手書き入力ソフトも考えています。
成合様介護系の業種はどこも人手不足と言われていますが、弊社はスタッフが非常に充実しています。これまで効率化を目指してきたことで何か感じてくれている部分があるのでは、と思っています。
駒山様弊社がクラウドサービスを始めたきっかけは、自社で持つことでより安価で安全なクラウド環境を提供できるからです。今回はNASのバックアップだけですが、今後は防犯カメラ・IoTなどにも活用していただけると考えています。