取材日:2021年2月20日
金沢市立夕日寺小学校は、石川県金沢市のICT教育実践モデル校として、様々な先進的なプロジェクトへの取り組みで知られています。2020年度はコロナ禍という厳しい状況の中、密を避ける配慮を行いながら「6年生を送る会」を開催。保護者や在校生はできる限り会場に入らず、ライブ配信で出し物などを共有しました。配信時に活用したのは「4Kパススルー対応 iPad連動型ストリーミングBOX 『LIVE ARISER』GV-LSMIXER/I」(以下「GV-LSMIXER/I」と表記)です。
同校の的場茂樹校長に、ウィズコロナの学校行事のあり方、さらにはアフターコロナの教育現場でのICTへの取り組みについて、詳しくお話を伺いました。
的場校長「6年生を送る会」は従来、保護者や地域の皆さんに来校いただき、また在校生も体育館に集まって行ってきましたが、さすがに今年は密集して行うことは不可能です。安全を保った形で保護者のためにリハーサルの公開なども行ってみましたが、やはり本番の雰囲気はうまく伝わりません。なんとかしたいと調べた結果、ライブ配信にたどり着きました。
的場校長今回はWeb会議サービスなども含めて様々な方法を検討しましたが、画質・音声ともに十分な品質を保てるライブ配信が一番と結論付けました。Web会議サービスは双方向でオンライン授業には適していますが、同時視聴数に制限のあるものも多く、得意分野が違うという印象ですね。
的場校長アクセス権を与えられた人なら、インターネットがあればどこからでも視聴していただけます。保護者や関係者は自宅から、また、在校生は自分の出し物の時だけ会場で、それ以外は教室から会の様子を見守りました。「GV-LSMIXER/I」は画面の切り替えやテロップの編集、またWebへのアップロードなど、1台で何役もこなしてくれました。
的場校長途中で音声や配信が途切れるなどの小さなトラブルもありましたが、復旧も早かったですね。最後まで配信し続けることができてほっとしています。最大で160人の保護者が視聴していました。これから皆さんと感想を共有するのが楽しみです。
的場校長私と担任の先生とで事前のセッティングを行い、基本的な使い方を指導して、後は子どもたちに任せました。本番でも何かアドバイスすることがあればと思い、側で見守っていたのですが、指導することはほぼありませんでした。「GV-LSMIXER/I」は本体もレバーとボタンだけですし、小学5年生でも十分扱える簡単さがあります。おかげで意欲的に取り組めたようですね。リハーサル時には、どうやって見せようか、画面をいつ切り替えようかと、自分たちで一生懸命考えていました。
的場校長ICTという観点では、小学生はまだ学びの入り口の段階にいます。ですから、ツールの操作しやすさは非常に重要な要素です。まずは敷居を低く、わかりやすく、楽しめるようにしてあげること。応用は後に徐々に覚えてくれればと思います。これからの時代を生きる子どもたちにとって、ICTは避けて通れないことですから、学校としてはなるべく様々な経験をさせてあげて、力になるようにサポートしたいですね。
的場校長子どもの学びのための活動というのは、本物を体験することが重要です。例えば、各分野のスペシャリストを学校に招いてお話を聞いたり、または自分たちが出かけて行って見学させてもらったり。コロナ禍により、子どもたちのこうした貴重な「本物体験」の機会が損なわれています。しかし一方で、Web会議サービスなどを使って、オンライン社会科見学のようなことを行う動きも出てきています。ちょうど先日、ZOOMを使って地元、加賀野菜の生産者さんにお話しを伺ったばかりです。
的場校長以前からインターネットを使った双方向コミュニケーションは、教育機関の注目を集めていたと思います。しかし、帯域など様々な環境の制約のせいで、すんなり定着というわけにはいきませんでした。それが今回のコロナ禍で、必要に迫られる形で一気に広がっているとも言えますね。動画配信も含めて、このような新しい取り組みはますます増えることが予測できます。これらはコロナ禍が収束した後も活用する価値のあるものです。以前から、様々な理由で学校行事に参加したくてもできないという保護者の方は存在しています。その方たちのためにもライブ配信という手段を用意しておけば、オンラインで一緒に行事を体験してもらえます。
的場校長実はすでに、他校から教えて欲しいという問い合わせもいただいています。ライブ配信は、1から始めようとすると相応の知識が要求され、なかなかハードルの高いものでもあります。しかし、「GV-LSMIXER/I」のような誰でも簡単に扱える専用機材の助けがあれば、比較的安心して挑戦できるかと思います。今後の普及が期待されるところでもありますね。