(写真)I-O DATAのブース
(記事公開日:2019年10月21日)
2019年9月25日~27日の3日間、インテックス大阪において、第3回学校・教育・総合展「EDIX関西」が開催されました。EDIX関西は、小学校、中学校、高校、大学、専門学校、塾・予備校の先生や職員など教育現場の方々が、多数来場する教育分野における日本最大の総合展です。
(写真)EDIX関西の会場(インテックス大阪)
MAGAZINE編集部もEDIX関西に行ってきましたので、その様子を皆さんにレポートします。私は前職が専門学校で教員として教えていたり、現在も社会人向け講座の講師をしたりと、教育に携わっていることもあり、とても興味深く見ることができました。
娘も来春から小学校1年生になりますので、これから学校教育の現場でどのようにICTが活用されて行くのかは一番の関心事です。
ICT大型提示装置のラインアップとして、電子黒板、てれたっち、大型ディスプレイの3つを展示していました。導入やランニングコストなどの予算をはじめ、教員が使いやすいものかどうか、児童・生徒にとって学習効果が上がる良いものかどうかなど検討する事項も多いです。各学校の予算やニーズに合わせ、いろんな選択肢や組み合わせをご提案できるのもI-O DATAの強みと言えます。
(図)I-O DATA のICT大型提示装置のラインアップ
(写真)大型提示装置を熱心に触れる教育関係者の方々
教育ICTにおける機器としては、PC、タブレット、高速インターネットや無線LAN、大型提示装置などがあります。中でもI-O DATAは大型提示装置の整備・充実に関する提案に力を入れています。文部科学省では、2018年度までは普通教室の「電子黒板整備率」を調査していましたが、方針を変更し、2019年度は普通教室の「大型提示装置整備率」に調査対象を変更しました。その結果、電子黒板以外にも大型ディスプレイ、デジタルテレビを含むようになり、その整備率は51.2%に上昇しました。
(写真)大型提示装置の普通教室普及率は51.2%
選択肢が電子黒板だけから、大型ディスプレイも含むようになりましたので、学校での導入もしやすくなった背景があります。それでは、電子黒板、てれたっち、大型ディスプレイの3つの特長を見ていきましょう。
電子黒板は、今冬発売を予定している4K対応65型電子黒板「らくらく電子黒板(IWB-651EB)」のデモ機を見ることができました。他のブースでも電子黒板のデモは多く見られましたが、そのほとんどはプロジェクタで投影するタイプです。
一方、I-O DATAではディスプレイに電子黒板機能を付加した一体型であり、実は、欧米ではこのタイプが主流となります。確かに映像を見比べても、タッチする感覚もディスプレイ一体型の方が優れている印象を受けました。この商品開発のアプローチはディスプレイメーカーである強みです。
(写真)「らくらく電子黒板 IWB-651EB」のデモの様子
(写真)「らくらく電子黒板 IWB-651EB」のポイント
ディスプレイ表示の美しさや外部機器と接続のための出力端子の充実など、ディスプレイ開発において、これまで培ってきた技術が詰まっています。タッチ操作は10点マルチタッチ対応で、同時に10人で操作できます。「らくらく電子黒板」の前にたくさんの生徒が集まって、楽しそうに操作しているのが目に浮かびました。
(写真)タッチの反応も良く、指の動きと描画のずれを感じない
上下左右170°の視野角があるため、広い教室で生徒が色々な方向からでもクッキリときれいに見ることができます。液晶ディスプレイシェアNo.1(※)の実力が裏づけされたI-O DATA初の一体型電子黒板になるので楽しみです。
(※) 2014年~2018年(5年連続)「PC用モニタ」メーカー別・金額シェア全国有力家電量販店の販売実績集計/GfK Japan調べ
(写真)上下左右170°の視野角のパネルは斜めから見てもきれい
次は、導入コストが抑えられる外付け型タッチ化ユニット「てれたっち(DA-TOUCH)」です。「てれたっち」は、今使っている大型テレビやディスプレイの上部に取り付けるだけなので、設置から導入までがとても簡単で、低コストで電子黒板を実現することができます。デモでは、4K対応55型液晶ディスプレイ「LCD-M4K552XDB」に「てれたっち」が取り付けられていました。
(写真)大型ディスプレイ「LCD-M4K552XDB」の上部に「てれたっち」が取り付けられている
取り付けにはドライバーなどの工具は不要、伸縮可能なので46型から80型までの幅広いサイズに対応しています。ディスプレイの上部に取り付けるだけで、専用ペンを使ってタッチ操作が可能な電子黒板に早変わりします。タッチ操作は2点マルチタッチ対応で、同時に2人で操作できます。
(写真)専用ペンでタッチ操作が可能
「てれたっち」の担当者には無理を言って、実際の取り外しと取り付けを実演してもらいました。ものの数分で出来てしまったので驚きです。これなら、1台の「てれたっち」があるだけで、使用したい教室ですぐに使い始められるので、テスト的に導入するのも良いのではないでしょうか。
(写真)取り外した「てれたっち」。伸縮してディスプレイサイズに合わせられる。
(写真)「てれたっち」を取り付けているところ
(写真)「てれたっち」が取り付けられた状態
電子黒板は学校に数台は導入されていても、コストの問題が大きく、普通教室のすべてにまで導入されている場合は少ないです。そんな課題も「てれたっち」は解決してくれます。
教室のIT活用の第一歩として、まずは大型ディスプレイを導入して大きく映すことから始めることです。この場合、将来的に「てれたっち」を導入することで、電子黒板化も容易になります。
(写真)4K対応&広視野角ADSパネル採用65型ワイド液晶ディスプレイ「LCD-M4K651XDB」
PC用のディスプレイはテレビと比べて入力端子が豊富なので、PCだけでなく、レコーダーやビデオカメラなどAV機器をつないで、大画面で高解像度の映像を見ることができます。授業において映像や音を使った様々な表現が可能となり、楽しく、情報伝達力に優れた授業が期待できます。大画面に映し出されるので、先生がどこを説明しているのか一目で分かり、生徒の注目を一斉に集めることができ理解度を深めることができます。
(写真)「LCD-M4K651XDB」のポイント
(写真)テレビよりもディスプレイが良い点
電子黒板、てれたっち、大型ディスプレイの3つの提案はいかがでしたでしょうか。予算や機能を比較して検討できるので、各学校のニーズに合わせた導入がスムーズだと思います。
「えっ、小学生がプログラミング!?」と思われる方も多いのではないでしょうか。いよいよ2020年から小学校でプログラミング教育が必修化されます。プログラミング教育はプログラマーを育成するのではなく、「プログラミング的思考」を育むことが一番のねらいです。
「プログラミング的思考」により、動作の組み合わせを考えたり改善するような「論理的に考えていく力」を育くみます。プログラミングの結果が目に見える形となるので「成功体験を得られる」ことを積み重ねることにより、生徒は自信がついていきます。
さらには、情報社会においてコンピュータ等を上手に活用して身近な問題を解決したり、より良い社会を築いたりしようとする態度を育むこともねらいとなっています。
(写真)授業組込み型プログラミング教育例
プログラミング教育例としては、算数、理科、音楽、総合的な学習、家庭、社会といったように、どんな教科にも組み込みが可能で、プログラミング的思考を学べます。今回、プログラミング教育の先進国イギリスで採用されている「Raspberry Pi」や新商品の「IchigoDyhook(イチゴダイフク)」を使ったプログラミング授業として2タイプが披露されてました。一体どのようなことが授業で行われるのかを実際に目にして驚きました。きっと皆さんもビックリされると思います。
「IchigoJam BASIC」は、初心者向けのテキスト記述式プログラミング言語です。「IchigoJam BASIC」の特長は、コンピュータ上でプログラムを学ぶだけでなく、実際にさまざまな機器と連携して動作させることができます。
(写真)「IchigoJam BASIC」によるプログラム例
テキスト記述式プログラミング言語なので、アルファベットと数字などを使った記述になります。初心者向けとはいえ、本当に小学生がこんなことできるのでしょうか。担当者の話によると、これまでに開催した数々の子ども向けプログラミング教室において、子どもたちは難なくやってのけるということでした。子どもたちの好奇心や吸収力の凄さに感心しました。
考えてみれば、私の娘も2歳頃からタブレットを器用に使いこなしてYouTubeを観てましたから、子どもたちの幼少期からの環境が、昔と比べると随分IT化が進んでいる表れなのでしょう。
デモでは、電源、キーボード、ディスプレイが一体化したIchigoJamプログラミングキット「IchigoDyhook(イチゴダイフク)」と、USBメモリー感覚でプログラムを他の機器へ持ち出せる「IchigoDake(イチゴダケ)」を使って、子ども自動車「Radish(ラディッシュ)」や教育用ドローン「Tello EDU(テロイーディーユー)」を動かす実演がありました。
(写真)「IchigoDyhook」に取り付けらている「IchigoDake」
子ども自動車「Radish」を制御するプログラムの実演では、障害物を検知して自動で停止する様子が見られました。普及が進んでいる自動車の衝突回避機能を子どもたちが自分で作れるわけですから、興味はとても大きくなります。
(写真)子ども自動車「Radish」の制御するプログラム。障害物があると自動停止する
(写真)子ども自動車「Radish」の実演
教育用ドローン「Tello EDU」を制御するプログラムの実演では、離陸から着陸までをプログラミングされたドローン飛行の様子を見られました。プログラムが入った「IchigoDake」をドローンとWi-Fi通信できる「FruitPunch(フルーツパンチ)」に挿入してドローンを制御します。
(写真)教育用ドローン「Tello EDU」を制御するプログラム
(写真)プログラムの入った「IchigoDake」を「FruitPunch」に挿入
(写真)プログラムどおりに飛行するドローン
実際に目の前で、自動車が走ったり、ドローンが飛行したりするのを見れば、子どもたちの感動は計り知れないだろうと感じました。子どもたち自身のプログラミングの結果が、そのまま自動車やドローンの動作につながるので、失敗や成功を重ねる中で、プログラミング的思考、論理的思考や成功体験が育まれるのは間違いないですね。何より楽しく学べます。
「Scratch(スクラッチ)」は、プログラム命令があらかじめブロックで用意されており、マウスを使ってパズル感覚でブロックをつなぎ合わせるだけでプログラミングができます。主にマウスで操作するため、キーボードに慣れていない小学生でも簡単に使うことができます。
「Scratch」は、米マサチューセッツ工科大学のメディアラボが無償公開しているソフトで、日本語化もされています。I-O DATAでは、Raspberry Piで行っている点が特長で、Scratchプログラミングキット「UD-RP3PKR」により、プログラミング学習を手軽に始められます。
(写真)マウス操作でプログラミングできる「Scratch(スクラッチ)」
(写真)説明を受けている学校の先生
(写真)Scratchプログラミングキット「UD-RP3PKR」
※液晶ディスプレイとテレビ接続用のHDMIケーブルは付属しておりません。
プログラミングでキャラクターを思いどおりに動かすことができるので、子どもたちの想像力を豊かにすることができると感じました。
日本におけるプログラミング教育はまだ黎明期なので、今後ますます、機器やソフトも進化していきます。生徒が理解しやすく、準備や片付けも簡単で、先生が扱いやすく負担も少ない、低コストなプログラミング教材の登場を期待しています。
その他の展示内容として、セキュリティ機能を持ったUSBメモリーやHDD(ハードディスク)、ファイルを保存・共有できるNAS、通常サイズの液晶ディスプレイ、校内の見守りのためのネットワークカメラなどがありました。
I-O DATAでは、ICTに関する長年にわたる実績のもと、教育のICT化のための商品からサービス、環境づくりまでトータルに提案できるのは魅力です。各学校の事情に合わせてICT化を進められるので、理想の学校ICT化が実現できると思います。
液晶ディスプレイでは、ブルーライトを軽減する「ブルーリダクション機能」や、チラツキの無い「フリッカーレス設計」など生徒の目に優しい機能が搭載されています。また、生徒が画面を触ったりすることによる破損や汚れにも強い「保護フィルター」が付いていたり、画面を縦表示に変えられるなど、学校でのあらゆるシーンでご利用いただける豊富な商品ラインアップがI-O DATAの特長です。
(写真)豊富な商品ラインアップの液晶ディスプレイ
教材やテストなど、データの受け渡しや持ち運びにUSBメモリーやポータブルHDDは多くの先生が使われています。セキュリティ対応の商品であれば、万一、紛失したり盗難にあっても、第三者はデータを見ることができないので、簡単に始められる情報漏えい対策として有効であり、日々の利用に安心感があります。
NASは、校務データを一元管理し、先生同士でファイル共有したり、データ消失リスクの軽減、情報流出を予防できます。NASは管理が大変といったイメージがありますが、NASを見守るクラウド管理機能「NarSuS(ナーサス)」を追加費用なしで利用できます。先生に代わってクラウドサーバーがNASの状態を把握してくれるので、NAS管理の負担を大幅に軽減できます。
(写真)セキュリティー機能搭載のUSBメモリーやHDDと、データ共有できるNAS商品
(写真)セキュリティ機能で情報漏えい対策やNAS管理のための先生の負担を軽減できるNarSuS
ネットワークカメラ「Qwatch(クウォッチ)」は、職員室から映像で校内を見守ることができます。生徒たちが犯罪に巻き込まれるのを抑制したり、トラブルが発生した際の証拠として録画映像を残すこともできます。大切な生徒たちが安全に学校生活を送るためにも、保護者に安心していただくためにも「Qwatch」は役立ってくれます。
(写真)IoTセンサー搭載や屋外対応モデルなど商品ラインアップも充実
今回の学校・教育 総合展「EDIX関西」は、2020年度から「新学習指導要領」が始まることもあり、教育ICTの魅力ある機器やソフトが多数紹介されており、教育関係者の方々も熱心に話を聴かれていました。
今後、本格化する教育ICTによって、教育環境や教育の質がさらに良くなっていくだろうと改めて感じました。その教育を受けた児童や生徒が、やがて社会人となり活躍する時代が今から楽しみです。
本記事の内容については、サポートのお問い合わせ対象外となります。予めご了承ください。