(写真)NASのHDD交換
(記事公開日:2024年7月24日)
NASを使い続けると、データの増加によりNASの容量が足りなくなってきます。高解像度の写真やビデオ、バックアップデータの増加をはじめ、新しいプロジェクトの開始や業務の拡大に伴い、予想以上に容量が必要になることがあります。
今回、NASのHDDを自分で交換し、容量アップする方法をご紹介します。必要な時に増設し、スモールスタートが可能なことは、アイオーのNASの良さの1つです。
(写真)データ保存の冗長化技術
NASのデータ保存技術で「RAID(レイド)」という言葉をよく聞くと思います。RAIDは、複数のHDDを1つの保存先として扱う技術です。RAIDによりデータの冗長性を持たせることで、一部のHDDが故障してもシステムが停止したり、データ消失を起こしたりさせないことができます。また、故障したHDDを交換することで正常な状態に復帰することができます。
(図)拡張ボリュームの仕組み
一方、「拡張ボリューム」は、RAIDに代わるアイオー独自の冗長化技術で、誕生から10年以上が経過し、すでに、多くのアイオーNASで利用されている実績があります。
データ消失リスクの低減はもちろん、さらに拡張性にも優れ、ビジネスの成長に合わせた柔軟な容量の追加が可能です。導入時は少ない容量からスタートでき、利用状況に合わせて、容量を増やしていく運用ができます。
拡張ボリュームは、NASを構成するHDDを2台1組のペアとして、RAIDのようにファイルを分割したブロック単位ではなく、ファイル単位でペアのHDDにデータを記録します。
(写真)拡張ボリュームが可能なアイオーのNAS(LAN DISK)
拡張ボリュームの3つのポイントをご紹介します。
1つ目は、「HDDの同時故障が起きにくい」ことです。RAIDはデータの読み書きをすべてのHDDへ行うため部品の摩耗が均一に進行します。
したがって、NASを新規購入して稼働させる場合、基本的には同時に同じロットのHDDを稼働させることになるので、均一に摩耗することは故障時期が同時期になるリスクが非常に高くなります。
一方、拡張ボリュームでは、書き込みは2台のペアへ行い、読み込みは片方だけに行うことで部品の摩耗を偏らせ、HDDの同時故障リスクを低減しています。
(図)HDDの同時故障が起きにくい
2つ目は、「RAIDより復元が早い」ことです。RAIDの復元は、HDDの空き容量に関係なく、全容量に対して行われます。一方、拡張ボリュームは、ペアに保存されたファイルのコピーだけで済むため、RAIDと比較して早い復元が可能です。
(図)RAIDより復元が早い
3つ目は、「業務を止めずに容量増設ができる」ことです。RAIDはデータを保持したまま、大容量HDDへの交換は行えません。 拡張ボリュームは、HDDペアを順番に差し替えることができ、設定やデータを維持したまま容量増設が可能です。
(図)業務を止めずに容量増設ができる
今回、3つ目のHDD交換について詳しくご紹介します。あまり経験する機会もなく、「実際どうやってやるんだろう?」と心配な方もお見えだと思いますので、写真と一緒に手順をご説明します。
(写真)1TBと8TBのHDD
今回、NAS「HDL4-XA4B」を使って容量アップします。HDL4-XA4B は1TBのHDDが4つ搭載された4ドライブNASです。
拡張ボリュームで使用する場合、1TBのHDD2台がペア1組となり、ペア2組で合計実効容量が2TBとなります。このペアのうち1組を8TBのHDDのペアに交換することにより、合計実効容量を9TBまで容量アップします。
(図)NASの容量アップ
(写真)交換可能なカートリッジHDD
「本当に自分で交換できるだろうか?」とご心配な方も大丈夫です。ドライバーでネジを外したりすることも不要なカートリッジタイプのHDDなので、手順にしたがって進めれば、誰でも簡単に容量アップできます。
必ずNASの電源が入っている状態で、カートリッジの取り付け/取り外しを行います。
【1】はじめにNASの管理画面から、[ボリューム]→[内蔵]→[取り外し]をクリックし、[取り外しディスク]からペアの片方(この場合「内蔵ディスク3」)を選んで[実行]をクリックします。
「内蔵ディスク3を取り外しました。」と表示されたら、カートリッジの取り外しを行います。
【2】交換する1TBのカートリッジを取り外します。このとき、STATUSランプの点灯状況や、該当カートリッジのHDD/SSDランプが赤点滅(赤点灯でなく)または消灯していることを確認した上で取り外してください。
内蔵ディスク3の位置にあるカートリッジの着脱レバーを上げ、カートリッジを手前に引いて取り出します。
(写真)交換する1TBのカートリッジの着脱レバーを上げる
(写真)カートリッジの取り外し
(写真)カートリッジを取り外したNAS
(写真)取り外した1TBのカートリッジ
【3】取り付ける8TBのカートリッジの着脱レバーを固定されるまで上げます。
(写真)取り付ける8TBのカートリッジ
【4】カートリッジをスロットの奥まで挿入します。このとき必要以上の力を加えないように注意しましょう。故障の原因となります。
(写真)8TBのカートリッジを挿入
【5】カートリッジの挿入後、着脱レバーが「カチッ」と鳴るまで下ろします。
(写真)カートリッジの固定
【6】カートリッジが認識されると、自動で再構築(リビルド)が開始されます。再構築中はデータへのアクセスは可能ですが、通常より動作が遅くなります。
(写真)再構築中のNAS
【7】再構築が完了すると、ブザーが「ドミソド」と3回鳴ります。管理画面の右上に表示される「RAIDの状態」が「正常動作」になっていれば、再構築は完了しています。
以上で、ペアの1つ目のHDDの交換、再構築が完了しました。
【8】続いて、ペアのもう片方のHDDの交換を行います。NASの管理画面から、[ボリューム]→[内蔵]→[取り外し]をクリックし、[取り外しディスク]からペアのもう片方(この場合「内蔵ディスク4」)を選んで[実行]をクリックします。
【9】ペア1つ目のHDD同様にカートリッジを交換します。
(写真)ペアのもう片方の1TBカートリッジを取り外す
(写真)ペアのもう片方のカートリッジを取り外したNAS
(写真)取り外した1TBのカートリッジ
(写真)取り付ける8TBのカートリッジ
(写真)カートリッジの挿入
(写真)カートリッジの固定
【10】もう片方のカートリッジが認識されると、自動で再構築(リビルド)が開始されます。
【11】再構築が完了すると、ブザーが「ドミソド」と3回鳴ります。管理画面の右上に表示される「RAIDの状態」が「正常動作」になっていれば、再構築は完了しています。
以上で容量アップしたNASを利用できる状態にできました。
(写真)HDDを交換したNAS
カートリッジの交換により、実効容量を2TBから9TBに容量アップすることができました。実際に利用可能容量をビフォー・アフターで確認することができました。
今回、ペア1組のHDDを8TBに交換しましたが、残りの1TBのペア1組を同様に容量アップすることで、さらに全体の容量を増やすことができます。
(キャプチャー)HDD交換前の実効容量は2TB
(キャプチャー)HDD交換後の実効容量は9TB
(写真)容量アップしたNAS
今回、NAS運用のなかで経験のない作業であるHDD交換をしました。HDL4-XABシリーズは簡単に交換ができるカートリッジタイプなので、みなさんもぜひ挑戦してみてください。導入時に適切な容量を決められない場合や、想定以上にデータが膨らんだ場合も拡張ボリュームなら安心です。
◎関連リンク
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・高信頼ハードディスク「WD Red」採用 交換・増設用カートリッジ
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