取材日:2024年2月26日
大阪を代表するテレビ・ラジオ局としておなじみの毎日放送、その番組制作の現場で「HDPD-SUTB/Sシリーズ」が大規模導入されています。背景には放送業界のセキュリティ意識の高まりがあり、さらに、ユーザーにとっての使い勝手のよさ、管理のしやすさまで含め、多角的に検討された上で選ばれました。
今回の導入に携わったのは、現場のディレクターやスタッフをサポートする制作局業務推進部の西 茂樹様、社内のIT導入・管理を担う総合技術局の露口 三郎様、また、全社のITセキュリティを管轄する経営戦略局の崎山 成人様です。放送業界における昨今の事情から導入における選定ポイントまで、詳しくお話を伺いました。
露口様収録したデータを一時的に保存・運搬するために使っています。ロケ収録の場合、撮影データが保存されたSDカードを社内に持ち帰り、パソコン経由でデータを取り出すのですが、その際にSSDを保存先として使用しています。また、社内スタジオ収録の場合、収録データはすべて社内サーバーに集約されます。そこから編集のために必要な部分を取り出し、社外の協力会社に渡す際にSSDを使うことが多いですね。導入の目的は情報漏えい対策の強化です。収録データはすべてオンエア前の素材となるため、その保存・運搬用のSSDにセキュリティ機能は必須です。
露口様近年、記録メディアの紛失トラブルが世間を騒がせることが多いのですが、我々も放送局として他人事ではいられません。保存・運搬用のSSDに自動暗号化などの対策はまだ行っておらず、課題を感じていました。ポータブルの記録メディアは漏えいのリスクも高く、扱う現場のディレクターたちにとっても精神的負担だったと思います。
崎山様テレビ局における制作部門というものは、業務の性質上時間的制約が多く「明日放送する番組を今日作る」というようなスケジュール感ですから、少しでも現場のストレスを減らしてあげたい。セキュリティ対策も、個人や部署の裁量に任せるのではなく、全社でルールや仕組みを作って運用することで、より安心できる環境になると考えています。
露口様そこで、データの運搬には必ず「HDPD-SUTB/Sシリーズ」を使うという社内ルールを策定し、従来の暗号化されていないSSDを社外に持ち出す運用はすべて廃止しました。「HDPD-SUTB/Sシリーズ」には自動暗号化やパスワードロックの機能がありますので、万が一紛失しても被害は最小限にとどめられるはずです。
西様全社一斉導入されたことには意義がありましたね。現場のプロデューサーたちが部門の予算で導入しようとすると、セキュリティはどうしても二の次になってしまいがちです。限られた番組予算はできるだけ制作費にあてたいと考えるのが現場の人間というもの。今回、会社側から制作局に十分な台数を支給してもらえたので、レギュラー番組だけでなく、単発のプロジェクトまで行き渡りました。例外なく運用できることは重要です。
崎山様セキュリティを全社で検討すべきだという点は経営層も認識していました。SSDの利用頻度が一番高いのは制作局ですが、例えば普段は引き出しにしまっていて、ごくまれに利用するという部署の人もいます。このような使い方をしていと統制の外に置かれやすく、セキュリティリスクになりやすいです。様々なリスクをなくすためにも、全社一斉導入や全体ルールの策定が重要でした。
崎山様棚卸やパスワード管理などを行っています。利用頻度の高い部署には専用ライセンスを割り当てて管理を担当してもらっています。また、グループ会社でも導入検証のため貸与しています。
西様組織として大量のSSDを導入するなら、一元管理するための管理ソフトウェアが必要です。制作局では200台近く管理していますが、例えばパスワードはユーザー任せにするのではなく、ルールに基づいて各番組に決めてもらい、管理者が設定するなどして統制しています。
露口様「SUHM」は設定が細やかかつ柔軟で、パスワードの再設定、失敗回数上限の変更といった機能を重宝しています。以前、試験的にパスワード付のSSDを部分導入したことがあったのですが、運用中にパスワードロックによるトラブルが起こりました。パスワードの失敗回数の上限が少なく設定されていたようで、ロックがかかってしまったのです。その製品はロック後のデータを救済できない仕様だったんですよね。このときは初期化するしか手立てがなくて、編集したデータがすべて失われてしまいました。
西様結果、当時社内に普及することはありませんでした。
露口様手痛い失敗の経験がありましたから、今回の導入では管理ソフトウェアの存在は大きな決め手になりました。これがあればパスワードの上限回数は柔軟に設定できます。また、「遠隔地パスワード修復機能」があるので、例えばロケ先でトラブルが起こっても、管理者と連絡さえ取れればパスワードの再発行手続きなどが行えます。収録した素材は絶対に外部に漏れてはいけないものであると同時に、絶対に消失させてはいけないものですから、これは心強い機能ですね。
崎山様「SUHM」は設定の幅が広く、厳しく管理することもできますし、必要に応じて緩くもできます。多様なユーザーの働く現場でセキュリティ対策は欠かせませんが、あまりに厳しい運用ルールにすると生産性が低下してしまいますので、最低限必要なルールのもと状況に合わせて使い分ける必要があります。多機能、高機能かつ自由度が高いという「SUHM」の特長は、管理部門としては非常に助かるものです。
露口様ユーザー権限でログインしたPCでも利用できる点ですね。セキュリティロック付きのSSDというと、管理者権限のユーザーしか利用できない製品もあります。弊社の社給パソコンはユーザー権限での運用を前提としていますので、このような製品は導入できません。やはり臨機応変に対応できる製品が望ましいです。
露口様在阪の放送局は横のつながりがあり、セキュリティ対策の情報共有も度々行っています。ポータブルメディアのセキュリティ対策についてはどの局でも重視しているので、会合などがあれば必ずといっていいほど話題になります。
崎山様社外で扱うデータを暗号化し紛失漏洩を防ぐことについては、各社共に取り組まれておられます。情報漏えいが起これば、視聴者、出演者ほか、多くの方に迷惑をかけてしまいます。強い危機感を持っていましたが、自動暗号化機能を搭載した本製品を配布したことで、安全を担保することができました。万が一紛失事故があっても、これなら安心です。
西様このような製品を日常的に使うことは、セキュリティ意識の底上げにもつながっていると思います。
崎山様弊社の業務には協力会社を含む多くの方に関わっていただいておりますが、記録メディアも大量に扱います。「HDPD-SUTB/Sシリーズ」と「SUHM」のおかげで、結果的に本社だけでなくグループ会社も巻き込む形でセキュリティ維持が実現しつつあります。今回の導入にあたって、技術的なことから見積り、発注まで、細やかに対応してくれたアイ・オー・データ様の支援には十分満足しています。
昭和25年の設立以来、関西を代表するテレビ・ラジオ局として長年視聴者に親しまれてきました。大阪を拠点に地域密着型の情報発信に取り組み、またドラマやバラエティなどにおいても全国ヒットを多数生み出し、存在感を高めています。番組企画・制作、著作権取得・管理、Webコンテンツ制作など、グループ全体で多岐に渡る事業を展開しています。