(写真)過去帳をスキャンして簡単にデータ化できるソリューション
(記事公開日:2024年6月4日)
お寺の財産とも言える過去帳。過去帳には檀家さんの名簿や法事の履歴をはじめ、戸籍ではさかのぼれないほどの家系のルーツも分かる大切な書類です。万が一、火事や災害で消失してしまったら大変です。
(写真)お寺の過去帳
そんな心配に備え、過去帳をデータ化するのが一番の方法です。クラウド上に保存するサービスもありますが、個人情報なので躊躇するケースも多いと聞きます。また、パソコン操作が不得手な方にとっては、入力作業に手間も時間もかからない簡単な方法が求められます。
今回ご紹介する「スキャナー」+「NAS(ネットワークハードディスク)」を使った方法は、過去帳などの紙書類を簡単にデータ化し、火災や地震といった災害に備えて2重化できるシンプルかつ安価なソリューションです。
(写真)PFU製 A3非接触モデルスキャナー
「ScanSnap SV600」
(写真)SOHO 法人向け2ドライブNAS
「LAN DISK for SOHO(HDL2-TASOHOシリーズ)」
(写真)お寺の檀家さん
大切な檀家さんの過去帳をはじめ、その他の書物の保管や管理で、お寺では次のようなことでお困り事があるようです。これらを一挙に解決できるのが今回のソリューションになります。
【1】火災や地震といった災害などで、過去帳の焼失、紛失の恐れが常にあるので、もしもの時に備えたい。
【2】データ化したいけどパソコン操作が苦手で、色々なデータ保存サービスも難しそうで分からないし、やれる自信がない。
【3】檀家さんの重要な個人情報なので、データをクラウド上に保存しておくことに心配があり、できれば手元にデータを置いておきたい。
【4】パソコンが故障したり、買い替えたりしたときに、面倒な設定などの対応に不安がある。2025年秋にはWindows 10のサポートが終了し、Windows 11への切り替えも迫っている。
(写真)左: NAS「LAN DISK for SOHO(HDL2-TASOHOシリーズ)」 右:スキャナー「ScanSnap SV600」
スキャナー「ScanSnap SV600」とNAS「LAN DISK for SOHO(HDL2-TASOHOシリーズ)」の連携により、過去帳をどんどんデータ化してNASに保存できます。パソコンが苦手の方にとって一番嬉しいことは、スキャナー本体のボタン操作で簡単にNASへ保存できることです。
購入時にはスキャナーとNASを使えるようにするために、セットアップは必要になります。目安の時間は、スキャナーのセットアップに約15分、NASのセットアップに約20分かかりました。セットアップが済んでしまえば、あとはどんどん保存しましょう。
(写真)スキャナー「ScanSnap SV600」
「ScanSnap SV600」は書画用スキャナーなので、上から撮影するようにスキャンできるのが特長です。過去帳のような見開きの紙書類も置くだけで手軽にスキャンできます。
スキャナーのセットアップは、まず、はじめにPCへScanSnap用のソフトウェア「ScanSnap Home」をダウンロード、実行し、表示されるガイドに沿ってインストールを進めます。
ScanSnap ソフトウェア「ScanSnap Home」のダウンロードはこちらから
(キャプチャー)ScanSnapソフトウェアのダウンロード
セットアッププログラムを起動し、[次へ]をクリックします。
[標準インストール]選択して[次へ]をクリックします。
インストールの内容を確認して、[インストール]をクリックします。
インストールファイルのダウンロードが始まります。
ダウンロードが終わるとインストールが始まります。
接続する機種の選択画面になったら、今回使用するスキャナー「SV600」を選択して[セットアップ開始]をクリックします。
スキャナーに電源ケーブルでコンセントにつなぎ、USBケーブルでPCと接続します。
スキャナーの接続。
スキャナーの電源を入れる指示が出ますので、指示通りに行い、[次へ]をクリックします。
スキャナー前面の[Scan]または[Stop]ボタンを押して電源をONにします。
電源がONになると[Scan]ボタンが青色に点灯します。
接続が完了しましたので、[完了]をクリックします。
ScanSnapのセットアップが完了し、PCのメニューまたはスキャナー本体のボタンでスキャンできるようになりました。
いったん、この状態で正常にスキャンできるかテストしてみます。スキャナー本体の[Scan]ボタンを押して、読み取ってみました。
(写真)ScanSnapの[Scan]ボタンでスキャン開始
上部のカメラが手前から順番に読み取っていきます。写真は過去帳の表紙でA4より少し小さいサイズですが、読み取りに約3秒ぐらいです。
(写真)読み取り中
読み取りが完了したので、[スキャン完了]をクリックします。
[このイメージで保存する]をクリックします。
[ドキュメントフォルダに保存]をクリックします。
パソコンの[ドキュメント]フォルダにスキャンされたPDFデータが保存されました。
(キャプチャー)PDFデータになった過去帳の表紙
スキャナーの接続から、ソフトウェアのインストール、設定、テストスキャンまでの所要時間は約15分でした。ソフトウェアのインストールの際に表示されるガイドウィンドウのとおりに進めるだけで、ここまで簡単に進められます。
ここまでは、スキャナーのセットアップとパソコンへの保存になります。今回、保存先をNASにしたいので、続いてNASのセットアップを進めます。
(写真)NASのセットアップ
NASはネットワーク接続(LAN接続)できるハードディスクです。NASはデータ共有ができるので、お寺の中で複数の僧侶の方が別々のパソコンでデータ化された過去帳を確認することができます。
今回おすすめするNASは、LAN DISK for SOHO(HDL2-TASOHOシリーズ)になります。檀家数が200~300戸ぐらいの規模に向いており、低コストで導入できます。
また、ハードディスクが2台入った冗長化構成なので、万が一のハードディスクの故障によるデータ消失リスクが低く、大事な個人情報を守ります。
(図)2台のハードディスクで冗長化されデータ消失リスクが低くなる
サイズは約85(W)×145(D)×192(H)mm、重量は2TBモデルで約1.8kgなので、万が一、火災や地震といった災害時でも、持ち出せるサイズなので、NASにデータ化したすべての書類を保存しておけば安心です。
また、NASにバックアップ用のUSBハードディスク(別売り)を接続できるので、データ消失リスクをさらに減らすことができます。
それでは、NASのセットアップを進めます。はじめにNASを添付のLANケーブルを使ってルーターのLANポートにネットワーク接続し、添付のACアダプターを使って電源コンセントにつなぎます。
(写真)NASの接続
電源コンセントにつなぐと同時に電源が入り、しばらくすると正面のランプが緑点灯し、設定の準備に入ることができます。
(写真)NASが起動した状態
NASの設定、管理には専用アプリ「LAN DISK CONNECT」使います。はじめに「LAN DISK CONNECT」をインストールします。
LAN DISK CONNECTのダウンロードはこちらから
LAN DISK CONNECTのダウンロード
インストールした「LAN DISK CONNECT」を起動すると、ネットワーク接続されているHDL2-TASOHOシリーズが表示されるので、これを選択し[設定画面を開く]をクリックします。
(キャプチャー)LAN DISK CONNECTのダウンロード
はじめて設定画面を開くと、管理者パスワードを設定する画面が表示されるので、2 つの入力欄に任意の管理者パスワード※を入力し、[設定してログイン]をクリックします。
※4~20 文字(半角英数記号)
(キャプチャー)管理者パスワードを設定してログイン
次の画面で[管理者ログインに切替]をクリックします。
※本商品では「じぶんフォルダー」は使いません。サポート対象外となります。
(キャプチャー)管理者ログインに切り替える
先ほど設定した管理者パスワードを入力し、[ログイン]をクリックします。
(キャプチャー)管理者パスワードを入力してログインする
続いて、本商品にアクセスするためのユーザーを作成します。[共有]メニューの[ユーザー設定]を開き、[新しいユーザーの登録]をクリックします。
(キャプチャー)新しいユーザーの登録
新しいユーザーの登録ウィンドウが表示されるので、[ユーザー名][パスワード][パスワード(確認)]を入力して[OK]をクリックします。
NASの利用者が分かりやすいユーザー名にしましょう。ここではユーザー名を[jushoku]としています。
(キャプチャー)新しいユーザーの登録画面
必要な数のユーザーを作ったら、作ったユーザーだけが本商品にアクセスできるように共有フォルダーを設定します。[共有]メニューの[共有フォルダー設定]を開き、[disk1]の[変更]をクリックします。
(キャプチャー)新しいユーザーの登録
[詳細アクセス権設定]の[有効]をチェックし、アクセスを許可するユーザー(先ほど作成したjushoku)にチェックし、[読み書きで追加]をクリックします。
(キャプチャー)アクセスを許可するユーザーの設定
チェックしたユーザー(ここではjushoku)が[許可したユーザー]欄に移動したことを確認して[OK]をクリックします。以上で、共有フォルダーの設定が完了です。
(キャプチャー)アクセスを許可するユーザーの設定完了
作成したユーザー「jushoku」で共有フォルダーにアクセスしてみます。「LAN DISK CONNECT」を起動し、NASをクリックします。
(キャプチャー)NASから共有フォルダーへアクセス
作成したユーザー名「jushoku」とパスワードを入力して[OK]をクリックします。
(キャプチャー)作成ユーザー名で共有フォルダーへアクセス
ログインすると共有フォルダー[disk1]が確認できました。
(キャプチャー)共有フォルダー
後述するスキャナーと連携すると、下記のように共有フォルダー[disk]の中に、スキャンされたPDFファイルが保存されていきます。
(キャプチャー)共有フォルダーにスキャンしたPDFファイルが保存される
NASの接続から、アプリのインストール、管理者パスワードの設定、ユーザー作成、共有フォルダー設定、アクセス確認までの所要時間は約20分でした。
(写真)左:スキャナー「ScanSnap iX1600」 右:NAS「HDL2-XABシリーズ」
スキャナーおよびNASのセットアップが完了しましたので、最後にスキャンしたデータをNASへ直接保存する設定に変更します。この所要時間は約1分です。
NASのセットアップで作成した共有フォルダー[disk1]に保存できるように設定を進めます。PCにインストールしたソフトウェア「ScanSnap Home」から設定します。右上の[新規プロファイルの追加]ボタンをクリックします。
(キャプチャー)新規プロファイルの追加画面に進む
新規プロファイルの追加画面が表示されるので、左のテンプレートから「フォルダーに保存」を選択します。保存先に、先ほどNASに設定した共有フォルダー「disk1」までのパスを設定し、プロファイル名を[NAS保存]にして[追加]をクリックします。
(キャプチャー)NAS保存するプロファイルの作成
(キャプチャー)NAS保存のプロファイルが作成された
以上で、NASへ直接保存できるようになりました。今度は過去帳の中面をスキャンしてみます。
(写真)過去帳の中面をスキャン
見開きの書類をスキャンした場合、どうしても歪んでしまいますが、「ScanSnap SV600」には「コンテンツ歪み補正機能」が搭載されており、過去帳や本、雑誌などをスキャンした際に発生する文字列、線、および図形の水平方向の歪みを補正してくれます。
(キャプチャー)補正前の歪んだ生データ
(キャプチャー)補正機能で歪みを自動調整
保存されたPDFデータを確認してみます。きれいに歪みが補正されて見やすいデータになっているのが分かります。
(キャプチャー)歪みが補正されて保存されたPDFデータ
スキャナーのセットアップ、NASのセットアップ、スキャナーとNASの連携、実際のスキャンにかかった時間はトータル約40分です。あとはどんどんスキャンしてNASに保存していくだけなので、とても簡単です。
(写真)スキャナーとNASの連携で過去帳をデータ保存
歴史が刻まれた大切な過去帳をこれからも安全・安心に残すのであれば、今回のスキャナー+NASによる保存をおすすめします。
◎関連リンク
・SOHO 法人向け2ドライブNAS
「LAN DISK for SOHO(HDL2-TASOHOシリーズ)」
(商品ページ)(購入ページ)
・PFU A3非接触モデルスキャナー
「ScanSnap SV600」
(商品ページ)