(写真中央)CREATIVE アナログレコードをハイレゾ化する SB-DM-PHDR2
前回の「レコードなどのアナログ音源を、かんたんにデジタル化、パソコンへ録音できるAD-USB2」の記事はとても反響が良く、多くのコメントをいただきました。私も記事を書いてからも、何度も利用し、レコード音源をデジタル化しています。
音も満足です。個人的な意見かもしれませんが、レコードから取り込んだ音源は、同じ44.1kHz/16bitの音質でも、CD音源と比較して、中音域の豊かさ、心地よさが感じられます。ハイレゾではないAD-USB2からの録音・再生でも十分、楽しむことができています。
その一方で私は、普段、ネットワークオーディオでハイレゾ音源を楽しんでいます。レコード、カセット、DAT、CD、MD、MP3など、どれもそれぞれの良さがありますが、ハイレゾ音源は、それまでにはない音楽の楽しみを教えてくれました。
ハイレゾは、音の細部まで明瞭で、ディティールがはっきりした表現は、他の音源では、味わったことがなく、演奏者の位置まで感じられる臨場感は格別です。もちろん、音質の良さ=データで判断できませんし、ハイレゾだから音が良いとは思いません。でも、間違いなく、ハイレゾだから感じられる楽しさがある気がしています。
前回ご紹介した「AD-USB2」も、これから紹介する商品もレコードなどのアナログ音源をデジタル化してPCに録音する点では共通しています。違いは、その音源がハイレゾであるかどうかです。
まず、紹介するのは、CREATIVE社の「USB Sound Blaster Digital Music Premium HD r2(SB-DM-PHDR2)」です。本商品はレコードやカセットからハイレゾ録音が楽しめ、96kHz/24bit録音と再生が可能で、フォノイコライザーも搭載しています(MM型カートリッジに対応)。またUSBケーブルから給電動作するUSBバスパワーに対応しています。
(写真)フォノイコライザー搭載。USBバスパワー対応
また、最高品質クラスのDA/ADコンバータやコンデンサー、オペアンプなどの高品質コンポーネントを採用。再生S/N比(音楽信号に対するノイズ比率)は114dBを実現。USB-DACでも110dB程度のものも多くありますので、それ以上にノイズを抑えたクオリティを実現しています。
※例えば、S/N比 80dBは信号10,000に対してノイズ1。100dBは信号100,000に対してノイズ1。S/N比は、数値が大きいほどノイズが少ない。S/N比=20×log10(信号電圧/雑音電圧)
アナログ入出力には、一般的なオーディオ機器に使用されるRCA端子を採用、音質劣化の少ない金メッキを施しています。
(写真)RCA端子 金メッキ加工
今回のアナログ入出力とは他に、外部ノイズの影響を受けにくい光デジタル入出力端子も搭載。
(写真)光デジタル入出力もある
前面には、ボリュームノブ、マイク入力とヘッドホン出力を配置。再生リダイレクト機能(ステレオミックス機能)にも対応しています。
(写真上)ボリュームノブ (写真下)マイク入力とヘッドホン出力
レコード音源の取り込みは、SB-DM-PHDR2の無償ダウンロードをインストールすれば可能です。実際、私も使ってみました。音源の取り込みは簡単です。ただ、作成できるファイルはWAV形式です。FLACやApple Losslessには対応していません。また、自動分割も機能はあるのですが、設定がなかなか難しく、理想通りに曲が分割しないケースもありました。
ここで、ご紹介するのが、2016年5月に発表された「DigiOnSound X Express」です。「DigiOnSound X Express」はハイレゾ対応編集ソフトでWAVは言うまでもなく、FLACやApple Losslessの読み込み・書き出しにも対応しています。
ハイレゾをハイレゾのまま編集でき、ハイレゾ対応のオーディオフォーマット形式(※)で出力できる優れたソフトで、ノイズリダクション機能やイコライジング機能も充実しています。※Express版は、DSD非対応
(写真)「DigiOnSound X Express」のコントロール画面
基本的な操作としては、「ファイル」→「環境設定」でサンプリング周波数やビット数なども設定できます。
(写真)サンプリング周波数などを設定
曲の自動分割機能も優れていいます。またGracenote MusicID®も採用され、アナログレコードから録音した音源の曲間自動検出、アルバム単位での楽曲情報取得することもできます。
また、DigiOnSound X Express の特長の1つとしてDHFX(Digion High Frequency eXtension)の存在があります。これは、従来のアップスケーリングでは再現できなかった、CD音源や圧縮音源で失われる高音域を予測再現し、表現を豊かにします(DHFXによるハイレゾ支援)。例えば、以前、44.1kHz/16bitで取り込んだアナログ音源も、この機能を使ってハイレゾにアップコンバート(ハイレゾ化)することができます。
(写真)DHFX調整画面
「DigiOnSound X Express」で「録音」をしている間、通常は音が聞こえません。録音後に音を確認する形になります。ただ、私は、以前からレコードを再生しながら録音したいと思っていました。ずっと悩んでいたのですが、下記の設定で可能となりました。みなさんのお使いのPCとは違うかもしれませんが、ご参考になれば嬉しい限りです。
(写真)フォノ入力のプロパティの「聴く」で「このデバイスを聴く」を選択
※録音中、再生されているのは、あくまでもこの場合、レコードの音で、ハイレゾ化した録音されている音そのものではありません。
CREATIVE社のSB-DM-PHDR2+DigiOnSound X Expressでアナログレコードをハイレゾ化し録音した曲(96kHz/24bit)を、ハイレゾ対応オーディオNAS「RockDisk for Audio」に入れて下記の形で音を比較してみました。
(写真)RockDisk for Audio
① AD-USB2でアナログレコード音源を取り込んだ(44.1kHz/16bit)同曲
② CREATIVE社のSB-DM-PHDR2+DigiOnSound X Expressでアナログレコードをハイレゾ化し録音した曲(96kHz/24bit)
③ ハイレゾダウロードサイトから購入したハイレゾ音源(flac96kHz/24bit)での比較
① AD-USB2で取り込んだ(44.1kHz/16bit)。これはこれで十分で、レコードの良さをしっかり受け継ぎ、柔らかい、良い音です。
② 次に今回ハイレゾ最強セットで取り込んだ(96kHz/24bit)同曲。①より、ボーカルが際立ち、高音域のギターの音などが鮮明です。また、中低音域も再現され、レコードの柔らかさが表現されて、空間表現が豊かです。
③ 購入したハイレゾ音源は、3つの中で最もクリアで、鮮明。楽器の位置や、ボーカルが目の前に立っている臨場感があります。その時代の音というより、何か新しくなったような新鮮な感じがします。
それぞれ特長がある違った音です。②と③は同じハイレゾと言っても、全く違った音と捉えられます。どれが高音質かと言われれば、③のダウンロードハイレゾ音源でしょう。写真で言えば、高解像度、ここの音がはっきりしています。また、プロのエンジニアがハイレゾのためリマスターしているわけですし、スタジオのピュアな音が再現されています。
ただ個人的には今回のハイレゾ最強セットの音が好きです。アナログの良さを引き継ぎつつ、足りない所を補っている。その時代のアンプやマイクから奏でる音があって、とても良いのです。
今回の最強セットでのアナログレコードのハイレゾ化は、今までにはない音源で、私はアナログ音源のハイレゾ化の音は、とても良く、楽しいと思えました。また、その音源をRockDisk for Audioのようなハイレゾ対応オーディオNASで手軽に楽しめることも、嬉しい限りです。
是非「ハイレゾ最強セット」で、アナログレコードのハイレゾ化を楽しんでください!
35年前のスピーカーを蘇えらせてくれた Rock Disk for Audio
◎関連リンク
アナログレコードをハイレゾ化!「ハイレゾ最強セット」
ネットワークオーディオサーバー「RockDisk for Audio」(購入ページ)
レコードやカセットのアナログ音源をデジタル化。パソコンに取り込み、かんたんにアナログ録音できるUSB接続オーディオキャプチャーAD-USB2
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