更新日:2023/7/4
平素より弊社製品をご愛用いただき、誠にありがとうございます。
日本では夏から秋にかけて台風シーズンとなります。
台風の影響等で発生した落雷によって、予期しない停電等によるトラブルが発生しやすい時期でもあります。
そんなトラブルに備えるため、停電からNAS(=大切なデータ)を守るために注意して欲しいことや、オススメの対処方法をご案内します。
夏は1年の中で最も落雷の多い季節です。
気象庁のデータによると、7,8月は他の月と比べて突出して落雷害が多いことが分かります。
特に太平洋側に多く見られることが特長で、日本海側は11~1月にも増加する傾向が見られます。
「落雷害の報告数」(気象庁ホームページより)
落雷による停電が発生した場合、稼働中のNASは強制シャットダウンされます。
強制シャットダウンとは、電源ボタン*や設定画面からの操作により安全なシャットダウンが行われずにシャットダウンされたことを指します。稼働中に電源ケーブルが抜けた場合も強制シャットダウンになります。
*電源ボタン長押しによるシャットダウンは強制シャットダウン扱いとなります。
NASが強制シャットダウンになった場合、HDDやシステムが故障し、NASが正常に起動できなくなる恐れがあります。最悪の結果、データ損失につながる可能性のある大きな問題です。
もう1つ、落雷時には「雷サージ」の問題があります。
雷サージとは、落雷が発生した際に瞬間的に高い電圧が発生し、電線や電話線といった配線に非常に大きな電流が流れることを言います。
雷サージが発生すると、電線や電話線を通じて*非常に大きな電流が建物内に侵入し、NAS等の電子機器の故障を引き起こす場合があります。落雷時にモデムが故障しやすいのは、モデムが建物内の電話線の1番最初に接続されている機器であるためです。
*配線以外にも大気中から侵入する場合があります。
あらかじめ落雷に備えてNASを安全にシャットダウンし、電源ケーブルとLANケーブルを抜いておくことが最も確実です。
雷サージは、NASをシャットダウンしただけでは防げないため、ケーブル類を抜いておく必要があります*。
*雷が鳴り出してからは絶対に電源ケーブルに触れないでください。感電するおそれがあります。
ただ、日中の業務で使用していたり、休日の間に急に天候が悪くなったりと、分かっていてもなかなか実践できるものではありません。
そんな時に落雷への影響を手軽に対策する方法として、UPSを導入する方法があります。
UPS(Uninterruptible Power Supply)とは、無停電電源装置とも呼ばれる、内蔵バッテリーを搭載したコンセント付きの装置です。ざっくり言うと、コンセントがついた大容量のモバイルバッテリーのようなものです。
停電時には、UPSが内蔵しているバッテリーへの動作に切り替わることで、しばらくの間、UPSに接続した機器は停電の影響を受けずに済みます。その間に作業中のファイルを保存し、NASに対して安全なシャットダウンを行うことができます。
もし、停電時にNASの近くに人がおらずNASに対して安全なシャットダウンが行えなくても、「バッテリー残量の低下」や「停電検出後の経過時間」の条件により、UPSがNASへ自動的に安全なシャットダウンを行うように信号を送信します。
また、UPSは、雷サージ保護機能*が搭載されているため、UPSに接続した機器は雷サージから保護することができます。
*UPSに接続した場合でも雷サージによる影響を受ける場合があります。また、LANケーブルや大気中から侵入する雷サージはUPSでは防ぐことはできません。
UPSと言っても、LAN DISKに対応したUPSには、いろいろな種類があります。
UPSの選定ポイントとして最も重要なことは、停電発生時にUPSの内蔵バッテリーによって「接続した機器がどれくらいの時間電源を維持できるか」となります。
停電発生時のUPSの稼働可能時間を調べるためには、まず、UPSにどの機器をつなげる必要があるのか、を確認します。
NASを安全にシャットダウンするには、NASだけがUPSにつながっていればよいのですが、実際にはそうはいきません。
例えば、NASに保存したファイルを開いて編集していた場合に停電が発生したとします。その場合、NASはUPSのおかげで稼働を続けられますが、デスクトップPCは電源が落ちてしまいます。ノートPCの場合は、ノートPCのバッテリーがあるので大丈夫!と思ってしまいますが・・・。
ノートPCからNASに接続するためには、ルーターやハブを経由して接続していることがほとんどです。それらの通信経路上の機器もUPSにつなげておかないと、NASやPCは電源が入ったままなのに間のルーターやハブの電源が切れることによってNASへ接続できず、編集中の作業が失われる可能性があります。
そうならないためにも、通信経路上の機器もUPSに接続しておく必要があります。
UPSにどの機器を接続するかを決めたら、次にUPSに接続する機器の消費電力の合計を確認します。
下記のページを参考に、必要なUPSのワット数を算出します。
UPSの選定に必要な消費電力の算出方法
UPSが準備できたら、いよいよNASとの接続を行います。
とは言っても、難しいことは何もありません。NASをシャットダウンし、UPSのバックアップコンセントとNASの電源ケーブルを接続し、USBケーブル*1をUPSとNASで接続するだけです。
USBケーブルを接続は、UPSが停電を検出した際にNASに安全なシャットダウンを行うよう、信号を送るために必要です。忘れずに接続しましょう。
詳細は、こちらのマニュアル*2をご確認ください。
*1 USBケーブルはUPSに添付されている場合がありますが、別売となっている場合もあります。詳しくは、UPS対応表の注釈をご確認ください。
*2 リンク先は「HDL6-HAシリーズ」のマニュアルですが、他のNAS製品も手順は共通です。
Windows Storage Server OS搭載モデルは、UPS管理ソフトウェアが必要となります。
詳細は、UPS対応表の注釈、および、LAN DISK対応ソフトウェア一覧の「UPS管理ソフトウェア」をご確認ください。
当社法人向けNAS製品のUPSに関する利用状況に関するデータを集めてみました。
UPSの選定等にお役立てください。
▼図1 製品シリーズ別UPS導入率
上位シリーズになるほどUPS導入率が高いことがわかります。
特にH/HAシリーズに関しては、導入率50%を超えており、データ保護に対する意識の高さが伺えます。
▼図2 VA値別の導入件数
価格も手頃な、350-400VA(約200-230W)帯の導入が圧倒的に多く、次に500-550VA(約300-330W)が多くなっています。1000VAを超える大容量モデルの導入ケースも見受けられます。
▼図3 UPSメーカー別利用割合
OMRONが全体の8割強、シュナイダーエレクトリック(APC)が全体の2割弱となっています。
UPS導入型番TOP3は、全シリーズ共通で下記の3モデルとなっていることから、OMRON社製UPSの手頃な価格帯が人気な事が分かります。
<UPS導入型番TOP3>
※型番をクリックすると当社直販サイト「アイオープラザ」のページが開きます。
1位 OMRON BY35S
2位 OMRON BY50S
3位 OMRON BW40T
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