RAIDとは?データ消失のリスクを回避するRAIDと拡張ボリューム

RAIDと拡張ボリューム

(写真)RAIDと拡張ボリューム

(記事公開日:2022年12月26日)

企業活動において、顧客、商品、社員などのデータはビジネスの生命線といえます。このデータを消失しないように、いかに守っていくかを考えることはとても大切です。

今回、データ消失リスクを回避するための、NASで一般的に利用されているRAID技術や、アイ・オー・データ独自の技術「拡張ボリューム」をご紹介します。

NASでよく聞く言葉「RAID(レイド)」

2台のHDDに同じデータを保存すればデータ消失リスクが少ない

(イメージ)2台のHDDに同じデータを保存すればデータ消失リスクが少ない

万が一、HDDに保存されたデータの消失に備えて、データのコピーをとっておくことの重要性は、みなさんご存知だと思います。

2台のHDDに同じデータを書き込む場合でも、バックアップと冗長化という2つの考え方があり、これらは似てはいますが、大きな違いがありますので、その違いをご説明したいと思います。NASでよく聞く言葉に「RAID」がありますが、これは冗長化技術になります。

バックアップと冗長化の違い

バックアップ(別の記憶媒体にコピー)

(イメージ)バックアップ(別の記憶媒体にコピー)

バックアップは1日に数回程度、パソコン、Blu-rayやDVDメディア、クラウドなど別の記録媒体にデータを保存する仕組みです。障害によりデータが消失した場合には、バックアップ先からデータを復旧できます。

ただし、リアルタイムに記録されるわけではないので、バックアップをとる頻度やタイミングにより、一部のデータが消失する可能性があります。

冗長化(HDD2台の場合)(リアルタイムに同じデータが書き込まれる)

(イメージ)冗長化(HDD2台の場合)(リアルタイムに同じデータが書き込まれる)

一方、冗長化は、HDDに障害が発生した場合の緊急時に備えて、同じ機能を持つHDDを複数台用意して、異常時には予備に切り替えて、システムが停止せずに使い続けられ、NASの信頼性や耐障害性を高める仕組みになります。

NASに搭載されるHDDの台数により、冗長化の仕組みは異なりますが、HDDが2台の場合でお話します。データ更新では、2台のHDDにリアルタイムに同じデータが書き込まれ、同一の状態が保たれます。この冗長化により、どちらかのHDDが故障してもデータを消失することなく、素早い復旧が可能です。

HDDに限らず、ネットワーク回線や電源などでも冗長化することで、システム運用の停止を避けられたり、復旧を迅速に行えます。

次にご紹介するRAID技術は、NASの安全性を高めるための冗長化技術になります。

NASの冗長化で一般的なRAID技術

複数台のHDDで冗長化するNAS

(写真)複数台のHDDで冗長化するNAS

NASの冗長化の手段として最も一般的なものがRAID(Redundant Array of Independent Diskの略:レイド)です。RAIDは長年に渡り使われてきた安定した技術です。

複数台のHDDを組み合わせることで、1台のHDDのように運用し、冗長性の向上や大容量化を実現させる技術です。これにより比較的安価に、大容量で信頼性の高いストレージを構築することができます。

RAIDには複数の方式があり、選ぶRAID方式によっては万が一のHDD故障時でもデータの復旧が可能になります。RAID方式ごとに特長があるので、用途に合わせて様々なストレージ構築方法を選べます。

RAID0(ストライピング)

RAID0は、冗長化されていないため、耐障害性はないのでHDD1台の故障でファイルの復旧ができません。

メリットとしては、各HDDに対して、ファイルをブロック単位で分散して書き込み・読み込みを行うため、高速アクセスができることが特長です。また、HDD容量の合計を最大限に利用できます。

RAID0(ストライピング)
RAID0(ストライピング) RAID0(ストライピング)

RAID1(ミラーリング)

同時に2台のHDDに対して、ファイルをブロック単位で書き込み・読み込みを行います。

容量が半分になりますが、どちらかのHDDが故障しても、全てのファイルが残ります。

RAID1(ミラーリング)
RAID1(ミラーリング) RAID1(ミラーリング)

RAID5

HDD1台分の容量のパリティ(誤り訂正)データを付加して保存し、任意のHDD1台が故障した場合も、故障によって失われた分のデータを、パリティから生成する仕組みです。

パリティ演算が必要なため、CPUに負荷が掛かります。復旧用にHDD1台分の容量が利用されるので、その分が使えません。

RAID5
RAID5 RAID5

RAID6

HDD2台分の容量のパリティ(誤り訂正)データを付加して保存し、任意のHDD2台が故障した場合も、同じくパリティから生成する仕組みです。

二重のパリティ演算が必要なため、特に書込速度が遅くなります。復旧用にHDD2台分の容量が利用されるので、その分が使えません。

RAID6
RAID6 RAID6

RAID再構築とRAID崩壊

HDDの故障が発生しても、各RAIDモードにより実現している冗長性の範囲内であれば、データを保持したまま運用は可能です。しかし、故障したHDDを新しいHDDと交換し、できる限り早くRAIDを再構築(リビルド)し、正常稼働に戻す必要があります。

このRAIDのリビルドには非常に時間がかかります。その時間は、実際の使用容量には関係なく、RAIDモードとHDDの容量によって決まります。

また、各RAIDモードにより実現している冗長性の範囲を越えてHDDが壊れた場合は、データを保持できずに消失します。これをRAID崩壊といいます。

RAID崩壊!全てのデータが消失 RAID崩壊!全てのデータが消失

HDDの故障に備え、できるだけ冗長性の高いRAIDモードを選択すると共に、万が一、HDDが故障した場合は、素早くHDDを交換し、RAIDのリビルドを行い、冗長性のある状態に戻すことが大切になってきます。そのためにも保守契約への加入や、専用交換HDDを準備しておくことをおすすめします。

データ消失リスクをさらに低減した
アイ・オー独自技術「拡張ボリューム」

アイ・オー・データの「拡張ボリューム」は、NASのデータ消失リスクをさらに低減したRAIDにかわる冗長化技術です。さらに拡張性にも優れ、ビジネスの成長に合わせた柔軟な容量の追加が可能です。

RAIDと比較した「拡張ボリューム」のメリット RAIDと比較した「拡張ボリューム」のメリット

「拡張ボリューム」の特長を【A】~【B】の3つのポイントでご紹介します。

【A】安全性

  • ファイル単位で2ドライブに書き込み
  • ファイル単位で片方のドライブから読み込み

「拡張ボリューム」は、ハードディスク2台を1組のペアとして使い「ファイル単位のミラーリング」を行う冗長化の技術です。あえてペア内で稼働時間に差をつけて読み書きするため、ペアが同時に故障する可能性は極めて低くなります。

一般的に1台のNASには同ロットのHDDが搭載されるため、各HDDの寿命は初期不良を除けば同程度と考えてよいでしょう。RAIDの場合、劣化もほぼ均等に進行するため、必然的に同時故障のリスクをはらむものとなっていました。

拡張ボリュームでは、読み込み時のディスクを一方に固定することで稼働時間を偏らせ、ペアとなるHDDの劣化の進行度に差をつけます。これにより、同時故障、データ消失のリスクを大幅に低下させることに成功しました。

【B】メンテナンス性

HDD交換時におけるリビルド対象の違い HDD交換時におけるリビルド対象の違い

HDDが故障し、交換作業をする場合も、全領域に対しリビルドを実施するRAIDに比べ、使用領域だけをリビルドする拡張ボリュームなら、作業時間を大きく短縮できます。

【C】拡張性

ペアのHDDを順に換装するだけで、データを維持したまま実効容量を大きくできる ペアのHDDを順に換装するだけで、データを維持したまま実効容量を大きくできる

ペアのHDDを順に換装するだけで、データを維持したまま実効容量を大きくできます。ホットスワップに対応しており、システムを止めずに実施することが可能です。

従来のRAIDとアイ・オー独自「拡張ボリューム」の違いをまとめると次のようになります。

アイ・オーのNASをRAID設定した場合との比較
拡張ボリュームとRAIDの比較 拡張ボリュームとRAIDの比較

アイ・オーのNAS「LAN DISKシリーズ」は、2022年10月に業界初の最高保証レベルを実現したファイルサーバーのスタンダードを目標として、新たなラインアップを揃えました。ビジネスにおけるNASの安心運用は欠かせなくなっています。大切なデータを守るためにアイ・オーのNASをご検討ください。

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【LAN DISK REBORN!】アイ・オーの新しいNASが、始まる。

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