(写真)左からWi-Fi 6対応「WN-DAX3600QR」、Wi-Fi 5対応トライバンドルーター「WN-TX4266GR」
Wi-Fi 5対応メッシュ親機、メッシュ子機
(記事公開日:2021年12月13日)
テレワークやオンライン学習、動画視聴など、快適なネット利用のために、Wi-Fiルーターの性能が重要になってきます。ひとくちにWi-Fiルーターと言っても、色々な商品がラインアップされているので、どれを選んだらよいか迷ってしまいますね。
そこで今回、代表的なWi-Fiルーターを使って、電波の飛び方はどうかを測定しましたので、新規、または、買い替えでご購入を検討されている方は、ぜひ参考にしてください。
Wi-Fiには6つの規格があり、近年では11axをWi-Fi 6、11acをWi-Fi 5、11nをWi-Fi 4と呼びます。それぞれは、最大通信速度の理論値や利用電波の周波数帯が異なり、上位の規格(表では上段の規格)ほど高速通信が可能になります。また、上位の規格は下位の複数の規格をサポートしています。
Wi-Fi規格 (呼称) | 最大通信速度(理論値) | 周波数帯 |
---|---|---|
IEEE802.11ax(Wi-Fi 6) | 9.6Gbps | 5GHz帯/2.4GHz帯 |
IEEE802.11ac(Wi-Fi 5) | 6.9Gbps | 5GHz帯 |
IEEE802.11n(Wi-Fi 4) | 600Mbps | 5GHz帯/2.4GHz帯 |
IEEE802.11a | 54Mbps | 5GHz帯 |
IEEE802.11g | 54Mbps | 2.4GHz帯 |
IEEE802.11b | 11Mbps | 2.4GHz帯 |
Wi-Fi 6はWi-Fi 5に比べると、通信速度が約1.4倍も高速になっています。iPhone 11以降やPS5™をはじめ、新しいパソコンやスマホは、Wi-Fi 6に対応したものが多くなってきました。
みなさんがご利用されている機器が、どの規格に対応しているかも大切なので、ぜひこの機会に確認しておきましょう。
家のWi-Fiが繋がらない!寿命が原因?ルーターを点検しよう!
Wi-Fiは5GHz帯と2.4GHz帯の2種類の電波を使って通信します。5GHz帯は高速通信が可能ですが、障害物に弱いので、Wi-Fiルーターからの距離や部屋の間取りにより電波強度が変わりやすくなります。
一方、2.4GHz帯は障害物に強いですが、電子レンジやBluetoothなどと同じ周波数帯を使うので、電波干渉を起こし、電波強度に影響を与える場合があります。ご利用環境によって、うまく使い分けることが大切です。
先の表「Wi-Fi規格と最大通信速度・周波数帯」にあるように、Wi-Fi 5は5GHz帯しか使えないのに対し、Wi-Fi 6は5GHz帯と2.4GHz帯の両方が使え有利と言えます。
今回、次の3種類のWi-Fiルーターで実測して、違いを見ていきたいと思います。
ポイント | 使用するWi-Fiルーター |
---|---|
最新規格Wi-Fi 6規格の ルーター |
Wi-Fi 6対応ルーター 「WN-DAX3600QR」 |
3つの電波が同時に 使えるルーター |
Wi-Fi 5対応トライバンドルーター 「WN-TX4266GR」 |
メッシュネットワークを 構築できるルーター |
Wi-Fi 5対応メッシュ機能 搭載ルーター WN-DX1167GR (メッシュ親機)× 1台 WN-DX1300EXP (メッシュ子機)× 2台 |
型番 | Wi-Fi 6対応ルーター WN-DAX3600QR |
Wi-Fi 5対応 トライバンドルーター WN-TX4266GR |
Wi-Fi 5対応メッシュ機能搭載 | |
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WN-DX1167GR (メッシュ親機) |
WN-DX1300EXP (メッシュ子機) |
|||
商品本体 | ||||
商品 パッケージ |
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対応Wi-Fi 規格(呼称) |
11ax(Wi-Fi 6) 11ac(Wi-Fi 5) 11n(Wi-Fi 4) 11a/11b/11g |
11ac(Wi-Fi 5) 11n(Wi-Fi 4) 11a/11b/11g |
||
主な 伝送速度 |
●11ax(5GHz帯) 最大2402Mbps ●11ax(2.4GHz帯) 最大1147Mbps ●11ac(5GHz帯) 最大1733Mbps ●11n(5GHz帯) 最大600Mbps ●11n(2.4GHz帯) 最大800Mbps(※1) |
●11ac(5GHz帯) 最大1733Mbps ●11n(5GHz帯) 最大600Mbps ●11n(2.4GHz帯) 最大800Mbps(※1) |
●11ac(5GHz) 最大867Mbps ●11n(5GHz) 最大300Mbps ●11n(2.4GHz) 最大400Mbps(※2) |
|
主な機能 | 360コネクト技術/MU-MIMO/ビームフォーミングW インターネット回線自動判別/IPv6(IPoE)対応 ペアレンタルコントロール/WPS/リモートメンテナンス機能 |
360コネクト技術/MU-MIMO/ ビームフォーミングW/WPS/ リモートメンテナンス機能 |
||
外形寸法 | 縦置き 約52(W)×196(D)×197(H)mm |
縦置き 約270(W)×67(D)×218(H)mm |
縦置き 約150(W)×83(D)×157(H)mm |
コンセント直挿し 約130(W)×54(D)×114(H)mm |
質量 | 約600g | 約690g | 約260g | 約230g |
(※1)2.4GHz帯を800Mbpsで通信する場合は、接続機器が256QAMに対応している必要があります。
(※2)2.4GHz帯を400Mbpsで通信する場合は、接続機器が256QAMに対応している必要があります。
Wi-Fi 6とWi-Fi 5の違いや、5GHzと2.4GHzの違いを中心に比較測定をします。実際どれぐらいの違いが出るのでしょうか。
Wi-Fiルーターは、1階リビングの壁際に設置して、1階・2階のヒートマップ(※)、および、ネット速度を測定します。測定端末はWi-Fi 6まで対応しているiPhone 11を使います。
(※)ヒートマップは、色分けされて視覚的に強弱が分かりやすく、快適に通信できる範囲は緑色に、電波が弱い範囲は赤色に表示されます。
(参考記事)快適なWi-Fi環境実現のお手伝い。無償アプリ「Wi-Fiミレル」で無線LANの電波を見える化。ヒートマップも簡単作成。
(図)Wi-Fiルーターの設置場所と測定箇所
マンションのWi-Fiがつながらない!その原因は2重ルーター?
Wi-Fi 6を使えば、5GHz帯も2.4GHzも高速通信ができ、4Kなどの高精細な動画閲覧やネットゲームも快適になります。
(参考記事)
・「生活になじむ、暮らしによりそうルーター」特集
・Wi-Fiの置き場所で電波改善!ルーターを隠して収納していませんか?
Wi-Fi 6対応の「WN-DAX3600QR」を使って、5GHz帯と2.4GHz帯の違いをみます。
使用Wi-Fiルーター | 使用周波数帯 | |
---|---|---|
Wi-Fi 6対応ルーター 「WN-DAX3600QR」 |
Wi-Fi 6の 5GHz帯利用 |
Wi-Fi 6の 2.4GHz帯利用 |
測定結果【A-1】1階 「WN-DAX3600QR」の5GHz帯利用
測定結果【A-2】2階 「WN-DAX3600QR」の5GHz帯利用
ヒートマップを見ると、Wi-Fiルーターを設置している1階は、緑色となっており電波強度が良いことが分かります。ネット速度も270Mbps出ています。距離の離れている2階の寝室や子供部屋は電波強度が弱くなっていますが、高速Wi-Fi規格なので、100Mbps以上の速度が出ているのが分かります。
測定結果【A-3】1階 「WN-DAX3600QR」の2.4GHz帯利用
測定結果【A-4】2階 「WN-DAX3600QR」の2.4GHz帯利用
電波強度(0~100で表示) | ネット速度(ダウンロード 単位:Mbps) | ||||
---|---|---|---|---|---|
「WN-DAX3600QR」 Wi-Fi 6の5GHz帯 |
「WN-DAX3600QR」 Wi-Fi 6の2.4GHz帯 |
「WN-DAX3600QR」 Wi-Fi 6の5GHz帯 |
「WN-DAX3600QR」 Wi-Fi 6の2.4GHz帯 |
||
1階 | リビング | 86 | 87 | 270.29 | 135.13 |
客間 | 81 | 82 | 237.70 | 98.95 | |
2階 | 書斎 | 84 | 89 | 234.75 | 110.59 |
子供部屋 | 39 | 85 | 144.80 | 101.07 | |
寝室 | 30 | 39 | 117.67 | 70.32 |
ヒートマップを見ると、5GHz帯と比べて2階も全体に緑色になっており、2階奥の部屋でも電波強度が強いことが分かります。障害物に強い2.4GHz帯の特長が表れています。ネット速度は、2.4GHz帯は5GHz帯に比べ理論値が半分程度に下がりますが、1階リビングでは135Mbpsと十分な速度が出ています。
3種類それぞれのWi-Fiルーターが対応している最上位Wi-Fi規格において、5GHz帯を使用した場合の違いをみます。トライバンドルーターの場合は、5GHz帯が2つ、2.4GHz帯が1つの合計3つの電波が使えることが特長です。
トライバンドルーターはたくさんの機器を同時接続しても安定した通信ができるので、Wi-Fi接続する機器が多かったり、家族が同時に、WEB会議、オンライン学習、動画視聴などをする場合には最適です。
(参考記事)
・3つの電波を同時に利用できるトライバンドWi-Fiルーター
・【Wi-Fi環境を快適に】3つの電波で同時にたくさんつながる高速通信トライバンドWi-Fiルーターを使う方法
今回、5GHz帯-1(W52、53)、5GHz帯-2(W56)のそれぞれを測定しました。W52、53やW56は対応無線チャネルの違いになります。
また、メッシュ機能搭載の場合は、親機1台と子機2台をメッシュ状にネットワーク化するものです。バンドステアリング機能を搭載し、電波の混雑状況を見て、混雑状況が少ない5GHz帯に自動で誘導してくれます。
メッシュWi-Fiの特長は、広い範囲をカバーし、電波が安定して届くことです。家の中を移動した先で最も状態の良い電波を出しているメッシュ機器に自動的に切り換えて接続を継続するため、「つながっているのに遅い」といったことがなくなります。
(参考記事)
・【Wi-Fi環境を快適に】独自メッシュ機能付きWi-FiルーターとWi-Fi子機でエリア拡大する方法
使用Wi-Fiルーター | 使用周波数帯 | |
---|---|---|
Wi-Fi 6対応 「WN-DAX3600QR」 |
Wi-Fi 6の5GHz帯利用 | |
Wi-Fi 5対応 トライバンド 「WN-TX4266GR」 |
Wi-Fi 5の 5GHz帯-1 (W52、53)利用 |
Wi-Fi 5の 5GHz帯-2 (W56)利用 |
Wi-Fi 5対応 メッシュ機能搭載 WN-DX1167GR/ WN-DX1300EXP |
Wi-Fi 5の2.4GHz帯と5GHz帯を自動切換え |
測定結果【B-1】1階 「WN-DAX3600QR」の5GHz帯利用
測定結果【B-2】2階 「WN-DAX3600QR」の5GHz帯利用
測定結果【B-3】1階 「WN-TX4266GR」の5GHz帯-1利用
測定結果【B-4】2階 「WN-TX4266GR」の5GHz帯-1利用
測定結果【B-5】1階 「WN-TX4266GR」の5GHz帯-2利用
測定結果【B-6】2階 「WN-TX4266GR」の5GHz帯-2利用
電波強度(0~100で表示) | ネット速度(ダウンロード 単位:Mbps) | ||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|
「WN-DAX3600QR | 「WN-TX4266GR」 | 「WN-DAX3600QR | 「WN-TX4266GR」 | ||||
Wi-Fi 6の 5GHz帯 |
Wi-Fi 5の 5GHz帯-1 |
Wi-Fi 5の 5GHz帯-2 |
Wi-Fi 6の 5GHz帯 |
Wi-Fi 5の 5GHz帯-1 |
Wi-Fi 5の 5GHz帯-2 |
||
1階 | リビング | 86 | 89 | 89 | 270.29 | 319.72 | 314.00 |
客間 | 81 | 81 | 83 | 237.70 | 249.81 | 236.38 | |
2階 | 書斎 | 84 | 83 | 84 | 234.75 | 266.28 | 236.11 |
子供部屋 | 39 | 36 | 39 | 144.80 | 95.82 | 115.51 | |
寝室 | 30 | 32 | 33 | 117.67 | 40.45 | 66.50 |
5GHz帯-1と5GHz帯-2を比べると、使用する無線チャネルが異なっているだけなので、ヒートマップもネット速度も大きくは変わっていません。「WN-TX4266GR」は内蔵アンテナの本数が多いため、Wi-Fi 5でもかなり高速であることが分かります。
1階リビングではダウンロード速度はもちろん、アップロード速度も300Mbpsを超えています。WEB会議など、映像を両方向でやりとりするようなシーンでも快適にWi-Fiを使えます。
測定結果【B-7】1階 メッシュWi-Fiの場合
測定結果【B-8】2階 メッシュWi-Fiの場合
メッシュWi-Fiの場合、家の中のどこでも、すぐそばにメッシュ親機または子機があるので、ヒートマップは家中全体が緑色となり、電波強度が良いことが分かります。
電波強度や混雑状況により、5GHz帯と2.4GHz帯のどちらの電波を使うかは賢く自動で切り替わっています。測定では場所によって5GHz帯であったり2.4GHz帯であったりしますが、2階の寝室でも81Mbps出ており、安定したネット速度が出ていることが分かります。
Wi-Fi 6は5GHz帯と2.4GHz帯の両方を利用できますが、Wi-Fi 5は5GHz帯しかないので、2.4GHz帯を使う場合、11n規格(Wi-Fi 4)を利用することになります。
したがって、今回の測定で2.4GHz帯を使う場合、Wi-Fi 6対応ルーター「WN-DAX3600QR」はWi-Fi 6接続、トライバンドルーター「WN-TX4266GR」はWi-Fi 4接続になります。
使用Wi-Fiルーター | 使用周波数帯 |
---|---|
Wi-Fi 6対応 「WN-DAX3600QR」 |
Wi-Fi 6の2.4GHz帯利用 |
Wi-Fi 5対応トライバンド 「WN-TX4266GR」 |
Wi-Fi 4の2.4GHz帯利用 |
測定結果【C-1】1階 Wi-Fi 6の2.4GHz帯利用
測定結果【C-2】2階 Wi-Fi 6の2.4GHz帯利用
測定結果【C-3】1階 Wi-Fi 4の2.4GHz帯利用
測定結果【C-4】2階 Wi-Fi 4の2.4GHz帯利用
電波強度(0~100で表示) | ネット速度(ダウンロード 単位:Mbps) | ||||
---|---|---|---|---|---|
「WN-DAX3600QR」 Wi-Fi 6の2.4GHz帯 |
「WN-TX4266GR」 Wi-Fi 4の2.4GHz帯 |
「WN-DAX3600QR」 Wi-Fi 6の2.4GHz帯 |
「WN-TX4266GR」 Wi-Fi 4の2.4GHz帯 |
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1階 | リビング | 87 | 87 | 135.13 | 121.47 |
客間 | 82 | 80 | 98.95 | 98.62 | |
2階 | 書斎 | 89 | 81 | 110.59 | 97.84 |
子供部屋 | 85 | 39 | 101.07 | 57.99 | |
寝室 | 39 | 38 | 70.32 | 45.17 |
ヒートマップを比べると、どちらもおおむね緑色になっています。2.4GHz帯の特長である障害物に強いことが分かります。ネット速度においては、Wi-Fi 6の「WN-DAX3600QR」が良い結果となっていることが分かります。同じ2.4GHz帯を使っても、Wi-Fi 6は高速通信をサポートしていることが結果からも分かります。
今回、色々なWi-Fiルーターを測定してみて、あらためていろいろなことが分かりました。お使いのスマホやご利用環境、時間帯によっても実測値は変わりますが、ぜひご参考にしていただければと思います。
「Wi-Fiルーターを見直して快適な生活を過ごそう」では、Wi-Fi規格のことや電波周波数帯のことなどを詳しく紹介していますので、あわせてご参照ください。
◎関連リンク
・Wi-Fi 6 2.5Gbps対応ルーター
「WN-DAX3600QR」
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・Wi-Fi 5 トライバンドルーター
「WN-TX4266GR」
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・Wi-Fi 5 メッシュ機能搭載ルーター(親機)
「WN-DX1167GR」
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・Wi-Fi 5 メッシュ子機
「WN-DX1300EXP」
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・Wi-Fi 5 メッシュセット
「WN-DX1167GREX」
(商品ページ)(購入ページ)
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