(記事公開日:2024年7月12日)
Microsoft DefenderはWindows OSに標準搭載されているセキュリティソフトで、誰でも無料で使えるのが特徴です。
パソコンを購入した際、「セキュリティソフトを導入するのは当たり前」と考える人は少なくありません。一方、標準搭載のMicrosoft Defenderで問題ないという意見も増えてきました。
利用するセキュリティソフトを選択するには、それぞれの特徴を理解することが重要です。本記事では、Microsoft Defenderの代表的な機能やメリット・デメリット、Microsoft Defenderの弱みをカバーする方法を紹介します。
Microsoft DefenderはWindowsの標準的なセキュリティソフトで、Windowsパソコンを導入すれば、そのまま利用可能です。マルウェア対策やシステムの常時監視など、セキュリティソフトの基本的な機能を備えています。
Windows 8から標準搭載され、Windows OSなら無料で利用できるため、他のセキュリティソフトを使わない人も少なくありません。
以前は、マルウェアの検知機能が不十分といった理由から、別のセキュリティソフトを導入する人も多くいました。しかし、近年はマルウェアの検知機能の向上や動作性の改善により、Microsoft Defenderさえあれば問題ないと考える人が増えている状況です。
なお、旧称はWindows Defenderで、2020年5月からMicrosoft Defenderに変わりましたが、どちらも同じサービスです。
Microsoft Defenderで利用できる機能は、主に以下のとおりです。
パソコンを安全に利用する上で、必要な機能を網羅していることが分かるでしょう。ここでは、それぞれの機能について詳しく解説します。
Microsoft Defenderは、ウイルスやランサムウェアといったさまざまなマルウェアを常時監視し、システムへの感染を防ぐのが主な機能です。システムの状況を常に監視し、適宜スキャンを実行することで、リアルタイムでセキュリティ上の脅威を検知します。
脅威の検出率の高いファイルを調べるクイックスキャンをはじめ、全ファイルをチェックするフルスキャン、任意のファイルのみを確認するカスタムスキャンが可能です。検出の難しいマルウェアをオフラインの状態でチェックする機能もあります。
Microsoftアカウントの保護や動的ロック関連の管理機能も搭載しています。
必要に応じて、Microsoftアカウントやサインインの状態を確認し、Windows Helloによる生体認証が可能です。Windows HelloはWindows 10から搭載された生体認証機能で、顔や指紋、虹彩とPINコードでWindowsにサインインできます。
Bluetoothでペアリング中のスマートフォンが一定範囲外に移動した際、Windows端末を自動でロックする機能(動的ロック)も利用可能です。
スマートフォンを所持していれば、離れた場所にいても対象のデバイスをロックできるため、悪意ある者による不正利用を防げます。
不正アクセスを防止し、システムを保護するファイアーウォールとネットワークの設定・確認も可能です。
管理画面から有効・無効の切り替えができるだけでなく、ドメインネットワーク・プライベートネットワーク・パブリックネットワークのそれぞれについてファイアーウォールを詳細に設定できます。
ネットワークに何らかの問題が発生した際、トラブルシューティングにより状況を素早く診断し、自動的に解決を図れるのも特徴です。
不正なアプリケーションやソフトウェアからシステムを保護する機能も有効です。Microsoft Defenderが危険と判断したファイルのダウンロードを停止したり、承認していないアプリケーションの起動を抑制したりできます。
また、Microsoft Defender SmartScreenの設定により、フィッシング詐欺やマルウェア感染のおそれがあるWebページのブロックが可能です。画面に警告を表示し、悪意あるページへのアクセスを防止できます。
Microsoft Defenderは、ファミリー向けのセキュリティ設定も可能です。特定のWebページへのアクセスやソフトウェアの利用を制限できます。
子どもに遊ばせたくないゲームやアプリケーションをブロックしたり、Microsoft Storeで課金管理をしたりする際に活用できる機能です。デバイス全体のセキュリティ強化が可能ですが、どちらかといえば、子どもの利用を前提とした機能といえるでしょう。
家族のデバイスの利用状況やセキュリティに関しても、管理画面から確認できます。
Microsoft Defenderを利用するには、有効に機能しているか確認する必要があります。Windows 10の場合、次の手順でMicrosoft Defenderの状態を確認し、必要に応じて有効化しましょう。
1.スタートメニューから「設定」を開く
2.「更新とセキュリティ」を選択
3.メニューの「Windows セキュリティ」から「Windowsセキュリティを開く」を選択
Windowsセキュリティの「ウイルスと脅威の防止」の部分に「操作は不要」といった表示があれば、Microsoft Defenderは有効です。
一方、「リアルタイム保護がオフになっている」「処置が必要です」といった表示があると無効の状態です。セキュリティ上のリスクがあるため、「有効にする」をクリックしましょう。
Windows 11もスタートボタンから「すべてのアプリ」を選択し、「Windows セキュリティ」の項からMicrosoft Defenderの有効化が可能です。
他のセキュリティソフトと比較した場合、Microsoft Defenderのメリットは何でしょうか。Windows標準搭載のため無料で使える点をはじめ、マルウェアの検出性能が高いのも強みです。
セキュリティの専門家からの評価も高く、有料のセキュリティソフトから乗り換える人も目立ちます。ここでは、Microsoft Defenderの強みを2つ紹介します。
Microsoft DefenderはWindows OSに標準搭載された機能で、別途ソフトウェアを購入・インストールする手間やコストが不要です。ベンダーが定期的に機能をアップデートするため、ユーザーは常に最新版を利用できます。
OSの大型アップデートを経た場合でも、他のセキュリティソフトに比べて、トラブルが発生しにくいのもメリットです。基本的に不具合による修正パッチのリリースを待つ必要がなく、新たにパソコンを導入した際も面倒な設定をせずに使えます。
従来、Microsoft Defenderはマルウェアの検出機能が不十分で、他のセキュリティソフトでカバーする必要があると考える人が多い機能でした。しかし、近年はマルウェアの検出性能を高く評価する人が増えています。
さまざまなセキュリティソフトとの比較でも高い評価を得ており、別途コストが必要ないサービスにもかかわらず、成績がよいのは大きな強みといえるでしょう。個人用パソコンのセキュリティとしては十分な性能があり、手軽に運用できるのもメリットです。
Microsoft DefenderはWindowsの標準機能でありながら、個人用パソコンのセキュリティとして十分な性能を有しています。
ただし、迷惑メールや新たなマルウェアには十分に対応できないケースもあるため、理解した上で利用しましょう。ベンダーから手厚いサポートを受けたい人は、有料のセキュリティソフトがおすすめです。
メールのフィルタリングに対応しておらず、メールを使ったサイバー攻撃に弱いのが、Microsoft Defenderを利用するデメリットのひとつです。
近年はフィッシングメールによる被害が拡大しており、日本の大手企業や行政機関もターゲットになっています。メールをきっかけに機密情報が漏えいした事件も少なくないため、個人でも十分に気を付けなければなりません。
現状、Microsoft Defenderだけでは巧妙化するフィッシングメールや迷惑メールに対応するのは難しいのが実態です。
不審なメールを開かないといった基本的な対策を徹底しましょう。必要に応じて、メールのフィルタリング機能を有するセキュリティソフトを導入するのも有効です。
パターンマッチングを採用している都合上、Microsoft Defenderは新しいマルウェアに対する保護が弱い点も知っておく必要があります。
現状、Microsoft Defenderはマルウェアの挙動から検知するビヘイビア法には対応していません。既存のマルウェアの挙動を分析し、定義ファイルとして使用する方法を採用しているため、未知の脅威に対応するのは困難です。
未知のマルウェアの対策を万全にしたいなら、パターンマッチングだけでなく、不審な挙動を検知できるビヘイビア法にも対応したセキュリティソフトを選びましょう。
Microsoft Defenderは、巧妙化する迷惑メールや未知のマルウェアへの対策が難しいのが現状です。
Microsoft Defenderで対応できない部分を別のセキュリティソフトで補う方法も有効といえるでしょう。他にも、有料のMicrosoft Defender for Office 365の導入やNASを使って重要なデータをバックアップする方法もおすすめです。
有料版のMicrosoft Defender for Office 365を使用すれば、メールに対する保護に加えて、クラウド上で共有した不正ファイルにも対処できます。
なりすましメールやスパムメールをブロックし、悪意ある添付ファイルをチェックできることから、フィッシング詐欺の対策として効果的です。
人間の目では見落としがちなメールの被害リスクを低減できるため、メールを利用したサイバー攻撃の対策をするなら、導入を検討するとよいでしょう。セキュリティに関するトレーニングも可能で、社員のITリテラシーを向上したい企業にもおすすめです。
デバイスのセキュリティに気を配るのはもちろん、安全にネットワークを運用する工夫も必要です。ネットワークにファイアーウォールを設置したり、通信にVPNを利用したりすれば、Microsoft Defenderだけでもデバイスは保護できます。
組織全体で運用する場合だけでなく、個人で複数のデバイスを使う場合にも、ネットワーク全体のセキュリティの強化に努めることが重要です。
Microsoft Defenderに加えて、他のソフトウェアを使ってセキュリティを強化しても、すべてのリスクをゼロにはできません。
ここ数年はランサムウェアの拡大をはじめ、さまざまなサイバー攻撃の被害が広がっています。重要なデータを失わないためにも、別の場所にバックアップしておきましょう。
クラウドストレージは、ネットワークから完全に切り離してデータをバックアップするのに最適です。セキュリティに定評のあるベンダーのクラウドストレージを利用すれば、社内のネットワークに問題が生じても重要なデータを失わずに済むでしょう。
NASを使用してデータをバックアップするのもおすすめです。すべてのデータをバックアップする方法(フルバックアップ)以外にも、追加・修正分のみコピーする方法(差分バックアップ)など、柔軟に対応できます。
近年のランサムウェアのようなバックアップデータを標的にしたマルウェアでも、工夫次第でスムーズな復旧が可能です。
アイ・オー・データでは、重要なデータのバックアップに使えるNASを提供しています。
Windows OSを搭載したHDL2-Z10ATBシリーズは、Windowsユーザーにとって見慣れたGUIで操作できるため、多くの人が使いやすいのが特徴です。同時接続数20名以下の環境に向いており、サーバーOSの搭載品と比べて低コストで導入できます。
Microsoftのセキュリティアップデートが適用され、常に最新のOSで運用できるのに加えて、Microsoft Defenderを無料で利用可能です。中小企業だけでなく個人事業にもおすすめなので、この機会に導入を検討してみましょう。
Windows搭載 小規模利用法人向けNAS!
「HDL2-Z10ATBシリーズ」
Microsoft DefenderはWindowsに標準搭載されたセキュリティソフトで、無料で利用できます。
基本的なセキュリティ対策として有効ですが、迷惑メールや新たなマルウェアの対策を万全にするには、他のセキュリティソフトやMicrosoft Defender for Office 365を導入するのがおすすめです。
また、重要なデータを失わないためにも、定期的にデータをバックアップしましょう。アイ・オー・データでは、データのバックアップに役立つNASをリリースしています。ぜひ導入をご検討ください。
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