(記事公開日:2024年10月4日)
クラウドストレージは利便性が高く、多くの企業で導入が進んでいます。しかし、大切な企業データをクラウドに預ける以上、セキュリティ対策は万全でなくてはなりません。
クラウドストレージのメリットを最大限に活かしつつ、データ漏えいなどのリスクを最小限に抑えるには、どのような対策が必要でしょうか。
この記事では、クラウドストレージの基本から、セキュリティ強化のための最新手法まで、企業がクラウドを安全に利用するためのポイントを解説します。
クラウドストレージは、インターネット経由でデータを保存するサービスであり、場所を問わずファイルの保存や共有が可能です。
クラウドストレージの基本的な仕組みや特徴を解説するとともに、企業が導入するメリットやデメリットについて詳しく見ていきましょう。
クラウドストレージとは、インターネット上にデータを保存できるサービスのことです。従来のようにパソコンやUSBメモリーなどの物理的なストレージにデータを保存するのではなく、クラウド上に配置されたストレージにインターネット経由でアクセスする仕組みになっています。
クラウドストレージを利用すれば、場所を選ばずにデータの保存・管理・共有が可能です。文書、写真、動画などさまざまなファイルをクラウド上に保存しておけば、インターネット環境さえあれば、どこからでもアクセスできます。
また、クラウドストレージは、ファイルストレージ方式、ブロックストレージ方式、オブジェクトストレージ方式の3つに分類されます。それぞれデータの保存方式が異なりますが、利用者はその違いを意識することなく、手軽にデータを保存・管理できるようになっています。
クラウドストレージは、リモートワークの普及に伴い、ビジネスシーンで欠かせないツールになりつつあります。
企業にとって、クラウドストレージを導入するメリットは主に4つあります。まず、災害や機器の故障によるデータ消失のリスクを軽減できることです。クラウド上にデータをバックアップしておけば、万が一の際も安心です。
2つ目は、場所を選ばずにファイルにアクセスできる点です。外出先からでもスマートフォンなどを使って、必要なデータを確認・編集できるのは大きなメリットといえるでしょう。
さらに、クラウドストレージを活用すれば、リモートワーク中でも社内と同様にファイル共有が可能になります。外部の担当者とのやりとりの際も、アクセス権限を設定することで、機密情報の流出を防げます。
加えて、クラウドストレージは企業側の負担も大幅に減らせます。機器の設置やメンテナンス、セキュリティ対策などを提供業者に任せられるため、コスト削減にもつながります。
クラウドストレージは便利な反面、いくつかのデメリットや注意点も存在します。たとえば、インターネット接続が必須なため、オフライン環境ではファイルにアクセスできません。また、サービスによってはカスタマイズ性が低く、自社システムに合わせた細かな設定ができない場合もあるでしょう。
セキュリティ面でも、オンラインでのデータのやりとりは情報漏えいのリスクが避けられません。信頼できるセキュリティ対策を備えたサービスを選ぶとともに、自社でもアクセス権限の管理など、適切な対策が求められます。
さらに、退職者や外部協力者など、アクセス権限が不要になったユーザーのアカウント削除も重要です。放置すれば、情報流出の原因になりかねません。
クラウドストレージを導入する際は、これらのデメリットを理解した上で、自社に最適なサービスを選ぶ必要があるでしょう。デメリットを回避するためには、物理ストレージとのハイブリッド運用もおすすめです。
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企業にとって最適なクラウドストレージサービスを選ぶには、各サービスの特徴や料金体系、ファイル共有の利便性などを比較検討することが重要です。
自社のニーズに合ったサービスを見つけるための選定ポイントを解説しますので、ぜひ参考にしてください。
クラウドストレージサービスは、データの保管場所や利用形態に応じて、大きく3つのタイプに分類できます。
まず、セキュリティ面を重視するなら、暗号化機能や二要素認証に対応したサービスがおすすめです。機密情報を扱う企業は、より高度なセキュリティ対策が施されたサービスを選ぶとよいでしょう。
次に、社外とのファイル共有が多い場合は、容量無制限でデータ共有に特化したサービスが適しています。大容量ファイルの送受信もスムーズに行えるため、業務効率化に役立ちます。
最後に、コストを抑えたい中小企業は、無料プランから始められるサービスを活用するのが得策です。ただし、無料プランでは機能に制限がある場合が多いので、業務に支障がないか見極めましょう。
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クラウドストレージの料金プランは、ユーザー数に応じて課金される「ユーザー課金タイプ」と、データ容量に応じて課金される「データ容量課金タイプ」の2種類に大別されます。
ユーザー課金タイプは、1人あたりの月額料金が固定されているため、利用者が少ない小規模企業や特定部署での利用に適しています。一方、データ容量課金タイプは、ストレージの総容量に応じて月額料金が決まるため、全社的な利用や大容量データを扱う企業に最適です。
ストレージ容量については、ユーザー課金タイプは無制限のサービスが多いのに対し、データ容量課金タイプは容量制限があるケースが一般的です。自社のデータ利用状況を把握し、コストパフォーマンスを比較検討することが、最適な料金プランを選ぶ上で重要なポイントとなります。
料金タイプ | 課金方式 | ストレージ容量 | 適した企業規模・利用シーン |
---|---|---|---|
ユーザー課金タイプ | 利用者数に応じて課金 | 無制限が多い | 小規模企業、特定部署での利用 |
データ容量課金タイプ | データ容量に応じて課金 | 容量制限あり | 全社的な利用、大容量データを扱う企業 |
クラウドストレージのファイル共有とアクセス権限管理機能は、サービスによって利便性に差があります。たとえば、ユーザー単位で細かくアクセス権限を設定できるサービスもあれば、フォルダー単位での一括設定しかできないサービスもあるため、注意が必要です。
また、外部ユーザーとの共有のしやすさも、サービス間で大きく異なります。直感的に使えるユーザーインターフェイスであるかどうかも、重要な選定ポイントの一つです。
自社に最適なサービスを選ぶには、実際の利用シーンを想定して、各サービスの共有機能を入念に検証することが不可欠です。セキュリティを担保しつつ、円滑なファイル共有ができるサービスを選びましょう。
クラウドストレージは利便性の高いサービスですが、セキュリティ対策に不備があるとデータ流出などの深刻なリスクが伴います。外部からのサイバー攻撃や内部の不正アクセス、自然災害によるデータ消失など、さまざまな脅威から企業の機密情報を守るには、万全のセキュリティ対策が不可欠です。
そこで本章では、暗号化と二要素認証によるアクセス制御の強化、ログ管理の徹底など、クラウドストレージを安全に利用するための具体的な手法を解説します。
クラウドストレージは利便性が高い反面、適切なセキュリティ対策を怠ると、さまざまなリスクが潜んでいます。
たとえば、外部からのサイバー攻撃によって、機密情報が流出する可能性があります。巧妙化するマルウェアや標的型メール攻撃から、企業データを守るには万全の備えが必要です。
また、内部の不正アクセスも看過できません。うっかりミスによる情報漏えいや、悪意ある社員によるデータの持ち出しなど、人的リスクへの対策も重要です。
さらに、自然災害によるデータセンターの被害など、不可抗力のリスクも考慮しなければなりません。万一の際にデータが失われては、事業継続が危ぶまれます。
そのため、暗号化やアクセス制限、ログ管理など、多層的なセキュリティ対策を講じることが不可欠です。
暗号化と二要素認証は、クラウドストレージのセキュリティ対策として欠かせません。まず、保存するデータを暗号化することで、万が一の流出時も内容を読み取られるリスクを軽減できます。
次に、二要素認証の導入が重要です。IDとパスワードに加え、スマホアプリなどによる認証を求めることで、不正アクセスを防げます。
指紋認証や顔認証を組み合わせた多要素認証を採用しているサービスもあります。こうした先進的な取り組みにより、高度なセキュリティを実現しています。
もちろん、暗号化や認証だけですべてが解決するわけではありません。総合的なセキュリティ対策が不可欠ですが、この2つは特に重要な基本事項と言えるでしょう。
クラウドストレージのセキュリティを確保するには、アクセス制御とログ管理が欠かせません。
適切なアクセス権限の設定により、機密情報へのアクセスを必要最小限の人に限定できます。部門ごとに閲覧可能な情報を制限することで、社内からの情報漏えいリスクを大幅に下げられます。
また、いつ誰がどのファイルにアクセスしたかを記録するログ管理は、不審な動きのチェックに役立ちます。万が一の情報流出や不正アクセスの際にも、原因特定がしやすくなるでしょう。
ただし、これらの機能を正しく使いこなすには、適切な設定と運用が不可欠です。アクセス権限の設定ミスは、かえってリスクを高めてしまいます。
そのため、情報セキュリティポリシーの策定と、社員教育が肝心です。クラウドのメリットを安全に享受するためにも、アクセス制御とログ管理を徹底しましょう。
クラウドストレージの導入には、企業のニーズに合ったサービス選定と綿密な移行計画が必要です。
ここでは、クラウドストレージを円滑に導入するための重要なステップを3つ解説します。要件定義から移行まで、各段階で押さえるべきポイントを詳しく見ていきましょう。
クラウドストレージを導入する際、企業のニーズと要件を明確にすることが重要です。まず、ストレージ容量やアクセス速度、セキュリティ機能など、必要な性能を洗い出す必要があります。
大容量のファイルを頻繁にやりとりする部署では、高速なアップロード・ダウンロード速度が求められます。機密情報を扱う部署では、暗号化や二要素認証などのセキュリティ対策が不可欠です。
さらに、長期的な運用コストや、既存システムとの連携性なども考慮する必要があります。自社の業務フローに最適なサービスを選ぶためにも、導入前の要件定義は慎重に行いましょう。
クラウドストレージサービスを選ぶ際は、自社のニーズに合ったサービスを見極めることが大切です。まずは候補となるサービスをピックアップし、機能や料金プランを比較することから始めましょう。
その上で、実際に試用期間を設けて使用感を確かめましょう。たとえば、モバイルデバイスからのアクセスが必須な場合は、マルチデバイス対応が重要な選定ポイントです。セキュリティ面では、IPアドレス制限などの設定が可能かどうかもチェックしましょう。
このような検証プロセスを経ることで、自社の業務にマッチしたサービスを見つけられるはずです。導入後も定期的な評価を行い、必要に応じてサービスの見直しを検討しましょう。
クラウドストレージへの移行は、段階的に進めることが重要です。まず、移行対象となるデータの洗い出しと優先順位付けを行います。業務に欠かせない重要データから順に移行していくのがポイントです。
移行の際は、データの整合性を確保するために、既存システムとの同期を慎重に行う必要があります。たとえば、ファイルの更新日時や権限設定などを、クラウド上でも正しく反映させることが必要でしょう。また、移行作業中のトラブルに備えて、バックアップを取っておくことも忘れてはいけません。
移行完了後は、動作確認を十分に行い、問題がないことを確認します。ユーザー教育も大切です。新しいシステムの使い方を丁寧に説明し、スムーズに業務に取り入れられるようサポートしていくことが求められます。
クラウドストレージは便利なツールですが、セキュリティ面などのデメリットもあります。それらをカバーするには、物理ストレージとのハイブリッド運用がおすすめです。
アイ・オー・データでは、クラウドとのハイブリッド運用に最適な物理ストレージであるNASをご用意しています。
物理ストレージはインターネットに接続されていないため、ハッキングやデータ漏えいのリスクを軽減し、災害時でもデータを安全に保護できます。
また、NASのような物理ストレージはクラウドの利用制限やサービス停止の影響を受けないため、データの長期保存にも適しています。
クラウドとの通信を物理ストレージに集約することで、社内ネットワークのパフォーマンスが向上します。
通常、複数のデバイスがクラウドと直接通信すると、帯域幅が逼迫し、ネットワーク速度が低下することがあります。しかし、NASのような物理ストレージを介して一括でデータをクラウドとやりとりすることで、通信が集約され、ネットワーク全体の負荷が軽減されます。
クラウドに情報を集約していると、内勤のスタッフの分もアカウントを発行する必要がありますが、物理ストレージを用意していればその必要はありません。クラウドとの通信が必要な社員の分だけアカウントを発行することで、コストを削減できます。
テレワークもBCP対策も「クラウド×NAS」の二刀流で効率アップ
クラウドストレージは、インターネット上のサーバーにデータを保存し、どこからでもアクセスできる便利なサービスです。セキュリティ対策のポイントと導入手順を理解し、メリットとデメリットを見極めることが重要です。
最適なサービスを選ぶには、詳細な性能比較とセキュリティ確認、長期的な運用コストやユーザー評価の考慮が求められます。十分な検討と準備を行い、自社に合ったクラウドストレージを活用しましょう。
クラウドストレージのデメリットをカバーするには、物理ストレージとのハイブリッド運用がおすすめです。アイ・オー・データのNASとのハイブリッド運用で、クラウドストレージを安全に活用しましょう。
I-O Knowledgeコラム 編集部では、液晶ディスプレイとHDD&NASのストレージデバイスを中心に、IT業界に関わる基礎知識と最新トレンド情報を選りすぐりでお届けします。
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