(記事公開日:2024年7月12日)
HDDを長く使用していると、突然認識しなくなったり保存していたデータにアクセスできなくなったりすることがあります。大切なデータを保存していたHDDが認識しなくなり、内部のデータを取り戻したい方もいるのではないでしょうか。
この記事では、HDDが認識しなくなる原因やトラブルシューティングの方法を紹介します。適切に対処すれば、再び認識するようになったりデータを取り戻せたりする可能性があるため、諦めずに試してみましょう。
HDDを認識しない原因にはさまざまなものが存在します。HDD関連のトラブルが発生する原因は、大きく分けると物理障害と論理障害の2種類です。ここでは、物理障害と論理障害がそれぞれどのようなトラブルを指すか解説します。
HDDの本体に破損している部分や正常に動作しない部分があり、異常が発生することを物理障害と呼びます。具体的な状況の例は以下のとおりです。
特に異音や異常振動が発生しているなら、物理障害を疑いましょう。基本的に、物理障害が原因でPCがHDDを認識しなくなった場合、再び正常に動作する状態に戻ることは期待できません。
PCを再び正常な状態に戻すには、障害が発生したHDDを交換する必要があります。データを復旧したければ、専門業者に作業を依頼するとよいでしょう。
HDD本体に異常がなく正常に動作しているものの、ソフトウェアや保存したデータの問題で認識しなくなるのが論理障害です。論理障害が発生する原因として以下の例が挙げられます。
論理障害のみが原因であれば本体に異常はないため、適切に復旧作業を実施することで再び認識する可能性があります。比較的データも救出しやすいでしょう。
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PCが接続しているHDDを正常に認識しなくなると、さまざまな症状が発生します。ここでは、HDDにトラブルが発生した際に起こりがちな代表的な症状を4つ見てみましょう。
紹介する症状が発生したら、トラブルを悪化させないためにも、できるだけ早くトラブルシューティングに移ることをおすすめします。
PCがHDDを認識しなくなると、ドライブが表示されなくなります。Windows PCを例に挙げると、エクスプローラーやディスクの管理を開いても接続しているはずのHDDが表示されません。
PCから見ると障害が発生したHDDは接続していないのと同じで、OSからは一切の操作が不可能です。外付けHDDの場合、接続が外れているだけのケースもあるため、念のためケーブルの状況をチェックしましょう。
OS上では正常に認識しているように見えるものの、アクセスしようとするとエラーが発生するケースがあります。よくあるエラーメッセージの例は以下のとおりです。
データにアクセスする際に上記のエラーが発生したら、多くの場合、論理障害が疑われます。ただし、物理障害のケースもあるため、断定はできません。
HDDに何らかの異常が発生したことでデータを正常に読み書きできなくなり、PCに動作異常が発生するケースもあります。PCを使用している途中で突然ハングアップしたり、ソフトウェアがクラッシュしたりなど、具体的な症状は多種多様です。
ハングアップやクラッシュが頻繁に発生するときやHDDに異音や異常発熱が見られるときは、早めにデータをバックアップして交換しましょう。
認識しなくなったHDDから異音がしたり、動作音が全く聞こえなかったりするときは可動部の故障が疑われます。HDDはヘッダーやディスクが動くため、動作音がするのが通常です。可動部が故障すると正常に動かなくなり、異音をはじめとした動作不良につながります。
このような場合、物理障害の可能性が高いといえるでしょう。まだ認識する状態でも近いうちに故障するリスクがあるため、早めに交換することをおすすめします。
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HDDを認識しなくなったら、原因を見極めて適切に対処することが大切です。ここでは、HDDのトラブルが発生したときのトラブルシューティング方法を紹介します。
状況を注意深く観察し、対処法をひとつずつ順番に試してみましょう。対処法を間違えると症状が悪化するリスクがあるため、注意が必要です。
認識しなくなったHDDから異音がしないか確認しましょう。何かに引っかかるような音など、普段は聞こえない音が聞こえたら物理障害が発生している可能性が高いと判断できます。
異音が発生した状態で使い続けると症状が悪化するリスクがあるため、使用は控えましょう。認識したりしなかったりと、状態が不安定な場合、使えるうちに内部のデータをバックアップして故障に備えるのもおすすめです。
PCのトラブルでHDDを正常に認識しないケースもあります。エクスプローラーにはドライブのアイコンが表示されないものの、デバイスマネージャーでは正常に認識するケースが代表的な例です。
HDDではなくPCのトラブルが考えられる場合、PCを再起動してみましょう。再起動後に正しく認識するのであれば、そのまま使用できます。
PCとHDDを接続するケーブルが抜けていたり断線していたりするなど、接続に問題があって認識しないトラブルもあります。
内蔵HDDであれば、SATAケーブルをHDDとマザーボードの双方にきちんと接続しているか確認しましょう。外付けHDDの場合、USBケーブルの接続状態を確認します。
接続に問題がないなら断線のようなケーブル故障が疑われるため、新しいものに交換して動作をチェックするとよいでしょう。ケーブルの差し直しや交換で正常に認識すれば、そのまま使用できます。
SATAポートやUSBポートの故障により正常に通信できないケースもあります。今まで使っていたポートとは別のポートに接続して、HDDを認識するかチェックしましょう。
別のポートに接続して認識するなら、HDDではなくポートの故障と判断できます。マザーボードの交換やPCの修理を検討するとよいでしょう。
HDD内部のデータにアクセスできないときは、OSがHDDを本当に認識していないか確認しましょう。デバイスマネージャーを開き、ディスクドライブのツリーを展開してHDDが表示されているか確認します。
他にも、ディスクの管理を開くことで、HDDの認識状況のチェックが可能です。デバイスマネージャーやディスクの管理で正しくHDDを認識しているなら、論理障害が疑われます。
OS上でHDDを認識していない場合、BIOSから認識状況を確認します。BIOSで確認する手順は以下のとおりです。
1.PCの電源を切って再度ONにする
2.Delキーを連打してBIOS画面に入る
3.HDDの接続状況を確認する
BIOSの起動方法やHDDの接続状況が表示される部分は、マザーボードメーカーやPCメーカー、BIOSのバージョンによって異なります。より具体的な方法を知りたいときは、マニュアルなどで確認しましょう。
1つのシステム上に同じドライブレターが2つ以上ある場合、正常にドライブを使用できません。設定ミスで同じドライブレターになっている可能性もあるため、以下の手順で確認しましょう。
1.エクスプローラーを起動して「PC」を開く
2.「デバイスとドライブ」で同じドライブレターが2つ以上ないかチェックする
競合しているドライブレターを発見したら、どちらかを別のものに変更しましょう。変更後に正しく認識すれば、そのままHDDを使用できます。
新しいHDDをPCに接続したときは、使用前にフォーマットする必要があります。該当する場合、以下の手順でフォーマットしましょう。
1.ディスクの管理を起動する
2.新しく接続したHDDを右クリックする
3.「ディスクの初期化」を選択する
4.ウィザードにしたがってフォーマットする
上記の作業が完了すると、エクスプローラーでHDDを認識するようになります。ただし、今まで使っていたHDDが認識しなくなった場合、フォーマットしないようにしましょう。フォーマットすると内部のデータが削除されるため、大切なデータが失われます。
HDDが認識しなくなったときは、適切に対処しないと症状が悪化するおそれがあります。特に以下で紹介する対処法は危険なため、やらないようにしましょう。
HDDは衝撃に弱いため、外部から衝撃を加えるとディスクやヘッダーが破損するといった物理障害につながりかねません。また、何度も再起動を繰り返すのもHDDに大きな負荷を与えるため、避けたほうがよいでしょう。
HDDの分解もディスクにダメージを与えるため危険です。修理が必要な場合は自分で対処せずに、プロに任せることをおすすめします。
トラブルシューティングを試してもPCがHDDを認識しないときは、重度の障害が疑われます。自分で復旧するのは難しいケースもあるでしょう。HDDが認識されず困っているなら、以下の対処法を試すのがおすすめです。状況に応じてうまく対処しましょう。
これまでどおりにPCを使用するためにも、故障したHDDは早めに新しいHDD・SSDに交換することをおすすめします。必要な容量・仕様のHDD・SSDに交換すれば、再び正常に使用できるでしょう。
日頃からデータを定期的にバックアップしていれば、交換後にリストアすることで元通りの状態に戻せます。
故障したHDDを処分するときは、勝手にデータを復旧されて情報漏えいしないように、データ消去サービスやHDD破壊サービスを利用するとよいでしょう。
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バックアップを取っていないなどの理由で内部のデータを復旧したい場合、プロが提供するデータ復旧サービスの利用を検討しましょう。保存したバックアップデータが破損し、正常に使えない場合も同様です。
ただし、データ復旧サービスを利用したからといって確実に復旧できるとはかぎりません。作業にはある程度の費用がかかる点も覚えておきましょう。
間違えてデータを削除・フォーマットしたなど、単純なヒューマンエラーが原因の場合、自力で復旧できる可能性があります。軽度の論理障害も同様です。
自力での復旧を試すときは、市販のデータ復旧ソフトを使用するとよいでしょう。ただし、プロの復旧サービスと同様に、データ復旧ソフトを使用したからといってデータを取り戻せるとはかぎりません。また、重度のトラブルや物理障害への対応としては不適切です。
アイ・オー・データでは、さまざまなトラブルで認識しないHDDのデータを取り戻したり処分したりするサービスを提供しています。
ここでは、代表的なサービスである「データ復旧サービス」と「データ消去サービス」を紹介します。HDDが認識しなくなって困っている方は、ぜひご利用ください。
HDDに保存した重要なデータを取り戻したいなら、有料のデータ復旧サービスをご検討ください。内蔵HDD・外付けHDDの両方に対応しており、幅広いデバイスで利用できます。
HDD以外にも、SSDやSDカード、光学ディスクに対応しているため、これらを使用している方にもおすすめです。
製造したメーカーを問わずサービスを提供しているため、まずは一度ご相談ください。料金は復旧するHDDの種類やドライブの数、障害の程度によって異なります。
アイ・オー・データ機器 データ復旧サービス
故障したHDDを処分する際にデータを確実に削除したいなら、消去アプリの「DiskRefresher4 SE」をご利用ください。DiskRefresher4 SEは無料で利用でき、内部のデータを復旧できないように消去します。
重要なデータを保存していたHDDを処分するときなど、情報漏えいのリスクを低減したい場合に有用です。
復旧できないようにデータを抹消!外付けHDD・SSDのデータを強固に消去するデータ抹消アプリ
より復旧を困難にする消去方式を利用したいなら、有料版の「DiskRefresher4」をおすすめします。必要に応じて有料版もご検討ください。
消去証明書発行機能付きUSBメモリー型データ消去ソフト
「DiskRefresher4」
日頃からPCを使用していると、さまざまなトラブルで突然接続しているHDDを認識しなくなることがあります。HDDを認識しない原因は多種多様です。そのため、比較的簡単に復旧できる場合もあれば、重度のトラブルで復旧できない場合もあります。
自分でできる対処法を試してもHDDを認識せずにバックアップも利用できないときは、プロのデータ復旧サービスを利用するのがおすすめです。
アイ・オー・データでは、さまざまなストレージに対応したデータ復旧サービスを提供しています。大切なデータを失いそうで困っている方は、ぜひご利用ください。
I-O Knowledgeコラム 編集部では、液晶ディスプレイとHDD&NASのストレージデバイスを中心に、IT業界に関わる基礎知識と最新トレンド情報を選りすぐりでお届けします。
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