(記事公開日:2024年6月5日)
オンラインでデータの受け渡しができるファイル共有サービスは、ビジネスシーンだけでなく、個人の利用も一般化しています。多くのクラウドストレージが登場しており、Boxも世界中の人々が利用する代表的なサービスです。
オンラインでファイルを共有した経験の少ない人や別のクラウドストレージを利用している人の中には、Boxについてあまり知らない人もいるのではないでしょうか。この記事では、Boxの特徴や導入のメリット、おすすめの運用方法を紹介します。
Boxは数あるオンラインファイル共有サービスの中でも特に人気が高く、世界中で多くの人が利用しています。日本国内での導入数も企業だけで1万社を超えており、今後さらに導入が広まるでしょう。
まずは、Boxの概要と世界中の企業が利用している理由を解説します。
アメリカで2005年に設立して以来、Boxは世界中の多くの人や企業に対して広くクラウドストレージを提供しています。本社はカリフォルニア州にありますが、近年は日本でも着実に代理店を増やしている状況です。
世界で11万社以上、日本だけでも1万7,000社以上が利用する人気のクラウドサービスで、日本語にも対応しています(2024年5月現在)。
国内代理店を通じて導入すれば、日本語のサポートを受けられます。英語サポートのみで問題ないなら、オンラインで米国法人(Box Inc.)から直接購入する方法もあります。
世界中で多くの企業がBoxをファイル共有の基盤として活用している理由として、容量を無制限に利用できる点が挙げられます。法人向けの「Businessプラン」以上の場合、アップロード容量の上限はあるものの、ストレージの容量は無制限です。
利用するストレージ容量に応じて料金が高くなるクラウドストレージも少なくありません。Boxは容量を気にせずに、データの保管・利用ができます。
7段階にわたるアクセスレベルの設定と、SSOやMFAをサポートするユーザー認証など、高いセキュリティも人気の理由です。アップロードするファイルも強固に暗号化するため、機密データも安全にやりとりできます。
オンプレとは?クラウドとの違いと自社のシステムに合った運用方法
Boxは無制限にストレージ容量を利用できるため、業界・業種を問わず、多くの企業が利用しています。ただし、データを効率的に運用できる環境でなければ、期待するほどの効果が得られないおそれがあるため注意しましょう。
これからBoxを利用するなら、以下のポイントを意識しつつ、事前準備を万全にした上で導入を進めましょう。
まずは、Boxの利用目的を明確にすることが大事です。「Boxをはじめとしたファイル共有サービスを利用する目的は何か」「どのような効果を得たいのか」を明らかにした上で、具体的な利用シーンを洗い出しましょう。
多くの企業が利用しているからという理由で目的もなく導入を進めても、社内で定着するとはかぎりません。すでに社内でスムーズなファイル共有環境が確立されている場合、社員はクラウドサービスを利用しようと思わない可能性があります。
Boxの導入で社内のデータ運用環境がどのように変わるか、社員が確実に恩恵を受けられるかといった点をしっかりと検討した上で、本格的に導入準備を進めましょう。
Boxの利用が決定したら、社内でスムーズに導入・運用できる体制を整えましょう。社内にIT管理者がいれば、管理者を中心にプロジェクトチームを編成し、導入を進めるのが効果的です。
さらに、どの社員が利用できる環境にするかを検討し、運用基準やルールを設ける必要があります。社員が安全にサービスを利用できるように、ユーザーマニュアルを作成し、ユーザートレーニングを実施してもよいでしょう。
サービスを利用できる環境を整えたら、本格的にBoxを導入します。Boxを導入する方法は、日本の代理店を通じて申し込む方法と、オンラインで米国法人から直接購入する方法の2つです。日本語で丁寧なサポートを受けたいなら、代理店を通じて購入しましょう。
また、利用目的に合った最適なプランの選択が必要です。法人向けプランは、基本的にストレージ容量は無制限ですが、アップロード容量や利用できる機能に違いがあります。
BoxのWebページでは、活用を支援するコンテンツを提供しているため、積極的に利用するとよいでしょう。
Boxを導入する背景は企業によって異なりますが、多くの企業が挙げている共通の採用理由は以下のとおりです。
ここでは、それぞれのメリットについて具体的に見てみましょう。
Boxを導入する最大のメリットは、ファイルやフォルダーを簡単にアップロード・ダウンロードできる点です。それにより、社員間のスムーズな情報共有を実現できます。稟議書やプレゼン資料、動画、画像など、多くのファイルの保存・共有が可能です。
さらに、共有リンクを作成すれば、外部のメンバーとも情報をやりとりできます。アクセス用のURLを発行することで、ストレージへのアクセス権限がないユーザーもファイルの閲覧が可能です。プランによっては、無料で社外メンバーとフォルダーを共有できます。
法人向けの基本プランであるBusiness以上なら、ストレージを無制限に利用できる点も魅力です。
社内でHDDを利用する場合、容量をオーバーすると新たにファイルを保存できないため、別の機器を導入しなければなりません。データのバックアップも考えると、常に複数のストレージを運用する必要があり、容量の確保に難儀するケースもあるでしょう。
Boxのように容量無制限で利用できるクラウドストレージは、保存するデータ量を気にせず運用できます。業務で使用するデータを丸ごとバックアップすることも可能で、古いデータを逐一削除する必要もありません。
アクセス権限を細かく設定できるため、安全にデータを運用できるのもBoxを利用するメリットのひとつです。ストレージ内のファイル・フォルダーごとにパスワードの設定が可能で、閲覧・編集のみなど、7段階に分けて細かく権限を付与できます。
これにより、ユーザーによるデータの誤送信や第三者への誤ったファイルの共有を防げるでしょう。優れたセキュリティ機能により、機密データも安心して運用できます。
API連携により、Microsoft Office 365やGoogle Workspaceなど、1,500を超えるシステムやサービスとの連携も可能です。CRMやSFAとも連携できるため、うまく活用すれば、社内の業務効率が大幅に向上するでしょう。
ファイルの作成・編集をする場所を問わず、Boxを基盤として、多くのコンテンツを安全に管理できます。130種類以上の拡張子に対応しており、専用のアプリがなくてもさまざまなファイルをBoxで閲覧できる点も強みです。
Boxはさまざまな用途で活用できる便利なサービスですが、導入時には以下の点に注意しましょう。
自社の環境やニーズに合ったプランを選択することに加えて、オフラインでファイルを編集する際は拡張ツールの導入が必要です。
Boxは無料で使える個人向けのプランもありますが、利用できるストレージの容量は10GBまでで、使える機能も限られています。ビジネスシーンで利用する場合、法人向けの上位プランを導入しましょう。
また、「Business」「Business Plus」とより上位の「Enterprise」「Enterprise Plus」にもさまざまな違いがあります。
外部とのコラボレーション機能やコンテンツマネージャーの利用、動画ファイルの再生の可否に注目し、ニーズに合った機能を有するプランを選ぶことが大切です。
Boxはブラウザー上でファイルの編集ができないため、編集したいファイルをダウンロードするか、アプリ経由で対応する必要があります。
1つのファイルなら、ローカルにダウンロードして編集しても、それほど手間はかからないでしょう。しかし、編集するファイルが多い場合は工夫が必要です。
拡張ツールの「Box Edit」を利用すれば、クラウド上で直接編集が可能になるため、必要に応じて導入しましょう。たとえば、WordやExcelのファイルをBoxで開いて編集できます。
Boxをはじめとしたクラウド上でファイルをやりとりするサービスは、オフラインの状態ではアクセスできません。ネットワークに障害が起こると、業務が止まるおそれがあるため注意しましょう。
主にクラウド環境で業務データを運用する場合、障害の発生に備えて社内にデータのバックアップを取っておくことが大事です。
拡張ツールの「Box Sync」を利用すれば、オフラインの環境でもファイルの編集が可能になります。Boxのデータをデスクトップにミラーリングできるため、ローカルでファイルを編集してもオンライン時に自動でBoxに反映されて便利です。
Boxのようなファイル共有サービスをはじめ、さまざまなクラウドサービスの利用が広まっている昨今は、クラウド上のトラフィックの増大に注意が必要です。Boxも社内のアクセスが集中すると、ファイルが閲覧しづらくなるケースもあるでしょう。
業務データをクラウド環境のみに集約している場合、必要なタイミングでファイルを利用できないおそれがあります。トラフィックの増大やネットワーク障害の発生時でも、常にデータを安定して利用できる環境を構築することが大切です。
クラウド環境のみの運用では、ネットワークに問題が発生した際にデータが利用できなくなるリスクがあります。クラウドとNASのハイブリッド運用により、データのアクセス性を担保しつつ、データの消失リスクを低減する方法がおすすめです。
ここでは、アイ・オー・データが提案するハイブリッド運用のメリットやおすすめのNASを紹介します。
クラウドとNASのハイブリッド運用は、常に必要なデータにアクセスできる環境を構築できるため、社内全体の業務効率を大幅に改善できます。
Boxをはじめとしたクラウドサービスは、インターネットにつながる環境なら場所を選ばずアクセスが可能です。マルチデバイス対応によりデータの受け渡しにも時間がかかりません。ただし、ネットワーク障害が起こるとアクセスができないのがデメリットです。
クラウドストレージとNASを併用し、どちらかをバックアップとして活用すれば、障害時でもデータを安全に保てます。
NASのデータをクラウドにアップして多重化を図ったり、クラウドとの通信をNASに集約したりすることで、安全なデータアクセスが可能です。クラウドサービスの多重ライセンスによる運用コストの増大も防げるでしょう。
アイ・オー・データでは、ハイブリッド運用に適したビジネスNASを提供中です。15名規模のオフィス向けのエントリーモデルから、50名規模のスタンダードモデル、100名規模のハイエンドモデルまで取りそろえています。
企業規模に合わせたNASを導入し、Boxをはじめとしたクラウドサービスとスムーズに連携できるため、すぐに併用が可能です。
さらに、RAIDに代わるアイ・オー・データ独自の冗長化方式である「拡張ボリューム」も採用しています。機器が故障した際には迅速に復旧が可能で、ニーズに合わせて柔軟にボリュームを拡張できるのが魅力です。
「クラウド×NAS」の二刀流でテレワークもBCP対策も!
Boxは日本国内でも多くの企業が業務データの受け渡しに活用しています。法人向けのBusiness以上のプランなら、容量無制限で利用できるのが魅力です。
導入する際は利用目的を明らかにした上で、安全にデータを運用できる体制を整えましょう。クラウドのみにデータを集約すると、ネットワーク障害で利用できなくなるおそれがあるため、NASとの組み合わせによるハイブリッド運用がおすすめです。
アイ・オー・データでは、ハイブリッド運用に適したNASを数多く提供しています。この機会にぜひ導入をご検討ください。
I-O Knowledgeコラム 編集部では、液晶ディスプレイとHDD&NASのストレージデバイスを中心に、IT業界に関わる基礎知識と最新トレンド情報を選りすぐりでお届けします。
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