ファイルサーバーとは?NASとの違いや見落としがちな注意点を解説

(記事公開日:2024年6月5日)

ファイルサーバーとは?NASとの違いや見落としがちな注意点を解説

#ファイルサーバー パソコンを操作する手元とフォルダーツリーのイメージ

インターネットの普及によって紙ベースのデータ管理は減り、デジタル化が大きく進みました。デジタル化によるファイル管理や共有の効率化といった課題改善には、ファイルサーバーが向いています。

また、働き方の多様化による労働環境の変化に対応するため、導入を検討する企業も少なくありません。今回は、ファイルサーバーの役割から強み、注意点まで詳しく解説します。適切な導入や運用のためにファイルサーバーについて理解を深めましょう。

ファイルサーバーの役割とは?

首を傾げながら考えるスーツの男性

ファイルサーバーは、組織内でファイル管理と共有を円滑に行うための専用サーバーです。安全性の高いデータ管理と複数人による編集を実現し、業務の効率化を図る役割があります。

導入形態によって2種類に分かれるため、導入する際はそれぞれの特徴や管理方法への理解が必要です。また、混同されやすい装置としてNASが存在します。ファイルサーバーの導入や運用をスムーズにするために、導入形態やNASとの違いを把握しましょう。

導入形態による違い

ファイルサーバーの導入形態には、オンプレミス型とクラウド型の2つの選択肢があります。オンプレミス型は、サーバーを会社内に設置して保守や管理を行う導入方法です。自社に合わせてコントロールできますが、設備の管理や運用に労力を必要とします。

一方、クラウド型は、サービスプロバイダーが提供するサーバー上で管理する方法です。目的に合ったプランで契約すれば、サーバーの日常的な管理やメンテナンスを委託できます。

管理や運用の手間を省けますが、カスタマイズの幅が狭く、セキュリティリスクが高いのがデメリットです。

あわせて読みたい
オンプレとは?クラウドとの違いと自社のシステムに合った運用方法

オンプレとは?クラウドとの違いと自社のシステムに合った運用方法

記事を読む

NASとの違い

ファイルサーバーとNASは、どちらもファイルの保存と共有を行うシステムです。ただし、いくつか重要な違いがあり、ニーズに応じた選択を必要とします。

管理において必要な設定をユーザーが行うファイルサーバーと違い、NASは保存と共有に特化した専用のストレージデバイスです。

独立した設計でシンプルな機能を備えているため、ファイルサーバーより容易に導入・管理ができます。コンパクトな商品が多く、小規模の組織や一般家庭でも利用可能です。その分、カスタマイズ性やセキュリティ面など、ファイルサーバーに劣る部分があります。

ファイルサーバーならではの強み

キーボードの上に並べたファイルが描かれたブロック

ファイルサーバーの機能は、データの管理や共有だけではありません。環境の変化に対応する拡張性やファイルを保護するセキュリティ、紛失を防ぐバックアップと多彩です。

効率的なデータ管理とビジネスの生産性向上を実現するために、ファイルサーバーの長所について理解を深めましょう。ここでは、ファイルサーバーならではの強みを紹介します。

手軽なファイルの共有

アナログのデータ共有は、管理者の属人化や取得条件があり非効率でした。ファイルサーバーを用いたデータ管理は、ユーザー間でファイルの閲覧や編集が容易になるため実用的です。データの分散や重複を避けた整合性の保持にもつながります。

リモートアクセス対応機器なら、リモートワーカーや移動中の外部からの接続も可能です。ファイルのリンク作成機能は、共有したリンクからユーザーが簡単にアクセスできます。

ストレージ容量の増設

組織の成長や環境の変化により、ストレージ容量が足りなくなることも考えられます。ファイルサーバーなら、ストレージを拡張することで不足した容量を増設できて便利です。

オンプレミス型の場合、新しいHDDの追加や外部ストレージの接続といった方法が挙げられます。クラウド型は利用容量の追加や上位プランへの乗り換えで、簡単にアップスケーリングが可能です。ただし、容量を増やす際はコストも発生する点に注意しましょう。

アクセス権限の設定

ファイルサーバーは、保存した情報にアクセス権限を設けられるため、高度なセキュリティ環境を構築できます。

読み取り機能を制限すれば、機密性の高いデータの閲覧人数が絞れて、情報漏えいの対策が可能です。上書きといったミスによるデータ紛失リスクは、書き込み機能に制限を設け、編集者を限定することで避けられます。

これらの権限は個別に設定するだけでなく、作成したグループに対しても付与できて便利です。アクセス権限の設定により、組織内のデータを適切に保護し、必要最低限の情報提供を実現します。

バックアップ先への活用

ファイルサーバーは、重要なデータの保存と共有を担う構造のため、バックアップ先としても有用です。定期的にバックアップを実施すれば、データが消失しても復元できます。また、過去データの参照や災害時の復旧といったメリットも豊富です。

ファイルサーバーをバックアップ先に用いる際は、定期的に保存データを見直し、更新しましょう。バックアップの実行と監視を適切に行うことで、データの安全性と可用性の確保が可能です。

あわせて読みたい
今さら聞けないバックアップとは?必要性やタイミング、具体的な方法を解説!

今さら聞けないバックアップとは?必要性やタイミング、具体的な方法を解説!

記事を読む

ファイルサーバーの選定ポイント

両手に疑問符を乗せるスーツの女性

業務環境によって必要なファイルサーバーはさまざまで、保存容量や対応範囲が異なります。自社に適した商品を導入しないと、想定した効果は得られません。また、余計なコストが発生するおそれもあります。

ここでは、どのような点に注目してファイルサーバーを選ぶとよいか、基準にしたい選定ポイントを3つ紹介します。

保存容量やコストで選ぶ

ファイルサーバーは、組織や個人がデータを保存・共有するために導入します。保存容量を決める際は、ファイルの種類や量を考慮して、必要な容量を見積もりましょう。現在のデータ量だけでなく、将来の拡張性や成長を見据えた余裕を持たせることが大切です。

コスト面では導入形態ごとに費用を算出し、自社の環境や予算と照らし合わせて最適な選択肢を見つけます。オンプレミス型とクラウド型を比較して、総合的にどちらがニーズに適しているか判断しましょう。

対応人数やデバイスで選ぶ

ファイルサーバーは、複数人が同時にアクセスできる設計ですが、無限に接続できるわけではありません。同時接続する利用者が多いほど、処理能力に悪影響を与えるおそれがあります。クラウド型はプランによって、接続人数が制限されることも少なくありません。

また、対応デバイスも考慮しましょう。社員数と接続可能なデバイスの数が大きく乖離していると、作業効率が悪くなります。社内で異なる種類のデバイスが混在している場合、それらのデバイスに対応できるか検討が必要です。

セキュリティやサポート内容で選ぶ

ファイルサーバーを安心して使い続けるには、セキュリティやサポートの内容が重要です。

アクセス制御や認証機能、データの暗号化といったセキュリティ機能は、組織内の機密情報の保守に役立ちます。セキュリティポリシーの適用や不正アクセスの検知・防止機能も付帯していると安心です。

サポート体制が整っているファイルサーバーなら、導入時やトラブル時に頼りになります。信頼性の高いサポートを受けるために、提供形態や品質も確認しましょう。

ファイルサーバーの導入でありがちな問題点

机に資料を広げながら目を伏せて悩む男性

ファイルサーバーは、効率的なデータ管理や共有を実現するために重要です。しかし、導入にはいくつかの課題が存在するため、対策を講じることが成功の鍵といえます。

導入・運用にかかるコストや運用管理の複雑さ、故障のリスクと問題点はさまざまです。適切に対処できるように、ファイルサーバーの導入における問題点を把握しましょう。

導入・運用コストが想定以上

ファイルサーバーの導入や運用には、多くのコストがかかります。オンプレミス型を導入する場合、環境を構築するために、ハードウェアやストレージ装置の費用が必要です。状況に合わせてデータ量が増加すれば、ストレージの追加や拡張も行わなければなりません。

一方、クラウド型は自社で運用や管理をしないため、導入時の初期費用がオンプレミス型より安く済みます。ただし、会社の規模に沿ったプランに加入し続ける必要があり、手間がかかりにくい分、月額のランニングコストがかかる点に注意しましょう。

相応の知識・技術が必要

重要な情報を保管・共有するファイルサーバーの利用には、幅広い専門知識が必要です。ネットワークとシステム管理の知識は不可欠で、正しい環境でなければうまく作動しません。ストレージ管理においては、バックアップやストレージ拡張がデータの保守につながります。

データを守る上で、セキュリティに関する知識も重要です。不正アクセスやセキュリティ侵害に対する防御策の構築に役立ちます。他にも詳細な知識や技術が必要で、技術の進化やセキュリティの脅威の変化に応じた学習と更新が大切です。

本体の故障リスク

ファイルサーバーの運用において、本体の故障は深刻な問題となるおそれがあります。保存したファイルへのアクセスが不可能になると、生産性の著しい低下を招きかねません。データ紛失のリスクも存在し、重要なデータであるほど被害は甚大です。

復旧作業には時間と労力が割かれるため、組織のリソースを消費することで、業務に悪影響を及ぼします。より安全な運用を実現するには、RAIDやバックアップなど、故障への備えと予防が不可欠です。

ファイルサーバーではなくNAS+外付けHDDという選択肢も

ファイルサーバーやNASの導入では、業務環境に合わせた商品選びが重要です。小規模なオフィスや事業所では、手間のかかりにくい管理やコスト効率を求めるケースが多いため、NASと外付けHDDを導入する構成が適しています。

ネットワーク経由でファイルにアクセスできるNASは、データの共有やバックアップが容易です。安価で容量の拡張が可能な外付けHDDと組み合わせることで、柔軟性が上がります。自社の環境を整理し、NASと外付けHDDという選択肢も検討しましょう。

アイ・オー・データのランディスクシリーズですべて解決!

OKサインを作る笑顔の女性

アイ・オー・データのランディスクシリーズは、ネットワーク上でファイルを簡単かつ安全に共有・管理できるNASです。

高速なデータ転送が可能なだけでなく、豊富な機能を備えて多様な用途に対応します。長期間にわたる安心と安定した運用を提供する保証やサポートも豊富です。ここでは、データ共有・管理の悩みに応えるアイ・オー・データのランディスクシリーズを紹介します。

RAID崩壊を防ぐ独自技術の拡張ボリューム

RAIDは、複数の記録ディスクを組み合わせて、データ保存の信頼性を向上させる技術です。RAIDが何らかの理由で、利用できなくなることをRAID崩壊といいます。

アイ・オー・データのランディスクシリーズは、RAID崩壊を防ぐために「拡張ボリューム」という独自の技術を導入しました。

NAS内に配置したHDDをペアで動かすことで、負荷を分散して同時故障のリスクを減らします。故障時の交換作業は手間がかかりにくく、容量も拡張しやすい構造です。

遠隔管理サービス「NarSuS」で異常を早期発見

データの損失といったリスクを避けるには、HDDの故障を早期に検知する必要があります。ランディスクシリーズは、ネットワークを通してNASを監視するサービス「NarSuS」による管理・運用が可能です。これにより、時間や場所に縛られず、状態を把握できます。

トラブル発生時はもちろん、定期的に状態をメールで通知してくれるため、管理者の負担が少なく効率的です。復旧の仕方がわからない場合、症状に合った対処方法を提示して悩みを解決してくれます。

最大150万円相当のデータ復旧サービス

NASはHDDや電源ユニットといったハードウェアで構成されており、部品が故障したら修理や交換が必要です。また、大切なデータを保存しているケースが多いため、費用を支払ってデータの復旧もしなくてはなりません。

ランディスクシリーズは、最大150万円まで作業費用が補償されるサービスを提供しています。条件を満たせば重度障害の復旧にも対応できるため、作業にかかるコストの大幅な軽減が可能です。

関連記事
RAID崩壊を防ぐ独自技術の拡張ボリューム!生まれ変わったランディスク

RAID崩壊を防ぐ独自技術の拡張ボリューム!生まれ変わったランディスク

法人向けHDDも充実ラインアップ

外付けHDDは、バックアップやデータの保管に便利な機器です。NASと組み合わせて使用する際は、信頼性の高い商品を選びましょう。

アイ・オー・データでは、さまざまな法人向け外付けHDDを取り扱っています。中でも、ランディスクのバックアップ専用HDDとして「HDJA-UTN/LDBシリーズ」がおすすめです。

容量は1TBから最大16TBまで、使用する環境に合わせてお選びいただけます。独自の構造は本体の温度上昇を抑制し、故障リスクの最小化を実現しました。

HDJA-UTN/LDBシリーズ

ランディスクのバックアップにおすすめ!長期5年保証&高信頼HDD搭載で安心

商品情報を詳しく見る

まとめ

ノートパソコンを操作する手元とファイルが映し出されるイメージ

効率的なデータ管理や情報共有には、ファイルサーバーの導入が有効です。拡張性や安全性が高く、バックアップ先としても役立ちます。ただし、導入や運用にはコストが発生し、自社で扱うなら知識や技術が必要です。

ファイルサーバーの管理・運用に不安があるなら、NASの導入を考えてみてはいかがでしょうか。

アイ・オー・データが提供するランディスクシリーズは、導入の手間が少なく、さまざまな機能を備えています。手厚い保証でトラブルにも柔軟に対応できるため、是非ご検討ください。

キーワードKEYWORD

#ファイルサーバー
この記事を書いた人

I-O Knowledgeコラム 編集部では、液晶ディスプレイとHDD&NASのストレージデバイスを中心に、IT業界に関わる基礎知識と最新トレンド情報を選りすぐりでお届けします。

こんな記事も読まれています RECOMMEND

導入事例
  • 知ってスッキリ!『気になるIT用語』や『最新トレンド』が丸わかり
  • I-O knowledgeコラムサイトへ戻る
このページのトップへ
PC版を表示