(記事公開日:2024年5月9日)
NASやファイルサーバーはいずれもネットワーク経由でアクセスするシステムで、複数のデバイスでファイルを共有する目的で広く用いられています。
社内でファイルをスムーズに共有できる仕組みを構築する必要があり、NASやファイルサーバーを導入しようと考えている方もいるのではないでしょうか。
この記事では、NASとファイルサーバーの違いやおすすめのケースを紹介します。双方の特徴を正しく理解し、自社のニーズに合うほうを選ぶことでより快適に利用できるでしょう。
NASとファイルサーバー、それぞれの特徴を正しく理解し、自社のニーズを満たすのはどちらかを考えることで、より使いやすい商品を選べます。法人向けのNASは一般向けとは異なる部分もあるため、あわせて確認しましょう。
ここでは、NASとファイルサーバーの違いを紹介します。
NASは「Network Attached Storage」の略で、ネットワーク上に設置したストレージのことです。ハードウェアを指す用語で、コンピューターシステムの名称ではありません。
有線・無線ネットワークを経由して複数のデバイスからアクセスできるのがNASの特徴で、共有したいデータを保管するのに向いています。
個人向け・法人向けを問わずLinuxやWindowsといったOSをインストールしていますが、OSによって管理のしやすさに差があり、アプリケーションの使用・動作に関してライセンス上の制限を受けるケースもあります。インストールしているOSの特徴とメリット・デメリットを正しく理解した上で選ぶことが大切です。
何らかのサービスを提供する目的で設置したコンピューターシステムを総称して、サーバーと呼びます。ファイルサーバーは、ファイルの保存と共有に関する機能に特化したシステムです。
サーバーはハードウェアとソフトウェアで構成され、一般的にNASよりもハイパフォーマンスです。設定可能な項目が多岐にわたり、アプリケーション使用における制約が少ないという利点があります。
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NASとファイルサーバーはいずれもファイルの共有に使用しますが、基本的な機能や導入・運用の難易度に差があります。
それぞれにメリット・デメリットがあるため、新たに導入するときは特徴を正しく理解することが欠かせません。ここでは、NASとファイルサーバーのメリット・デメリットを紹介します。
NASのメリット | NASのデメリット |
---|---|
・比較的安価に導入できる ・設定・構築の難易度が低い |
・複雑かつ柔軟な設定・管理が難しい ・セキュリティ面 に制限がある |
市販のNASは、単体でファイルを共有するハードウェアとして使用します。そのため、NASの導入は新たなストレージを設置するイメージに近いでしょう。比較的安価なのも魅力で、手間やコストをかけずにファイルを共有する仕組みを構築できます。
一方、アクセス権限を細かく設定したりセキュリティを大幅に強化したりするのが難しいのがデメリットです。導入に際しては、企業のセキュリティポリシーに合致しているのかをきちんと確認しましょう。
ファイルサーバーのメリット | ファイルサーバーのデメリット |
---|---|
・ニーズに合わせて柔軟にカスタマイズできる ・セキュリティを強化しやすい ・必要に応じてストレージの増設やハードウェアの入れ替えがしやすい |
・必要なハードウェア・ソフトウェアの調達にコストがかかる ・システムの設計・運用に手間がかかる ・管理が複雑化しやすい |
ファイルサーバーは専用のハードウェア・ソフトウェアを用意してファイル共有システムを構築するため、導入・運用に手間とコストがかかります。
一方、カスタマイズ性に優れているという特徴があり、アクセス権限やセキュリティレベルを細かく設定できるのが大きな魅力です。手間をかけてでも、安全で柔軟性があるファイル共有システムを導入したい方に向いています。
ファイルを共有するためにどちらを導入しようか悩んでいる方に向けて、ファイルサーバーではなくNASがおすすめのケースについて解説します。以下で紹介する2つの条件に該当するなら、NASの導入を検討してはいかがでしょうか。
NASはネットワーク上に新たなストレージを接続するデバイスで、手軽に導入できるのが魅力です。通常、市販されているNASを購入し、ユーザーマニュアルにしたがって設置・設定すれば利用できます。
市販のNASは単体で動作するため、別途PCやサーバーといった専用のコンピューターを用意する必要はありません。一方、ファイル共有に関する細かい設定には対応していないケースもあり、充実した機能より手軽に導入できることを重視する方に向いています。
NASはファイルサーバーより機能が充実していないものの、バックアップや暗号化といった基本的な機能は搭載しているのが一般的です。自社にとって必要な機能が実装されていれば、NASは有力な選択肢になるでしょう。
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NASはファイルサーバーとは異なり、専用のコンピューターを調達する必要がありません。市販のNASを購入して設置・設定するだけで使用できるため、コストを削減したい方に向いています。
ファイルサーバーを導入する場合、ストレージやコンピューターといったハードウェアの他に、OSやミドルウェアといったソフトウェアも調達しなければなりません。その分、多くのコストがかかります。
まずはコストを試算し、NASとファイルサーバーのどちらが適しているか検討するとよいでしょう。
NASよりファイルサーバーを導入したほうがよいケースも詳しく見てみましょう。
以下で紹介する3つの条件に該当する場合、NASを導入しても機能面で問題が生じるおそれがあります。運用を開始してから後悔しないためにも、ファイルサーバーを導入するとよいでしょう。
ファイルを共有できればよいわけではなく、ニーズに応じて機能や設定を柔軟にカスタマイズしたいなら、ファイルサーバーがおすすめです。
ファイルサーバーはNASに比べて機能が充実しているだけでなく、後から必要な機能を追加で実装・カスタマイズできます。ハードウェアを交換して性能を高めるのも可能で、柔軟に運用できるのが魅力です。
必要に応じてカスタマイズしながら使いたいなら、自由度が高いファイルサーバーが向いています。
機密情報や個人情報を保存するなど、高いレベルのセキュリティを求める用途にもファイルサーバーがおすすめです。ユーザーごとにアクセスできるファイルを細かく制限したり、アクセスログを取得・保管したりできます。
ファイルサーバーはコンピューターであるため、セキュリティソフトをインストールしてより高いレベルのセキュリティを確保することも可能です。
多くのユーザーでファイルを共有するなど、大規模なシステムを構築する場合もファイルサーバーがよいでしょう。
NASはアクセスするユーザーが多くなるほど処理速度が低下する傾向がありますが、ファイルサーバーはシステムの規模に応じてハードウェアの性能を強化することで、より高い処理性能を実現できます。
ストレージの増設もしやすく、将来的に大規模なシステムを構築することを想定している方にもおすすめです。
自社で使用するファイル共有システムとしてNASを選んだ場合、いくつかチェックしておきたい要素があります。
運用をスタートしてから後悔しないためにも、以下で紹介する3つのポイントを忘れずに確認しましょう。NASはファイルサーバーに比べて柔軟性・拡張性に劣るため、最初から必要な機能・性能を備えた商品を選ぶことが大切です。
市販のNASは、同時接続台数を設定しています。推奨の同時接続台数は商品によって異なり、数台?10台程度のものから100台程度のものまでさまざまです。まずは何台程度のデバイスがNASにアクセスするか試算し、十分な性能を備えた商品を選びましょう。
推奨接続台数を超える数のデバイスがNASにアクセスするとパフォーマンスが大きく低下し、ファイルの送受信に長時間かかったり途中で動作が停止したりするトラブルにつながりかねません。
大規模なオフィスに導入するときや将来的に接続台数が大きく増えることが想定されるときは、最初から推奨接続台数に余裕がある商品を選びましょう。
RAIDを組んで運用するなら、RAIDに対応したNASを選びましょう。RAIDとは複数のストレージをセットにして運用する技術の総称です。
読み書き速度を高めるRAID 0や耐障害性を高めるRAID 1、速度と耐障害性を両立させたRAID 50など、さまざまなタイプがあります。構築するRAIDのタイプと搭載したいストレージの台数に対応した商品を選びましょう。
ビジネスシーンではデータの安全性を確保する目的でRAIDを組むケースも多いため、忘れずにチェックしたいポイントのひとつです。
RAIDとは?データ消失のリスクを回避するRAIDと拡張ボリューム
法人向けのNASには、保守サービスが付帯する商品もあります。故障したときに修理・交換をしてもらえる保証サービスとは異なり、NASの監視を代行したり障害発生時に交換品を速やかに送ってもらえたりするのが魅力です。
NASに重要なデータを保存しているケースでは、故障のようなトラブルが発生すると復旧まで業務が止まります。長時間業務が停止すれば大きな損害につながりかねないため、万が一のときに手厚いサポートを受けられるのは大きなメリットといえるでしょう。
NASの運用に関する業務を減らしたい方やトラブルに対する備えを万全にしたい方には、保守サービスが付帯した商品がおすすめです。
NAS運用に保守メニューは必要?生まれ変わった「LAN DISK」でトータルコストが抑えられる!
アイ・オー・データでは、多くの企業がニーズに合わせて最適な商品を選べるように、多種多様なNASをラインアップしています。OSはLinux系とWindows Server系の2種類で、用途に応じて適したほうを導入可能です。
同時接続台数が多い商品や拡張性に優れた商品もあり、豊富な選択肢からニーズに合った商品を選べます。商品ごとの仕様や外部のクラウドストレージサービスへの対応状況も公開しているため、既存のシステムと連携して運用したい方にもおすすめです。
自社に適したNASが判断できない方に向けて、フローチャートも用意しています。ぜひあわせてご活用ください。
【おすすめのNAS(LAN DISK)がわかる!選定ツール】LAN DISKの安全運用を実現するオススメ構成を紹介
NASとファイルサーバーはいずれもファイルを共有するために使用しますが、構成や機能にいくつかの違いがあります。それぞれにメリット・デメリットがあるため、自社の用途に適したほうを選ぶことが大切です。
アイ・オー・データでは、NASを導入したい方に向けてさまざまなタイプの商品を提供しています。搭載するOSや同時接続台数、拡張性を総合的にチェックして、ニーズに合った商品を選びましょう。
これから新たにNASを導入しようと考えている方は、フローチャートを活用して自社に合った商品の購入をご検討ください。
I-O Knowledgeコラム 編集部では、液晶ディスプレイとHDD&NASのストレージデバイスを中心に、IT業界に関わる基礎知識と最新トレンド情報を選りすぐりでお届けします。
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