(記事公開日:2024年7月12日)
ネットワーク環境を構築する際は、有線接続の手段としてLANケーブルを使用します。LANケーブルを購入するとき、さまざまなカテゴリーのケーブルの中からどれを選べばよいか分からない方もいるのではないでしょうか。
この記事では、LANケーブルのカテゴリーの意味と選び方を紹介します。これからネットワーク環境を構築する方は、購入してから後悔しないためにも事前に確認しておきましょう。
LANケーブルのカテゴリーと規格を正しく理解することで、用途や求める通信速度に応じて適切なケーブルを選べます。
流通しているLANケーブルは最大通信速度や伝送帯域に基づいて規格化されており、その規格を「カテゴリー」と呼びます。2024年時点で流通しているLANケーブルは、カテゴリー5e~カテゴリー8が大半で、それぞれの仕様は以下のとおりです。
カテゴリー | 最大通信速度 | 通信規格 | 伝送帯域 | ケーブルの種類 |
---|---|---|---|---|
カテゴリー5e | 1Gbps | 1000BASE-T | 100MHz | UTP STP |
カテゴリー6 | 1Gbps | 1000BASE-TX | 250MHz | UTP STP |
カテゴリー6A | 10Gbps | 10GBASE-T | 500MHz | UTP STP |
カテゴリー7 | 10Gbps | 10GBASE-T | 600MHz | STP |
カテゴリー7A | 10Gbps | 10GBASE-T | 1,000MHz | STP |
カテゴリー8 | 40Gbps | 40GBASE-T | 2,000MHz | STP |
新たにLANケーブルを購入する際は、特に最大通信速度を意識することが大切です。最大通信速度が遅いLANケーブルは、高速回線を契約しても十分に生かせないケースがあります。
基本的に、カテゴリーの数字が大きくなるほど高速通信が可能です。ただし、速い速度で通信できるかどうかは、LANケーブルのカテゴリーや契約している通信回線の速度だけでなく、ネットワーク機器やPCの対応状況にも依存します。
使用しているLANケーブルのカテゴリーを調べるには、ケーブル本体の印字を確認しましょう。
「CAT 6」「CAT 7A」のようにカテゴリーが直接書かれているケースもあれば、「ANSI/TIA/EIA-568-B.2-1」「ISO/IEC 11801」のように規格名が印字されている場合もあります。各カテゴリーの規格名は以下のとおりです。
手持ちのケーブルを確認し、上記の印字がないかチェックしてみましょう。
さまざまなカテゴリーのケーブルが市販されているため、どれを選べばよいか迷う方もいるでしょう。ここでは、家庭利用を前提とした場合におすすめのLANケーブルを紹介します。これからLANケーブルを購入する方は、ぜひ参考にしてみてください。
一般家庭で利用するLANケーブルは、カテゴリー6Aがおすすめです。最大10Gbpsの速度で通信できるため、通信速度で問題が発生することはありません。
比較的安価で幅広く販売されていて、調達しやすいのもメリットです。より上位のケーブルに比べて通信が安定しやすい傾向があるのも、家庭用に向いている理由のひとつといえます。
カテゴリー5やカテゴリー5eのLANケーブルは最大通信速度が遅く、これから購入する方にはあまりおすすめできません。カテゴリー5の最大通信速度は100Mbps、カテゴリー5eは1Gbpsです。
ホームユース向けのインターネット回線として幅広いエリアで提供されているのは、最大速度が10Gbpsのサービスです。カテゴリー5やカテゴリー5eのLANケーブルは、2024年時点で主流となっている10Gbpsのインターネット回線には対応できません。
すぐに問題にならなかったとしても、将来的に交換しなければならない可能性が高いでしょう。
カテゴリー7以上のLANケーブルは、ノイズを予防するためにシールド処理したSTPケーブルのみのラインアップです。
STPケーブルは適切に敷設すればノイズに強いというメリットがある半面、適切にアース処理せずに敷設すると、逆にノイズの影響を受けやすくなるデメリットがあります。
ノイズの影響を受けると通信が切断されたり速度が遅くなったりするため、注意が必要です。多くの場合、家庭用ではシールド処理していないUTPケーブルで十分なため、UTPケーブルがラインアップされているカテゴリー6Aを選ぶとよいでしょう。
LANケーブルを選ぶ際は、カテゴリー以外にもいくつかチェックしておきたいポイントがあります。さまざまな商品が流通しているため、特徴を正しく理解した上で自分の用途に合ったものを選ぶことが大切です。ここでは、市販されているLANケーブルの種類を紹介します。
標準的な太さの丸形ケーブルを総称してスタンダードケーブルと呼びます。強度やノイズ耐性が高いため、さまざまな場所・用途で使いやすいケーブルです。長距離配線が必要な場合にも向いています。
一方、ケーブルの直径が5mm~8mmと太く柔軟性に劣るため、狭い場所に配線する用途にはあまり向いていません。LAN配線用の配管が複雑に曲がっていたり、空きスペースに余裕がなかったりする場合は注意が必要です。
ケーブルの強度を高めるため、外装に金属を使用したケーブルもあります。工場で使用するときや床下・天井裏に配線するときなど、ネズミの被害が予想される場合に向いているケーブルです。
また、ペットの被害による断線を予防したい家庭にも向いています。一般的なケーブルより強度が高いものが必要なら、金属外装ケーブルを検討しましょう。
医療機関や実験室で使用するのに適したLANケーブルが抗菌ケーブルです。抗菌剤を添加した素材で外装を製造することで、細菌の繁殖を抑制します。
細菌がケーブルに付着した場合、標準的なケーブルは時間の経過に伴って細菌の量が増えます。一方、抗菌ケーブルは細菌の増殖を防ぐだけでなく、時間がたつと付着直後より減少するのが特徴です。
ネットワークに接続して使用する医療機器や介護・福祉用の機器には、抗菌ケーブルを検討するとよいでしょう。
狭い隙間を通して配線するときや配管が狭いときは、フラットケーブルを検討しましょう。ケーブル本体が薄型で曲げやすく、狭い場所でも配線しやすいのがメリットです。
ただし、ノイズに弱いというデメリットがあります。ノイズが多い環境で使用すると、外部からのノイズの影響を受けて通信が安定しないケースがあるため注意しましょう。長距離配線にも向いていません。
デバイスに電力を供給する機能を有するLANケーブルをPoE対応ケーブルと呼びます。通常のLANケーブルは通信機能しか有していないため、電力を供給するには別途電源コードを接続するか、デバイス本体にバッテリーを搭載することが必要です。
PoE対応ケーブルは1本で通信と電力供給が可能で、屋外に設置するネットワークカメラのような電源コードの配線が難しい機器に向いています。
ただし、デバイスやスイッチングハブといった機器がPoEに対応していないと、LANケーブル経由で電力を供給できない点に注意しましょう。供給できる電力には制限があり、大きな電力を必要とする機器には十分な電力を供給できません。
持ち運ぶ機会が多い方には、収納しやすい巻き取りケーブルがおすすめです。使用するときは両端を引き出して適切な長さに調整できます。使わないときはケーブルを巻き取ればコンパクトになり、バッグの空きスペースに収納して持ち運べるのがメリットです。
ただし、巻き取りケーブルはフラットケーブルをベースにしているため、ノイズに弱く通信が安定しない場合がある点に注意しましょう。
屋外で使用することを目的としたスタンダードケーブルベースの商品もありますが、大型になるため、日常的に持ち運んで使用するには向いていません。
さまざまなLANケーブルが販売されているため、用途や設置環境に適した商品を選ぶ必要があります。LANケーブルを購入するときは、以下で紹介する3つのポイントを意識するとよいでしょう。さまざまな観点から総合的に判断することで、より適したLANケーブルを選べます。
LANケーブルは、接続する機器同士の距離に応じて適切な長さの商品を選ぶのが基本です。短過ぎれば接続できず、長過ぎれば取り回しにくくなります。
購入する際は、機器間の距離を事前に計測し、どの程度の長さのケーブルが必要かチェックしましょう。配管内を通すときは、配管の長さも計測します。計測した距離よりやや余裕がある長さのケーブルを購入しましょう。
LANケーブルの芯線は、単線とより線の2種類があります。単線は1本の太い銅線でできている芯線で、通信が安定しやすいメリットがある半面、硬くて曲げにくいのがデメリットです。
より線は細い銅線を多数まとめたLANケーブルで、曲げやすく配線しやすいのがメリットですが、ノイズに弱いデメリットがあります。
配線経路に問題がないなら、基本的には単線の商品を選ぶとよいでしょう。短距離の配線かつ経路が複雑で曲げる回数が多い場合は、より線を選ぶと配線しやすくなります。
LANケーブルの中には、接続部分の爪が折れにくい商品もあります。携帯して使用する場合や抜き差しを繰り返すことが多い場合は爪折れ防止ケーブルを選ぶとよいでしょう。
爪が折れるとLANケーブルを固定できなくなり、意図せずに抜けて通信が切断されるケースがあります。爪折れ防止ケーブルを選ぶことで、トラブルが発生するリスクを大きく低減できるでしょう。
爪の部分が折れにくく柔らかい素材でできている商品や外部の衝撃から保護するためのカバーがついている商品があります。
高速通信に対応したLANケーブルの性能を生かしたいなら、契約するインターネット回線や設置するネットワーク機器にもこだわる必要があります。ここでは、それぞれで意識したいポイントを見ていきましょう。
高速かつ快適な通信環境を実現するためにも、事前に確認して環境を整備することをおすすめします。
2024年時点で、一般向けに提供されているインターネット回線の最大通信速度は10Gbpsです。新たにインターネット回線を敷設するときや契約を変更するときは、最大10Gbpsの通信速度に対応したサービスを選びましょう。
インターネット回線の速度が遅いと、高性能なLANケーブルを導入しても性能を発揮できません。昔からインターネット回線を契約している場合、最大通信速度が遅いプランになっているケースもあるため、一度チェックして必要に応じて見直すとよいでしょう。
最大10Gbpsの通信速度を生かすには、PCやスイッチングハブ、ルーターといった機器類が10GBASE-T規格に対応している必要があります。機器のLANポートが1000BASE-T(1Gbps)や2.5GBASE-T(2.5Gbps)にしか対応していない場合もあるため注意しましょう。
場合によっては、PCに10GBASE-Tに対応したLANカードを増設したり、スイッチングハブやルーターを買い替えたりする必要があります。環境整備にある程度のコストがかかるため、十分な予算を用意しておきましょう。
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データを保存するためにNASを使用するなら、10GBASE-Tに対応したNASを設置しましょう。新たにNASを導入する際は、10GBASE-Tに対応した商品の中から必要な容量・機能を備えた商品を選びます。
また、高速通信に対応していてもストレージの読み書き速度が遅ければ、通信速度の速さを生かせません。NASに搭載するストレージは、読み書き速度が速いSSDを選びましょう。
NASの最適な設置場所のおすすめは?スッキリ収納を考える
LANケーブルの交換やネットワーク機器のリプレースなど、環境更新に合わせてNASの更新を検討しているなら、アイ・オー・データが提供する高速通信に対応したNASをぜひご検討ください。
アイ・オー・データでは、10GBASE-Tに対応したNASを販売しています。最大10Gbpsの速度で通信でき、大容量のデータを読み書きする際もスムーズです。多くのユーザーが同時にアクセスしても処理速度が落ちにくく、快適に利用できます。
6TB~96TBと幅広い容量をラインアップしているため、用途に応じてお選びください。
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市販のLANケーブルにはさまざまなカテゴリーの商品があり、カテゴリーによって最大通信速度やケーブルの種類が異なります。一般家庭向けであれば、カテゴリー6Aを中心に選ぶとよいでしょう。
LANケーブルの性能を十分に発揮するには、高速通信に対応したインターネット回線を契約したりネットワーク機器やNASを設置したりすることも大切です。
アイ・オー・データでは、10GBASE-Tに対応したNASをラインアップしています。ネットワーク環境の整備・更改を検討している方は、ぜひご検討ください。
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