1983年 ストレージ製品への足がかり

【8インチフロッピーディスク】開発:1983年

ストレージ製品への足がかり

8インチフロッピーディスクの台頭

法務・知的財産部 法務・知的財産課  原 正明 (当時 技術部)1980年代初頭、システム読み込みデータ保存としてカセット式テープレコーダーや5インチフロッピーディスクが主流だった。ただ、記憶容量で実用性を欠き、システム向け大容量記録メディアとしてこのころから着実にシェアを伸ばしていったのが8インチフロッピーディスクである。 パーソナル用途でもフロッピーディスクの人気が高まっていたが、まだまだ価格は高く、なかなか手が届かない存在であった。


また、NEC「PC-9800シリーズ」の純正フロッピーディスクドライブはアクセス用ヘッドの移動(シーク音)がマージン確保のためか、遅めに設定されていた。これによりアクセスの際の騒音も耳障りで、静かな事務所においてはより、音の静かなものが期待された。

静音への挑戦

PFD-8シリーズ当時開発を担当した原正明は、ヘッド移動時のシーク音を低減するために、改良を重ねた。 『PC-9800シリーズの技術情報が極めて少なく、実現したいことを技術的に解決するためにはどうしたらよいか、調査の日々が続きました。


8インチフロッピーディスクドライブを開発する以前にドラムスキャナーなどの特注製品関連で多少フロッピーディスクについての知識があったので、新しく採用したフロッピーディスク制御LSIを調べる中でシークスピードの設定がドライブ仕様よりゆっくりとした設定になっていることを発見したんです。』と原は当時を振り返る。 その結果、ヘッド移動の速度を適正に設定することで、静音に成功した。

問題点をバネに、使いやすさを向上

音の問題が解決した矢先、今度は新たな問題が持ち上がった。 「特定のゲームソフトが立ち上がらない」というのだ。 『いろいろ調べました。その結果、ゲームソフトのセキュリティに原因があると分かりました。ゲームソフトの起動時に意図的にエラー発生させる箇所が作られておりその際のエラー内容が純正のフロッピーディスクドライブと異なると、正規品ではないと判断するのです。この問題を解決するために、エラーが発生した場合の内容が同じ種別のエラーとなるようドライブメーカーと協力し改善しました。』


それにより純正品との差別化ができた。また、もう一つ大きなポイントは、性能的には純正品を上回りながら、価格は半額程度に抑えていく。「IOのストレージ製品」のイメージを確定していくあしがかりとなった製品である。 『当社の製品の中でも重要なストレージ製品の先駆けとしていろいろな工夫や問題解決のための多くの経験を得ることができたと思う。それらは、現在においてもユーザーの不満、不自由さを解決する製品づくりに受け継がれていると思う』と原は自負する。

〜1983年の出来事〜
・5月に日本海中部地震が発生。
・10月に三宅島が大噴火。
・ハウス食品が「六甲のおいしい水」を発売。「ただの水が商品になった」ことが衝撃的だった。
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