(記事公開日:2023年12月22日)
自然災害や人為的な攻撃といった緊急事態が発生することで、ビジネスが停滞するリスクがあります。被害を最小限に抑えるには、BCPに取り組むことが大切です。
しかし、具体的にどのような対策に取り組めばよいか分からず、困っている方もいるのではないでしょうか。この記事では、BCPを策定する流れと実際に緊急事態が発生した時の動きを紹介します。
BCPに関する基本を学び、自社に合った施策を実行することで、緊急事態による業務停滞のリスクを大きく減らせるでしょう。
BCP(Business Continuity Planning)は事業継続計画とも呼ばれ、何らかの緊急事態が発生した時の被害を最小限に抑えるための取り組みです。
予期していなかった緊急事態が突然発生したことで大きな被害を受け、日々の業務を今までどおりに進められなくなることがあります。業務停止に追い込まれたり売り上げが大きく低下したりすると、経営自体に大きな打撃を与えかねません。
そのため、あらかじめ発生する可能性がある緊急事態の種類と被害を予測し、自社のコア業務を継続するための体制を整備しておくことが求められます。
BCPを策定する際は、自社に大きな影響を与えかねない緊急事態の種類と予想される被害をシミュレーションする必要があります。ここでは、多くの企業にとってリスクが高い3つの緊急事態について見てみましょう。
自社がどのような被害を受けるリスクが高いかを確認し、有効な対策を考えることをおすすめします。
地震や風水害、火山噴火といった自然災害は、いつ・どこで起きるか分かりません。全く予想していない時に大規模な自然災害が起こるケースも多いため、日頃から対策しておくことが求められます。
まずは自社が所在するエリアでどのような災害が予測されるかを可視化しましょう。自然災害の発生そのものを防ぐことは不可能なため、被害を減らすことにフォーカスした取り組みが必要です。
ビジネスに携わるのは人間である以上、人的ミスをゼロにはできません。不注意で重要なデータを削除したり、上書きしたりすることも考えられるでしょう。多くの企業では、定期的にバックアップを取ることで上記のリスクに対策しています。
しかし、バックアップが不十分だったり設定が間違っていたりといった理由で、データが保存できていないことも少なくありません。貴重な情報資産を保護するためにも、より信頼性の高い対策が求められます。
技術情報をはじめとして、企業が保有する貴重な情報を盗み取るためにサイバー攻撃を仕掛ける組織があります。DDoS攻撃やランサムウェア、SQLインジェクションがサイバー攻撃の代表的な例です。
国家による大規模なサイバー攻撃もあるため、十分な対策が求められます。サイバー攻撃を防ぐ対策とともに、万が一、攻撃を受けた時の対策もセットで考えるとよいでしょう。
初めてBCPに取り組む場合、どのように進めればよいか迷いがちです。ここでは、BCPを策定する時に意識したい基本的な手順を3段階に分けて紹介します。ひとつずつ確実に進めれば、途中で方向性を見失うことはないでしょう。
緊急事態が発生すると、今まで進めていた業務すべてをそのまま継続することは難しいため、何を優先するかを決めておかなければなりません。まずは自社の業務をすべて書き出してみましょう。
書き出した業務のうち、特に重要なものが何かを考えて優先順位を決めます。BCPを策定する時は、優先順位が高い業務を継続するための施策を考えることが大切です。
優先する業務が決まったら、予測される緊急事態の種類と被害の程度を可視化しましょう。自然災害対策であれば、ハザードマップを確認して自社の所在地付近でどのような災害が発生するかを考えます。
災害の種類と予測される被害の程度が明らかになれば、必要な対策が見えてくるでしょう。複数の緊急事態が予測される場合、致命的な影響を及ぼす可能性が高いものから対策を進めます。
対策しなければならない緊急事態と被害を予測したら、具体的な対策に落とし込みましょう。「大規模地震に備えて拠点となるオフィスを3箇所に増やす」など、具体的な内容にすることが大切です。
また、対策を考えても実行できなければ意味がありません。BCPに取り組む時は、実施体制を整えることも忘れないようにしましょう。
実際に緊急事態が発生した時、どのように対処すればよいでしょうか。ここでは、緊急事態が発生してから臨時体制に移行し、通常の運営体制に戻すまでの流れを紹介します。実施体制を整える段階で意識する必要があるため、一通りチェックしておきましょう。
緊急事態が発生したら、何が起きて自社にどの程度の被害が出たかを速やかに確認しましょう。状況を確認しなければ、適切な行動に移れません。緊急事態が発生してもほとんど被害を受けていないのであれば、通常どおりの業務を続けられるでしょう。
通常の業務を継続できないほどの被害を受けた時は、あらかじめ策定した施策のうち、適切な対策を実行します。
被害状況が明らかになると、どのような対応が必要か見えてきます。状況に応じて、事前に決めた施策の中から有効なものを実行しましょう。
必要な施策を速やかに実行することで自社のコア業務を止めずに済み、売り上げの低下を最小限に抑えられます。何か起きた時にすぐに行動するためには、普段から訓練しておくことも大切です。
緊急事態に備えた、事業継続のための方法・手段とは?
BCPのためのNASバックアップガイド
テレワークもBCP対策も「クラウド×NAS」の二刀流で効率アップ
自社が受けた被害が回復し、社会インフラが復旧したら、できるだけ早く通常の業務体制に戻しましょう。完全に元どおりではなくても、代替手段を用いて普段の業務が可能な場合も通常体制に戻せます。
売り上げの低下を最小限に抑えるには、可能なかぎり早く元どおりの体制に戻すことが大切です。BCPを策定する段階で、復旧までの流れを可視化しておくとよいでしょう。
BCPとセットで登場する用語に、BCMとBCMSがあります。いずれもBCPと密接な関係があるため、あわせてチェックしましょう。BCM・BCMSが欠けていると、いざという時にBCPを実行できないことがあるため、BCPの実効性を高める上でも欠かせない取り組みです。
BCPを実行する体制を整え、実効性を高めるためのマネジメントをBCMと呼びます。BCMに含まれる具体的な活動の例は以下のとおりです。
BCPを策定しても体制が整っておらず、緊急事態が発生した時に実行できなければ意味がありません。全社的なマネジメントに取り組み、想定どおりに実行できる仕組みを構築することが大切です。
BCMを実施するための仕組みがBCMSです。BCMSは経営手法のひとつで、BCPと企業経営を関連付けて、より効果を高めるための制度・システムの総称です。BCMSの具体例は以下のとおりです。
BCMと似通った部分が多いものの、BCMはBCPの実施体制を整えるマネジメント手法であるのに対し、BCMSはBCPを企業経営と関連付ける経営手法と考えると混同しにくいでしょう。
BCPの考え方や実施方法は知っていても、自社に合った対策が分からずに困っている方もいるのではないでしょうか。
ここからは、BCPの具体例を紹介します。想定される緊急事態の種類によって適切な対策は異なるものの、自社の施策に落とし込める部分がないか参考にしてみてください。
BCP対策を取り入れたユーザーの声をご紹介
大規模な自然災害や人為的な攻撃への対策として有用なのが、オフィスの分散です。物理的に離れたエリアに複数のオフィスを構えれば、いずれかのオフィスが被害を受けても別のオフィスで業務を継続できます。
現状オフィスが1箇所にしかない場合、サテライトオフィスの開設を検討してもよいでしょう。あわせて、コミュニケーションや資料の共有に欠かせない通信経路の確保も必要です。
ヒューマンエラーやサイバー攻撃、災害でデータを失うことを危惧するのであれば、クラウド上にバックアップを取るのがおすすめです。オフィス内のサーバーのようなローカル環境にバックアップしていると、緊急事態の際にデータをまとめて失うリスクがあります。
クラウド上に必要なデータを保存すれば、オフィスや自社データセンターが被害を受けた時でも機密情報をはじめとしたデータ資産を保護できるでしょう。セキュリティが強固なクラウドサービスを利用することで、情報漏えいのリスクも低減します。
サイバー攻撃を受けるとデータを盗まれるだけでなく、システムやインフラが破壊されるおそれがあります。自社のコアシステムがダウンすると業務が進められず、ビジネスが停滞するため注意が必要です。
サイバー攻撃を受けた場合に備えて、バックアップ回線や予備システムといった対策を整えることをおすすめします。あらかじめシステムを冗長化しておけば、いざ被害を受けた時は予備システムに切り替えるだけで業務の継続が可能です。
サイバー攻撃とはどのようなもの?情報資産を守るセキュリティ施策も紹介
予想される緊急事態に備えて適切に対策するには、必要な設備やシステムを導入し、体制を整えなければなりません。アイ・オー・データでは、BCPに役立つさまざまな商品・サービスを提供しています。
これからBCPを策定して環境を整備したいと考えているのであれば、ぜひアイ・オー・データの商品をご検討ください。ここでは、BCPに役立つ商品を詳しく紹介します。
さまざまなリスクから自社のデータ資産を守るには、バックアップが重要です。
バックアップの安全性・信頼性を高めるには、ローカルとクラウドの双方にデータを保存するといった多重化が欠かせません。故障リスクが低く信頼できるストレージを使用することも大切です。
アイ・オー・データでは、バックアップに役立つ外部ストレージを提供しています。信頼性・耐久性が高く、貴重なデータ資産の保存場所に最適です。WindowsやLinuxといったOSを搭載したNASをラインアップしているため、ぜひご検討ください。
ストレージとはどのようなもの?種類と特徴、用途別の選び方を紹介
2023年時点では、サイバー攻撃の手段としてランサムウェアが幅広く用いられています。感染するとデータが暗号化され、システムが停止することで業務が停滞し、貴重なデータ資産を失いかねません。
アイ・オー・データの大容量外部ストレージは、世代バックアップや差分バックアップに対応しています。ファイル操作の履歴からランサムウェアに感染した可能性を検知してアラートを発する機能のほか、アクセスログを取得・保存する機能を備えています。
ランサムウェアを含めたマルウェア対策を進めたいなら、ぜひご検討ください。
企業のデータ資産が失われる前に。アイ・オーのランサムウェア対策で備える!
自然災害やサイバー攻撃といったリスクによってビジネスが停滞するリスクを避けるには、BCPへの取り組みが欠かせません。自社のビジネススタイルに応じて、適切な施策を実行することが大切です。
アイ・オー・データでは、データ保護に役立つ高品質なストレージを提供しています。貴重なデータ資産を保護するのに役立つため、ぜひ導入をご検討ください。
緊急事態に対策する体制がきちんと整っていてデータを安全に守れれば、災害時や緊急時でもビジネスを継続しやすいでしょう。
I-O Knowledgeコラム 編集部では、液晶ディスプレイとHDD&NASのストレージデバイスを中心に、IT業界に関わる基礎知識と最新トレンド情報を選りすぐりでお届けします。
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