UPS(無停電電源装置:Uninterruptible Power Supply)はコンセント電源(商用電源)が途切れた場合も、一定時間、 接続されている機器に対して停電することなく電力を供給し続ける電源装置です。
NASは大切なデータを保護するために、さまざまな冗長性のしくみやバックアップ機能を備えていますが、電源にトラブルが発生した場合、その冗長性を発揮することなくシステムが停止してしまいます。
そのため、落雷などによる瞬電・停電などが発生すると、RAIDシステムやHDDにダメージを与え、最悪データ消失につながりかねません。対応UPS(無停電電源装置)で予期せぬ電源トラブルに備えましょう。
落雷により停電が起こると、電力供給が突然停止し、サーバー、NASが正規のシャットダウン操作を行うことができません。
地域別に発生している落雷数の状況は下記の通りです。2013年は、関東甲信で1時間当たり、19.6回(約3分間に1回)の落雷が発生しています。
2008年 | 2009年 | 2010年 | 2011年 | 2012年 | 2013年 | |
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北海道 | 31,100 | 44,900 | 43,700 | 39,100 | 58,000 | 65,500 |
東北 | 73,000 | 47,200 | 161,600 | 124,700 | 155,100 | 91,100 |
関東甲信 | 319,200 | 56,600 | 253,600 | 183,100 | 181,800 | 171,300 |
東海 | 147,000 | 37,600 | 70,900 | 52,700 | 98,900 | 56,100 |
北陸 | 63,200 | 18,300 | 55,900 | 42,500 | 69,700 | 46,500 |
近畿 | 131,600 | 32,200 | 81,700 | 36,800 | 138,500 | 72,300 |
中国 | 87,300 | 32,700 | 28,200 | 43,300 | 108,200 | 79,700 |
四国 | 29,000 | 18,600 | 79,900 | 18,900 | 73,300 | 44,800 |
九州・沖縄 | 149,600 | 54,800 | 160,300 | 117,400 | 246,000 | 223,500 |
出展:株式会社 フランクリン・ジャパン
単にUPSを導入すれば安全という訳でもありません。UPSは一定時間商用電源のバックアップを行いますが、保持しているバッテリー容量を使い果たすと電源供給が止まってしまいます。
そのため、UPSから電源異常信号を受け取って、NASを安全にシャットダウンすることが必要です。
UPS連動機能を持ったNASとUPSを通信ケーブルで接続することで、UPSが停電を検知した際にNASを安全にシャットダウンすることができます。
UPSには機種によって、RS-232C端子、USB端子を備えており、添付ケーブルや専用ケーブルを使用してNASを接続します。
【停電発生時】
NASによっては、復電時に通電を検知して自動起動を行うことも可能であり、これらを組み合わせることで、手動操作をすることなく利用再開が可能です。
また、複数台のNASを同時に連携させることができる、ネットワークシャットダウン機能を持つNASもあります。
当社LAN DISKシリーズに対応したUPSの詳細は、「UPS対応一覧」よりご確認ください。
UPSはOAタップに接続せず、必ず壁のコンセントに直接接続してください。
また、アース線を必ず接続するようにしてください。
接続する機器の電源容量の合計が仕様を上回らないように利用してください。
複合機のように、電源投入時や印刷開始時に大電流が流れるような機器は接続できません。
UPSに内蔵されているバッテリーは、経年劣化によりバッテリー持ち時間が短くなるため、計画的にバッテリーを交換してください。交換目安は通常タイプで1~3年です※。
日本の商用電源は100V交流です。交流とは“+極”と“-極”が交互に切り替わる電流をさします。東日本は1秒間に50回(50Hz)、西日本は同じく60回(60Hz)切り替わります。
最近の電子機器の電源装置は、力率改善回路搭載の「PFC電源装置」※1が採用されています。「PFC電源装置」への入力電源は、商用電源と同じ正弦波を入れる必要があります。
矩形波※2を入力すると、電源装置が故障する可能性があります。
※1 欧州では義務化されています。
※2 読み方:くけいは
UPSからの出力電源が正弦波タイプは比較的に高価なため、安価な③擬似正弦波タイプを、正弦波タイプ同様の特長として提案しているメーカーもあります。
UPSには、大きく3種類の給電方式があります。それぞれ通常時と停電時における動作状態が異なります。
常時商用給電方式 | ラインインタラクティブ方式 | 常時インバータ給電方式 | |
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商用電源時 | 商用電源をそのまま利用 | 商用電源をそのまま利用 | 安定化電源 |
停電時 | 内部電源に切替 | 内部電源に切替 | 安定化電源 |
その他 | - | 電圧変動時に補正 | - |
切替時間 | あり(約10ms) | あり(約10ms) | なし(無瞬断) |
メリット | 小型・軽量 内部の消費電力が小さい |
安定した電圧供給が可能 | 常時安定電源 |
デメリット | 10ms未満の瞬停対応不可 電圧変動はそのまま出力 |
10ms未満の瞬停対応不可 | 大型 内部の消費電力が大きい |
価格 | 低 | 中 | 高 |
例えば常時商用給電方式で、前述の正弦波、矩形波出力タイプの動作イメージは下図のようになります。商用電源から内部電源に切り替わる際に、ギャップ(切替時間)が発生します。
最適なUPSは以下の選択方式によって大まかに選ぶことができます。当社NAS商品においては常時商用給電方式のUPSが最適です。
各商品に対応するUPSの詳細は、「UPS対応一覧」よりご確認ください。